悪徳商法から解放されたい!相談室   
行政書士によるクーリングオフ・解約・内容証明・法令の解説
徳田行政労務事務所
行政書士・社会保険労務士 徳 田 雅 裕
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特商法の禁止行為


特商法では各取引形態ごとに禁止行為が規定されています。業者に下記のような行為があった場合には改善指示や社名公表、業務停止の対象となり、更に刑事罰に処せられることがあります。

ここでは、訪問販売についての禁止行為を紹介します。

なお、新聞等の報道を見ると、契約書面等の交付義務、不実告知の禁止に違反して逮捕されている例が多いようです。

(1) 氏名等の明示、勧誘目的の告知義務(3条)
(2) 契約書面等の交付義務違反(4条、5条)
(3) 不実告知・事実不告知の禁止(6条1項、2項)
合理的な根拠を示す資料とは?
特商法による取消権について
(4) 威迫困惑行為の禁止(6条3項)
(5) 公衆が出入りする場所以外の場所での勧誘行為の禁止(6条4項)
(6) 不当な債務履行拒否、履行遅延の禁止(7条1号)
(7) 重要事項不告知の禁止(7条2号)
(8) 迷惑を覚えさせるような仕方での勧誘等の禁止(7条3号、省令7条)
(9) 判断不足に乗じた契約の禁止(7条3号、省令7条)
(10) 顧客の知識、経験および財産の状況に照らして不適当な勧誘を行なうことの禁止(法7条3号、省令7条)
(11) 契約書に虚偽の事実を記載させる行為の禁止(法7条3号、省令7条)
(12) 公共場所でのつきまとい行為等の禁止(法7条3号、省令7条)
(13) 消耗品を使用させてクーリング・オフを妨害することの禁止(7条3号、省令7条)



(1)氏名等の明示、勧誘目的の告知義務(3条)
どこの誰で何しにきたかを明らかにしろ、ということです。

訪問販売の業者は、訪問販売をしようとするときは勧誘行為に先立って、消費者に下記の@からBまでの事項を明らかにしなければなりません。

ここでいう「勧誘行為」とは、販売業者が顧客の契約締結の意思の形成に影響を与える行為のことであり、「○○を買いませんか?」などと購入を勧める場合のほか、その商品を購入した場合の便利さを強調するなど、客観的にみて顧客の購入意思の形成に影響を与えていると考えられる場合には勧誘行為に含まれると解されています。


【勧誘行為に先立って明らかにすべきこと】

@ 販売業者または役務提供事業者の氏名または名称
A 売買契約または役務提供契約の締結について勧誘をする目的である旨
B 勧誘に係る商品もしくは権利または役務の種類

○例えば、「健康食品」とか「ホームクリーニング」とか、ある程度の具体的なイメージが消費者にわかればよいとされています


営業マンは消費者と対面して(インターホン越しの場合はインターホンで)「開口一番」に上記の事項を明らかにすべきとされています。

また、明らかにするための方法は「口頭」のみならず「書面(パンフレットなど)」でもよいことになっています。

商品とは全く無関係な会話から入っていって、消費者の警戒心を解いてから勧誘する訪問販売の業者がありますが、消費者にこれから勧誘を受けるか否かを判断させるために、勧誘の前に「契約締結が目的です」との明確な説明をしなければならないとされています。したがって、「点検のために来ました」とか「アンケートです」などというトークで接触のきっかけを作り、あとになって主目的と考えられる商品の勧誘を行なうことは法律違反ということになります。

この明示義務に違反した場合、当然に刑事罰が科されることはないのですが、指示、社名公表、業務停止命令の対象になります(7条、8条)。

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(2)契約書面等の交付義務違反(4条、5条)
4条において「申込書」に、5条において「契約書」に記載するべき事項が詳細に規定されています。もし、これらの書面に必要な記載事項がない場合や虚偽の記載事項があった場合、あるいは書面の交付自体がない場合には、法の定める書面交付義務を果たしていないものとされます。

なお、書面の交付日をもってクーリング・オフの起算日としており、上記のような場合には、いずれもクーリング・オフの期間は進行しないとされています。

書面交付義務違反は指示、社名公表、業務停止命令の対象となり(7条、8条)、さらに100万円以下の罰金に処せられます(72条)。


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(3)不実告知・事実不告知の禁止(6条1項、2項)

不実告知の禁止とは、勧誘をする際に一定の重要事項に関して、虚偽の説明をするなということです。事実と異なることを告げていることにつき主観的認識を有している必要はなく、客観的に事実と異なっていることで足りるとされています。また、口頭のみならず書面が事実と異なる場合も含まれると解されおり、さらに、不実告知によりクーリング・オフを妨害することも禁止されています。重要事項にあたるものは下記のとおりです(6条1項1号〜7号)。

