(社)全国自衛隊父兄会

 全国自衛隊父兄会は、「防衛意識の普及高揚及び自衛隊に対する協力を通じ、我が国の防衛基盤の確立に寄与することを主たる目的とし、併せて会員の研修、親睦、及び相互扶助を図る。」ことを目的として、昭和51年10月28日設立された社団法人である。現在、会長は、前参議院議員、元防衛事務次官の依田智治で、主として現職自衛隊員の父兄等を中心に会員は約11万人で、月刊機関紙「おやばと」を発行している。
 なお、詳しくは、「社団法人 全国自衛隊父兄会」を参照。


平成二十年度式典における会長式辞

社団法人・全国自衛隊父兄会 会長 依田 智治

<式典にあたり御礼>

 本日ここに、石破防衛大臣をはじめ内外多数のご来賓のご臨席を賜り、社団法人 全国自衛隊父兄会創立三十二周年式典を挙行できますことは、私ども会員一同にとりまして誠に光栄であり、謹んで厚く御礼申し上げます。

 顧みますと、当父兄会は、自衛隊発足後間もない昭和三十年代の初め頃から、自衛隊員を子弟に持つ父兄を中心に、順次、全国各地で結成され、昭和五十一年には、全国規模の社団法人として認可され、自衛隊の発展を見守りつつ、「防衛意識の普及高揚及び自衛隊に対する支援等を通じ防衛基盤の確立」を期して活動を続けているところであります。

 この間における防衛省・自衛隊をはじめ関係諸団体及び各界・各層の有志の方々等から賜りました暖かいご支援・ご協力に対し、改めて、深甚なる敬意と謝意を表するものであります。

<問題山積の内外情勢>

 さて、今日の世界は、国連や、米国をはじめ多くの国々の、平和構築のための懸命な努力にも拘わらず、中東のみならず世界各地で、民族、宗派対立等に起因する紛争が依然として継続し、悲惨な自爆テロやゲリラ事案等が続発する等、極めて、不安定な状況が長期化しております。

 また、近年、各地で、地震、津波、風水害等大規模災害も多発しており、特に、本年五月に入り発生したミャンマーの大型サイクロン襲来による災害や、中国の四川大地震は、共に、死者・行方不明者が10万人を超える甚大な被害が伝えられており、人道的視点等からも、被災者の早期救援や被災地の応急・復興支援等のあり方について、国際的取組みの強化の必要に迫られております。

 このほか、貧困や資源、エネルギー、食糧、更には地球環境問題等グローバルな視点に立って解決すべき諸問題が山積しております。

 折しも、この七月に、北海道で、洞爺湖サミットが開催される予定であり、四月の開発大臣会議を皮切りに、議議長国である日本各都市で、アフリカ開発会議をはじめ主要閣僚会議等が行われているところであり、本年は特に、人類の生存にもかかわる地球温暖化防止のための温室効果ガスの中長期の削減目標の策定について、わが国のリーダーシップの下、各国一致の努力が期待されているところであります。

 こうした中、依然として、核開発強硬姿勢を続けている中東の大国イランや、六カ国協議での核完全廃棄の約束の履行を巧みに回避し続け、拉致事件等についても進展の努力を見せていない北朝鮮等の動向は、引き続き注視し、粘り強い解決に向けての努力が必要であります。

 このほか、近年の著しい経済力の伸長を背景に、一貫して軍事力の強化を進め、資源開発や食の安全、更には人権問題等多くの分野で対外強硬姿勢を強めている中国や、豊富なエネルギー資源等を背景に、近年、国力を著しく増大し、メドベージェフ大統領とプーチン首相の「二頭体制」を確立したロシア、更には、ブッシュ大統領後の新大統領体制下のアメリカの動向等は、重大な関心をもって見守っていく必要がありますし、新体制下の韓国や台湾等の内外政策の変化等にも注視を要するところであります。

