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健康保険法

公的医療保険 (2003年版トクをする年金と保険のすべてがわかる本(主婦と生活社2002)113)
被用者(職域保険)健康保険法(医療)
業務外の疾病、負傷、死亡、分娩
政府管掌健保組合のない事業所(主に中小企業)の被用者
組合管掌 健保組合のある事業所(主に大企業)の被用者
日雇労働者日々雇用される人、2ヶ月以内の期限を定めて雇用される人
船員保険船員として船舶所有者に雇用される人
国家公務員共済組合国家公務員
地方公務員共済組合地方公務員
私立学校教職員共済制度私立学校教職員
労災保険法(医療、年金) 業務上の疾病、負傷、死亡、障害
地域住民(地域保険)国民健康保険法(医療)
業務上外を問わず、疾病、負傷、死亡、出産
市区町村職域の健康保険等に加入していない一般住民(e.g.農業従事者、自営業者)
国民健康保険組合一定地域の同種事業に従事する300人以上の組織の加入者(e.g.理容師、弁護士、医師)

目的

健康保険法は、労働者の業務外の事由による疾病、負傷若しくは死亡又は分娩及びその被扶養者の疾病、負傷、死亡又は出産に関して保険給付を行い、もって、国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。

沿革

健康保険法は、大正11年に制定され、昭和2年より施行された。日本の社会保険法として、もっとも古い歴史を持っている。昭和36年には国民健康保険が全市町村で実施され、国民皆保険が実現。その後、平成11年に介護保険法が施行された。

出来事
大正11年健康保険法制定
昭和13年国民健康保険法制定
昭和14年船員保険法制定
昭和28年日雇労働者健康保険法制定(昭和59年健康保険法に統合)
昭和33年新国民年金保険法の制定(市町村に昭和36年4月1日までに国保実施義務づけ)
昭和36年国民皆保険体制の実現
昭和48年健康保険法家族給付7割、高額療養費制度の創設
昭和52年健康保険法特別保険料の徴収
昭和57年老人保健法の制定(昭和58年2月1日施行)
昭和59年高額療養費世帯合算制導入、特例療養費制度の創設、被保険者1割負担、国民健康保険法退職者医療制度創設
平成 6年入院時食事療養費の創設、訪問看護療養費の創設、出産育児一時金の創設
平成 9年健康保険法被保険者2割負担
平成12年介護保険法施行、国民健康保険法海外療養費創設
平成15年健康保険法被保険者3割負担、総報酬制導入

保険者

健康保険の保険者は、政府及び健康保険組合。日雇特例被保険者の保険者は政府のみ。国民健康保険法の場合は、国民健康保険組合が保険者に含まれる。老人保健法における保険者とは医療に関する給付を行う政府、市町村、国民健康保険組合、健康保険組合、共済組合、日本私立学校振興・共済事業団である。

健康保険組合

2以上の事業主が共同して健康保険組合を設立する場合には、それぞれの適用事業所の被保険者の2分の1以上の同意を得る必要がある。国民健康保険組合は「組合員となるべき者300人以上の同意」という表現になっている。

健康保険組合の設立要件
任意設立強制設立
1又は2以上の事業所について被保険者を常時300人以上使用していること(実務上は単一組合は700人以上、総合組合は3000人以上が必要とされる)
2分の1以上の者の同意を得て規約を作成すること
厚生労働大臣の認可を受けること
1又は2以上の事業所について被保険者を常時500人以上使用する事業主に対し、厚生労働大臣は設立を命じることができる

適用事業所の区分
事業所法定16業種法定16業種以外(e.g.農林水産業、サービス業、自由業、宗教団体)
法人強制適用事業所
個人5人以上強制適用事業所任意包括適用事業所となれる事業所
5人未満任意包括適用事業所となれる事業所

健康保険の適用除外

健康保険の適用事業所に使用される人は、原則として全て被保険者。但し下記の方々は、健康保険の適用除外となり、加入することはできない。

臨時に使用される者 ・2ヶ月以内の期間を定めて使用される者。但し所定の期間を超えて引き続き使用される時は、被保険者になる。
・日々雇い入れられる者。但し1ヶ月を超えて引き続き使用される時は、被保険者になる。
臨時的事業の事業所に使用される者 臨時的事業とは、博覧会等の継続される見込みのない事業を指す。但し継続して6ヶ月を超えて使用される予定である時は、被保険者になる。
季節的業務に使用される者 季節的業務とは、造り酒屋の杜氏などのように季節によって行われる業務をいう。但し継続して4ヶ月を超えて使用される予定である時は、被保険者になる。
所在地が一定しない事業所に使用される者巡回興業等、所在地が一定しない事業所を言う。
国民健康保険組合の事業所に使用される者国民健康保険組合から健康保険と同様の保険給付が行われる。但し厚生年金には加入する。