【重要事項】
1号 商品の種類およびその性能もしくは品質または権利もしくは役務の種類およびこれらの内容その他これらに類するとして経済産業省令で定める事項

○経済産業省令で定める事項
商品の効能、商品の商標または製造者名、商品の販売数量、商品の必要数量、役務および権利に係る役務の効果
2号 商品もしくは権利の販売価格または役務の対価
3号 商品もしくは権利の代金または役務の対価の支払の時期および方法
4号 商品の引渡時期もしくは権利の移転時期または役務の提供時期
5号 当該売買契約もしくは当該役務提供契約の申込みの撤回または当該売買契約もしくは当該役務提供契約の解除に関する事項
6号 顧客が当該売買契約または役務提供契約の締結を必要とする事情に関する事項
7号 前各号に掲げるもののほか、当該売買契約または当該役務提供契約に関する事項であって、顧客または購入者もしくは役務の提供を受ける者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なもの


さらに、上記1号から5号までの事項は故意に(わざと)黙っていること(事実不告知)も違反行為となります(6条2項)。

これに違反した場合、指示、社名公表、業務停止命令の対象となり(7条、8条)、さらに故意があれば2年以下の懲役又は300万円以下の罰金(併科あり)に処せられます(70条1号)。立派な犯罪行為というわけです。


合理的な根拠を示す資料とは?

上記重要事項の1号(2号から7号までの事項は除かれます)の事項について「不実告知」をしたかどうかを判断する場合に、行政側(公正取引委員会)が必要と認めたときは「合理的な根拠を示す資料」の提出を業者に求めることができます(6条の2)。例えば「この薬剤は一度散布すれば1年間は害虫が発生しない成分を使っています」といったセールストークがあったとしましょう。これに対して、行政が「この防虫効果は本当か?」と疑いをもった場合、そのトークを使った業者に対して「では、この効能の根拠を書面で証明してください」と求めることができるというものです。

この書面の提出期限は15日後が原則とされていますが、もし、この業者がこの書面を提出しなかった場合、行政は指示または業務停止命令に際して、その業者は不実告知をしていたとみなすことができます。

この合理的な根拠を示す資料は、学術界や産業界において一般的に認められた方法や関連分野の専門家多数が認める方法によって実施された試験、調査によって得られた結果が記載されたものなどや専門家、専門家団体、専門機関の見解又は学術文献といった根拠のしっかりしたものが求められています。


特商法による取消権について

平成16年の改正により、消費者は特商法を根拠にして契約の意思表示を取消すことができるようになりました。不実告知と事実不告知(6条1項、2項)により誤認をしていた消費者に認められています。「追認をすることができる時(=誤認をしていたことに気付いたとき)」から6ヶ月間、「契約締結の時」から5年間この取消権を行使することができるものと規定されています(9条の2)。


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(4)威迫困惑行為の禁止(6条3項)
「威迫」とは、刑法の「脅迫」至らない程度の「不安の念を生じさせるような行為」と説明されています。怒鳴りつける、ことさらに入墨をみせつける、手を押さえつけるなどの行為がこれに該当し、このような行為で困惑させ契約を締結させたり、クーリング・オフを妨害することは禁止されています。

これに違反した場合、指示、社名公表、業務停止命令の対象となり(7条、8条)、さらに2年以下の懲役又は300万円以下の罰金(併科あり)に処せられます(70条1号)。立派な犯罪行為というわけです。


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(5)公衆が出入りする場所以外の場所での勧誘行為の禁止(6条4項)
キャッチセールスやアポイントメントセールスを行なう業者は、消費者に商品などを販売する意図を隠して近づき、その事務所など密室性・閉鎖性を利用して勧誘します。特商法では、あらかじめ消費者に対して勧誘することを告げずに一般人が自由に出入りしていない場所に連れて行き、勧誘することを禁止しています。一般人が自由に出入りしていない場所とは、例えば業者の事務所や住居、ホテルの部屋、カラオケボックス、貸切り状態の飲食店などをいいます。

これに違反した場合、指示、社名公表、業務停止命令の対象となり(7条、8条)、さらに6ヶ月以下の懲役又は100万円以下の罰金(併科あり)に処せられます(71条1号)。

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(6)不当な債務履行拒否、履行遅延の禁止(7条1号)
債務の履行を拒否したり不当に遅延させたりすることのみならず、クーリング・オフや契約解除に伴う返金などの原状回復措置を拒否、不当に遅延してもこれに該当します。消費者の請求を聞こうとしない場合も債務履行拒否になることがあります。

これに違反した場合、指示、社名公表の対象となり(7条)、さらに消費者の利益が著しく害されるおそれがあると認められるときは業務停止命令の対象となります(8条)。


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(7)重要事項不告知の禁止(7条2号)
前記(3)であげた法6条の重要事項の1号から5号以外の重要事項がこれにあたります。条文では「契約に関する事項であって、顧客、購入者などの判断に影響を及ぼすこととなる重要なもの」となっています。

