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有料道路研究センターの沿革 |
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ご意見、ご感想などは e-mail (←をクリック)でお聞かせ下さい。 特に年月日の記載がない記事は、全て2010年4月17日付のものです。 |
有料道路研究センターは、2001年3月、代表者 織方弘道の個人的活動として、下記の「基本理念」に基づき、インターネット上で開始されました。この理念は現在でも変わっていません。当時は、まだ道路4公団民営化の議論が始まる前でしたが、既に行き詰まっていた本四公団だけでなく、やがては他の道路公団の経営が行き詰まることは避けられない、という見方が高まっていた時期でした。
因に、有料道路は、本来、次のような優れた特徴と利点を備えた、社会インフラであると考えています。
1. 必要性の高い道路を、予算にとらわれず借入金などを活用して、短期間に完成することができること
2. 道路の建設、管理に必要な費用を、利用の程度に応じて利用者に公平に負担して貰うことができること
3. 交通渋滞などを避けるために、ロードプライシングの機能によって交通量のコントロールができること
従来は、専ら予算不足を補う暫定的な特例としての意味合いが強かったのですが、世界的にも負担の公平化の役割が増大する方向にあります。
また、従来ガソリン税に大きく依存してきた道路財源が、燃費の効率化、多様化などによって減少に向かうことは避けられず、これを補う必要から、また環境対策や渋滞対策の観点からも、道路利用の有料化=ロードプライシングの導入が進むと考えます。
基本理念
Toll Road.org は、有料道路に関するすべての分野について研究し、発言する非営利のシンクタンクです。
Toll Road.org は、政府、公団などの特殊法人、すべての企業から独立し、有料道路利用者の視点に立って考え、行動します。
Toll Road.org は、当面、代表者の個人的活動により運営されますが、賛同される方々の参加を得て、
NPOへの展開をめざします。
Toll Road.org は、有料道路研究センターのURL(ドメイン) http://www.tollroad.org を図案化したものです。NPO への展開については、道路公団民営化が決着した段階で、今後の見通しが立たなくなりました。このまま、代表者が老骨に鞭打って、個人的な活動によって運営されることになりそうです。
有料道路は、日本の社会のあらゆる分野で、重要な役割を果たしてきことはご承知のことと思います。名神・東名に代表される高速道路ネットワークをはじめ、首都・阪神高速道路、本州四国連絡橋など、主要な道路は、すべて有料道路として整備されたのですが、1990年台に入って、これらの有料道路の運営主体である各公団の経営状況について、その将来を懸念する声が日に日に高くなって来ていました。
本四公団が、料金収入では金利も払えず、借入金が雪だるま式に増えていくのが誰の目にも明らかになったことが一つの大きな要因になっていたと考えられます。また、日本道路公団の東京湾アクアラインも、同じような観点から注目されていました。
政府も行政改革の一環として特殊法人の改革を緊急課題として取り上げていました。一方、2001年1月号の「文芸春秋」に「構想日本」の加藤秀樹氏が「シュミレーション 日本道路公団の破綻」と題する論文を発表、道路公団の公開資料を分析し、このままでは「破綻するしかない」と警告、「経営形態のあり方」を含めて「徹底的に厳しく分析する」必要性を訴えていました。
私自身、長年、日本道路公団に勤務し、退職後も有料道路関連の仕事に従事する中で、公団の将来に対して危機感を持ち続けてきました。1980年頃から採算性に疑問がある道路が、公団の経営上の自主的な判断を入れる暇もなく、旧建設省の指示、命令のままどんどん建設され、「経営の自主権」が発揮できないという点では、公団は既に「第二の国鉄」になっていると危惧していました。
