蛇の山と亀の山のお話

「蛇の山(龍の山)と亀の山」の話には、私が知っている限りでは2つのバージョンがあり、微妙に違っています。
そこで、わたしに客家語を教えてくださっている鍾沐卿先生に伺った話と、「大家来冩龍肚庄誌」(八色鳥協会大家来冩龍肚庄誌編輯委員会主編 1999)に載っている話を翻訳してそれぞれまとめました。

(1) 鍾沐卿先生バージョン

 昔、龍山は蛇山とよばれていました。けれども、龍の方が 聞こえがいいので、後に龍山と呼ばれるようになりました。

 台湾大年表によれば、清代の擁(手偏なし)正13年に 大雨が数日降り続き、そのために龍山が崩れたとのことです。
けれども、ひとつの「伝説」として「蛇山と亀山の会話」という話があります。

むかし、蛇山も亀山も生きていました。夏に大雨が降って、洪水になったときは、
蛇山も亀山も大きな蛇と亀に変わって、泳ぎ回っていたそうです。

 あるとき、龍肚の北上塘近くに住んでいた人が、蛇山の真ん中を掘り崩し、龍肚湖の水を流して
 田んぼにしようとしました。
 ところが、この山は今日掘っても明日掘っても、掘ったところがくっついてしまうのです。
 そこでみんなは、「この蛇山は生きている」と言い合いました。ところが、ある日の早朝ある人が蛇山のふもとを通りかかると、どこからか声がします。それが、蛇山と亀山の会話だったのです。 「おい、亀さんよ、おまえさんの一番怖いものはなんだい」 「蛇さんよ、わしの一番怖いのは雷だよ」 今度は、亀が聞きました。 「おい、蛇さんよ、おまえさんの一番怖いものはなんだい」 「わしの一番怖いのはのこぎりだよ」  そこで、この会話を聞いた人は戻ってみんなに知らせました。  みんなは、早速古いのこぎりをもってきて、蛇山の真ん中のあたりに埋めました。すると、さびの水と赤い血の水が何日も流れ、ついに蛇山は崩れたのです。もう一つの亀山も、その後で雷に打たれ、死んでしまいました。

(2)「大家来冩龍肚庄誌」バージョン

昔、皇帝の大臣が龍肚にやってきて、ここの地形は非常に特殊で「龍」の形、「亀」の形、「獅子」の形があるので、将来ここから皇帝が出るだろうと予言しました。それを聞いた皇帝は、これらの霊気を破壊してしまおうとしました。  皇帝の兵隊が龍山を掘って、霊気を破壊しようとしましたが、不思議なことに、掘った部分が夜には元通りになってしまうのです。  ある日、将軍の家来は夢の中で、龍神が「おれはのこぎりのほかは何も怖くない」、亀神も「おれは雷のほかは何も怖くない」という会話をしていたと将軍に報告しました。  そこで、将軍は家来に、龍山のへこんだ部分にのこぎりを埋めさせました。するとすぐに金色の水がたくさん流れ出し、また続けて何日も雨が降り続いて、低くへこんだ部分は崩れてしまいました。  龍の「気」がなくなってしまった後は、亀も雷に打たれて死んでしまいました。

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龍肚と龍の山

亀の山