従業者発明の対価Remuneration for an Employee’s Invention 2000.3.9 Top

対価

従業者発明法は、特許権は使用者に帰属し従業者の利益は対価によって満足されるという形を常態と予定しているわけではないが、現状においては対価額の適正化が職務発明者の利益を確保する早道であることは間違いない。

発明した従業者にとっては、企業の勤務規則による安い一時金を貰ったのでは割に合わない。バブル経済期には理工学部卒業者が銀行への就職を希望し研究や製造現場に寄りつかなくなったと言われたが[1]、彼らが研究や製造現場を避け敢えて専門外の職種を選んだのは研究や製造における労働条件が劣悪だったためである[2]。そしてその労働条件の劣悪さには優れた発明をしても報われないという面も含まれていよう。

「今時の若者は」と言いたがる中高年は若者の科学離れ・技術離れのせいにするかもしれないが、社会の矛盾を若年層にだけ押し付けるのは世代間倫理に反するし、若年層は中高年が豊かな老後を送れるようにするために生きているのではない。資本主義の発展には少なくとも勤務時間中はどうすればできるだけ楽に、できるだけ働かないでしかも普段と同じ賃金をもらえるか、等ということを絶えず考えたりするのではなく、あたかも労働が絶対的な自己目的、即ち使命であるかのように励むという心理が必要とされるが[3]、会社人間(社蓄)ならともかく自立した個人は働かなければならないという義務感や皆が働くから働くという横並び意識では動かない。

給与と比較して高額な発明対価は技術者の次なる研究意欲をしぼませ、発明へのインセンティブ維持を逆に困難にする可能性があるとの懸念もある。しかしそのような発想は「百姓は財の余らぬよう不足なきように」という思想と同じである。

高騰した「相当の対価」の支払義務のために企業のダイナミックな活動が損なわれることがあってはならない[4]。しかし使用者は職務発明の全てを承継する義務を負うものではなく、自社にとって必要な発明のみ相当な対価を払って承継すればよい。有力な発明を厳選して出願することは実際に行われていることである[5]

発明の商品化には製造ノウハウの確立等、他の技術者の協力も欠かせない。アイデアの発案と事業化は別であり、企業は実施に向けてかなりの努力をしているのも事実である[6]。又、発明品の売上には営業部門の努力や景気動向にも左右される。そのため発明者のみが高額の対価支払を受けるのは人事管理上問題とする見解がある[7]。しかし事務職員等にもその努力と効果に見合った形の別の表彰制度を設けることによって、不公平感を解消することは可能である[8]

終身雇用・年功賃金制には従業員の個々の成果だけを取り出して報酬を与えるのはなじまないとする見解もあるが、日本的経営自体がグローバルスタンダードからみて非効率・不公正として再構築restructuringを余儀なくされている。

年功賃金制は若年時の低賃金を中高年時の高賃金や退職金で埋め合わせする制度だが、右肩上がりの成長ならば将来の高賃金は期待できる[9]。五〇歳の労働者の賃金を三〇歳のそれの二倍とする年功賃金制を維持するためには企業は慣行的に毎年三・五パーセントずつ生産性を上昇させなければならない[10]。しかし儲かる企業もあれば潰れる企業もあるという健全な競争原理の働く市場経済においては、企業が将来も拡大しつづけるとは限らず、それどころか倒産するかもしれず、従業者にとって将来の高賃金をあてにするのはリスクが高い[11]労組からも「年功序列制度では、社員が自分たちで仕事を作り出していくことが必要なIT(情報技術)時代に対応できない」として「人事・賃金制度の新たな改革の根幹を、成果・業績の反映に求める」と述べられる[12]

一緒に問題意識を持って良いものを作ろうという一体感を日本企業の強みとする見解もあるが、それは従業員が休日もなく働き、個人や家族の犠牲の上に成り立っていた[13]。他方、大した成果もあげていないのに大企業の従業員というだけで給与や福利厚生の面で社会一般の水準をはるかに越える待遇を得ている現状が、それ以外の人々の不満や会社社会への批判を醸成している点も看過できない[14]

「成果が上がったって、それで余計に金をもらえるわけじゃな」ければ[15]、従業者にとって発明はノルマでしかない[16]。実際、技術者に年間の特許出願基準数を設定し、開発チームに特許出願予定表を提出させ、最低の特許出願数確保を図る企業もある[17]。日本は世界一の特許出願件数(米国の二倍)を誇るが、権利として生きている特許の数は逆に米国の半分強しかない[18]。日本の現存特許六八万件のおよそ四六万件(六七%)は不実施で、防衛目的・自己実施予定の潜在実施の部分を除いた厳密な意味での休眠特許も三〇万件という[19]。発明の質もpioneer inventionは少なく、休眠特許や公知技術の些少な改良にとどまる特許が多い[20]。製品開発に密着した改良・性能向上のための周辺特許の発明は比較的容易だからである[21]

通産省イノベーション研究会の報告によれば画期的製品三八品目のうち、日本で発明されたものは皆無で製品化されたものさえ二品目に過ぎないという[22]。液晶駆動技術の発明で原理に関するものの割合は米国特許二六%に対し、日本特許はわずか三%である[23]。これは発明の質を無視し出願件数に応じた一律・低額の報酬を与える企業の対価制度と無関係ではない。

沿革

従来はごく名目的な金員によって特許を受ける権利を使用者に譲渡させた例がほとんどであり、全く支払わない企業もあったという[24]。塩野義製薬はインスリンの酵素合成法の特許で約一〇億円ものロイヤルティ収入を得たが、発明者の森原和之氏が得た報奨金はたったの四〇〇〇円である[25]

日本人は技術に対して金を払おうとせず盗むものだと考えていると批判されるが[26]、それは他者の発明のみならず従業員の発明にもあてはまる。ただ従来は表面化しなかっただけに過ぎない。労働組合、弁護士会、地方公共団体、国の労働相談等に寄せられる労働相談は年間三〇〇万件を超えるが、裁判所に持ち込まれる労働事件は二〇〇〇件前後、労働委員会には三五〇件前後に過ぎない。日本の裁判所はお世辞にも身近に利用できるとはいえず、又、裁判所に訴えを提起することは人生における重大事という意識があるためである[27]。そのため事実上多くの労働者は泣き寝入りをしているといわれる[28]。これは従業者発明においてもあてはまり、本来の対価額よりもはるかに少額な報奨金で泣き寝入りした従業者も多いと思われる。しかし近年漸く特許権の帰属をめぐり従業者と企業の間で争う例が増加するようになった。

他方、mega competition時代においては程度の低い発明が無数あったとしてもcore competenceを築けないのは明白である。そのため企業としても従業員にも見返りのある制度を設けて技術者の開発意欲を盛り上げようとしている。帝人製機は業績への貢献が大きい特許・実用新案の発明者に支払う報奨金の最高額を三百万円から三千万円に増やした。オムロンは全従業員を対象に発明が特許登録後に事業独占や業界標準につながったもの、年間売上一〇億円以上の製品開発につながった、の両方を満たした時点で最高一億円の報奨金を与える特許報奨金制度を設けた。ソニーは会社の利益への貢献を実体ベースで評価するとして上限二百万円から二千万円以上の支給を可能にした。藤沢薬品工業は従来発明補償制度を有していなかったが、一九九九年から出願及び登録補償制度を導入した[29]

ただプレスに発表するのは上限だけで詳細な職務発明規定は企業秘密とする企業が大半で実態は不明確である。相次いで発表したのは横並び意識からだろうか。日本の組織は都合のよい情報だけは公表するが、都合の悪い情報は隠蔽し証拠の改竄すらしかねない存在であり、公式の発表に対しては用心してもし過ぎることはない[30]

