店名 泳ぎふぐ専門店「とらふぐ亭」
所在地・連絡先 新宿区歌舞伎町2−11−7メトロビルB1
3209−2919
年中無休 PM5:00〜AM3:00(日祭日はPM12:00まで)
紹介文(by 金子隆)

 肌寒い風が吹き始めた今日この頃、いよいよ鍋のシーズン到来。鍋の王様といえばふぐ、「でも高くて、ポケットマネーじゃ女性は誘えない」、というのが東京人の常識。ところがそうしたサラリーマンの本音に応えているのが、去年十月にオープンしたこの店。新宿は区役所通り、バッティングセンターの向かいに位置し、とらふぐの泳ぐ水槽が目印。

 東京の著名大衆店の多くが「とらふぐの相場としては安い」だけなのに対して、ポケットマネーでまかなえる価格に本気で挑戦してくれている。なんといっても、一皿ごとにボリューム感のある「泳ぎとらふぐちりコース」(4980円)がお得。生ビールでノドを潤していると、まずは「ゆびき」がやってくる。いわゆる「皮さし」。もみじおろしにあさつき、ポン酢の定番が実によくマッチして、ぷりぷりした触感が楽しい。

 続いて、さし。うすく引いてあって、二三枚を口に運ぶと咬むごとに味が広がる。おねーさんがテンポよく運んでくれたちりの皿には、皮を向かれた大きな切り身が踊りのようにひくひく動く。しいたけ、えのき、白菜、春菊の野菜もたっぷり。すだちは徳山産の天然もの。

 唐揚げは量があるが、「ひれ酒」(650円)に合う「ぶつさし」(1480円)を別に頼んでみる。生きのいいふぐは薄いさしが作りにくいというが、さすが「泳ぎふぐ」と謳うだけあって、サラダとともに食べる趣向のぶつは肉厚。鍋は腹一杯になるだけの量があったが、おかわりの「あら」(1980円)や「なべ皮」(780円)の追加もよさそう。最後はふぐ雑炊で締める。さすが雑炊のホームラン王、満足満足。

 このお店、若き日に魚屋を営んでいた店主が大阪で修行後、「東京のふぐは高すぎる、大阪並みに庶民に提供しよう」との意気込みで新宿に乗り込んで来た。十五卓が土間と座敷に分かれ、大阪弁の飛び交う店内も広く、活気が溢れる。なんとも有り難いふぐ店だ。

データ 泳ぎとらふぐちり 1980円
泳ぎとらふぐさし 1280円
焼きふぐ     1980円
ゆびき      980円
ひれ酒      650円
日本酒      450円
生ビール     550円
チューハイ    450円
焼きふぐ 1980円
ひとこと 1997年11月掲載。最近では激安ふぐ店が続々東京に進出しているが、ここはその元祖。養殖のようだが、それでも生けを使っているのはすばらしい。同じように安くても、トラではなくショウサイふぐを使っている店も多いというのがこの業界の実情。その点、当店は本物だ(もっとも、ショウサイふぐもなかなかうまいのだが)。

 実は小生の行きつけのフグ屋はここだけではない。ところがいずれも取材拒否。まあ、教えたくないからちょうどいいんだけど。読者のために、ヒントだけ。

1.K。ここはマスコミには出たことがないが予約だけで冬場は一杯の名店。刺身や煮物も多数取りそろえている。夫婦のみの経営。鶯谷駅から根岸小学校を越え、まっすぐ行って右折し、50メートルのところにある。なにもかも腹一杯食べて男性で1万円強。ふぐは三人で二人前で十分の量。

2.C。純粋なふぐ専門店。庶民的な価格でさしも薄く引いてくれる。池袋サンシャイン脇にある。