被保険者資格取得の日

健康保険における被保険者資格取得の日とは、適用事業所に使用されるに至った日、使用される事業所が適用事業所となった日、適用除外に該当していた者が、適用除外に該当しなくなった日を指す。

届出事項

届出事項提出期限
事業主の届出報酬月額算定基礎届8月10日まで
報酬月額変更届(随時改訂)遅滞なく
被保険者資格取得、喪失届5日以内
事業主氏名、事業主名称、所在地変更届5日以内
事業主代理人選任(解任)届予め
被保険者指名変更届遅滞なく
被保険者の義務複数の事業所に使用される場合の選択届10日以内
任意継続被保険者資格取得届20日以内
任意継続被保険者氏名、住所変更届5日以内
資格喪失後の継続給付受給のための届出10日以内
被扶養者を有する時の届出5日以内

被扶養者

健康保険では被保険者が病気やケガをしたとき、亡くなった場合、出産した場合に保険給付が行われるが、その被扶養者についての病気・けが・死亡・出産についても保険給付が行われる。被扶養者の第1は被保険者の直系親族、配偶者(内縁関係を含む)、子、孫、弟妹で、主として被保険者に生計を維持されている人。主として被保険者に生計を維持されているとは保険者の収入により、その人の暮らしが成り立っていることをいい、 必ずしも、被保険者と同居していなくても構わない。被扶養者の第2は被保険者と同一の世帯で主として被保険者の収入により生計を維持されている被保険者の三親等以内の親族、被保険者の内縁関係配偶者の父母および子、配偶者が亡くなった後における父母および子。同一の世帯は同居して家計を共にしている状態をいう。

被扶養者の範囲被扶養者となる要件
直系尊属、配偶者(内縁関係含)、子(実子、養子)、孫、弟妹生計維持
上記以外の3親等内の親族、内縁関係にある配偶者の父母及び子生計維持+同一世帯

被扶養者の収入要件

同居の場合は原則として、年間収入が130万円未満(60歳以上の人・障害者は180万円未満)で、かつ被保険者の年間収入の半分以下。但し、上記に該当しなかった場合においても、年間収入が130万円未満(60歳以上の人・障害者は180万円未満)で、かつ被保険者の年間収入を上回らなければ、生計の状況を総合的に勘案して被保険者が生計維持の中心的役割を果たしていると認められれば、被扶養者となれる。別居の場合は年間収入が130万円未満(60歳以上の人・障害者は180万円未満)で、かつ仕送り額より少ないこと。

保険料

保険料は健保組合を運営する財源となる。保険給付だけでなく健康づくりなどの保健事業を推進するために使われている。健康保険・厚生年金の保険料は年収をベースにした総報酬制で算定する。毎月の給与と賞与(年3回以下支払いのもの)が対象となる。年4回以上支払われる賞与等は報酬月額に含む。

総報酬制

総報酬制への変更は2003年4月からで、毎月の給与部分と賞与部分の料率が同じになった。これまでは給与の料率は高く、賞与の料率が低いという給与中心型であった(「あなたの負担が増える」日経ビジネス(2002.12.16)127)。

保険料
被保険者強制、任意包括被保険者任意継続被保険者
負担割合事業主と被保険者で折半全額自己負担
納付義務者事業主被保険者
納付期日翌月末日その月の10日。初めて納付する時は保険者の指定する日まで
免除
前納

標準報酬月額

健康保険では、多量の事務を正確かつ迅速に処理するために、給与を区切りのよい幅で区分した標準報酬・健康保険料月額表を使って保険料を算出する。保険料は毎月の給与から計算するのが筋だが、残業等で毎月変わる給与を毎回計算していては、その事務量が膨大になるため。標準報酬には、現金・現物を問わず、労働の対価となる全給与が対象となる。現物支給(e.g.定期券)も金額に換算して標準報酬に組み込まれる。支給された賞与は1000円未満を切り捨て、標準賞与額とする。上限は200万円。

