◆ 代理店商法等の事例
| ●東京都A社のケース(軽自動車運送)/被害者:40歳代男性 |
私は、とある会社と軽貨物自動車で運送業務を請け負うという契約をしました。その会社のホームページ広告をみて、自分から連絡をしました。ロイヤリティが15%ほどあり、これから逆算して、最低月45万円の売り上げが欲しいと、電話の際に担当者に伝えました。担当者は、はっきりではありませんでしたが、平日に定期便をだし、土日にチャーター便を出せば45万円は行くからといった話がありました。
契約期間は2年間でした。ユニフォーム代で約5万円、保険料込みで車両賃料5万5,000円を3ヶ月分の合計額を契約にあたって支払いました。そのほか、会費として月2万円の支払があります。この会費は売り上げから差し引かれる形で支払うことになっています。自動車はリース物件で、会社がこれを私に又貸しするものでした。なお、契約書にクーリングオフの記載はありませんでした。
契約から数ヶ月が経過しましたが、実際には月10万円にも満たない収入でした。現在まで約30万円支払っていますが、話が違うので解約したいと思います。
【徳田さんのコメント】 |
特商法では上記のように業務を与えるからとして、初期費用を支払わせる行為を「業務提供誘引販売取引」として規制しています。
上記のケースは「代理店として業務を請負う」という名目があるかは定かではないですが、「代理店商法」と考えてよいでしょう。
この会社は業務に使用する軽自動車を購入しても、借りてもよいシステムになっているようですが、ともに特商法の規制を受けます。会費やユニフォーム購入代も「特定負担」と解されます。特商法に規定の適用がある以上、クーリング・オフの記載がない契約書の交付は問題です。このような契約書では、同法が求める書面交付義務を満たしておらず、クーリング・オフの行使期間である20日間を経過した現在でもクーリング・オフは可能となります。加えてこのような契約書の交付は、同法の違反行為となり、刑罰も科せられます。また、同社のホームページの広告もチェックしましたが、これにも欠陥が多々みつかりました。
これ以上、この会社との下請関係を維持しても経済的なメリットはなさそうです。すぐにでもクーリング・オフをかけるべきでしょうね。
個人的には、10万円にも満たない収入とはひどすぎると思いますね。この会社では、説明時に45万円を稼ぎ出すことは無理であるとの認識があったかどうかは必ずしも明らかではないですが、もし、この認識があったならば詐欺罪を構成しえます。可能であるならば警察にも相談した方が良いかもしれません。
なお、余談となりますが、最近、当事務所には、実質は「労働者」であるのに、労働基準法の適用を外すために「業務委託」として、労務に従事させるという形態を取る会社のトラブルに関するご相談が目立ちます。
「業務委託」とは「請負」であり、「雇用」とは違って被用者は労働基準法の保護は受けられません。そういうことから、あとになり酷い条件で働かされたりと、会社とのトラブルが多かったり・・・という温床になりやすいようですね。
「女工哀史」じゃあないですが、もはや、それに似たような時代になったのでしょう。「働く側」としては甘言に惑わされず、ぜひともいろいろ注意して欲しいと思いますね・・・。 |
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| ●埼玉県A社のケース(広告クリエイター)/被害者:20歳代男性 |
某SNSで知り合ったKさんという人物に、コンピューター関連の職に就きたいと考えていると話した事から、IT業界で仕事をしないかと誘われ、A社を紹介されました。
Kさんは、「IT業界でベンチャー企業を立ち上げる準備をしているが興味は無いですか?会社の作ったウェブサイトでブログを書いて会社を宣伝するクリエイターを募集しています。わかりやすく言えばサクラだと思ってくれていいです。クリエイターは埼玉県で
100名限定で募集しています。報酬はサイトの広告収入の何割かをクリエイターで山分けし、月に5〜10万円程度の収入が見込めますよ」と説明しました。
私はアルバイト的なものではなく、正社員としてPC・ウェブ関連の仕事を探していると返事をしました。すると「それならばスタッフとして働いてみる気は無いですか?」と言われ、会社訪問を勧められました。
後日、最寄り駅まで車で行き、そこから電話で連絡を受け会社までの道順を指示されました。
会社に到着すると、紹介者のKさんは社長秘書だとのことでした。私は会社についての説明を受け、「これからIT業界でベンチャー企業を立ち上げる為の準備をしています。今から参加すれば、会社が稼動を始めた段階で管理職になれます。やる気があれば大丈夫。他のスタッフはこの会社に来てからPCを習い始めた人ばかりです。資格も持っているのでスキルを役立てるチャンスです。会社の立ち上げに参加できる機会は滅多にないですよ。今日はこの後、特別に社長が来て直接話しをしてくれます」と私に説明しました。
その後、社長が現れました。「この会社を立ち上げた会長は過去にも色々な事業で成功をしています。その会長が企画を練り、満を持して立ち上げた会社だから絶対に成功して大きくなる。だから一緒に頑張ろう。うちの会長についていけば大丈夫だから」と言われました。さらに他のスタッフに、「社長と社長秘書の2人が一緒にやろうって誘ってくれるんだから、これ程心強い事はないよ」と言われました。
