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補足 メッシナ海峡大橋 New !
中国の高速道路 New !
イタリアは、世界でも最も早く高速道路の建設が始められた国だと言って良いでしょう。特に1924年にその一部が完成し翌1925年に全線が開通したミラノとコモ湖地方を結ぶ路線(延長24km)が、世界で最初の有料の高速道路と言われています。
現在、イタリアには約6,500kmの高速道路(自動車道=Autostrada 、 複数形がAutostrade)がありますが、そのうち約5,600kmが民営化された有料道路で、残りの900kmが国が管理する無料の高速道路です。
左の地図で、白抜きの線の部分が国営の無料区間、緑の線が民営化された有料区間です。無料なのは、トリノの南にある取付道路的な短距離区間、ローマの大環状道路とそこから国際空港までの区間及び南部の低開発地域内の区間です。シチリア島内でも、大きい都市を結ぶ区間や近年開通した区間は有料化されています。
無料区間を管理しているのは、ANASと呼ばれる組織です。通称「道路庁」と呼ばれる国土省の外局でした。 Azienda Nationale Autonoma delle Strade の略称ですから「独立した道路を担当する国の事業体」の意味で、さしずめ最近日本ではやりの独立行政法人と言うべき組織でした。ところが、そのANASが2003年に民営化されてANAS SpA(株式会社)に変わりました。これはイタリアの財政状況がEUが定める基準を下回っているため、これを改善する手段として債務残高が大きい道路部門を国の予算から切り離す措置だったようです。
有料区間約5,600kmは、全てがConcession方式で認可を受けた23社の民営会社(シチリア島内は組合)によって管理されており、他に現在建設中の路線だけの新しい会社が2社あります。23社の中で最大の規模を持つのが、通称 Autostrade社です。以下Autostrade社に絞って説明しておきます。
右の地図で濃い青色がAutostrade社とその子会社7社=Autostradeグループが管理する区間(約3,400km)で、全有料区間の約60%
を占めます。淡い青色がそれ以外の民営会社と国が管理する区間です。
Autostrade社は、1950年に政府機関であるIRI (産業復興公社)の出資で設立された国策会社で、1964年にミラノ・ナポリ間の太陽道路約800kmを開通させて一躍有名になりました。
1980年代に入って、政府の財政再建のためにIRIの持ち株が順次一般に放出され、1987年には株式市場に上場されました。1999年に政府系の株式全部の売却が完了し、完全な民営会社になった訳です。
2003年にAutostrade社は持株会社になり、運営会社はAutostrade per l'Italia SpA と命名されました。
株式の50.1%が安定株主である Schemaventotto SpA の所有で、残りの49.9%が売買取引の対象です。安定株主であるSchema.社は、服飾会社として有名なベネトングループが60%、スペインの有料道路運営会社であるAbertis社とトリノの金融財団 Fondazione CRT が各13.3%ずつ、他に銀行、保険会社各1社が6.3%ずつをもっていました。
2006年に、Abertis 社とAutostrade社が合併する案が両社の取締役会で決定され 、世界最大の高速道路会社誕生か!と騒がれましたが、イタリア政府の反対が強く実現しませんでした。2007年に持株会社が、Autostrade 社からAtlantia SpA に名称変更が行なわれましたので、Autostrade社といえば運営会社のAutostrade per l'Italia SpAを指すことでわかり易くなりました。因に、Atlantia社 の会長、社長がAutostrade社の会長、社長を兼務しています。
Atlantia社は、高速道路の情報提供会社、高速道路沿線の通信ネットワーク会社を運営するほか、イタリア以外でも、ポーランド、チリ、イギリス、アメリカの有料道路事業にも出資し、活発に活動しています。
Atlantia社の2006年の決算概要をざっと見ておきます。総収入(殆どが料金収入)約5,000億円、営業利益(EBITDA)約3,000億円、純利益 約1,000億円。配当性向 53%。額面1ユーロの株が20〜24ユーロで取引されているため、配当利回りは2.8%です。格付会社の評価は、S&PがA、Moody'sがA3です。
Concession 方式の高速道路に関して一番気になるのは、 契約期間だろうと思います。スタート時には1995年まででしたが、その後数度に亘って延長改定が行われてきました。現時点での期限は1997年に延長されたもので、一部の例外を除いて、2038年までになっています。
従来の例から見ても、混雑区間の拡幅などの改良工事が実施される都度、その工事費の回収に必要な期間の延長が今後とも引続き行われると考えるのが妥当ではないでしょうか。もし期間が満了しても、無料にするのではなく、その時点で新しいConcession 契約が結ばれることになる可能性が高いと見られています。
Autostrade社では、日本より10年以上も早く、1990年からTele-pass と呼ばれるETCを導入していますが、2011年でも普及率は57.4%に止まっています。車載機は会社から借りられ(レンタル料1月当たり約1ユーロ)取付費無料でもこの程度です。日本のETCに対する料金割引の魔力が良く分かります。現在では、自動料金収受機(利用者が出口で通行券を機械に挿入し、現金またはクレジットカードなどで支払を済ませる)の増設によって料金収受員を減らし管理経費を削減する努力をしているようです。詳しくはETCのページをご覧下さい。
補足 メッシナ海峡大橋 (2012年3月11日記)New !