標準報酬対象対象外
金銭基本給、能率手当、残業手当、勤務手当、役付手当、精勤手当、家族手当、宿直手当、勤務地手当、通勤手当、住宅手当、会社支給の私傷病手当金、賞与・決算手当大入袋、見舞金、解雇予告手当、退職金、出張旅費、仕事上の交際費、慶弔費
現物通勤定期券、自社製品、被服(除勤務服)、食券・食事、社宅・寮制服・作業着、見舞品、生産施設の一部である住居

標準報酬決定方法
1被保険者の資格取得時(入社時)の標準報酬は予想される一月当たりの収入を基礎に決める。
2その後は4・5・6月の給与の平均額から、毎年7月1日に標準報酬を決め直し、その年の9月から適用する。
32の方法で決められた標準報酬は原則として1年間(翌年8月31日迄)適用する。その1年間の途中で固定賃金が変更された時は、その月から3カ月間の給与の平均から算出した標準報酬と、元の標準報酬を比較して、その差が2等級以上あれば4カ月目から改定する。

健康保険料率

健康保険料率は1000分の30-95の範囲内で、健保組合の財政状況等に応じて決めることができる。被保険者と事業主は原則としてその保険料率を折半して共同で負担するが、健保組合の実情に合わせて事業主の負担割合を増やすことができる。

保険料の計算方法
給与標準報酬月額*保険料率=保険料(月額)
賞与標準賞与額*保険料率=保険料(年3回以内)

印紙
被保険者日雇特例被保険者日雇労働被保険者
いつ使用する日毎賃金を支払う度
手帳日雇特例被保険者手帳日雇労働被保険者手帳
印紙健康保険印紙雇用保険印紙

任意包括加入

事業所が健康保険に任意包括加入した場合には、適用除外に該当する者を除いて、任意包括加入に同意しなかった者も含めて、全ての者が任意包括被保険者となる。

健康保険の強制適用事業所が業種の変更や社員の減少等により、強制適用事業所の要件を満たさなくなった場合には、特に申請などなしに任意包括加入の認可があったものとみなされる。

任意継続被保険者

退職等によって被保険者資格を喪失した後も、被保険者資格を継続できる。資格喪失の前日まで継続して2ヶ月以上被保険者であった期間があれば、資格喪失日から20日以内に申請する事によって健康保険に継続して加入できる。他の資格喪失事由に該当する場合を除き、任意継続被保険者の資格を取得してから2年を経過するまで資格を継続することができる。この場合の保険料は事業主の負担がないため、全額本人負担になる。

任意継続被保険者の資格喪失日

任意継続被保険者の資格喪失日は、原則翌日喪失だが、被保険者となったときや船員保険の被保険者となったときは、その日が資格喪失日になる(38)。

任意継続被保険者が初めて納付する保険料の納付期日は保険者が指定する日。納付期日に遅れた場合、その者は任意継続被保険者にならなかったものとみなす(H14年10月1日施行)。次回以降の保険料の納付期日はその月の10日。納付期日に遅れた場合はその翌日に資格喪失。納付遅延について正当な理由があると保険者が認めたときはこの限りではない。

60歳で資格を喪失するという年齢要件による資格喪失はない。改正前は55歳以上60歳未満で任意継続被保険者となった者で2年を経過した者は、60歳になるまで原則資格を継続することができた。この場合は、原則60歳で資格喪失になったのですが、これは、一部負担割合が3割に改正されることにより廃止された。

任意継続被保険者の標準報酬月額

当該任意継続被保険者が被保険者の資格を喪失した時の標準報酬月額か、前年(1月から3月までの標準報酬月額については、前々年)の9月30日における当該任意継続被保険者の属する保険者が管掌する全被保険者の標準報酬月額を平均した額を報酬月額とみなしたときの標準報酬月額のうち、いずれか少ない額をもって、その者の標準報酬月額とする。平成15年4月1日から、政府管掌健康保険の平均値は、280千円となっている(平成15年2月12日社会保険庁長官告示第5号)。

