※この手法は、ほとんどの場合確実な効果が上がる。極端に言うと、他人の行動を自分の思うままにコントロールすることさえ可能かも知れない。それだけに、障害のある子どもの教育に用いる際は、「強い薬は副作用も強くある」ということを肝に銘じて用いる必要がある。特に危険なのが、生半可な知識で小手先のテクニックとしてこれを濫用した場合である。
できるだけ、この他の理論や手法などと併用した方が良い。こうすることで、無意識のうちに子どもを追いつめてしまうというリスクを回避できる。
このような留意点があるが、実際の指導にあたって活用できるテクニックが満載であることも確かである。ここでは実際の指導に即戦力となる部分だけを紹介するが、ここだけを読んで実際の指導に反映させるのは危険である。是非最低1冊、ABAに関する書物を読んでからにした方が良い。
- 課題分析
通常ひとまとめで取り扱う行動をいくつものステップに分けて考えること。大まかに分けてできるできないを評価し、できていないところをさらに細分化して評価する。そこでできていないポイント(細かな行動ステップ)を教えていく。- 強化の原理
強化=行動の直後に好子を与えること
罰=行動の直後に嫌子を与えること
好子の量は通常は少ないほど効果的で、ごくまれに「大当たり」が出るとさらに効果が高まる。
変動強化=好子が得られるまでの条件(行動の回数)をランダムにすること。スロットマシンの例。
固定強化=好子が得られるまでの条件が毎回決まっていること。- シェイピング
やらせたい行動に少しでも近い行動を強化しながら少しずつ目標に近づけていく手法。
・合格基準を徐々に引き上げる。強化の機会ができるだけ多くなるように。
・基準を引き上げる前に現在達成している行動を変動強化する。
・新しい基準を導入するときは古い基準を一時ゆるめる。
・相手を常に観察し、次のステップを用意しておく。常に強化が行われるように。。
・一つの行動は一人のトレーナーが教える。微妙な強化のタイミングや基準のずれがなくなるように。
・一度に一つのことだけを教える。二つ以上の行動を同時に上達させようとしない。
・1回の練習はうまくいったときにやめる。最後に強化されたことが後々まで残るので。授業の終わりは易しい課題で終わる。授業の終わりに新しい課題を出すのは逆効果。
・効果が出ないときは別の方法にする。
・練習中は相手から注意をそらさない。注意をそらすのは罰(タイムアウト)になる。
・環境の変化などでできていたのができなくなったら前の合格基準に戻る。シェイピングを行う際は、次の2点に注意する。
1 常に肯定的に評価する。
誤りを見つけてもそれを指摘せず、うまくいっていることだけを強化し続ける。
2 シェイピングの目標行動を相手に秘密にする
相手に言ってしまうと反抗したりあえてやらなくなったりする。- 刺激制御
刺激制御ができているのは、特定の刺激(弁別刺激)が与えられたらすぐにシェイピングされた(学習した)行動が生起する状態。刺激制御ができていない例=「何回言ったらわかるの?」
刺激制御ができていると勘違いして、うまくいかないときは=弁別刺激を強める(声を張り上げる)、怒る刺激制御の成立を遅らせるのは=必要のない指示を与える、理解できない指示を与える、できないことを要求する、叱る怒る懇願する脅す
刺激制御を成立させるには
1 弁別刺激を毎回同じにする。
2 従わなかったときに刺激を強めない(声を荒げない)で全く同じ弁別刺激を繰り返す。
3 強化できるまで辛抱強く待つ。
4 行動したらすかさず好子を与える(ほめる)弁別刺激は徐々に小さく(フェイディング)していく。
弁別刺激は、強化が与えられるという信号である。- 行動連鎖
連鎖の最後の行動から教え始める。
歌を教える例。- 行動をやめさせる方法
・消去法
やめて欲しい行動を無視する。行動の結果何も起こらない状況を作る。人を無視するのではなく、行動を無視する。
自己強化行動には効果がない。
・対立行動法
やめて欲しい行動と物理的に同時にできない行動を強化する。
・合図法
やめて欲しい行動を合図があったときに起こるようにする(刺激制御下におく)。教室内のおしゃべりを合図とともに奨励し、合図とともにやめさせるのを数回繰り返すと、合図がないときにはおしゃべりが起こらなくなる。
・他行動法
やめて欲しい行動以外の行動を積極的に強化し、やめて欲しい行動に対しては消去法を用いる。相手の行動ではなくて自分自身の反応のしかたに注目する。
・動機法
やめて欲しい行動の動機を予測し、その動機を取り去る。動機には空腹とか体調不良など生理的なものも含めて考える。