イタリア本土とシチリア島を結ぶメッシナ海峡大橋は、2008年に着工され2015年には完成の運びになる予定でしたが、政権交替のあおりで2006年10月に計画が一旦凍結されましたが、2008年4月の総選挙でベルルスコーニが返り咲き、事業が再開されました。
架橋計画は、ベルルスコーニ首相の時に決定され、2006年10月には入札が行われました。落札したのは、イタリアのImpregilo社が率いるEurolink社です。日本のIHI社も参加していて、橋梁本体を担当します。落札額は約39億ユーロ。
計画の概要は、延長3,660mの鉄道併用橋で、センタースパン3,300m(現在の最長は明石海峡大橋の1,991m)、橋塔の高さ399m(現在の最高はフランス、ミヨー高架橋の343m)、複線の鉄道の両サイドに2車線(プラス 非常用1車線と歩道兼管理用1車線)で幅員60.4mの超大型の吊り橋です。
事業主体は、Concession契約を結んだ Stretto di Messina SpA(メッシナ海峡株式会社)です。出資者は、発注者であり監督者でもあるANASが81.8%、イタリア国鉄が13%、橋の両側の州がそれぞれ2.6%が出資者になっています。政府直轄の受託者といった感じです。
2009年11月に国と受託者の正式協定が結ばれ、翌12月から本土側の鉄道分岐部分の障害物の除去工事が着手されましたが、地元との協議が終わり最終設計が完了したのが2011年8月でした。目下、環境影響評価が行われており、工事の完成目標は2018年とされています。
現在のEU全体の財政状況がどう影響するのか、気になるところです。
フランスの高速道路(Autoroute=自動車道)の整備は、ドイツ、イタリアなどに較べて遅れて始まりました。それは普通の国道が良く整備されていて、余り必要性が感じられなかったからとも言われています。
有料の高速道路制度が出来たのが1955年、最初の高速道路ESCOTA(Esterel-Cote d’Adur)が開通したのが1961年で、どちらも日本より2年ほど早いだけです。
制度としては、半官半民の「混合経済会社」SEMCA (Societes d’Economie Mixte Concessionnaires d’Autoroutes)方式がとられ、各地に多くのSEMCAが作られましたが、経営状況の悪化にあわせて合併、統合が行われてきました。
1970年代に入って民営のコンセッション会社が参入を始めていましたが1983年に石油ショックに遭遇して、コフィルート社以外は最寄りのSEMCAに統合されてしまいました。同時にSEMCAへの財政支援と財政状況を均等化する措置も講じられ、並行して高速道路建設促進のマスタープランが作られました。
1993年の時点で、単独の橋やトンネルを運営する小規模の会社を除けば、SEMCAは6社に統合されていましたが、更に赤字の会社が黒字の会社の子会社になる措置がとられ、3グループに再編されました。
2003年には道路財源を補うために、SEMCAの増資資金を市場から調達することによって民営化に一歩踏み出し、そして2005年6月にSEMCAの政府保有株の放出の方針が決定されたのです。
2005年12月14日、フランス政府は、3グループ高速道路株式会社の民営化が完了したことを発表しました。ASF(南フランス高速道路会社)、APRR(パリ・ライン・ローヌ高速道路会社)、SANEF(北東フランス高速道路会社)の3社です。
フランスには17の高速道路会社がありますが、広いネットワーク(開通延長)を持つのは、次の4社(グループ)です。
ASF (左図の青色部分)2963km
APRR (左図の薄茶部分)2233km
SANEF (左図の緑色部分) 1743Km
Cofiroute(左図の茶色部分) 928km
4社の中で、Cofiroute(自動車道金融産業株式会社)だけは発足時から完全な民間資本だけの会社です。
2005年夏の時点で、ASFの50.3%、 SAPRRの70%、 SANEFの73%の株を政府が保有していました。
政府が保有株の全面売却に踏み切ったのは、国の財政窮乏を緩和する目的で、同時に財政健全化を求めるEUの要請に応えるためでもありました。入札は8月下旬に行われましたが、落札者の決定迄4ヶ月もかかったのは、入札の価格だけでなく総合的な見地から落札者が決められたためといわれています。
ASFの落札者は、フランスの建設業者 Vinci でした。Vinci は既にCofiroute社の株式の65%を保有しています。 SAPRRの落札者は、フランスの建設業者Eiffageとオーストリアの投資会社マッコーリー社の合弁、 SANEFの落札者は、スペインの建設業者Abertisです。SAPRRの入札にはイタリアのAutostrade社も参加していましたが、フランス2社、外国1社でバランスを取った形です。