発明報奨金についても上限金額の高額化を発表しているが、上限額がどんなに高額になってもほとんどの発明が下限に査定されるならば従業員に報いるシステムとはいえない。逆に量より質の転換を企業に都合よく解釈して、当該企業にとって当面の有用性を持たない発明の給付水準を下げてしまう虞もある。上限額を上げただけで日本企業が発明者の利益尊重に転じたと即断するならば軽挙のそしりを免れないだろう。

(一) 台湾

 財団法人工業技術研究院では発明者に対して一件当たり、出願時対価四−八千元、権利化されれば一−二万元、特許権を許諾した場合は三−一〇〇万元支払われる。義隆電子股分限公司(IC設計メーカー)では発明提案に五千元、特許獲得五万元の賞金を授与する[31]

(二) 使用者が受けるべき利益

対価の算定方法や額は使用者が予め報償規定等として定めていることが多いが、従業員発明者はそれに拘束されず、報酬額が法定の対価の額に満たなければ発明者は不足額を請求できる(東京地判平一一..一六判時一六九〇-一四五ピックアップ装置事件)。実際、判例の多くは企業の報償規定によって算定された額よりも高額の判断をしている。これに対しては相当対価額が報償額を下回った場合、企業は発明者にその返還を求めることができるのであろうか、とする批判がある[32]。しかし特許法は従業者保護のために最低でも相当対価の支払いを義務付けたのであり、企業がそれを越えて払う分には全く問題ない。発明奨励策から企業が相当対価額を超えて発明者に報奨金を払うことは十分ありうるだろう。実際、「技術立国」を旗印とする日本の場合、プロ野球選手並みの金額を用意してもおかしくないとする見解もある[33]

「対価の額は、その発明により使用者等が受けるべき利益の額及びその発明がされるについて使用者等が貢献した程度を考慮して定めなければならない」(特三五())。法律も政省令もこれ以上具体的な算定基準を明らかにしていない。算定の順序としてはまず使用者が受けるべき利益の額を算出し、次にそれを使用者の貢献度で乗じることによって対価を算出することになろう。例えば使用者が受けるべき利益が一万円、使用者の貢献度が二割だとしたら、10000×0.8 = 8000となる。

まず使用者が受けるべき利益の額を明らかにする必要がある。使用者の利益は受けた利益ではなく受けるべき利益だから、権利承継時に客観的に見込まれる額を指す[34]。利益とは単なる発明の実施による利益ではなく、発明の独占による利益である(大阪地判昭五九..二六無体一六--八二)[35]。これは発明についての権利そのものの価額と考えてもよく、使用者が受けるべき利益とは発明の譲渡価格になる。

一般に使用者が受けるべき利益には営業利益説と実施料説が対立する。営業利益説は発明により直接的に受ける利益とし、売上高から必要経費を控除した額とする。必要経費には発明の実施までに要する発明完成後の開発費用、技術移転に伴う費用、権利の取得・保全に伴う費用等も含まれる[36]。慶大「発明取扱規則」一〇条()も「特許の実施により収入を得た場合には、特許出願及び特許権の維持・管理、技術移転等に要した諸費用を除き配分する」とする。

実施料収入説は独占して発明を実施しうる地位を得ることにより受ける利益を実施料収入と考える。職務発明について使用者は無償で通常実施権を認められており、従業者の有する権利は完全円満な権利ではなく、法定実施権の付着した権利に過ぎず、譲渡価格は通常実施権を控除した残りの権利の価額であり、要するにそれは実施料収入という。The income due to a patent per se is the royalty which would have to be paid by a license.とされる[37]

しかし発明の独占は非独占的実施によっては取得することのできなかった売上高や営業利益の増加ももたらすから、実施料収入に限定されない[38]。もし使用者が権利を承継しないならば、発明者及びその承継人が特許権者となって発明の実施やライセンスによって利益を得ることができる。使用者による権利承継はこの発明者・承継人の利益を奪うことになるから、特許権自体の価額が補償されなければならない。

特許権の価額から法定通常実施権の価額を控除する必要はない。法定通常実施権は職務発明に対する使用者の貢献を根拠として認められる。相当な対価は発明の価額から使用者の貢献度を差し引いた額であり、この使用者の貢献度が通常実施権分に相当する。従って譲渡価格の算定に際しては通常実施権を考慮すべきではない。

特許権の価値は理論的には当該特許権を用いて発明者が勤務する企業以外の第三者が商品を製造した場合の想定売上高、その想定売上高のうち特許権の寄与する割合からの算出が考えられる。

特許権マーケットが未発達な現状では発明従業者が特許発明を第三者に譲渡するのは困難なため、相当な対価を譲渡価格とすることを疑問視する見解もある[39]。しかし特許発明の譲渡が困難なのは、個人発明家を胡散臭いものと見て相手にしない日本の法人資本主義(会社社会)に原因があり、買い手を探すのが現実には難しいからといって職務発明者の対価を低額でいいとするのは、個人発明家が育ちにくい日本の現状が不公正なのにその不公正な現状を所与の前提として結論を出すことになる。

使用者が受けるべき利益は権利の譲渡価格であることを明らかにしたが、そのように述べたとしても依然として抽象的でこれだけで具体的な金額が算出できるわけではない。これについては工業所有権の帰属に関する事件の訴額の算定基準が参考になる。東京・大阪地裁の実務を総合すると以下のようになる[40]

a権利自体に現実の客観的な取引価格又は業界における評価額があるときはそれによる。

b aによることができず、弁理士等権利の価格の評価をするにつき知識経験を有する者の鑑定評価書がある時はそれによる。

c abによることができない場合 訴額=年間売上高×利益率×権利の残存期間×低減率一/

d権利の全範囲にわたり専用実施権が設定され、abによることができない場合 訴額=年間売上高×実施料率×権利の残存期間×低減率一/四。

結局、権利の価額の算定もロイヤルティと無関係ではない。実施料収入は企業努力の格差により変動する利益というような主観的な基準よりも合理的だからである[41]。そのため実際は譲渡価格の算定にあたり大いに参考にされよう。

ロイヤルティは交渉力が均等であると仮定すればライセンスによる利益の増加が等分される値となる。即ちライセンシーは特許権者に対し、ライセンスによって前者が得る利益の半分を支払い、かつ後者が被る不利益の半分を補償する[42]。実施料はその特許を用いる製品の利益率に強い相関を示し、利益率の高い製品は実施料も高くなる。その値は利益の1/3~1/5程度とされる[43]。市場における競争力として寄与力が大きい特許の実施料は高く算定されなければならないし、出願時の技術水準において発明性が乏しく、そのため刈り尽くされている分野の特許は低く抑えられる[44]

合理的なロイヤルティの算定は移転価格Transfer Price税制でも問題となる。取引を名目とした税逃れを防ぐために、海外関連会社との取引価格はその取引と同様の状況の下で独立した第三者と行った場合に成立するであろう価格に依るべきとされている(独立企業原則Arm’s Length Price Rule)[45]。そこでは独立価格比準法Comparable Uncontrolled Method、原価基準法Cost Plus Method、再販売価格基準法Resale Price Methodによるのが原則で、これらが利用できない場合には利益分割法Profit Split Methodを用いる[46]

(三) 使用者が貢献した程度

使用者が貢献した程度とは使用者が負担した研究開発費、研究設備費、資材、発明者の給与等が発明の完成に貢献した程度の意である。発明者が研究職のように発明活動だけが職務といえる職位にある場合や当該発明について上司から詳細な指示を受けていた場合は使用者の貢献度が高いと評価される。