保険給付

健康保険が使える医療には給付(保険給付)がある。出産・病気・怪我で会社を長期にわたって休んだ時、死亡した時には、自己負担を軽減する保険給付がある。保険給付は、内容別に整理すると現物、現金に分けられ、さらに法定、付加に分けられる。現物給付は保険証を使って診療を受けた時に給付されるもので、患者にとっては医療という現物を受給できることになる。

保険給付の仕組み

保険証を使って病院にかかると、病院の窓口ではかかった医療費の一部(一部負担金)を支払えば、健康保険法で定められた医療を全て利用できる。残りの医療費は健保組合が保険給付として病院に支払う。その財源は被保険者と事業主が支払う保険料である。


現物給付 現金給付 法定給付 付加給付
意 味 医者(病院)から診療、薬、治療材料など「医療という現物」を受給すること。つまり「医療サービス」を受けること。 医療という現物(医療サービス)だけでは足りない部分を補うため、 健保組合から現金を受給すること。 健康保険法で支給基準や要件等が定められている給付。 法定給付にプラスして健保組合が独自に定めた給付
受給手続 必要なし
(原則として保険証を提示するだけ)
必要
(自身で手続きをしないと給付を受けられない)
必要なものと、そうでないものがある
具体例 保険証で診療を受ける時の給付
療養の給付
家族療養費
訪問看護療養費
家族訪問看護療養費
保険証で診療を受けなかった時の給付
療養費
第二家族療養費
左記の例は全て法定給付 健保組合毎に異なる
具体例
(自己負担を軽減する給付)
本人高額療養費
家族高額療養費
合算高額療養費
入院時食事療養費
移送費
家族移送費
埋 葬 料(費)
家族埋葬料
出産育児一時金
家族出産育児一時金
出産手当金
傷病手当金

傷病手当金

被保険者が業務外の病気や怪我で仕事を休み、無給や給与が減額された場合、傷病手当金が支給される。傷病手当金は、支給を始めた日から起算して1年6箇月間支給される。傷病手当金を受給するには待期期間が継続して3日間必要。待期期間は、療養のため労務に服することができなくなった日より起算される。傷病手当金を受ける権利は、労務不能であった日の翌日から起算して2年で消滅する(健康保険法193条)。

傷病手当金は、強制適用被保険者、任意包括被保険者、任意継続被保険者に支給されるが、特例退職被保険者には支給されない。任意継続被保険者も強制適用被保険者と同様保険料を払っており、傷病手当金も支給される。特例退職被保険者は基本的に年金をもらえるような人である。従って働くことを前提とする傷病手当金は支払われない。

支給要件 1.病気・けがのための療養中であること(含自宅療養)
2.病気・けがのために仕事につけないこと
3.連続して4日以上会社を休んだとき(連続した3日の待期期間の後、4日目から支給)
4.無給または傷病手当金の額より少ないとき
支給額標準報酬日額の6割

併給調整

障害厚生年金(または障害手当金)、老齢厚生年金を受給している場合は、傷病手当金は支給されない。ただし、年金等の額が傷病手当金の額より少ない場合は、その差額が支給される。傷病手当金を受けている者に対して厚生年金保険法による障害手当金の受給権が発生した場合は、それが同一傷病名の時は、障害手当金の額に達するまでの期間、傷病手当金の支給が停止される。傷病手当金の合計額が障害手当金の額に達した後は、傷病手当金が支給される。

一部負担金

任意継続被保険者、特例退職被保険者、継続給付受給者の何れも、療養の給付を受ける場合は一部負担金を支払う。薬剤に関する一部負担金の支払いもある(43-8(1))。6歳未満の被扶養者は薬剤にかかる一部負担金は免除される(59(2))。

薬剤に関する一部負担金
薬の種類金額
内服薬(投薬毎1日分)10
2-3 30
4-5 60
6以上100
頓服薬(投薬毎)1 10
外用薬(投薬毎) 150
2100
3以上 150

保険医療機関等は厚生労働大臣の指定を受けて運営していくため、所謂国との間に公法上の契約が結ばれている。公に定められた規制を受けなければならず、一部負担金の減免等は行えない。健康保険組合直営機関や事業主医療機関はある特定の保険者との間に、その保険者の管掌する被保険者に対して療養の給付等を提供する契約を結んでいるため、その実施については保険者との間で自主的に規制できる。そのため一部負担金を減免できる(41-16(2))。