私は是非参加させてもらいたいと言いました。すると「スタッフとして参加するにはフランチャイズ契約をして加盟金として40万円が必要です。この会社のスタッフは全員払っています。借金をして払った人もいます。本当はやる気さえあればお金は取りたくないが『背負い』として必要です」と言われました。私はお金が無いので払えないと言うと「無いなら借りればいい。他のスタッフも借りている人がいる。稼いだ後で返せばいい」と借入れを促されました。私は急な話なのでしばらく考える時間が欲しいと言いましたが、「今、中断してしまったら今後はもうこの話はなくなります。早く借りに行かないと金融機関が閉まるから決断して」と迫られました。さらに、Kさんにかなり強い口調「早く行こう。こんなチャンスはこれから先の人生でもう二度と来ないから」と何度も急かされました。
私は加盟金を払う事を承諾し、すぐさま消費者金融に行き、40万円を借りると、会社へ戻り、加盟金を払ってFC契約を締結しました。口頭での説明だけで、事業内容等を明記した書類なども渡されず、クーリング・オフに関する説明も特にありませんでした。
私はその後、パソコン講習を受けることや、同社が運営するサイトで同社の宣伝に参加すること、クリエイターを募集する為のセミナーに知人・友人等を連れてくるように指示されました。さらに某SNSに登録させられ、そこでも人集めするよう指示されました。
また、この会社の出資者は会長・社長の他にトヨ○自動車の重役が出資しており、大企業の重役がこれだけ投資してるんだからこの会社は価値があるとの説明もありました。
その後、開発部と称する部門への参加を誘われましたが、さらに10万円を支払い、講習を受けなければならならないと説明されましたので、これは断りました。実際にはFCとしての仕事はまだ何もしておらず、不審に思った私は最初のパソコン講習費を除いた額の加盟金だけでも返してくれないかと申し出ました。すると「たまに連絡してきたかと思うと勝手な事ばかり言うな。自分からやりたいって言ったくせに。返金は出来ない」と告げられました。
その年の年末になり、この会社に警察の家宅捜索が入りました。このような状況下で、全額返金は可能なのでしょうか?
【徳田さんのコメント】 |
この業者は実際に、特商法違反容疑(書面不交付)で埼玉県警による同社事務所、会長宅に対する家宅捜索があり、ニュースにもなっていました。同業者については「受講後、仕事が紹介されない」などの苦情が県内の消費者センターなどに寄せられていたようで、詐欺の疑いもあるとみて捜査している、とニュース記事にあります。
これも特商法でいう「業務提供誘引販売取引」の類型に入る取引でしょう。文面ではさらに「セミナーに知人・友人等を連れてくるように指示された」とありますから、マルチ的な手法もミックスされています。
まず、契約を消滅させることは可能です。容疑は書面不交付とのことですが、相談者の方にも書面の交付はないようです。書面の交付がなければ、期間を過ぎても、クーリング・オフは効きますし、その他の主張方法でも契約の消滅を主張することは可能です。
しかし、問題は「返還するお金がまだあるか?」です。要は「契約の消滅」と「金銭の回収」は次元が違うということなのです。早い話、「お金が無ければ返せない」「無い袖は振れぬ」なのですね。警察のガサ入れがあれば、一気に信用状況は悪化し、新規加入者も激減するでしょう。そうなれば、もはや会社財産はあっという間に無くなるのが普通でしょう。
この案件はご相談だけで終わったこともあり、まだ業務の実態があるのか等の調査には進みませんでした。しかし、警察に目を付けられたことから、実際、業務は縮小しているだろうと考えられます。
ご質問では、「この会社に警察の家宅捜索が入ったが、このような状況下で、全額返金は可能なのでしょうか?」とのことでした。
私の回答としては、返金の局面となると、「かなり微妙」としかいえません。悪徳商法対策では、返金に関しては、「やってみなければ解らない」というのが常ですが、警察が介入したとなると、かなり回収は厳しいと判断します。結局、返金の引き当てとなるお金がなければ、訴訟をしても回収の見通しが暗いことに変わりはなかったりします。
これがクレジットならば、支払停止をかけ、出血を止めるところですが、消費者金融からお金を借りているとなるとこれもできません。消費者金融に対しては支払を続けなければならないということになります・・・。
なお、事例では「フランチャイズ」とは一応称していますが、これは名ばかりでしょう。さらに業種によりけりな部分もあるとはいえ、もともとフランチャイズ方式はフランチャイジー(加盟店)にとって長期間の生き残りが難しい業界であると言われています。フランチャイザー(本部)との不平等契約関係が背景にあり、加盟店が常に搾取されるような構造があるのが理由とされています。ですから、ハナから簡単に手を出して良いモノではないのです。
余談となりますが、この相談者の方は、紹介者Kと「某SNS」で知り合ったと証言しています。内職商法事例のページでも付記しましたが、この「某SNS」はこのような「落とし穴(マルチ、内職商法等)」をかなり見かけます。やっていらっしゃる方はくれぐれもお気を付けあそばせ・・・。 |
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