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金融業法

銀行業法

アグリゲータ若しくはASP基盤提供者がどこまで金融業務を行えるか。

事故が発生した場合の責任所在

兼業規制

誤認防止

証券

保険

クレジット

事例:MoneyLook

取得表示可能なデータの内容

照会内容の正確性

パスワード変更

サーバー方式/クライアント方式

 

 主にアカウントアグリゲーションの観点から金融業法上の問題点についてまとめる。

 

銀行業法

アグリゲータ若しくはASP基盤提供者がどこまで金融業務を行えるか。

 金融業務自体は免許が必要。例えば銀行法4条は「銀行業は、内閣総理大臣の免許を受けた者でなければ、営むことができない。」と定める。銀行業は銀行法2条に定義されている。「この法律において「銀行業」とは、次に掲げる行為のいずれかを行う営業をいう。

1.預金又は定期積金の受入れと資金の貸付け又は手形の割引とを併せ行うこと。

2.為替取引を行うこと。」。

そのため、全銀協「インターネット・バンキングについて留保すべき事項について(追補版)(2002.4.3)13はアカウントアグリゲーション事業者を取引の介在者と位置付けている。即ち取引自体はあくまで利用者と金融機関の間で行われる。

金融商品販売法は「金融商品販売業者等」を「金融商品の販売又はその代理若しくは媒介」「を業として行う者」と定義しており、本法の説明義務等が適用される。

 

 事故が発生した場合の責任所在

損害賠償責任は故意又は過失により他人の権利を侵害した場合に発生する(民法709)。事前に損害賠償額の上限や免責範囲について利用者から同意を得ることは可能である。全銀協「インターネット・バンキングについて留保すべき事項について(追補版)(2002.4.3)13は「サービスに係る責任範囲」「サービス利用に伴い考えられるリスクの内容」を事前に利用者に説明すべきとする。

但し内容によっては公序良俗違反(民法90)、消費者契約法に基づき司法上無効とされる可能性がある。この無効判断においては内容の妥当性だけでなく、当事者の状態や締結過程ないしは締結環境も含めて総合的に判断される(沖野眞巳「『消費者契約法(仮称)』の一検討2NBL 653(1998)13)。この点でWeb-wrap契約、Click-wrap契約には疑問も呈されている。

ソフトウェア研究会・ソフトウェア法務の上手な対処法(民事法研究会1995)118(松村信夫)は「顧客がディスプレイ画面上に表示された契約条項を、紙に書かれた契約条項のようには十分読んで理解することができるか否かは疑問がないではない」とする。

これに対し、金井高志「コンピュータソフト・インターネットビジネスにおける著作権問題」コピライト464(1999)11は、現実に使用許諾契約書を読んでその内容に同意したか否かに関わらず、同意ボタンをクリックした以上、後で「契約不成立」と主張するのはおかしいとする。この見解は仮に一回だけ同意ボタンをクリックするシステムでは不十分だとしても、三回同意ボタンを押さなければならないシステムならば「同意していない」という反論は成り立たないとする。

全銀協「インターネット・バンキングについて留保すべき事項について(追補版)(2002.4.3)9は「明示的な同意」を得るための電子的な方法として、電子メールの返信をあげている。また「「電子的手段による情報提供」サービスを行うにあたっては、顧客に対し、ダウンロードやプリントアウト等により情報を保存することを推奨することが望ましい」とする。

 

兼業規制

金融機関には業法により、兼業規制が定められている(e.g.銀行法12)。従って金融機関自らはポータルでアグリゲーションサービスを提供する場合はその規制に注意する必要がある。金融監督庁「金融サービスの電子取引等と監督行政に関する研究会」は「銀行の固有業務ないし付随業務として行いうる業務に関する情報サイトの運営は、付随業務に該当するものと解される」との見解を発表している(2001.4)

但し「Account Aggregationも伝統のあるブランドを持った金融機関が行うのなら、本業の付加価値を大いに増し、収益向上に貢献するものになるのかも知れない」との見解(「インターネット金融の現在と今後」月刊「コンピュートピア」20011月号)のように、事業そのものには魅力がある。ユニバーサルバンキングが世界の潮流とすれば、規制緩和の進展により将来的には可能になるかもしれない。

 

銀行→兼業は原則禁止。金融業者の業務の代理、金融取引の媒介・受託、付随業務は可能。

証券会社→兼業は原則禁止。他の証券会社の業務の代理、付随業務は可能。行政機関の承認を得れば関連業務も兼営可能。

保険会社→兼業は原則禁止。金融取引の媒介・受託は可能。他保険会社の代理・代行は行政機関の認可を受ければ可能。

クレジット会社→兼業規制はない。

 

