| ニューエイジ運動について |
| 1.ニューエイジ運動とは? |
| @、ニューエイジ運動 |
| 1960年代のアメリカは、ベトナム戦争や公民権運動が起こった時代であり、既存の |
| 高度管理社会の価値観や人間観に異議を唱えた対抗文化の時代といわれる。 |
| この時期は、禅やヨガ、各種瞑想法などの身体技法を伴った東洋の思想が急速に広 |
| まった時代であった。このような既成概念に異議を述べた潮流の中で、霊的な部分 |
| を総称した活動の総体をニューエイジ運動と呼ぶ。 |
| ニューエイジ運動は、対抗文化のなかの霊的な部分を総称した言葉で、ニューエイ |
| ジといわれる範疇は次のAの周辺部を含む広い意味で使われており、いわば多用な |
| ものをひとくくりにまとめた用語といえる。 |
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| A、ニューエイジの周辺部(主要なもののメモ) |
| ニューサイエンス |
| 1960年代の対抗文化の系譜をつぐ形で生まれてきたものの一つに、ニューサイエン |
| スがある。この考えの基本は、すべてがつながり合い断片的に切り刻むことができ |
| ない包括的な全体であり、全体には部分総和以上のものがあるとし、関係性や全体 |
| に重点を置く全体論的(ホリスティック)な世界観と呼ばれるもの。ニューサイエ |
| ンスは従来科学の対象になりにくかった生命現象や意識、心などもその範疇とした。 |
| トランスパーソナル心理学 |
| アメリカにおいて1960年代から、人間性の解放と自己実現をうたった人間性心理学 |
| が盛んになった。この代表者がカウンセリングの創始者であるカールランソン、ロ |
| ジャーズであり、また、生まれつき持っている能力を発揮するのが自己実現である |
| との提唱者たるアブラハム、マズローであった。さらにユングの心理学や東洋思想 |
| が影響を及ぼしあって、1960年代後半にトランスパーソナル心理学がアメリカで誕 |
| 生した。 |
| この心理学は、宗教における悟りや神秘体験とその意義を心理学の枠内で考え研究 |
| し、霊的次元の存在を前提とした人間理解に立って治癒を実践しようとするもので、 |
| 精神科医療や臨床心理の実践に一定の影響を及ぼしている。 |
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| ヒューマン・ポテンシャル運動(自己啓発セミナー) |
| 心理学の知識や技法、を用いて参加者の自己啓発や自己実現を目指すもので、日本 |
| では1980年代後半以降、自己啓発セミナーの名で広まった。 |
| セミナーを体験して、より宗教的、神秘的な自己変革に進んでいく参加者が少なく |
| ないといわれている。 |
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ホリスティック医療運動
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| 近代医療が人体を機械に見立て病気とはその部分の欠陥であるとして、治療はその |
| 部分を直すこととしていたのに対して、全体としての身体、身体の一部の異常は全 |
| 体の異常の現れと考えて全体論的(ホリスティック)医療を目指すもの。 |
| WHO(世界保健機構)の健康の定義に、「霊的に健全な状態」という言葉を追加する |
| 提案がなされている。ホリスティック医療の登場に、医学界が根本的に変わろうと |
| している。ホスピス運動とも関連している。 |
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| マクロビオティック |
| 厳格な玄米菜食を実践して、肉や果実を避ける独特の自然食の運動。東洋哲学に基 |
| づいて陰陽のバランスを重んじて現代病や成人病を治そうとする運動。 |
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| 超越瞑想(TM) |
| インドのヒンドゥー教導師マハリシ・マヘーシュ・ヨギが1958年に始めた瞑想法の |
| 運動。1日朝夕2回15分から20分間、マントラを唱えて瞑想することによって、 |
| 潜在能力が開発するという。 |
| ある都市の1%の人がTMを実践すると社会環境が改善するという「1%効果」という |
| 考え方がある。東洋的瞑想法を、万人に受け入れやすい仕方で広めようとしたとこ |
| ろにTMの大きな特徴があるといわれている。 |
| 神智学 |
| ブラヴァァツキーやオルコットらによって1875年に神智学協会が結成された。 |
| 西洋の神秘思想とスピリチュアリズム、さらにインドのヒンドゥー教や仏教、チベッ |
| ト密教の影響を受けて独自の秘教的な体系を打ち立てた。 |
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| 神智学協会から派生した団体として、 |
| ルドルフ・シュタイナーの人智学協会 |
| スピリチュアリズムの霊的潮流の上に乗っている。1913年に神智学協会から決別した。 |
| 霊的世界の構造を成層的に捉える、魂を無限に成長発展するものと考える、地上への |
| 出生は、魂の無限の成長過程にとって必要であるとするなど。 |
| クリシュナムルティ・ファウンデーション |
| 1929年に神智学協会から決別した。 |
| ジドゥ・クリシュナムルティの弟子たちが講演、出版、広報などのために作った組織。 |
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| B.日本におけるニューエイジ運動 |
| 日本における「精神世界」(注1)とアメリカの「ニューエイジとその周辺」はほぼ |
| 重なり合う。精神世界という用語を日本版ニューエイジ運動として使用されている。 |
| なお、1970年代以降、ニューエイジ運動は、「新しい意識や文明への移行が近い」と |
| いう多くの人々の期待を集めて、先進国にとどまらず第三世界も含めて消費文化が発 |
| 達した大都市において同時多発的に、多様な形態で展開している運動であるという。 |
| 日本、アメリカ、イギリス、ヨーロッパ大陸、オーストラリア、ニュージーランド、 |
| 韓国、ブラジル、タイ、ナイジェリアなどにその現象が見られるという。(注2)(注3) |
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| 注1: |
| 精神世界という語は、1978年6月の新宿の紀伊国屋書店でのブックフェアの名称「瞑 |
| 想の世界特集・精神世界の本」として使用されたのが最初といわれる。 |
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| 注2: |
| 島薗進氏は「ニューエイジにかわる学術用語として新霊性運動という用語を提示する |
| ことにしたい」と述べて、その概念をアメリカの「ニューエイジとその周辺」や日本 |
| の「精神世界」を含み、また新宗教の一部には新霊性運動と共通の信念や実践を含ん |
| でいるものが少なくないとして、範疇に入れている。 |
| (島薗進著「精神世界のゆくえ 第一部参照」東京堂出版) |
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| 注3: |
| 「実はここで問題になっている運動、ないし新しい文化は、アメリカや日本の地域的 |
| な現象なのではなくグローバルな現象としてとらえた方が妥当であるというのが筆者 |
| が強調したい点である。過去の歴史上の宗教運動はいずれもある地域で発生して、他 |
| の地域に伝播するという形をとった。ところが、この運動は世界の各地で他の地域の |
| 運動の影響を受けつつも、それぞれ自生的に多様な形で展開しているのであり、相互 |
| 影響的・同時多発的な運動と見るべきものである」 |
(島薗進著「精神世界のゆくえ」P.48)
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