この使用者が貢献した程度は発明毎に異なりうるものである。そのため判例では具体的事情を詳しく検討して判断する。判例には使用者が第三者に実施許諾したと仮定した場合の取得すべき実施料の一〇%弱と七%(二つの発明につき別個の扱いをする。東京地判昭五八.一二.二三無体一五--八四四日本金属加工事件)、使用者が多額の研究費を出費し、研究設備・スタッフを最大限に活用させているため実施の対価として得た技術協力費の五%とした例(東京地判昭五八..二八無体一五--六二〇コンクリートパイル事件)がある。

他方で企業の勤務規則等では一定割合に定められることが多い。これは個々の場合毎の算定の煩を避けるためで一応の合理性は肯定できる。日本大学の教官による物質の力学特性測定技術の発明ではロイヤルティの五〇%を発明者、三五%を大学本部・工学部、一五%を国際産業技術ビジネス育成センター(同大学のTLO, Technology Licensing Organization)の運営費に配分する[47]

この使用者の貢献度は使用者が受けるべき利益の額以上に主観的な判断である。そのため使用者が一方的に定めた報償規定に基づき使用者側の人間が決定するならば、使用者の貢献度は過大評価されてしまうだろう。しかしそもそも発明の権利を承継できるということ自体が使用者にとって大きなメリットである。なぜなら予約承継は相当な対価が保障されているとしても、本来権利者に認められている自らの財産権を譲渡しない自由と譲受人を選ぶ自由を損なうからである。

他方、予約承継を定めた契約にしろ勤務規則にしろ労働者と使用者の自由意思の合致によって効力が発生するとするのが建前だが、その実それは労使間の力関係によって従業者に押し付けられたものに過ぎない。だからこそ労働者保護の見地から非職務発明についてはその種の定めは無効とされているのである。職務発明については使用者も発明の完成に少なからぬ貢献をしているために例外的にその定めが認められている。それ故、予約承継が許されること自体が発明の完成に使用者の貢献を考慮してのことなのだから、使用者の貢献した程度を高く評価すべきではない。

(四) 算定法

算定法には定額法、等級法、採点法、スライド法等がある。定額法は一発明又は一請求項につき一定額とする。これならば複雑な判断は不要で主観的な方よりもないが、発明の質が評価されないので優れた発明の行うインセンティブを減少させる。

等級法は等級を定めて金額を当てはめる方法、採点法は要素別に採点して合計額に金額を当てはめる方法である。主観的な偏りを回避するため、知財部・事業部がそれぞれ独立して評価項目毎に評価したのを総合する企業もある[48]。この方法は評価が正当になされるならば問題は少ないが、金額に上限が定められていることが多い。しかし発明者に支払わなければならないのは発明の価値に応じた相当な対価であり、非常に価値ある発明をした者にはそれだけの対価を払うことになるから、上限を設けるのはおかしい。上限は他の従業者への配慮や画一的事務処理の都合が根拠とされるが、優れた発明をした者には他の従業員以上の対価を払うことが真の意味で公平な処遇である。

スライド法は利益額に対するパーセンテージによる。この算定法が相当な対価には最も適合する。

(五) 対価支払方法

対価は理論的には権利承継時に一定の額として算定し得るはずなので、対価請求権は特許を受ける権利等を使用者に承継させた時に発生し、契約・勤務規則に特段の定めがなく、その他対価請求権の行使を妨げる特段の事情のない限り、消滅時効は権利承継時から進行する(大阪高判平六..二七判時一五三二-一一八ゴーセン事件)。仮に登録されず、乃至は利益が生じなかったとしても、そのことによって当該発明の発明性が否定されるわけではないし、当該権利が無価値であったことにもならないのであり、使用者は登録前であることを理由に対価を拒むことはできない(名古屋地判平一一..二七判タ一〇二八−二二七立体駐車場事件)

時効期間は一〇年である(東京地判平一一..一六判時一六九〇-一四五ピックアップ装置事件)。これに対して当事者の一方である使用者にとって付属的商行為であるから商事時効の五年を適用すべきという見解がある(商三())[49]

対価請求権は特許を受ける権利等を使用者に承継させた時に発生するため、対価の支払いと権利の移転は契約にそのような規定がない限り同時履行(民五八三)の関係に立たない(大阪地判昭五四..一八特企一二八-四九)。これは賃金と同じである(民六二四)[50]。しかし権利を使用者に譲渡したならば従業者は相当な対価を請求できる。

従って使用者は従業者の請求あり次第即座に対価全額を支払なければならない。しかし理論上は対価額が権利承継時に一定しているとしても事実上算定は困難であり、実際に特許権が有効に働き事業に多大の貢献をしたことが明らかになるまでに数十年かかることも稀ではない[51]1983年に出願した発明が、平成九年度全国発明表彰朝日新聞発明賞を受賞した例もある[52]

譲渡の効力が生じた時より後の事情(特許登録されたか否か、当該発明の実施・ライセンスによって使用者が利益を得たか、その利益の額)を譲渡時における客観的に相当な対価の額を認定する資料とするのは差し支えなく(東京平四..三〇判時一四三三-一二九カネシン事件)、それらを利用した方が相当対価を算定しやすい。それが不明の時点で額を算定することは使用者にとっては見込み投資ということになり、従業者にとっては低額に抑えられる傾向になりやすい[53]。又、権利を承継しただけで発明の実施による利益をあげていない段階で対価を全額払うことは、企業財政の破綻を意味するかもしれない。

そのため発明報償規定で分割払いや後払いを定める企業が大半である。大体、出願補償・登録補償・実績(実務)補償の各段階で又はいずれかの時期になされる。後者の場合で最も多いのは登録補償である。国有特許においては登録時及び実施時に対価が支払われているようである。他にも出願公告制度存置時は出願公告時の補償も考えられる。又、使用者が工業所有権を放棄するときや正当の理由なくして長期間実施・運用しないときに復元補償(e.g.当該特許権の譲渡)を定めた例もある[54]

勤務規則で上記のような分割方式が定められているということは、従業者が権利を譲渡してもすぐに対価全額を請求しないと約束して使用者と労働契約を締結することを意味する[55]。このように対価の支払いを一定期間遅らせる契約は、それをする合理性も一応認められ公序良俗に反するとまではいえない。

発明時対価や発明時に払われる対価である。停止条件付譲渡契約が締結されている場合は承継時対価と同じ性質を有する。そうでない場合は従業者の発明に対して払われる褒賞であり、権利の承継に対する対価ではない。この時点では出願するか、出願したとして特許査定されるか、発明がどれくらい利益をあげるか不明な時期に支払われるため、少額になる。定額法によるのが普通だが、等級法や採点法を用いる企業もある。

承継時対価は権利の承継時に払われる対価である。従業者本人が出願し、出願手続中又は特許登録後に使用者が権利を承継することもありうるが、多くの場合承継は出願前になされる。これは発明時対価と異なり相当な対価としての性質も有するが、額や算定法は発明時対価と同じことが多い。

出願時対価は企業名義で出願する際に支払われる報酬である。特許を受けられるかどうかは不明だが、後願の排除・拡大された先願の地位の取得等の効果が得られるため、多少金額はあがる。定額法では大体二−五千円である。

登録時対価は特許登録時に支払われる報酬である。特許登録が認められたため金額もあがり、定額法では大体一−五万円である。

実績対価は特許が企業にもたらす利益に応じて支払われる報酬である。定額法では十−五十万円位である。実績対価を更に企業が特許発明を実施した場合の利益に応じて支払われる実施対価と、他社に許諾した場合のロイヤルティに応じて支払われる運用対価に分ける企業もある。実績補償について特許登録前から発明の販売実績に応じて支払う例もある[56]