止むを得ない事情で保険診療を行わない医療機関で診療を受け、被保険者が診療費を全額支払った場合は、療養費は一部負担金相当額を控除した額が支給される(44-3)。

保険優先の公費負担医療(e.g.結核、精神障害、感染症)と健康保険が併用された場合、健康保険の一部負担金に相当する金額の範囲内で公費負担医療から支給される(62(2))。

入院時食事療養費

入院に係る療養の給付とあわせて受けた食事療養の費用については、入院時食事療養費として支給される(85)。被保険者が特定療養費を受ける場合に食事療養が含まれている場合は、その食事療養は「特定療養費」として支給される。被扶養者の場合、家族療養費の支給に係る療養に食事療養が含まれている 時は、「家族療養費」として支給される。

標準負担額

入院時食事療養費の給付に係る標準負担額は、1日につき780円であるが、市町村民税免除の低所得者は申請により減額が認められており、その額は減額申請を行った月以前12ヵ月以内の入院日数が90日以下のときは1日につき650円、90日を超えるときは1日につき500円である。被保険者及び被扶養者の全てが一定の所得がない高齢受給者等である場合は、1日につき300円である。

病院又は診療所は、食事療養に要した費用につき、標準負担額の支払いを受ける際、その支払いをした被保険者に対して、標準負担額とその他の費用を区分して記載した領収証の交付が義務付けられている。標準負担額は、高額療養費の対象とはならない。標準負担額は、保険者に「標準負担額減額申請書」を提出し、「標準負担額減額認定証」の交付を受け、病院等の窓口に被保険者証等とともに提出することで減額される。減額対象者に該当しながら、やむを得ない事情で、「標準負担額減額認定証」の交付を受けられなかった場合は、減額相当分については療養費払いの形で払い戻しを受けることができる。

高額療養費

保険診療をうけた被保険者・被扶養者ともに自己負担額が一定額以上(入院時の食費は対象外)になると、その超えた部分が「高額療養費」として、支給される。自動払いのため手続き不要。この制度は患者の自己負担軽減を目的に設計されている。更に同一世帯で1年間(直近12ヶ月)に高額療養費の支給が4回以上になった時、4回目から自己負担限度額が変わる。

対象者の種類
自己負担限度額(1人1ヶ月レセプト1件につき)
4回目からの自己負担限度額(1人1ヶ月レセプト1件につき)
一般
72,300円+(かかった医療費の総額−241,000円)×1% 40,200円
上位所得者(被保険者の標準報酬月額が56万円以上の者)
139,800円+(かかった医療費の総額−466,000円)×1% 77,700円
低所得者(市町村民税非課税世帯に属する者)
35,400円 24,600円

合算高額療養費

高額療養費の自己負担限度額に達しなくても、同一月に同一世帯で2人以上がそれぞれ21,000円以上になった場合、これらを合わせて自己負担限度額を超えたときに合算高額療養費が支給される。同一人が同一月に2つ以上の医療機関にかかり、それぞれ21,000円以上になった場合も同様。

埋葬料

被保険者が死亡したとき、家族が埋葬したときは埋葬料、家族がいない場合、実際に埋葬を行った人(友人等)に対し埋葬費が、被扶養者が死亡したときには家族埋葬料が支給される。

 
対象者
法定給付
埋葬料
被保険者(本人)
標準報酬月額の1か月に相当する額
最低保障額100,000円
埋葬費
被保険者(本人)
埋葬料の限度額内で実費
家族埋葬料
被扶養者(家族)
100,000円

繰上徴収

事業主に強制執行や破産の宣告等の事由がある場合に、納期限前の保険料を特別に徴収できる。納期限を過ぎた時は、保険者は督促状を発する必要がある。納期限を過ぎた保険料については繰上徴収の事由が発生しても繰上徴収できず、督促状の指定期限までに納付されなければ国税滞納処分が行われる。

不服申立


審査官に対する審査請求の対象審査会に対する審査請求の対象
健康保険法資格、標準報酬、保険給付保険料、滞納処分
厚生年金保険法資格、標準報酬、保険給付保険料、滞納処分、脱退一時金
国民年金法資格、給付、保険料脱退一時金

処分/申立先被保険者の資格、標準報酬、保険給付に関する処分保険料等の徴収金の賦課、徴収の処分、滞納処分
社会保険審査官審査請求
社会保険審査会再審査請求審査請求
裁判所訴訟の提起

