店名 天ぷら だぼ鯊
所在地・連絡先

住所・中央区日本橋3−3−14
電話・03−3271−7533
営業時間・11:00〜14:00、17:00〜21:30(L.O) 
定休日:第二・第四日曜、ただし二日前までに予約があれば日曜祭日でも開業

紹介文(by 金子隆)

   中華の特徴に、強烈な火力で新鮮な野菜に一気に火を通すというものがある。和食でちょうどそれに当たる技法が天ぷらだろう。野菜のみならず魚も芯がレアなままで火が伝わるのだ。加えて旬のネタの季節感を味わわせてくれるのが、東京駅至近の「だぼ鯊」だ。

 店名の由来は、九月から十二月にかけて20センチ大に育つマハゼの異名から。これを生け締めで揚げるのが当店の売り。「ハゼ」と謳えば年中仕入れることになる。店名の「だぼ鯊」には、季節限定ネタで勝負しているという意味が込められている。

 では、夜の8000円のコース(他に6800円、5800円)を注文。一人で揚場に立つ主人が厳粛な顔つきで次々に揚げてくれる。食前の梅酒で口を洗い、分厚い身のフッコの造りを楽しむと、まずは車エビから。頭はパリパリ、尻尾も真っ赤に揚がりそれでいて身の芯は刺身になるネタのレアさが残っている。粒の大きい天然の塩を付けると、甘みが際だつ。

 あおりいかも今が旬。ざくっと歯を立てると身の繊維がほぐれるよう。これも実に甘い。対照的に若鮎は頭から囓るとプチュと内臓がつぶれて苦い。ともに癖のある味だが、ポテトチップのように薄く切って揚げたショウガできれいさっぱり口直し。これは日本酒の冷やを行くしかない。広島の「誠鏡」(1合700円)は後を引かないドライな口当たり。

 身の厚いキスに骨の唐揚げ、ケーキのような生湯葉も目先が変わってうまいが、本日もっとも驚いたのが徳島のレンコン(新バス)。ざくっと歯を通すと熱い汁が口中に吹き出す。囓り跡からは糸が引いている。こりゃうまい!!思わずもう一つ注文した。仕上げは天ぷら茶漬け(1300円)。かき揚げから出る出汁を生かすよう、敢えて茶と塩のみかけたもの。いや、満腹。

 店主は茅場町の今は無き老舗の出身、その本流の味を守っているとか。それでも野菜を生かすよう油の配分比率など進化しているという。まさに今に生きる伝統の技。絶品なり

ひとこと  ここは大将がむっつりしながら揚げるので難しい店かと思いきや、お話させていただくと実に気さく。天ぷらの世界に十代から身を置く主人の話は含蓄に溢れる。茅場町の老舗はバブルで立ちゆかなくなったそうだが、その遺伝子がこうして健在というのは、日本の食の世界は大したものだと再認識した。