公団在職中も退職後も、機会を捉えては公団経営の見直しを訴えてきました。そこで、公団の関連会社退任を機会に、人生最後のご奉公として、有料道路に関する知識・経験を生かして、世の中のお役に立つ活動をと考えて始めたのがこの「有料道路研究センター」です。
当時の公団の状況を正しく把握し、問題点を洗い出す中で、今後の公団改革の方向が自ずから浮かび上がって来る筈だと信じていました。民営化も有力な選択肢として視野に入れていましたが、あくまで冒頭に掲げた基本理念に基づき、公開された議論の中から結論づけられて来るのを待つ方針でした。しかし、後述するように、思わぬ経過を辿ることになりました。
もう一つ、2001年の4月から、国交省の強引な指導のもとで、問題点の多いETCの運用が開始されようとしていました。この点についても「利用者の視点」から注意喚起をしておく必要を痛感していました。
2001年6月に、変人と呼ばれていた小泉純一郎氏が首相の座につき「自民党をぶっ潰して」でも道路公団の民営化を断行すると叫んで、国民から拍手喝采を受けたことをご記憶の方も少なくなったかも知れません。
ところが、道路公団の現状で何が問題か、その原因は何か、などの検討がほとんど行われないまま「道路公団の民営化」という結論だけを前提にした議論が進められることになってしまいました。
そこで、有料道路研究センターとしては、道路公団の問題点をふまえて、本当の改革の名に値する「民営化」とはどういう組織であるべきか、どういう条件を満たさなければならないかについて、主としてこのホームペジで積極的に発言し、提言を行ないました。外部に発表したまとまった論文としては、日本道路公団の職員有志と共同で執筆し、朝日の月刊誌「論座」(2002年3月号)に掲載された「高速道路の建設続行は幻想だ(公団改革派が世に問う民営化シナリオと営業試算)」があります。
これらの発言にマスコミも関心を寄せ、多くの取材を受けましたが、大部分の記者は、有料道路、道路公団に対する基礎知識がなく、長時間に亘る基本からのレクチャーが必要でした。また、野党の勉強会に講師として呼ばれたり、後日、衆院の交通委員会(2003年3月25日)の参考人としても出席したりしました。どこでもマスコミと同様に、有料道路制度、道路公団の現状に対する認識不足が痛感させられる日々の連続でした。
また、2002年7月19日には、民営化を応援する目的で「道路公団民営化推進 シャドウコミッティー」が発足し、その委員にも就任しました。*(*印がついた事項については「道路4公団民営化の失敗」のページをお読み下さい。)
この委員就任後、政府の「民営化推進委員会」を欠かさず傍聴しましたが、今井委員長の「政府、与党が受け入れられる答申」に拘泥する優柔不断な議事運営と、猪瀬委員の独断的で自己中心的な言動に加えて、結局は政府、与党が満足する結論に向けて「暗躍」されたとの印象が強く残っています。
長い民営化の議論の結果は、大山鳴動ネズミ一匹、道路公団問題の根幹であった、机上の借金返済計画に基づく「 償還主義」と東名・名神など優良路線の料金収入で北海道や四国などの赤字を返し続ける「全国プール制」、例えば普通車の通行料金は原則として全国キロ当り約25円とする「全国一律料率制」もそのまま温存し、従来の高速道路建設計画も続行するという、民営化の目的から離れ、改革の名に値しない惨憺たるものに終わりました。
道路族と建設官僚の既得権益はしっかり守られました。その上に、「独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構」という天下り法人を作り、従来の公団の権限をほとんど取り上げ、公団は保有機構の言いなりになる下請け企業に変身するという「民営化」が出来上がった訳です。*
さらに、国交省は、このドサクサに紛れて、採算の悪い高速道路は、国が公団から取り上げて自分で建設するという「新直轄方式」に関する法律をいち早く成立させました。当時、全国的に国道の改修が進んだ結果、国交省が工事を発注する「直轄区間」の場所が少なくなってしまい、国の道路特定財源が余り始めていました。
余る位なら社会保障や環境対策など、他の一般財源をまわすべきではないか、との声が政府部内でも聞かれるようになり、道路族、建設官僚は危機感を抱いていましたから「新直轄方式」の導入によって、道路特定財源を他の目的に転用する意見を封じ込め、国交省が自分の手で、採算の取れない高速道路をどんどん作り続けることに成功したのです。
