| 店名 | 喰切り 江ぐち |
| 所在地・連絡先 |
住所・渋谷区神宮前3−42−5 Spinach Hill B1 電話・03−3796−4445 営業時間・18:00〜22:00 定休日・日曜・祭日 |
| 紹介文(by 金子隆) |
懐石料理は季節感が楽しめるが、コースの流れの縛りが強く、個々の料理となると印象の薄いきらいがある。三月に開店したばかりの「江ぐち」はそうした懐石のあり方に、一石を投じている。懐石をベースとしながらも、一皿一皿に強いアクセントを置く「喰切り」を看板とするのである。なにしろどのコースも、柱は四季を通じお椀代わりに織り込まれるすっぽん(丸なべ)。てんで破格なのだ。 期待を胸に、白木のカウンターに座る。広い調理場が見渡せて、ピンと張った板場の空気が伝わってくる。見ると奥には綺麗に研いだ出刃包丁と一輪挿しが。しかし店主・江口氏と女将さんは至って気さくで、笑みを浮かべつつ次々と料理を運んでくれる。 この日は最上のコースを奮発(12000円、他に1万円と8000円の全3コース)。残念ながら本日は海の加減で、大分直送の一本釣りのお造りはなし。秋、鏡のように身が光るという「太刀魚の薄造り」は次回のお楽しみに。で、その代役が、・・・松茸! 「(すっぽん)煮こごりのぬたあえ」で日本酒(黒牛・純米、開運・吟醸など)を乾杯すると、「松茸とほうれん草のおひたし」が出てきた。ほうれん草のしっとり感が絶妙の引き立て役。「茄子の揚げ煮」は貝柱の出汁でさっぱりと。ここで一気に「すっぽんの首、しぐれ煮」、「鴨の甲州焼き」という前半の山場へ。双方とも上品に脂の乗った絶品、ますます日本酒が進む。 驚いたのが「干瓢のうま煮」。幅広の干瓢の淡く深い味が、わさびと柚でくっきりと立つ。そしてここからが大詰め、「丸なべ」に「松茸ホイル焼き」。すっぽんは他に具なし、汁は生姜醤油味と、京都の名店・大市のスタイル。松茸には香り豊かなカボスを絞って。そして大団円が「うな茶」。つぶの山椒が強烈。いや、贅沢至極。 他のコースも、品数こそ減るが量的には遜色ない。ここぞという晩に思い出したい、出色の一軒だ。 |
| ひとこと |
2000年10月13日掲載。 ここの主人は以前、ニューヨークで同様の店を開いていたという。そこはVIP御用達で、金持ちは飛行機で食べに来ていたというからあっちの金持ちはスケールがでかいというか無駄というか。ただ、それだけのものがあるのは事実。懐石のうまいもんをすべて集めてみました、といった感じだ。カウンターで隣に陣取っていた五人組は先週はニューヨークで集まったと言っていた。送別会らしい。三十代半ばといった年格好だったが、ディーラーなのだろうか。不思議な風情の店ではある。 |