期限
審査請求60日以内に審査官へ(文書、口頭)
再審査請求60日以内に審査会へ(文書、口頭)。審査請求後60日経過・決定なし
処分の取り消しの訴え社会保険審査会の裁決を経た後でなければ、提訴できない。

国民健康保険法

保険者

国民健康保険法の保険者は市区町村、国民健康保険組合である。他の法律では保険者=政府となるものが多いが、政府は入らない。因みに健康保険法は、政府と健康保険組合が保険者である。市区町村には、国民健康保険を実施する義務がある(3(1))。保険者が市町村なのは国民健康保険法と介護保険法である。

保険者
市町村、特別区 実施:義務あり
国民健康保険組合実施:任意
要件:15人以上の発起人が規約作成、組合員となるべき者300人以上の同意、都道府県知事の認可
医師、薬剤師、食品販売業、弁護士等の組合が存在する。

被保険者
市町村、特別区 原則 その区域に住所を有する者
適用除外
  • 各職域保険の被保険者、被扶養者(健康保険、船員保険、国家公務員共済組合、地方公務員等共済組合、私立学校教職員共済組合。健保には日雇特例被保険者を含む。但し実際に健康保険の適用を受けることのできる者に限る。
  • 生活保護法による保護を受けている世帯(その保護を停止されている世帯を除く)に属する者
  • 国民健康保険組合の被保険者
  • その他特別の理由がある者で、厚生労働省令で定める者
国民健康保険組合原則 組合員とその世帯に属する者
適用除外
  • 上記の市町村が行う国民健康保険と同様。但し3番目のものを除く
  • 他の国民健康保険組合の被保険者

国民健康保険組合

国民健康保険組合を設立しようとする時は、主たる事務所の所在地の都道府県知事の認可を受けなければならない。地方分権整備法によって、ほとんどの法律に都道府県知事が登場することがなくなった。しかし保険者が市長村の法律では、上級庁が都道府県知事になるため登場する。

国民健康保険組合の認可の申請は、15人以上の発起人が規約を作成し、組合員となるべき者300人以上の同意を得て行うものとする。都道府県知事は、認可の申請があった場合において、当該組合の地区をその区域に含む市町村の長の意見を聴き、当該組合の設立によりこれらの市町村の国民健康保険事業の運営に支障を及ぼさないと認めるときでなければ認可をしてはならない(17(3))。

保険給付の種類
法定給付保険者が必ず行わなければならない給付 療養の給付、入院時食事療養費、特定療養費、療養費、訪問看護療養費、移送費、高額療養費、特別療養費、特例療養費
法定任意給付行うのが原則。特別な理由があればその全部又は一部を行わないことができる 出産育児一時金、葬祭費、葬祭の給付
任意給付任意で行うことができる給付 傷病手当金、その他の保険給付

国庫負担
種類保険者負担内容
事務費負担金市町村介護納付金の納付に関する事務の執行に要する費用
組合国民健康保険(事業全部)の事務の執行に要する費用。老人保険拠出金、介護納付金に関する事務を含む
療養給付費等負担金市町村 療養給付費等、老人保健医療費拠出金、介護納付金の納付に要する額の100分の40
調整交付金 市町村財政調整のための交付


老人保健法

保健事業
保健事業医療等医療等以外の保健事業
実施主体市区町村長市区町村
種類医療(医療費の支給を含む)
診察。薬剤又は治癒材料の支給。処置、手術その他の治療。家庭における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護、病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護。その他政令で定める給付
健康手帳の交付、健康教育、健康相談、健康診査、機能訓練、訪問指導、その他政令で定める事業
入院時食事療養の支給(医療費の支給を含む)
特定療養費の支給(医療費の支給を含む)
老人訪問看護療養費の支給
移送費の支給
対象者市町村の区域内に居住地を有するもので、かつ、
70歳以上の者、又は、65歳以上70歳未満で一定の障害の状態にあると、市町村長の認定を受けた者
市町村の区域内に居住地を有する40歳以上の者。但し医療保険各法その他の法令に基づく事業のうち医療等以外の保険事業に相当する保健サービスを受けた場合又は受けることができる場合は、行わないものとする

統計

総務省統計局・労働力調査(2003.4)