神戸製鋼所は上限百万円を実施補償三百万円、運用保証六百万円に改めた[57]武田薬品工業は新製品の世界市場での売上高と特許の独自性を下に発明に点数をつけ、それに応じて報奨金を支払う制度を採用した。報奨金の最高額は年間一千万円で五年にわたり評価を続ける[58]日本ビクターは年間一億円以上の特許料収入をもたらした特許発明者を社長表彰「パテント大賞」として表彰し、収入の一%(上限1億円)を支給し、実施料収入がある限り毎年表彰対象とする[59]。沖電気はロイヤルティ収入の最高一割を発明者に還元するライセンス賞を一九九九年度から新設した[60]

ともあれ発明者には相当の対価の支払いを受ける権利があり、その相当の対価はかなり高額であるべきといえるが、対価は雑所得として他の収入と合算され総合課税されるので、高額な補償金への課税は職務発明者に重圧感を与えることになる[61]。税金が発明意欲をしぼませているとしたらばかげており、非課税枠の創設等、税制改革が望まれる。実際ドイツでは発明従業者には税制上の優遇措置があり、きめの細かい配慮がなされている[62]

(六) 放棄

債権は債権者が債務者に対して債務を免除する意思を表示したときは消滅し(民五一九)、債権者は自由意思によって債権を放棄できる。他方、従業者の対価の支払いを受ける権利は強行法規によって保障されており、従業者による対価請求権放棄が認められるか問題になる。

労働法学では労働者による賃金債権放棄が賃金全額払いの原則(労基二四)に抵触しないかという問題が論じられている。これについて賃金の支払は労働条件の中でも重要な条件であり、労働者を保護するため賃金支払確保の目的から全額払いの原則が設けられたのであるから、任意による賃金債権放棄もこの原則に違反するという見解もある(大阪高判昭二五..四体系労働基準判例総覧二九八扶桑事件)。しかし通説は免除の意思表示によって債権は消滅する以上、労働者による賃金債権放棄は全額払いの原則に違反しないとする[63]

但し労働関係においては使用者の有形・無形の圧力による労働者の同意が形成されやすく、自由意思の名の下に脱法行為が誘発されかねない[64]。従って労働者の自由意志の認定にはそれを裏付ける合理的な理由が客観的に存在していたことを要し(最判昭四八..一九民集二七−一−二七シンガー・ソーイング・メシーン事件)、その判断は厳格・慎重に行わなければならない(最判平二.一一.二六民集四四−八−一〇八五日新製鋼事件)。この判断基準は借地借家契約の期限付合意解約の有効性に関して判例が確立してきたものである(最判昭四四..二〇民集二三−六−九七四)

職務発明の対価は賃金と比べて労働者の「生活を支える重要な財源で日常必要とするもの(最判昭四四.一二.一八民集二三−一二−二四九五福島県教組事件)」という色彩が薄く、全額払いの原則のような法的保護もない。従って賃金債権にも放棄が認められる以上、対価請求権の放棄も肯定される。しかし対価請求権も給与以外に収入のない従業者の生活を支えているものである。又、使用者の圧迫により自由意志を歪められやすい。むしろ対価請求権には従業者の生活がそれほどかかっていない分、却って使用者は従業者の強い抵抗を感じずに搾取できるかもしれない。それ故、自由意志の認定は賃金債権についてと同様の基準で行うべきである。

(七) 褒賞制度

発明従業者に対する対価支払とは別に褒賞制度を設ける企業もある。例えば特許提案活動に貢献した発明者及び権利の活用に成功した特許の発明者を年間特許功労者として社長が会社創立記念式典の場で表彰する企業もある[65]。又、将来の事業の核となり得る優秀な発明を出願後直ぐに表彰する優秀発明表彰制度を創設した例もある[66]。毎年最多出願賞・最多登録賞・入社三年間の出願件数による新人賞を設け表彰する企業もある[67]

特許登録累積件数一五件(入社一五年以内)、五〇件、一〇〇件を達成した発明者を表彰する企業もある[68]。出願依頼書(e.g.請求範囲、発明の詳細な説明、図面)を執筆した発明者に執筆補償を行う企業もある[69]

褒賞は発明者に加えて、事業化部門や知財担当者も対象とする例もある。上手に補正・分割等をした特許部員を具体的な証拠につき専門的見地から評価し、審査会で審査して、特別実施報奨として発明者の表彰金額の一割を与える企業がある[70]

このような恩恵的措置は法によって強制されたものではなく、企業は自由に制定改廃できる。この制度は発明の届出が低調であって活発化させたい時に有効だが、従業者の相当な対価の支払を受ける権利に代替しないことは当然である[71]。名目は褒賞的でも相当な対価としての実質を備えていれば相当な対価の支払になるが、従業者は権利として支払を請求できるのであり好ましくない。

非職務発明

従業者発明は企業との係わり合いから職務発明service invention、業務発明dependent or connected invention、自由発明free inventionに分類される。業務発明は使用者の業務範囲内の発明だが発明した従業者の職務に属さないものを指す。例えば浴槽販売会社の販売担当取締役が浴槽を考案した場合である(東高判昭四四..六判タ二三七-三〇五)。但し業務発明を使用者の業務範囲に属する発明として職務発明の上位概念と捉える見解もある。自由発明は企業の業務範囲外の発明を指す。但し自由発明は業務発明と狭義の自由発明の上位概念として使われる場合もある。

以上より非職務発明は業務発明と自由発明に分けられるが、業務発明だろうと自由発明だろうと法的効果は同じであり、特許法学においてこのような分類をする実益は見出せない。それにもかかわらずこのような分類がなされるのは、業務発明は使用者の業務範囲内の発明であり使用者の利害に関係するから、使用者とは無関係な自由発明とは異なる扱いがされてしかるべきだという企業側の虫のいい願望を反映してのことではないだろうか。それならばこのような分類を行うこと自体が使用者の容喙を許さない非職務発明の一部を使用者の「満州国」化することにつながるから、使用者との衡平を図る必要がある職務発明と完全に従業者の権利である非職務発明の二分法こそ積極的な実践的意義をもつ。本論が職務発明と非職務発明とに分類する所以である。

非職務発明に対して使用者は何らの権限ももたない。使用者が従業者の職務外の成果に対して何ら容喙する権限をもたないのは当然のことである。例えば会社は兼業農家である勤め人に対して予めその畑でとれる作物を会社に差し出すことを要求できない。たとえその会社がスーパーマーケットであって当該従業者の畑でとれた野菜の販売が業務範囲に属するとしてもである。しかし職場の上司が職務と無関係な私的利益のために下級職員をただで使うということは存外平気で行われている。無形の財に対する日本人の後進性の現れである。非職務発明もこのような形で処理されてしまいがちだが、契約上の権利なくして他人の労力を徴収するのは、ただで金をまきあげる強盗の行為と同じである[72]

非職務発明について予め使用者に特許を受ける権利・特許権を承継させ、又は使用者のため専用実施権の設定を定めた契約・勤務規則その他の定めの条項は無効である(特三五())。無効となるのは契約・勤務規則全体ではなく、非職務発明に関する部分のみである(一部無効 大阪地判昭五四..十八特企一二八−四九)。勤務規則はそれだけで何らかの法的効果を発生させるものではないから、法令に違反する勤務規則の効力を論じる余地はなく、厳密に言えば無効になるのは勤務規則に従って労働条件を定めるという労働者・従業員の合意である。