落札金額は、3社合計で約2兆1千億円。30年の特許期間の権益として、高いのか安いのか評価は出来ませんが、政府当局は満足しているようです。因に、落札価格は、3社の年間料金収入合計約6400億円の3.3年分で、3社の利益合計約800億円の26年分に当たります。
先ずは写真をごらん下さい。このミヨー高架橋(Millau viaduc 仏 viaduct 英)の開通式(2004年12月17日)には、シラク大統領も出席して華々しく行われました。

ミヨー高架橋全景 左がパリ方向 料金所は写真の左外側
小さいTarn川が中央に流れる峡谷をひとまたぎにする全長約2.5kmの斜張橋。幅員27.5mですから、今は2×2車線ですが3車線に拡幅できる余裕を持っています。制限速度130km/hの完全な高速道路です。
イギリスのノーマン・フォスター卿が設計した優雅なデザインと、エッフェル塔の300mを超える世界で一番高い*343mの橋塔、新しい建設技術などが自慢です。ちなみに明石大橋の橋塔は297m、東京タワーは333mです。(*東京スカイツリーの完成時の高さは634m)
両側の丘陵をトンネルで抜け、短い橋で渡る案もあったようですが、下の写真を見ると、この設計が正解だったことが良く理解できます。
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建設中の様子
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完成間近の様子
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霧が発生しても路面はその上にあり、雲の上を走るような幻想的なドライブが出来そうです。
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2008年にはミヨー高架橋の前後約40kmも完成して全線が高速道路としてつながりました。また、右の地図の赤線の区間の中で、ミヨー高架橋以外は、無料の高速道路です。
この高架橋は、有料の高速道路としてエファージュ・ミヨー高架橋株式会社(CEVM La compagnie Eiffage du viaduc de Millau)に75年間の営業免許が与えられています。エファージュ社は、フランス第3位の建設事業者(ゼネコン)です。そして、ミヨー高架橋はエファージュグループ各社の参加によって3年で完成されました。約520億円の建設費は、全てエファージュ社が民間資金を調達しています。
料金所は、橋の北側約6kmの所にあります。18レーンあり、ETCは導入されていません。バカンス客や長距離トラックなどが多く、通勤利用者が少ないことからETCの必要性は低いと思われます。
料金所から橋の500m手前までは、地元県の事業として建設され、管理されています。料金は、乗用車が5ユーロ(夏季は6.5ユーロ)、トラックは年間を通して、普通トラックが18ユーロ、トレーラーが24.30ユーロです。交通量は夏季で2万5千台、通常は1万台と予測されていましたが、開通後1年間の実績は、計画を24%上回り、2006年8月12日には53,795台の最高交通量を記録したとのことです。
高速道路ネットの切れていた路線の中でも、もっとも利用価値の高い区間だけを有料道路として選んだこと、ゼネコンが有料の高速道路事業に参入して、しかもそのゼネコングループが単独で工事を施工したことなど、日本の高速道路民営化、建設工事の進め方にとって参考になる点が極めて多いと考えます。
アウトバーンの大型トラックの有料化は、連邦政府が実施している国営有料道路というべきもので、料金はむしろ税金の色彩が濃いといえます
ドイツには、アウトバーンの有料化とは別に「民間資金による幹線道路建設法」が1994年に制定され、他のヨーロッパ諸国と同様に、コンセッション方式による民営の有料道路が建設できるようになっています。
その第一号として2003年9月にオープンしたのがWarnou Tunnel です。ハンザ同盟都市として有名なRostock 市にありますので Rostock Tunnel とも呼ばれています。
Rostockはベルリンの北北東約220kmにあり、バルチック海に面した旧東ドイツの主要な港湾都市です。道路の整備が遅れていて、このトンネルの場所にはWarnou河の両岸を結ぶフェリーボートだけが運行され、自動車交通は大きく南を迂回する必要があり、不便を極めていました。
事業主体は「Warnouトンネル株式会社」で、オーストラリアの投資銀行Macquarie社を中核としてドイツの銀行も参加した金融グループが70%、フランスの建設会社でこのトンネルを施行したBouygues社が30%出資しています。