完全失業率は5.4%と前月と同率。男性は5.6%と前月に比べ0.1ポイントの低下、女性は5.1%と前月に比べ0.3ポイントの上昇。完全失業者数は385万人で、前年同月に比べ10万人の増加、2月連続の増加。

H13年度版医療保険白書

国民医療費の推移

平成10年度の国民医療費は、29兆8251億円に達しており、国民1人あたりで健常者を含め、約23万6千円を要している。近年、国民医療費は国民所得の伸びを上回って伸びており、国民所得の約8%を占める。中でも老人医療費は、高齢化の進展に伴い増加しており、国民医療費全体の3分の1を超える。

財源別国民医療費の推移

昭和40年度の国民医療費に占める国庫負担の割合は、22.1%であったのに対し、昭和55年度には30.4%%にまで上昇している。しかし、昭和59年の健康保険法の改正による被保険者本人の1率負担の導入や退職者医療制度の創設による国民健康保険の国庫負担の合理化により、昭和60年度には26.6%にまで減少しており、近年は、24%前後を推移している。

年齢区分別の医療費の差異

国民医療費を年齢別構成割合でみてみると75歳以上の者の医療費は6兆576億円で全体の25.8%、70歳以上の者の医療費が8兆8623億円で37.7%を占めている。65歳以上の者の医療費が11兆4861億円で48.9%』と全体の医療費の半分近くを占めている。

これらの医療費を健常者も含めた、1人当たりの医療費でみてみると、15歳から44歳の医療費が約8万円、45歳から64歳の医療費が約19万円であるのに対して、65歳以上の医療費は、約56万円、70歳以上の医療費は、約65万円を要している。

人口の高齢化の将来予想

昭和60年には、65歳以上の老人人口の割合は、10.3%あったのが平成11年には、16.7%と増加し、平成27年のは、25.2%増加し、その後は緩やかな増加に転じ、平成42年には、28.0%に達し、その後、再び増加傾向が強まり、平成62年には32.3%になるとみられている。

平均寿命の推移

昭和22年に戦後最初の国勢調査をもとに作成された第8回生命表で男性50.06年、女性53.96年と男女とも初めて50年を超え、昭和30年の第10回生命表では、男性63.60年、女性67.75年と大幅な伸びをみせ、この間、昭和25年に女性の平均寿命が60年を超え、男性も翌26年に60年を超えた。以来、平均寿命の伸びは多少緩やかになったものの、着実に改善を重ね、昭和35年から今日に至るまで10歳以上伸びている。

疾病

最近の死亡順位をみると、第1位が悪性新生物、第2位が心疾患、第3位が脳血管疾患。国民医療費を疾病別に分類し、その占める割合は、第1位が循環器系疾患で23.2%、第2位が新生物で10.8%、第3位が消化器系疾患で8.1%となっている。

医療費等の将来推計

医療に係る社会保障給付費は、2000年度(平成12年度)は24兆円から2025年度(平成37年度)には71兆円にまで増加するものと見込まれており、年率4.4%の伸びとなっている。これを患者負担を含めた医療費でみると2000年度(平成12年度)は29兆円から2025年度(平成37年度)には、81兆円になると見込まれている。このうち、老人医療費の占める割合は35%から56%にまで達し、2000年度10兆円から2025年度45兆円に増加すると見込まれている。

医療保険制度の加入状況

医療保険の加入者数は、市町村の国民健康保険が約4224万人、政府管掌健康保険が約3732万人、健康保険組合が約3212万人となっており、全体として、被用者保険が約6割、国民健康保険が約4割占めている。近年、市町村の国民健康保険における被保険者数が増加しており、平成11年度には、6年度に比べ約400万人増加している。

健康保険組合の財政状況

近年の経済情勢や医療費の増加傾向により、健康保険組合の財政状況も悪化傾向にあり、組合は保険料率の引き上げ等により対応している。しかしながら、なおも赤字組合は多く、平成10年では966組合(全組合の53.9%)、平成11年度見込みでは1243組合(全組合の69.8%)が赤字となっている。

都道府県別1人当たりの医療費

国民健康保険の被保険者1人当たり医療費の全国平均は、平成10年度で35万4079円である。1人当たり医療費の高い県上位は、山口県、北海道、高知県、広島県、徳島県、福岡県、鹿児島県、富山県、石川県、長崎県となっている。これが、一般に医療費の西高東低といわれている。