使用者は非職務発明を無断で実施することはできない。特許法三五条二項は予め非職務発明の特許を受ける権利・特許権の承継、専用実施権設定を定める契約を無効とするだけだから、通常実施権の許諾の予約をなすことは有効とする見解もある[73]。しかし従業者が将来買う土地に使用者が予め借地権を設定する契約を結ぶことは許されるだろうか。

(一) 非職務発明の譲渡

発明完成後ならば非職務発明の権利承継も可能であり、発明者と使用者は対等な当事者として譲渡交渉することになる。非職務発明の権利を使用者に譲渡する場合、非職務発明は使用者等の貢献なくして発明されたものだから、非職務発明の譲渡対価は職務発明の対価を下回ることはない。

しかし労働者と使用者は事実上対等ではなく、特許法の労働者保護には限界はある[74]。将来の出世という社外の人間には無価値であり、かつ当てにならない不確定なもののために、義務がないにもかかわらず、又は義務がないということも知らずに非職務発明の権利をただ同然で会社に承継させた従業者は少なくなかっただろうと推測される。

会社人間(社蓄)的な日本の労働者は企業間を横断する中で高いポストを得ようとするのではなく、同一企業に勤めつづける中で昇進しようとする傾向にある。年功序列といっても同一企業内ではポストに限りがあり、同世代の従業員間で激しい昇進競争が繰り広げられがちで[75]、そこでは使用者(上司)による査定が昇進・昇格にとって非常に重要な意味をもつ[76]。しかし人事考課が公正公平に行われる保証はなく、判断力・指導力・協調性・意欲等の評価には多分に恣意が入り、報復・差別的な人事考課が頻発している[77]。そのため上司の意向に逆らうのは落伍を意味しかねず、屈服する従業者も少なくないだろう。実際、職務と無関係な事項につき自分の意に添わぬ行動をとった部下に対し不当に低い査定をしたことが争われた例もある(横浜地判平二..二九判時一三六七−一三一ダイエー事件)

企業が非職務発明を優先的に承継する方法として届出・優先協議義務が行われている。従業者が発明をした場合は全て使用者に届出させ、発明の譲渡等について従業者に他に優先して企業と協議すべき義務を負わせるのである。従業者がこの義務に違反して特許を受ける権利を第三者に譲渡しても有効だが、雇用契約上の義務違反となるというのが通説だが[78]、届出・優先協議義務は使用者と従業者が対等だとしたら絶対に契約されない筈といえるほど後者に不利であり無効である[79]。使用者は解雇・ポスト・賃金等様々な圧力をかけて交渉することも、協議が終了していないとして交渉を長引かせることもできるからである。このように非職務発明を使用者の実質的管理下においてしまうならば従業者の職務外での創作意欲を減退させ、ますます仕事人間にしてしまうだろう。

職務発明については契約により届出義務を課すことは許されるが、職務発明の判定は微妙であり、全発明について届出義務を課さなければ職務発明の届出もなされなくなる虞があるとする反論もある。しかし自社製品に関する技術分野の特許公報は企業が必ず調査するものだから、従業者が職務発明を自己名義で出願しても必ず露見する。他方、非職務発明について企業に必要なものはその時点で譲渡交渉を行えばよく、自社の従業員というだけで優先的な地位を認める必要はない[80]

ノウハウ

使用者が職務発明についての権利を承継した場合はその権利は使用者のものになったわけであるから、その権利をいかなる形で用いようと使用者の自由である。使用者は特許出願せずに営業秘密として隠匿してもかまわないし、当該発明を公表してpublic domainに帰せしめてもかまわない。特許性はあっても事業性や権利化費用の観点から権利化を断念することもあろう。発明の公開は考えにくいが、それによって新規性は喪失され他人が特許を取得するのを阻止できる。日本のバイオテクノロジー開発技術研究組合は欧米企業が先に機能を特定して特許を取得するのを阻止するため、解読したが機能が解明されていない遺伝子情報を公開した例がある[81]

一般に使用者がノウハウとして秘匿する場合も発明の実質を備えているものは職務発明として対価を払わなければならないという形で論じられているが(東京地判昭五八.一二.二三判時一一〇四-一二〇ステンレス金張製造法事件)、発明という事実行為の結果特許を受ける権利が発生し、使用者はその権利を承継することによって対価支払義務を負担するのであるから、対価を払うのは当然である。特許を受ける権利を特許庁に対し特許登録を請求する公権とする見解もあるが[82]、発明をしたという事実から発生する発明者権は特許請求権であるのみならず、実施や譲渡をなしうる実体上の権利である(東京地判昭三〇..五下民六--一三〇三)

ノウハウにする場合でも当該発明が職務発明ならば、職務発明に係る特許権に通常実施権が認められるように使用者は無償で実施することができる。しかしそれだけならば特許を受ける権利は発明者にあり、発明者は出願することも特許を受ける権利を他人に譲渡することもできる。それでは秘密として管理することにならないから、使用者が営業秘密として独占するならば発明の権利を承継し対価を支払わなければならない。

(一) 対価

実務では対価の支払いを特許出願手続の各段階に応じて分割払いにする例が多いが、ノウハウとして秘匿する場合にその規定を適用すると出願も登録もないので不合理である(大阪地判平六..二八判時一五四二-一一五象印マホービン事件)。それ故ノウハウの場合には別制度を定めておかなければならない。

発明者は発明の完成によって発明者名誉権を取得するが、それは出願手続の過程において願書(特三六()四号)、特許証(特施規六六)等に発明者としての氏名を掲載されるという形で具現化されるため、使用者が営業秘密にした場合、発明者は発明者名誉権を享受できなくなる。他人の完成した発明を自己の発明と偽って出願した場合等、出願前でも発明者名誉権侵害はありうる。そして一つの著作物の無断複製・改竄という行為が著作権侵害と著作者人格権侵害の二つの不法行為に評価され、財産的利益の侵害に対する損害賠償とは別に人格的利益の侵害に対する賠償が認められる。例えばゲームソフトの無断ビデオ化に対して著作権(複製権・翻案権)侵害として二七万五千円、同一性保持権侵害として二百万円の損害賠償が命じられた例がある(東京地判H11.8.30判時1696-145ときメモ事件)[83]。同様に特許を受ける権利の侵害に対しても財産的利益とは別に人格的利益の損害賠償を観念することができる。

勿論、発明者は出願権を使用者に譲渡した以上、出願する、しないは使用者の自由である。しかし発明者名誉権を享受できる発明を完成したのに、使用者の地位の優越を背景に押し付けられた承継契約・勤務規則によって使用者に承継され、使用者の経営政策上の都合で出願されないために発明者名誉権を満足できないのを当然視することはできない。発明者は使用者に出願を強制することはできないが、発明を出願しない場合、使用者は相当の対価に発明者名誉権を満足できなかった分を上乗せして支払うべきである。発明者として名声を高めれば転職等において自分を高く売り込むことができるから、発明者名誉権は発明者の名誉心を満足させるだけでなく発明者の経済的利益にも直結する[84]

加えてノウハウは秘密という性質上、大々的に実施・ライセンスされることが少ない。相当な対価は使用者が実際に受けた利益と関わりなく職務発明の価値に応じて算定されるものだが、その算定は容易ではないため算定にあたって使用者が実際に受けた利益額が参考にされるのが現実であり、使用者が実際に受けた利益が少なければ事実上対価額も少なく見積もられてしまう。他方、ノウハウは特許と異なり存続期間がなく秘密が保たれている限り、永続するが、何十年も後に当該ノウハウがもたらす利益を算定することは難しく、実際そこまで考慮しないだろう。従ってノウハウにすると従業者は対価額でも事実上不利益を被りうる。それ故使用者が職務発明を出願しない場合は発明者名誉権が実現できない分を対価額に上乗せして補償すべきとしても、発明者に過度の利益を与えることにならない。