<自衛隊の目覚しい活躍活躍と防衛省の誕生>

 このような国際社会の厳しい諸情勢の中で、わが国の防衛を任務とする防衛省・自衛隊は、わが国の平和と独立を守るため、また、国際社会の責任ある一員としてのわが国の責務を果たすため、日夜研鑽努力し、国の内外において、昼夜を分かたず、活動を続けているところであります。

 特に、わが国の場合、輸入する原油の九十%以上を依存し、わが国にとって死活的に重要な中東地域には、イラクの人道復興支援のため、陸上自衛隊を二年半にわたり派遣して任務を完遂し撤収したのでありますが、航空自衛隊による、国連や多国籍軍に対する人員・物資の空輸任務は、既に四年半にわたり懸命に継続中であり、イラクの安定化に尽力しております。陸上自衛隊によるゴラン高原での平和維持活動も既に十三年目を迎え、ネパールでも二年目の政治ミッション(UNMIN:アンミン)に励んでおります。

 更に、テロが続発し、不安定なアフガン情勢等の長期化する中、テロ対策特措法失効中断後、衆議院で再議決して新たに成立した補給支援特措法に基づき、活動を再開し、米国をはじめ多国籍軍艦艇に対する海上自衛隊艦艇によるインド洋上での六年目の給油支援を、厳しい気象条件等の下、精力的に続けているところであります。

 以上のように、防衛省・自衛隊が、国家・国民の守りとして、創設以来五十余年、営々と積み重ねてきた努力と、その実力を発揮しての近時における多方面にわたる目覚しい活躍を背景に、国民各層の理解も高まり、昨年一月、念願であった「防衛省」が誕生致しました。

<残念な国会捩れ現象と防衛省の不祥事・事故等>

 しかし、昨年七月の参議院議員選挙で野党が圧勝してねじれ国会となり、近年、漸く進展しつつあった憲法改正や教育正常化等の動きも停滞し、この重大な時期に、国会が有効に機能し得ない極めて遺憾な状態が続いております。 加えて、最近、防衛省・自衛隊において、不祥事案や事件・事故等不幸な事案が相継ぎ、世論の批判を浴び、現在、防衛省改革の取り組みが鋭意なされているところであり、時代の要請に応え得る防衛法制の樹立や中・長期の防衛計画等の策定も喫緊の課題であります。

 米軍再編の着実な推進も急務です。

<防衛は国の基本、憲法論議の活発化を期待>

 何れにしても、防衛は、国の基本であり、国家の基本法たる憲法で、自衛隊の組織・権限等を明確に規定する必要があり、このためにも、各院に設置されている「憲法審査会」を早急に機能させ、真剣な議論の前進を強く期待するものであります。

<父兄会の会勢の一層の強化と公益法人改革への積極的取り組み>

 私ども父兄会は、このような安全保障をめぐる内外の諸情勢の進展を的確に認識し、新時代に即応した国防や自衛隊の活動の意義等に対する国民的理解の高揚を図るとともに、父兄会員個人としても、一人ひとりがこれ等政治の動向等にも積極的に関心を持ち、引き続き、微力ながら、万全な安全保障体制の確立に向けて努力してまいる所存であります。

 そのためには、広報紙「おやばと」の一層の普及拡大や会勢の充実発展等により、父兄会組織の足腰を強化し、各級段階における防衛講演会の積極的実施や優秀隊員獲得のための募集協力等にも積極的に取り組んでまいります。

 以上のような活動自体が、安全保障・防衛体制の確立という公益そのものであるという信念のもとに、公益社団法人認定を目指し、法人制度改革に積極的に取り組んでまいる決意であります。

<重ねて御礼>

 終わりに、ご多忙の中をご臨席賜りました石破大臣を始め内外多数のご来賓の皆様に、重ねて御礼申し上げると共に、今後一層のご指導をお願いし、式辞と致します。

平成二十年六月十一日

  

ホームページへ