新世界より 上下
貴志 祐介著
ものすごくおもしろかった!
読み終わってすぐに上巻に戻って読み返しをはじめたら、何気なく読み落としていた場面の暗喩やdouble meaning が見えてきた。
物語は波瀾万丈で映画とかにしたらうける、と思う。でも、なんだろう、映像でなく小説でないと伝わらないものがあるような気がする。怖さ、切なさが、抜け落ちてしまいそうな気がする。じっくり考えて欲しいところが伝わらないような気がする。天才の手になる映画なら大丈夫なのかも知れないけれど……
なので、子供に読んで欲しい気持ち半分、読んでわからないなら読まない方がいい感じさえする。中途半端に受け止められるぐらいなら……と。でもそれでも読まれた方がいいのかも知れないが。
一人の女性の少女時代の回想、という体裁をとっている。
主人公渡辺早紀が12歳のころ、彼女自身も汚れを知らず周囲は牧歌的な光に満ちていた。
昭和の初期を思わせる風物。超能力「呪力」。何も知らされぬまま管理される子供たち。使役される「バケネズミ」。
それは呪力が発端となって起こった全地球規模の戦争から1000年を経て生き残った人間がやっとの思いで作り上げた理想郷だった。
その理想郷は何で支えられていたのか?
何が良かったのか悪かったのか、誰が良かったのか悪かったのか。
次から次へと、嫌になるような真相が明るみに出されて、どんどん人類は駄目駄目だ、という気持ちにさせられる。でも、何とかしようと思う人間はたしかにいて、つなげていくのかも知れない……と最後には感じさせてくれた。それは「新世界」という言葉の持つ力もあるのかもしれない。「新世界より」という音楽がしみこませたものか、ノスタルジアと希望。
|
新世界より 上
貴志 祐介著
税込価格 : ¥1,995 (本体 : ¥1,900)
出版 : 講談社
サイズ : 20cm / 498p
ISBN : 978-4-06-214323-3
発行年月 : 2008.1
新世界より 下
サイズ : 20cm / 573p
ISBN : 978-4-06-214324-0
発行年月 : 2008.1


内容説明
上巻
ここは汚れなき理想郷のはずだった。
1000年後の日本。伝説。消える子供たち。
著者頂点をきわめる、3年半ぶり書き下ろし長編小説!
子供たちは、大人になるために「呪力」を手に入れなければならない。一見のどかに見える学校で、子供たちは徹底的に管理されていた。
いつわりの共同体が隠しているものとは――。何も知らず育った子供たちに、悪夢が襲いかかる!
下巻
見せかけの平和がいま崩れる。
人類が手にしたのは、神の力か、悪魔の力か。
空前絶後のエンターテインメント、ついに佳境!
八丁標の外に出てはいけない――悪鬼と業魔から町を守るために、大人たちが作った忌まわしい伝説。いま伝説が、「実体」となって町に迫る。
新しい秩序とは、おびただしい流血でしか生まれないのか。少女は、決死の冒険に身を投じる。
題名:シンセカイヨリ 作者:キシユウスケ ジャンル:小説 メディア:単行本
2008-6