提案

従業者発明制度の問題は特許能力のある発明に限定されない。従業者が企業活動に有益な提案を行うことはしばしばみられるが、そこには特許適格を有さない発明や非発明もあるからである。特許適格を有する発明ならば出願の有無に関わらず特許法三五条によって規律されるが、それ以外のものについて特許法は規定しておらず、解釈に委ねられている。これらの提案も発明と同様、創作者は従業員であって使用者ではない。尚、特許性のない提案は特許発明に比べて普遍的客観的な価値のないものが多いだろうが、価値が低いからといって他人の精神的営為の成果を無償で利用してよいことにはならない。

従業員にとって自らの創意工夫が職務に生かせるならば喜びであり、一種の自己実現である[85]“The worker’s satisfaction comes from the job itself. They need the chance to take responsibility, to set their own work goals. Given the chance to give their best, they can help the company set and reach higher goals.[86]とりわけ日本企業は提案制度が発達しており、自己の職務に関係しようがしていまいが従業者に創意工夫を呼びかけ発明を奨励する企業も多い[87]

具体的には消費関連製造業では一人平均提案件数10.65件、参加率68.9%、採用率49.8%、実施率87.2%、一社当たり経済効果21700万円、素材関連製造業では一人平均提案件数31件、参加率76.1%、採用率85.8%、実施率76.5%、一社当たり経済効果25400万円という[88]。トップ経営者から現場作業員に至るまで業務改善提案を活発に行っているという事実は日本の産業の活力を物語るものと評価される[89]

しかし提案の制度化は提案のノルマ化をもたらしかねず、そうなるならば従業員にとって割りあてられた本来の仕事の他に会社の利益になることを提案するという別の職務が加重されることになる。提案をランク付けし、特級二十万円、一級十五万円、最低の十級が五百円、参考として評価されれば五百円か千円、最低でも記念品を与える一方で、同時に一人一ヶ月一件以上というノルマを定め、各職場に目標件数ラインと到達点、実績表を掲示させる企業もある[90]。従業員は会社の利益になることを四六時中考え、「こうすれば無駄をなくせる」と、いつしか自分の首をしめるようなことまで提案しなければならない状態に追い込まれる。実際、JCOの原子力施設(茨城県東海村)では作業効率を上げるために作業員がマニュアルに違反したバケツによる作業を提案し、それがチェルノブイリ原発事故以来最悪の原子力事故とされる臨界事故の一因となった。千葉県八日市場市の「タイヘイ電子」の工場で、作業員が放射線(X)に大量被曝した事故は、検査機の安全装置を解除すれば短時間で効率よく作業ができるという作業員の「工夫」が原因である[91]

従来、日本企業において提案制度Suggestion Systemが円滑に機能していたのは、自分や家族の生活の面倒をみてくれる会社の「御恩」に対し、あらゆる面で全力を尽くして奉公しなければならないという封建的意識が従業員に強かったからだろう。封建社会では恩とか分とか情誼とかで紛争が処理されていて、私法的権利が公的に表面に認められてこない[92]

しかしそのような前近代的な関係が個人の尊厳を損なうことはいうまでもない。又、会社の「御恩」もあまり当てにならないということも周知の事実である。提案をなすことは労働契約上の義務とは言えず、それに対しては使用者も労働契約上の給付とは別の反対給付によって報いるのが近代的で健全な提案制度の運営に不可欠である。

この点、ドイツの従業者発明法は特許能力ある発明の他、それらの能力のない技術上の改良提案も適用範囲に含める。これは特許という独占力ある発明に対して補償をなすべきか(独占(保護権)主義)、労働契約上の義務を越えた発明的給付に対して補償をなすべきか(特別給付主義)の問題だが、ドイツでは前者の立場に立ちながら、後者の考え方も取り入れている[93]。旧ソ連も発明だけでなく合理化提案や発見にも補償した[94]。しかし独占力のない提案に補償しなければならないならば、他企業が合法的・容易に模倣できるため、補償の分だけ使用者は競争力を失ってしまう[95]

(二) 営業秘密

特許権は存続期間が限られており、公開されることにより他人に無断利用の機会を提供することになるため、技術情報を営業秘密として保持する方が寧ろ有利とする見解もある[96]

 

特許性のない提案は特許という独占力を得ることはできないが、それらは「事業活動に有用な技術又は営業上の情報(不競二())」だから営業秘密にはなりうる。従ってそれらもその限りで独占の対象になる。営業秘密になるためには秘密として管理されていることが要件だが、使用者がその提案を実際に営業秘密として管理しているか否かは問題ではない。使用者が権利を承継した後で使用者がその権利をどのように用いようとその自由だからである。尚、営業秘密は「公然と知られていないもの」でなければならないが、その保有者の管理下以外では別途に開発した保有者を除き、現実に知られざる状態をいい、特許法の公知とは異なる[97]

それ故、特許性なき提案も「事業活動に有用な技術又は営業上の情報」である限り、法によって財産的価値を認められた精神的創作であり、特許法三五条を類推適用すべきである。即ち特許性なき提案を承継した使用者は相当な対価を支払わなければならない。又、その性質上使用者の業務範囲に属し、従業者が提案をするに至った行為が職務に属する提案については、使用者は無償で実施することができ、又、予め契約・勤務規則で承継を定めることもできる。しかしそうでない提案は企業が実施するためには有償でなければならず、予め契約・勤務規則で承継を定めることも許されない。従って使用者は特許性の有無に関わらず全てを統一したポリシーによって処理し、補償金の算定基準も同一のものによるべきである。

「私が秘密の形成・作成に携わった場合であっても貴社業務上作成したものであることを確認し、当該秘密に関する一切の権利が貴社にあることを確認します」「当該秘密に関し私に帰属する一切の権利を貴社に譲渡し、貴社に対し当該秘密が私に属する旨の主張をいたしません」という内容の契約を従業員に結ばせる企業もある[98]

()国際ロボット・エフ・エー技術センターIMSセンター「知的財産権の取り扱い指針(1992)」はプロジェクトにおける研究の過程で創作されたノウハウに対する権利の帰属を特許権の規定に準じるとする[99]

 

営業秘密を不正の利益を得る目的で、又は保有者に損害を加える目的で開示する行為は不正競争行為だが、それは営業秘密を保有する事業者から示された場合である(不競二()七号)。従って対象となるのは企業が従業員に開示した秘密であって、従業員が取得した秘密は対象外である[100]

そこで企業が従業員が取得した秘密を企業の営業秘密とするためには、当該従業員にそれを企業の営業秘密とする契約を締結しなければならない。そうすることでその営業秘密を不正使用した当該従業員に契約上の義務違反を問える。又、第三者に対しても不正開示行為があることを若しくは不正開示行為が介在したことを知り、又は重過失により知らないでその営業秘密を取得・使用・開示したならば不正競争行為とすることができる(不競二()八号)[101]

このように企業が従業員の創作した情報を営業秘密とするためには従業員との間にそれを企業の営業秘密とする契約を結ばなければならない。これは当該秘密の承継契約ともいえよう。不競法にはこのような承継契約を規制する特許法三五条のような規定はない。そのため契約自由に委ねたとも見ることができる。しかし特許法が発明にはそれをなした発明者が存在することを前提としてその発明の保護・利用促進を目的とするのに対し[102]、不競法は事業者が既に知的財産を保有していることを前提としてその不正利用を規制することを目的とする。従って不競法が創作者保護に配慮しないのは当然であり、規定がないからといって法が沈黙していると解することはできない。

 

米国では従業員がtrade secretの源泉である場合に、使用者は当該前従業員にtrade secretの使用を禁じることはできないとする(Wayler v. Greenberg, 399 Pa 569, 160 A.2d 430 (1960).)。しかしそのtrade secretが使用者の後押しで開発された場合は別である[103]trade secretが多くの従業員によって開発され、従業員に自ら開発したものであろうと他の従業員から得たものであろうといかなる秘密情報も無許可者に漏らさないという合意があった場合に、前従業員に使用の権利を認めなかった例がある(Sperry Rand Corp. v. Rothelein, 241 F. Supp. 549 (D. Conn. 1964).)