何がこれにあたるのかは無限に広がってしまいかねませんが、例えば、貼付する収入印紙の額も額面によっては重要事項と考えられますし、商品の保証期間も重要事項と考えられます。他には安全性や原産地、配送費などといったものもこれに該当しうるでしょう。消費者からみて契約の判断にかかわる重要なことと考えられるならば、業者としては勧誘の際に全部消費者に告げるべきであり、これをわざとしないのはダメだということです。

これに違反した場合、指示、社名公表の対象となり(7条)、さらに消費者の利益が著しく害されるおそれがあると認められるときは業務停止命令の対象となります(8条)。


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(8)迷惑を覚えさせるような仕方での勧誘等の禁止7条3号、省令7条)
勧誘の仕方について、実際に消費者が迷惑を覚える必要はなく、客観的にみて迷惑を覚えるような言動であれば足りるとされています。

具体的には、消費者に対して正当な理由なく午後9:00以降、翌午前8:00までに勧誘を行なえばこの行為にあたるとの通達が平成13年5月に出されています。他には「(短期間に)何回もしつこく勧誘する(再勧誘)」、「長時間にわたり勧誘する」ことなどもこれに該当します。また、このような迷惑を覚えさせるような仕方でクーリング・オフを妨害するのも本条違反となります。

これに違反した場合、指示、社名公表の対象となり(7条)、さらに消費者の利益が著しく害されるおそれがあると認められるときは業務停止命令の対象となります(8条)。


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(9)判断不足に乗じた契約の禁止(7条3号、省令7条)
一般的には高齢者、成年被後見人、未成年者、知的障害者などとの契約の場面で問題となる事が多い類型です。このような者に対して、通常の判断力があれば締結しないような本人にとって利益を害するおそれのある契約を締結させることはこれに該当します。

これに違反した場合、指示、社名公表の対象となり(7条)、さらに消費者の利益が著しく害されるおそれがあると認められるときは業務停止命令の対象となります(8条)。

なお、業者の一部には、これに違反しないように70歳以上の者との契約には親族の同意を書面で取っておくといった等の対策を講じているものもみられます。しかし、この「同意書」については、逆にこれがあることを逆手にとって契約の存続を迫る業者もおり、業界と行政でその可否につき意見が分かれています。


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(10)顧客の知識、経験および財産の状況に照らして不適当な勧誘を行なうことの禁止(法7条3号、省令7条)
「顧客としてふさわしくない者とは契約するな」という「適合性原則」を定めたものです。一般的に事業者の方が商品情報量や取引経験回数では、消費者よりも圧倒的に優位な立場となります。今日、業者が必要な情報も提供せずに消費者の不知や不慣れに乗じて不相応、あるいは不要な出費を強いる契約を締結させるという消費者被害が増加しており、平成16年の改正により禁止事項として追加されました。例えば、年金生活者に不相応な高額のローンを組ませるといったものはこれに該当します。

これに違反した場合、指示、社名公表の対象となり(7条)、さらに消費者の利益が著しく害されるおそれがあると認められるときは業務停止命令の対象となります(8条)。


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(11)契約書に虚偽の事実を記載させる行為の禁止(法7条3号、省令7条)
年齢、職業、持家の有無、勤続年数、収入など信用能力に関する事項その他について、契約書に虚偽の事実を記載させることは禁止されています。例えば、パートタイマーであるのに正社員と契約書に記入させたり、勤続1年であるのに10年と記入させることはこれに該当します。

これに違反した場合、指示、社名公表の対象となり(7条)、さらに消費者の利益が著しく害されるおそれがあると認められるときは業務停止命令の対象となります(8条)。

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(12)公共場所でのつきまとい行為等の禁止(法7条3号、省令7条)
キャッチセールスを念頭においた規定です。業者は、道路や講演、劇場、飲食店など公衆が利用できる場所において勧誘のために進路に立ちふさがったり、つきまとうことは禁止されています。

これに違反した場合、指示、社名公表の対象となり(7条)、さらに消費者の利益が著しく害されるおそれがあると認められるときは業務停止命令の対象となります(8条)。


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(13)消耗品を使用させてクーリング・オフを妨害することの禁止(7条3号、省令7条)
業者が、契約したその場で消費者に消耗品を使用・消費させてクーリング・オフができないように仕向けるのは禁止されています。「消耗品」とは使用・消費することで価値が下がってしまうものをいい、これを消費者が自らの意思で使用・消費してしまえば、消費者はクーリング・オフをすることができないと規定されています。

これを逆手にとって、例えば「じゃ、当社の化粧品を早速使ってみましょう。使用方法を説明しますから」などと封を開けさせてしまうのはダメだということです。

これに違反した場合、指示、社名公表の対象となり(7条)、さらに消費者の利益が著しく害されるおそれがあると認められるときは業務停止命令の対象となります(8条)。



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