| 店名 | 下町フレンチ シェフ・ワカヤマ |
| 所在地・連絡先 | 住所・新宿区高田馬場2−14−5サンエスビル1F |
| 紹介文(by 金子隆) | この(2001年)三月、高田馬場駅近くの路地裏に「下町フレンチ シェフ・ワカヤマ」なる奇妙な名の店が開店した。「下町」といえばひなびた洋食屋を連想するが、そこに三ツ星店のスターシェフが間違ってやってきたかのようなちぐはぐな店名だ。だが、食べてみて納得がいった。要は安くてうまいのだ! 小綺麗で開放的な店構え。「型にはめず気楽に」とのモットーからコースはなし、箸常備。「フォアグラ入り田舎風パテ」を頼むと、これが580円。それでいて大ぶりで、フォアグラ片もパテ中に惜しげなく散乱している。生ビール(ハートランド)は280円。これはまるで居酒屋値段である(ランチなど、780〜980円とか)。 「大アサリのガーリック・オイル焼き」(650円)は、何かはよく分からないが隠し味が仕込まれていて、スープに独特のコク。「ズッキーニのオリーブオイル炒め」(480円)は中華のように強烈な火力で一気に火を通してある。野菜のシャクシャク感が絶妙に残って歯に楽しい。「バーニャカウ・サラダ」(580円)は、生野菜サラダながら熱いドレッシングで野菜の生臭さが抑えられている。どれも素材にプロの技法がひとつ加わった料理という印象だ。ここで本日の奉仕ワイン3800円(通常5800円)、「ヌメロ・アン」の赤を注文。苦みがなく、ふわりとふくらむ。 しかし、メニューの表紙に堂々とポートレイトを飾る「シェフ・ワカヤマ」とは一体何者なのか?疑問に思い、気さくに接客しているお兄さんに尋ねたところ、「私です」というので驚いた。彼の話が面白い。八○年代に渡仏、三ツ星店で修行して白山に開店。著名文化人が著作に賛辞を残すほど愛されたが、「バランスシートが読めず」、コスト度外視の経営で閉店。一転して田端の焼き鳥屋を居抜きで借りて仕入れなど工夫、安価な道を模索。「路地裏にF1カーが走ってた」と客を驚かせ、ようやく今春新店舗で開店。この間、出張料理もこなし、稀代の美食家・白洲正子宅でも幾度となく腕を振るったのだという。 さすが手打ちの「フレンチ・パスタ」(1380円)にせよ、ハーブとトマトソースの酸っぱさが秀逸な「ゴマフグのロースト」(1680円)にせよ、これでもかと量の多い「鴨のロースト」(1850円)にせよ、味じたいが高級店に互すレベルのはずだ。デフレ時代を満喫できる、気迫の一軒の登場である。 |
| データ | ホームページ chef wakayama |
| ひとこと | 2001年6月8日掲載。フレンチの名店が経営ノウハウの欠如によって閉店、一転して焼鳥屋の店舗からやり始めてここにたどり着いたというドラマがいまいち似合わないほど軽妙なしゃべりの主人。サービスする奥さんも気さくで、本当におトクな店。この一帯は、ラーメンの『べんてん』といい、秀逸な店の密集地帯となってきた。 |