この結果、「有料道路は、道路の費用負担が最も合理的で効率的な制度である」と言う、有料道路研究センターの基本的な考え方に反する、極めて不思議な誤った制度が残されました。
もっと悪いことに、野党第一党の民主党が、2003年の衆院選の大衆受けを狙って「高速道路無料化」をマニフェストに掲げることを決定した結果、政府・与党案の問題点の指摘・追求がおろそかになってしまいました。*
しかもその後、2009年の総選挙で民主党が高速道路無料化をマニフェストに掲げて過半数の議席を確保してしまいましたから、目下の最大の問題は「高速道路無料化」をどう考えるかに変わってきています。
ETC については、国交省主導のETCに限定した大幅な料金割引、車載器に対する補助金の支出など、強引ともいえる政策のおかげで普及率も上がり、料金所の渋滞解消の目的はほぼ達成されたと見受けられます。車載器は値段が下がり、精度も上がっているようです。日本の機器メーカーの技術水準の高さには、敬意を表しておきます。
ただ、料金収受用には不必要な高度な仕様のままで、高い車載機を、面倒な手続きと高い取付料を払って取り付ける不便さは変わっていません。料金所を不法に突破する車両の対策、ETCゲート周辺での料金収受員の死傷事故、車両同士の追突事故などの危険をはらんだままの実情にあることも変わりありません。
天下り機関「財団法人道路システム高度化推進機構」の存在、政治的な要請に従ったETC利用者限定の料金割引も依然として続いています。ETCの料金割引と高額な設備投資、ETC専用のスマートインターの増設が高速道路会社の経営に及ぼす影響も懸念されます。
これらの点については、今後も利用者の視点に立って監視を続けて行く必要があります。
有料道路の正しいあり方を完全に無視した道路4公団の間違った「民営化」が実現したことに加えて、民主党政権による「高速道路無料化」の問題が大きくのしかかってきています。無料化に必要な財源の観点からだけでも、政府が1000兆円にも達する巨額債務を抱えている状況から見ても実行不可能な政策です。
世界的に目を転じますと、冒頭にも書きましたが、財源不足を補うために多くの国で有料道路制度の活用が進められています。ドイツのアウトバーンでは2005年1月から大型トラックについてGPS を利用したETCを使って料金を徴収しています。アメリカでは2020年を目標に、ガソリン税の代わりに走行距離に応じた課金をする方針が、与野党、上下両院の検討委員会で全員一致の賛成で決められました。
オランダでは2012年から5年計画で、こちらは環境対策などの見地から自動車交通を抑制するために、やはりGPS方式で走行距離に応じた課金を行う法律の審議が進んでいましたが、成立直前に行われた突然の政権交代によって、残念ながら、目下、棚上げされてしまっています。(2011年6月30日改訂)
(これらの問題については「世界の有料道路 概要と最近の動向」をご覧下さい。)
この他にも、世界の高速道路と有料道路に関する動きには学ぶことが極めて多く見られます。世界の動向に注目し日本に役立つ情報を収集して、皆さんに紹介していきたいと考えています。
このホームページ全体をお読みいただく中で、高速道路と有料道路をめぐる多くの問題点を十分ご理解いただきながら、有料道路の存在意義を改めてご認識いただきたいと願っています。有料道路研究センターの使命は一層重くなったと信じます。
1932年生まれ;1957年から約30年間、日本道路公団に勤務(主として営業、管理部門);公団退職後 1999年春まで料金収受システムのメンテナンス、コンサルティング会社の経営に従事;2000年9月 IBTTA(世界有料道路協会)の名誉会員に選任される;2001年3月有料道路研究センターの活動を開始;2009年3月「高速道路問題を考える会」の設立に参加; おがた こうどう
ロゴマーク このロゴは、著名なデザイナー原田 進(進む原田)氏の作品です。2001年5月21日から使用を始めました。原田氏は、当センターの活動の趣旨に賛同され、無料奉仕でデザインして下さいました。この場を借りて、改めて心から厚く御礼申し上げます。