 

トレードシークレットの所有者はそのトレードシークレットを守るための保守義務(e.g.機密保持、社内規定、社内管理、契約、契約相手側の管理)を常に負う[104]



[1] 「技術系の夢」読売新聞夕刊二〇〇〇..二二

[2] 富田徹男・市場競争から見た知的所有権(ダイヤモンド社一九九三)二三一

[3] Weber, M.=梶山力=大塚久雄訳・プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神上(岩波一九五五)六七

[4] 高橋甫=畔上隆治「発明者へのインセンティブ」知財管理五〇−一(二〇〇〇)四三

[5] アイシン精機株式会社「わが社の特許活動」知財管理四九−一 (一九九九)一一六

[6] 澤井敬史NTT知的財産センター長の御教示(二〇〇〇..)

[7] 竹田和彦「企業戦略からみた知的財産管理」知財管理五〇−一(二〇〇〇)一〇

[8] 小野耕三=渡部温・実際の知的所有権と技術開発(日刊工業新聞社一九九五)251(小野)

[9] 鶴野礼子=田中美砂子「逆風をヒトで乗りきる」週刊ダイヤモンド(二〇〇〇..)四八(武藤泰明)

[10] 原田泰「米大恐慌の三つの教訓」週刊ダイヤモンド(二〇〇〇..)八五

[11] 八代尚弘「働き方の多様化と労働市場法の役割」ジュリ一一七三(二〇〇〇)八六

[12] NTT労組『成果賃金』受け入れへ」読売新聞夕刊二〇〇〇..

[13] リチャード・クー「高コスト体質是正を急げ」読売新聞二〇〇〇..一三

[14] 伊藤信二「経営学」会計人コース(一九九三.一二)六五

[15] 熊沢誠他「管理社会と労働」企業と労働(有斐閣一九七九)五二

[16] 富田徹男「ベンチャービジネスと特許」特許ニュース一九九四.一〇.二一

[17] 三菱鉛筆「わが社の特許活動」知財管理四九−一〇(一九九九)一四七八

[18] 田村均「創業者の精神」知財管理五〇−六(二〇〇〇)七四六

[19] 工業所有権審議会企画小委員会報告「特許法等の改正に関する答申」(一九九八.一二.一四)六一、岡田羊祐「技術取引と独禁法」知財研・21世紀における知的財産の展望(雄松堂二〇〇〇)一二七

[20] 馬場錬成「寂しい『日本の特許技術』」読売新聞一九九九..三〇、「活力ある日本の再構築に挑む」読売新聞二〇〇〇..

[21] 藤田一誠「私の発明手法」発明九四−一一(一九九七)六一

[22] 斉藤俊六「経済社会の変革は創造的活動で」発明九五−九(一九九八)一五

[23] 「特許マップ 液晶駆動技術」発明九七−二(二〇〇〇)六六

[24] 中山信弘・注解特許法二版増補上(青林書院一九九四)三〇六(中山)、内藤義三「研究開発、営業部門のリエゾン活動において配慮すべき知的財産権問題」知財管理五〇−一(二〇〇〇)五〇

[25] 吉田信弘「インスリン戦争」読売新聞夕刊一九九九.一二.二〇

[26] 松永桂子「人材「発掘」機能と「機会」を東大阪を例に考える」『地域産業政策大賞』論文集(中小企業都市連絡協議会二〇〇〇)七四

[27] 小西國友「解雇制限法の立法とその影響」企業と労働(有斐閣一九七九)一〇〇

[28] 高木剛「『国民がより利用しやすい司法の実現』及び『国民の期待に応える民事司法の在り方』に関する意見」ジュリ一一八一(二〇〇〇)一〇〇

[29] 藤沢薬品工業株式会社「わが社の特許活動」知財管理五〇−八(二〇〇〇)一二七二

[30] 米国疾病予防センターCDCが非加熱製剤のHIV感染の危険性を指摘していたにもかかわらず、又、傘下の米国アルファー社よりアメリカの血液のHIV感染の事実を知らされていたにもかかわらず、ミドリ十字(現吉富製薬)が金儲けのために血漿の輸入を続け、加熱処理を加えず製造し続け国内の血漿と偽って販売し、血友病患者を中心に約二〇〇〇人をHIVに感染させたのは周知のことである(山口研一郎・生命をもてあそぶ現代の医療(社会評論社一九九五)二四二、同・操られる生と死(小学館一九九八)二三〇(芝田進午)、松村高夫「731部隊と細菌戦−日本現代史の汚点」三田学会雑誌九一−二(一九九八)九二)

又、雪印乳業は食中毒被害を知りながら汚染の発覚を隠蔽し、疑惑ある食品の出荷を続け、戦後最悪という1万人近くもの被害者を出した(「雪印、初の経常赤字も」読売新聞二〇〇〇..五、「原料の粉乳から毒素 雪印食中毒、大阪市発表」読売新聞二〇〇〇..一九)

三菱自動車は製造車両の欠陥についての意図的なリコール隠し、クレーム報告書の隠蔽を行っていた(「リコール対象六九万台報告書半数開示せず」読売新聞二〇〇〇..一九、「リコール隠しも」読売新聞二〇〇〇..二七、「三菱自クレーム隠し三〇年」読売新聞二〇〇〇..一六)

元役員が復職を断られて逆上し、会長を監禁し現行犯逮捕されるという事件があった住宅建材会社は取材に対して不遜にも「社内では事件のことは社員にも伏せている。そっとしておいてほしい。」とコメントしたという(「復職失敗ダメ息子父親を監禁」報知新聞二〇〇〇..二七)

マイカルグループが経営する「サティ」と「食品館」で販売した豆腐の一部が腐敗していたため、同社はその豆腐を撤去したが、九日間も撤去の事実を公表していなかった(「腐った豆腐八千個撤去」読売新聞二〇〇〇..二九)

キリンビバレッジはトマトジュース缶にハエが混入していたと消費者から通報されたが、「原因がわからない段階で告知することは、お客様の不安につながる」という「よらしむべき知らしむべからず」的配慮から一週間以上も公表しなかった(「トマトジュースにハエ」読売新聞二〇〇〇..)

