読書案内

方言に関する本をご紹介します。

エッセイ・一般向け

書名 発行年 著者 出版社 コメント
全国アホ・バカ分布考―はるかなる言葉の旅路― 1993 松本修 新潮社 アホとバカの境界線はどこにあるのか。この本は、この素朴な疑問から出 発している。方言研究の本だが テレビのバラエティ番組のプロデューサーが書いた ものなので、テ レビ番組の製作過程の様子を楽しみながら、気楽に読める。自分の身近なことばを 考 えながら「方言地理学」という学問に触れることができる本。巻末の参考文献一覧 も いい。私が持っているのは文庫だが、単行本もある。
『方言の日本地図 ことばの旅』講談社+α新書 2002 真田真治 講談社 新書で、日本の方言に関するものは少なくない。その中にあって、この本は、(あ) 紹介されている方言研究の知見が新しい、(い)地図やグラフ、表をふんだんに使っ ている、といった特徴がある。また、語形の分布を表す地図や図表は、単に「どの地 域ではどの語形が用いられているか」を示すものだけでなく、「どの年齢層、どの性 別で、どの語形がどのくらいの比率で用いられているか」が読み取れるようになって いるものがかなりある。そうした図表を読み解きながら、方言の研究を通して言語の 「動き」に迫る新しい研究のおもしろさがわかりやすく紹介されている。 気になった点を挙げる。第二章の「世界的に見る「火」の系譜」(147頁〜)では、 台湾の原住民諸語(いわゆる「高砂族諸語」)のうち、プユマ語、パイワン語、アミ 語の「火」を表す語形が紹介されているが、表記がこれらの言語の研究で一般に用い られているものと異なる(これは「孫引き」のせいかもしれない)。また、148頁の 地図ではプユマ語の語形が台湾の北に書かれているけれど、プユマ語は台湾の東南部 で話されている言語である。方言地図を多く利用している本だけに、語形が現れる地 点の示し方があまり雑でなければいいのだけれど。(粂)