店名 鮨金(駒込)
所在地・連絡先 北区西ケ原1−63−7
電話 3949−0038
11:30〜13:30
17:00〜22:00(日休)
紹介文(by 金子隆)  ポケットマネーで訪れるにはべらぼうな料金の接待専門店から近頃景気のいい回転寿司まで、寿司店には多様化が進んでいる。だがおよその料金が想像でき、行くたびに季節感や新たな味を提供してくれる馴染みの一軒を持つことは、寿司好きにとっていつに変わらぬ至上の楽しみではなかろうか。

 駒込駅から歩いて霜降銀座・染井銀座へと続く商店街を抜け、豆腐屋の角を左折した路地に昭和四十一年から店を構える鮨金は、そうした一軒として愛される名店である。店構えが立派で、一見ではのれんをくぐりにくいせいか客筋はご贔屓からの紹介が多いという。通常の特上・上・並もあるが、むしろ料金や当日の好みを予約時に言っておいた方が楽しみ方としてはいい。本日は握り主体のお任せ。

 まずは穴子の稚魚「のれそれ」を柚子ポンズで、次に鰯の稚魚「しらす」は高知のすだちでいただく。後者はつい最近まで河岸にも入荷しなかった珍しいもの。淡い苦みが食欲を引き出す。穴子の白蒸しはツメをつけず、冷やっとして口中で甘さが広がる。久里浜のタコ、コハダとオオバの海苔巻きと続き、ビールが進む。ここからが握り。

 アジの昆布じめ(2カン)はふわっと甘く、赤貝(2カンとひも)は殻を剥いたばかりでみずみずしい。ホッキ貝焼きと鳥取の白イカ刺しをはさんで、はまぐりの握りはゆでて薄味のたれに漬け込んだもの。はまぐりそのものの味が口内に広がる。佃煮色に甘いツメを塗る寿司屋が多いなか、素材の持ち味を殺さぬよう手を加えるのが鮨金の特徴だ。利尻のうに、大トロ(各2カン)は絶品で、思わず絶句。後は1カンずつの握り、ショウガとネギを添えたアジ、浅くしめた鯖、かんぴょう巻、締めは穴子。さらにコハダとトロ鉄火を頼んで満足、満足。これで1万3000円強也。

 実は小生、当店は二十年前から知っているが、ひところ電話が通じなくなったことがあり、馴染み店は代えがたいと悲嘆に暮れていた。聞けば店主の本間氏が体調を崩した時期だったとか。この取材で久々の再会、しっとりと落ち着いた空間とさらに研鑽を重ねた技に、時の経つのを忘れた。
データ ◎ビール 500円
 日本酒(越の景虎)600円
◎単品
 白身薄造り 1500円
 鯛酢じめ  1000円
 穴子白蒸し 800円
 ハマグリ  1000円
◎ランチタイム・サービス
 土佐丼 1500円
 黄金丼 2800円
ひとこと 1998年6月掲載。
店主の手の早さは出色。いつ行ってもしっとりとした良い店だ。かつては若い衆が二人ほど背後に立っていて活気があったが圧迫感もあった。今はご夫婦水入らずの経営である。