ブリヂストンの米子会社ブリヂストン・ファイアストンは既に一九九七年に事故の報告を受けていたにもかかわらず、二〇〇〇年に米国高速道路交通安全局NHTSAから欠陥を指摘されるまでリコールを行わなかった(「欠陥タイヤ広がる波紋」読売新聞二〇〇〇..一七)

[31] 「第一回海外研修団(F3)報告書(続報)」知財管理五〇−六(二〇〇〇)八三六

[32] 特許第一委員会第二小委員会「注目判決の紹介二」知財管理五〇−八(二〇〇〇)一二六九

[33] 斉藤俊六「技術立国と報酬」日刊工業新聞一九九九..一八

[34] 中山信弘・注解特許法二版(青林書院一九八九)三〇七(中山)

[35] 青柳玲子「職務発明二」牧野利秋・工業所有権訴訟法(青林書院一九八五)一〇五

[36] 竹田和彦「職務発明の対価算定」特許判例百選二版(一九八五)三七

[37] Pitkethly, R.P., Patent Valuation and Patent Statistics知財研・21世紀における知的財産の展望(雄松堂二〇〇〇)四九六

[38] 渋谷達紀「職務発明とノウハウ」特許判例百選二版(一九八五)三九

[39] 竹田和彦・特許の知識(ダイヤモンド社一九八八)三三七

[40] 金井繁二「訴額算定に関する書記官実務の研究」裁判所書記官研修所実務研究報告書二四-(一九九二)一五二、渡辺森児「特許争訟における手続的相克の解消」法学政治学論究四三(一九九九)三四五

[41] 播磨良承「判批」判評三〇五(一九八四)四七

[42] 長岡貞男「知的財産保護における損害賠償の経済分析」知財研・21世紀における知的財産の展望(雄松堂二〇〇〇)三二三

[43] 中野謙一「プロパテント時代のライセンス交渉」知財管理五〇−一(二〇〇〇)九二

[44] 松本重敏・特許発明の保護範囲新版(有斐閣二〇〇〇)三六〇

[45] ライセンス委員会第一小委員会「ライセンス価格と移転価格税制」知財管理五〇−六(二〇〇〇)七七五

[46] 田川利一「米国移転価格税制とその対応下」商事法務一二七六(一九九二)二七、羽床正秀・移転価格税制注解全訂版(大蔵財務協会一九九九)二六〇

[47] 若松健一「TLO産学連携新たな担い手」読売新聞二〇〇〇..

[48] 荏原「わが社の特許活動」知財管理四九−九(一九九九)一三〇八

[49] 渋谷達紀「知的財産権法判例の動き」平成一一年度重要判例解説二六〇

[50] 山田省三「全額払いの原則と調整的相殺」労働判例百選六版(一九九五)八二

[51] 長澤俊夫「知財意識の進展」知財管理五〇−三(二〇〇〇)三一一

[52] 徳田隆二「私の発明手法」発明九五−二(一九九八)七七

[53] 松本司「職務発明についての補償金請求事件」知財管理五〇−二(二〇〇〇)二五二

[54] 兼子一他「発明の成立に伴う法律問題五」ジュリ三一五(一九六五)一〇三

[55] 兼子一他「発明の成立に伴う法律問題一〇」ジュリ三二〇(一九六五)一〇四(松居祥二)

[56] 堀場製作所「わが社の特許活動」知財管理五〇−四(二〇〇〇)五八二

[57] 石井良知「発明補償制度の改革」NBL六二四(一九九七)

[58] 成功報酬で研究者鼓舞」パテ五一−八(一九九八)二九

[59] 日本ビクター株式会社「わが社の特許活動」知財管理五〇−一(二〇〇〇)九六

[60] 沖電気工業株式会社「わが社の特許活動」知財管理四九−一二(一九九九)一七六〇

[61] 須田孝一郎「発明補償金の課税関係と改正税制の要望」パテ五二-一二(一九九九)五一

[62] 中山信弘「従業者発明における発明者の地位三」法協九一−一〇(一九七四)一五一四

[63] 山崎文夫「全額払いの原則と賃金債権の放棄」労働判例百選六版(一九九五)八七

[64] 水町勇一郎「全額払いの原則と合意による相殺」労働判例百選六版(一九九五)八五

[65] 豊田工機株式会社「わが社の特許活動」知財管理五〇−三(二〇〇〇)四三二

[66] 川崎重工業株式会社「わが社の特許活動」知財管理五〇−五(二〇〇〇)六九六

[67] 日本油脂株式会社「わが社の特許活動」知財管理四九−二(一九九九)二四七

[68] 株式会社リコー「わが社の特許活動」知財管理四八−一(一九九八)九六

[69] 住友電装株式会社「わが社の特許活動」知財管理四八−五(一九九八)七七五

[70] 「知的財産関係経営者懇談会報告(第七回)」知財管理五〇−六(二〇〇〇)八六四

[71] 高橋甫=畔上隆治「発明者へのインセンティブ」知財管理五〇−一(二〇〇〇)三七

[72] 渡辺洋三・法というものの考え方(岩波一九五九)四四

[73] 紋谷暢男・特許法五〇講四版(有斐閣一九九七)四一(紋谷)

[74] 紋谷暢男・特許法五〇講四版(有斐閣一九九七)四二(紋谷)

[75] 岩田龍子・日本的経営の編成原理(文眞堂一九七七)一五六

[76] 山本茂「日本企業における作業組織のフレキシビリティ」三田商学研究三八−四(一九九五)一五四

[77] 渡邉裕「査定」労働判例百選六版(一九九五)七九

[78] 兼子一他「発明の成立に伴う法律問題九」ジュリ三一九(一九六五)七三(豊崎光衛)

[79] 帖佐隆「特許法三五条についてのさらなる考察」パテ五二-(一九九九)一四

[80] 帖佐隆「特許法三五条と非職務発明について」パテ五一-(一九九八)五六

[81] 「遺伝子情報2200個公開」読売新聞二〇〇〇..一三

[82] 安達祥三・特許法(日本評論社一九三〇)三二、末弘厳太郎・工業所有権法(日本評論社一九四二)五〇

[83] 射場俊郎「ゲームソフトのビデオ化 複製権・同一性保持権の侵害認める」コピライト四六二(一九九九)四〇

[84] 著作者人格権が著作者の経済的利益にも直結する点につき、林田力「新しい知的財産の著作物性」第二回著作権著作隣接権論文集(著作権情報センター一九九九)一〇〇

[85] 乾侑・日本人と創造性(共立出版一九八二)三〇

[86] Person, D.C. et al., Independent Living (Hokuseido 1986) 30 (D. McGregor).

[87] 兼子一他「発明の成立に伴う法律問題七」ジュリ三一七(一九六五)八二(染野義信)

[88] 嶋本久寿弥太「特許相談」発明九五−二(一九九八)九〇

[89] 特許庁・技術立国と特許(発明協会一九八五)六〇

[90] 鈴木孝司「日産自動車の合理化と仕事差別」企業と労働(有斐閣一九七九)一七七

[91] 「安全装置解除」読売新聞二〇〇〇..

[92] 福島正夫「旧民法と慣行の問題」福島正夫著作集四(勁草書房一九九三)七五

[93] 中山信弘・工業所有権法上(弘文堂一九九三)七六

[94] Maksarew, The Role of Employees’ Invention in the U.S.S.R., Industrial Property (Oct. 1969) 285.

[95] 中山信弘「従業者発明における発明者の地位四」法協九一−一一(一九七四)一六五七

[96] 菰田文男・国際技術移転の理論(有斐閣一九八七)一五五

[97] 紋谷暢男・無体財産権法概論七版(有斐閣一九九七)一四

[98] 新企業法務研究会・詳解営業秘密管理(新日本法規一九九二)二一〇

[99] 大川晃「IMSと知的財産権の保護下」パテ四六−八(一九九三)五五

[100] 渋谷達紀「営業秘密の保護」曹時四五−二(一九九三)三八〇、竹田稔「営業秘密の保護二」発明九〇−一〇(一九九三)一一六

[101] 田村善之・不正競争法概説(有斐閣一九九四)二二九

[102] 田村善之「労働者の転職・引抜と企業の利益上」ジュリ一一〇二(一九九六)七六

[103] Kintner, E.W. & Lahr, J.L. =有賀美智子・アメリカ知的所有権法概説二版(発明協会一九八七)二五五

[104] 服部健一「日米ホットライン」発明97-6(2000)六〇