店名 オステリア・イル・グラッポロ
所在地・連絡先

住所・渋谷区恵比寿4−23−12茗荷原ビル1F

電話・03−3449−8561

営業時間・11:30〜14:00 17:30〜22:00(L.O.) 

定休日・日曜

紹介文(by 金子隆)

 恵比寿はこのところ、飲食では最激戦区。イタリアンも例にもれず各店が知恵を絞っているが、「ジール茸」だの「ルマーケ」だのと専門用語が列挙されると、本物に挑戦したくともつい臆してしまう。そうした難点を解消しているのが、イル・グラッポロ。東口カーデン・プレイスの裏、駅からは徒歩十分ほどの距離。

 店内はこぢんまりして家庭的な雰囲気。だが驚くのはメニューの多さ。なにしろコースがない。「イタリアにはコースがありません。それが向こうの食文化なんで」、とは三浦シェフ。それゆえ黒板書きの「本日のお薦め」だけで前菜6種(〜1500円)、パスタ7種(〜2200円)、これに魚2種に肉4種、さらに定番料理がメニューに細かく書かれている。厨房では4人の作り手が戦場の勢いで立ち働く。

 まずサービスの甘い発泡酒「ランブルスコ」をいただいていると、にこやかな女性スタッフが黒板の説明を始める。これが実に堂々たるプレゼンテーション。巨大なオマール海老だの生パスタだのイタリア野菜だのをすべていちいち運んできてくれるのだ。これなら初めて聞く名の料理や不思議な形のパスタも出来上がりがおよそ想像できる。

 では、と「ルッコラとフルーツトマトのサラダ」。ルッコラは野性的でタンポポの葉みたい。トマトは酸っぱくて味が濃い。ともに庭からもいできたような強い臭いだ。「フランス産三種のキノコのタリオリーニ」。マイタケみたいなブルロット茸以下が細麺とニンニクに合う。こりゃ珍味だ。「ヤリイカと山菜のフリット」はまるで天ぷら。蕗のとうは苦く、アーティーチョークもぱりぱり。春の風情がいっぱいだ。「イタリア産ホワイトアスパラのビスマルク風」は、アスパラを半熟の目玉焼きで和えたもので、本場では春を告げる家庭料理だ。

 出色なのが腰のある生パスタ、これはシェフが修業先のエミリア・ロマーナ地方で出会ったもので、うち立てをいったん冷凍にするとこの腰になるのだという。ランチは1350円で三コースあるが、そこでも大皿のこのパスタが楽しめる。5種の前菜にドルチェ付きと、実にお値打ち。カップルから家族連れ、OLさんたちで賑わう、使い勝手満点の一軒だ。

ひとこと 2002年2月22日掲載。ここはパスタの種類が多いことで知られるが、それもそのはず手打ち麺をいったん冷凍にするという荒技を使うから。それの方が腰が出るという、びっくりのアイデアである。それに多種の野菜、ジビエなどが合わさるのにコースなし。それだけ厨房は大変なはずだが料理はすんなり出てくる。メニュー選択の前に食材を運んでくれるので、食前から目でも楽しめる。専門的なのに入門向けという、消費者指向の強い一軒。上滑りでかっこうだけの店の多い中、本当に使えるのはこうした店だ。ランチは熱々で食べきれないほどの量。店側の収入はどうなってるのかと思うほど満足した。