店名 kappodokoro なすび亭
所在地・連絡先

住所・渋谷区恵比寿1−34−1

電話・03−3440−2670

営業時間・18:00〜23:00(L.O.コース21:30、単品22:00)日祝休

紹介文(by 金子隆)

 めっきり秋めいて、寒い日もある今日このごろ。いよいよフグのシーズン到来だ。最近では養殖ながら5000円でコースを出す廉価店も登場、高級店にも繊細なうまみがある。だが紹介文の書き手としては、フグは扱いにくいジャンル。素材がうますぎて、どこも料理の種類に大差がないからだ。

 そこで今回は若き割烹店主による絶品の河豚コースを紹介しよう。恵比寿駅近くの富士銀行右脇を入り、渋谷新橋商店街をずっと行った右。全18席、夫婦でやってる小体な店だ。もともとが月代わりの3800円の「なすびのコース」で前菜・副菜・主菜に土鍋炊きご飯の食事(9月は松茸があった)を提供して人気を博している。

 本日のお目当ては5800円の「とらふぐのコース」(煮こごりにタタキ、デザートを追加で7800円)。これが実にお値打ち。まずは前菜、これがいかにもただのフグ屋ではない。グラスに入っているのが柿とイチジクの白和え。ヒラメの寄せ豆腐・納豆和えは、挽き割り納豆が絶妙の引き立て役。色づいた紅葉のあしらいが季節感を煽る。そして唐揚げ。普通廉価店などでは身の部分が出るが、なんとなく大味。当店では一番うまいアラの部分に、深く火を通してある。骨のまわりの軟骨やヒレまでコリコリと砕けて、こりゃうまい。ビール(生、600円)にぴったりだ。

 薄作りは、固くて咬むと肉汁のじわじわと出る奴が皿一杯。皮のゼラチン部分もふんだんに、ネギに巻いてポン酢で。こりゃヒレ酒(1000円)しかないっしょ!

 そしてちり鍋。しめじ・白菜・ネギ・くずきりなどもつくが、何しろフグの身が大きい。10センチほどの荒い切り身がてんこ盛り。おお、口中でぷるぷるするぞ。利益が心配になるほどの量。当然、汁も良い塩梅に濃く出てる。具を食べ尽くすとご飯を入れ、沸騰したところで火を止め、溶き卵を入れて一気に混ぜる。これが鍋奉行たる私のやり方。汗をかきつつひたすらすする。うーん、と唸ったきり声も出ない。ディス・イズ・日本人の冬。

 割烹の腕がフグにも光る。混み合うゆえに要予約、赤丸付きの注目店だ。

ひとこと 2001年10月26日掲載。ここはこぢんまりした空間で若夫婦がやってる。恵比寿東口、うらぶれて駐車場などになっていた一角が再開発で息を吹き返したあたりにある新進気鋭の一軒。あたりは古い店とアバンギャルドな店が入り交じっておもしろい。中でもこの店はいかにもお値打ちの和食で楽しませる。通常のコースも土鍋に本当においしいご飯が光っているし、それにふぐも量が多くて素晴らしい。言うことなし。