Macquarie社は、世界中の有料道路事業に顔を出していますが、Bouygues社も60カ国で事業を展開していて、1995年に完成した時には世界最長の斜張橋だったノルマンディー橋や、1993年に開通した英仏海峡トンネルの工事が有名です。
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トンネル東側坑口
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料金所全景 上に見えるのがWarnou河
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トンネルは潜函工法で建設されました。120mの潜函を6個連結、トンネル延長は720m、前後の取付け道路を含めて総延長は4.2kmです。総工事費は約340億円で、約10%の補助金が支払われた他は民営会社が市場から調達しています。
料金は車種ごとに、夏期料金、冬期料金、自動料金があり、乗用車の例で見ますと、夏期が2.5ユーロ、冬期が2ユーロ、自動が1.5ユーロです。レジャー客が多い夏の料金が割高に設定されています。自動というのはETCと「10回カード」のことで、「10回カード」をゲートの器械に差し込むとバーが上がって通行できます。カードは15ユーロ入金しておけば10回通行できて、積み増しして反復利用できるものです。
面白いのは、ETCもカードも同じ割引になっている点です。収受員の要らない無人ブースの利用促進に狙いがあると思われます。コンセッション期間は30年間です。
もう一つ、2005年8月に開通した Herren Tunnel 有料道路を紹介しておきます。このトンネルは、やはりバルチック海に面した港湾都市 Ruebeck にあります。Rostock の西100km程の所にあり、旧西ドイツの東端に当たります。
以前から Trave 河を跨ぐ4車線の立派な Herren Bridge があるのですが、大型船が運航するため「跳ね橋」になっていましたから、しょっちゅう通行止めになり大渋滞を起こしていました。
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Herren 橋全景 トンネル完成後取り壊される
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跳ね上げ時の渋滞状況
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そこで、この橋を民営会社の手法で河底トンネルに作り替えることになりました。ヨーロッパ全域から参加希望社が募られ、資格審査に合格した4社で競争入札が行われ、価格だけではなく環境対策、資金調達、効率性、管理方式などが総合的に評価された結果、ドイツの大手建設会社 Hochtief社とBilfinger Berger社が共同で設立した「Luebeck Herren トンネル株式会社」に決定されました。
総工費は約225億円(旧橋の取り壊し費を含む?)に対して半額を超える124億円の補助金が投入され残り101億円を会社が調達しました。
中央の河底部分780mがシールド 工法で掘り進められ、その両側はオープンカット埋め戻し工法で全長1060mのトンネルになっています。
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管理は、イタリアのAutostrade社の担当で、コンセッション期間はここでも30年間ですが、30年経過後の措置について、次の3案の中から選ぶことになっています。
1. Luebeck 市が管理する(無料道路にする)
2. コンセッション契約を締結し直す(有料道路を継続する)
3. 連邦政府に移管する(アウトバーンに編入する)
ヨーロッパでは、道路の「無料公開の原則」などという意見は聞かれず、2.の方式を取るケースが普通に見られます。
中国の高速道路の発展には、目を見張るものがあります。中国で最初の高速道路として、大連〜瀋陽間の一部92kmが開通したのが1987年であり、つい数年前までは「五縦七横」(南北5ルート、東西7ルート)3万4428kmの主要幹線を30年目標で建設する計画でしたが、毎年3.000kmのペースで建設が進められ、2007年には完成してしまいました。
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中国の高速道路。開通前の写真か?日本の高速道路と構造が良く似ている。場所不明 www.pekinshuho.comから引用 |