誤認防止

銀行業における表示に関する公正競争規約や銀行法施行規則13条の62に規定がある。検査項目には「リンク等によって生じうるサービス提供主体についての誤認を防止するための対策を講じているか」とある(金融監督庁「預金等受入金融機関に係る検査マニュアル」(2002.6)131)

 

証券

証券業は免許制(28)から登録制に規制緩和された(証券取引法28)。証券業とは有価証券の売買、売買の媒介・取次・代理、有価証券市場での売買取引の委託の媒介・取次・代理、有価証券の引受・売出・募集・売出の取扱、私設取引システムの運営を指す。

原則として兼業は禁止だが、例外がある。「証券業務の遂行に当たって派生的に行われるサービスは、解釈上『付随業務』として…当然に証券会社が営みうるものとされている」(中村明雄他・逐条解説証券取引法(商事法務研究会2000)385)。付随業務は条文に列挙されているが、「法341項各号の列挙は例示列挙であり、今後新たに開発される業務が付随業務として位置付けられることもありうる」(近藤光男他・証券取引法入門新訂版(商亊法務研究会2000)310)

更に証券業に関連する業務で、当該証券会社が証券業を営む上で公益又は投資家保護に支障を生ずることがないと認められるものは、内閣総理大臣の承認を得て兼営できる(344)。但し、兼営業務から得られた情報を利用して証券業務を行うことは禁止される(44)

 

保険

保険業は免許制である(保険業法3)。「保険業の公共性ならびに専門性のために、参入には免許制度が採用されている」(川口恭弘・現代の金融法(中央経済社1994)107)

保険会社は保険業以外の業務を行ってはならない(保険業法100)。「保険業とは、狭い意味での保険業にあたる保険の引受業務・資産運用業務(97)と、これに付随しまたは関連する各種の金融業務を指す(98条・99)(山下友信他・保険法(有斐閣1999)26(洲崎博史))。生損保兼営も禁止されているが(33)、子会社としてなら参入できる。

 

クレジット

信用販売には割賦販売法、与信業務には貸金業規制法が適用される。割賦購入あつせん業は登録制(割賦販売法31)

包括的な規正法制定の主張もある(上田昭三「過剰与信の状況と貸主責任クレジットカード規制法(仮称)制定の必要性」消費者法ニュース15(1993)、木村達也「クレジットカード規制法()作成の経過」消費者法ニュース13(1992))

 

事例:MoneyLook

MoneyLookは、E*トレード証券株式会社( http://www.etrade.ne.jp/ )が、株式会社テックタンクからの技術提供及び運用管理サービスを受けることにより、顧客に対し便利なツールを提供するものである。

顧客の口座情報を、各金融機関に代わってE*トレード証券が提供するものではない。MoneyLookには、自動ログイン機能がついている。自動ログイン後は、各金融機関との取引となる。

 

取得表示可能なデータの内容

E*トレード証券での現物株式、信用取引、投資信託、カバードワラント、現預金、MRFMMF、現金残等。インターネット上での即時入金サービスで提携している、みずほ銀行・みずほ銀行エムタウン支店・スルガ銀行ソフトバンク支店・ジャパンネット銀行・UFJ銀行の普通預金残高等。主な表示機能には口座別サマリー、業種別サマリー、資産負債別サマリー、残高推移。

複数の金融機関口座のID・パスワードの「MoneyLook E*トレード バージョン」への入力は1度だけでよい。単純な口座情報の表示だけではなく、オートログイン機能で各金融機関のWEBサイトへスムーズに直行する。家族の口座も登録可能。

 

照会内容の正確性

MoneyLookは、各金融機関のWEBサイト上に公表される情報を顧客に代わって取得するツールである。基本的には情報の正確さ、情報の定義(いつ更新された情報なのか?)は各金融機関のWEBサイトの表示に依存する。

表示されている情報は顧客が「更新」ボタンを押した時点に各金融機関のWEBサイト上に表示されているものであり、更新時間やタイミングによって、実際の口座残高や時価と相違するケースが存在する。E*トレード証券は「詳細な情報が必要な場合は、各金融機関のWEBサイトにログインの上ご確認ください」と推奨する。

 

 パスワード変更

MoneyLookに登録済みの金融機関のパスワードを変更した場合は、MoneyLookの登録内容も変更しなければならない。変更を行わずMoneyLookを使い続けると、金融機関によってはログインエラーの重複と認識し、ログインが出来なくなり、一定期間インターネットでの取引が出来なくなる場合がある。

 

サーバー方式/クライアント方式

前者はアグリゲーターといわれるベンダーが、ユーザーIDとパスワードを預かる形で銀行や証券会社のサービスにログインして情報を収集する方式。サービスを利用される顧客の口座情報が、インターネットを通じてアグリゲーターのサーバー内に蓄積される。

後者は利用者のPC内に個人情報が蓄積されていくため、顧客自身の口座情報を第三者(アグリゲーター)に委ねないで済む。E*トレード証券が採用している。