| 店名 | やきとん・居酒屋−埼玉屋 |
| 所在地・連絡先 |
住所/北区東十条2−5−12 電話/03−3911−5843 営業時間/16時〜22時(月〜金)、16時〜20時(土) 定休日/日・祝日 |
| 紹介文(by 金子隆) |
東十条はチェーンの居酒屋などではない、「〜酒場」と銘打った古色蒼然たる飲み屋が今なお点在する下町。そこにやきとんの名店中の名店がある。駅を王子側改札で左に出て坂道を下がり、商店街を抜けて大通りを右折して右、創業五十年の「埼玉屋」がそれだ。 白木の戸を引くと正面に焼き台があり、横の大皿に本日の焼き物が串に刺して並べられている。新鮮そのもの、さばいた臓物の湯気が出そうな美しさだ。備長炭の火をバタバタ扇ぐ主人を取り囲むカウンターは「コ」の字型、満席でわいわいと賑わっている。 壁と黒板に品書きがあるが、メインは一串百円也のやきとん。七時というのにもう売り切れの品がある。毎日品川の屠場に出向き、当日落とした肉だけを目で見て仕入れてくるのだ。塩・タレのいずれで焼くかを一々聞いてくれる。 さっそくお薦めの「アブラ」から。炭火で脂をじゅっと落としてタレをつけるとオツな味。「上シロ」は塩をまぶしたレア。こ、これはうまい!フグの白子のようなとろみと炙った香ばしさが一体になっている。「ズイ」も似た味だが、「これつけてみて」と主人が奥に声をかけて出してきたネギのようなものをつけるとあら不思議、エスカルゴのごとき風味。「やきとんの概念変えてみて」と主人。なんとガーリックバターだった。 焼酎は水くさくならぬよう氷を入れずボトルごと凍らせるという配慮、レモン酎はいくらでもいける。煮込みも肩肉の柔らかさが絶品。ステーキは一級の牛をタレで食べる趣向。主人の名調子に乗せられて、客足のとだえぬ流行ぶりにも納得だ。 |
| ひとこと |
1999年12月4日掲載。やきとん界では、堂々の横綱であろう。なにしろ創業50年、連日満員の客の入りを誇りつつ、毎日直接屠場に行く手間を惜しまない。またいつ行っても新しい商品開発がなされている。こないだなんぞシロにチリソースをかけるという荒技だ。ここの上シロに相当するのは、広尾のフレンチ「アラジン」の内蔵料理しか思い浮かばない。それでいて一串100円。ここのよりうまいレモンハイは飲んだことがない。親父が客の顔を見て、いろいろ勧めてくれる。ただし、「うちのやきとんを最高の順番と飲み物の組み合わせで食べて帰る客のプロは年に一人いるかいないかだね」と挑発することも忘れない。至高の名店だ。 |