中国の高速道路。右側通行を除けば、こちらも構造規格、風景共、日本と間違いそう。交通量は少ない。場所不明 www.pekinshuho.comから引用 |
そこで、2005年1月、国家交通部は、新たに「7918網」と呼ばれる総延長8万5000kmの高速道路網を2030年までに、約2兆元(26兆円)の予算で完成させる計画を発表しました。
北京から放射状に7本、中国全土を南北に結ぶルートを9本、東西に結ぶルーを18本建設しようと言う計画です。
台湾とも約130kmのトンネルで結ぶ計画も含まれていますから、現在の急速な経済発展が背景にあるとしても、文字通り壮大な構想です。 これに各省が独自に計画中の高速道路を合わせると、総延長は12万kmになると予想されています。
2010年1月18日の人民網日本語版によれば、2009年末の高速道路総延長は6万5千kmに達し、2020年までには10万kmになり2005年に発表した国の高速道路網が、計画より10年も早く完成するとされていました。ところが、その後の情報では2011年末には既に8万5千kmを達成したようです。2030年の計画が18年も早く計画を達成したことになります。10万kmと言えば現在のアメリカの高速道路の総延長に匹敵します。中国の高速道路延長がアメリカを超えるのも間近かのようです
左の地図は、国家交通部作成の「国家高速公路図」のうち、放射状の路線7本を示したものです。
中国の高速道路と呼ばれるものが、全て日本でいう高速道路規格なのかはっきりしませんが、2009年時点では約95%が有料道路であり、財源は、各州毎に多様な資金調達ルートを活用しているようです。
1992年に香港財閥のHopewell が、広東省の高速道路をBOT(Build, Operate and Transfer)方式で建設しましたが、中央政府はBOT方式の導入には慎重だったようです。しかし、その後、北京市が、京承高速道路にBOT方式を採用するなど、各地でこの方式が積極的に採用されるようになっています。
高速道路会社(有限公司)で香港の株式市場に上場しているところが現在5社あり、外国人の売買も可能です。上海など他の株式市場に上場している会社も見られます。
株式関連のサイトで上場会社の「沿革」を見て面白いのは、関連事業の種類です。旅客運送事業(路線バス?)(江蘇高速道路)、沿道の広告事業(浙江高速道路)、沿線不動産開発・投資(四川高速道路)位までは理解できますが、ハイテク分野への投資会社設立(安徽高速道路)まで拡げるのは首をかしげます。旺盛な事業拡大志向の現れでしょうか。
NNA BUSINESS MAIL ASIA版 ( http://nna.asia.ne.jp/ )の2005年4月5日号の記事「高速道路2兆元市場、民間に全面開放」によれば、中国政府は8万5千kmの建設に必要な2兆元の市場を「積極的に民間資本に開放することを決めた」と報じていました。
また、現在の道路投資の資金比率は「中央政府が約15%、地方政府が約45%前後、国内の銀行が30〜40%、5%前後が世界銀行やアジア開銀」であり、今後「急速に力をつけた民間企業の厚い資本力と経営力を活用」する考えだと伝えています。
更に、上記 BUSINESS MAILが「逆BOT方式」について触れています。今まで殆どの事業でBOT方式を採用してきた浙江省で、政府が建設・管理してきた杭州環状道路の経営権を、2004年末、25年間の期限付きで、民間企業に82億元(約1100億円)で譲渡したとのことです。アメリカの民間譲渡第1号とほぼ同時期なのには驚きます。
別のサイトによれば、この環状道路の延長は123km、建設費は70億元で、今度譲渡されたのは他の路線と重複する18kmを除いた105kmと書いてあります。単純に距離配分で計算すると譲渡区間の建設費は60億元になりますから、浙江省は、投資額を回収した上に22億元の臨時収入を得たことになります。
杭州環状道路の建設費はキロあたり約7億円、名神高速道路とほぼ同水準です。中国の高度成長とモータリゼーションの進展をみると昭和40年代の日本そっくりです。この状態が長く続けば、名神と同様に25年を待たずに資金を回収して、充分に利益の出る事業環境にあると言えます。
しかし、2011年9月12日付のSearchinaの情報によれば、2011年6月、施工中だった陝西省の高速道路では工事26区画中、資金問題ですでに24区画が工事をやむなく停止している状態であり、資金の枯渇、流動性の欠如が表面化してきているようです。
陝西省といえば中国の中央部の交通の要衝であり、首都は西安です。余りにも急激な道路建設投資は、日本の高速道路建設と同様に、右肩上がりの交通量の伸びが止まると、全体として赤字経営に落ち込む危険性をはらんでいます。