さいたま市立病院整形外科


さいたま人工関節 Institute






人工膝関節について患者様に安心してご理解頂けるように詳しく解説します
     
1. 変形性膝関節症
  • 両膝同時手術:患者様の希望により両膝同時手術も可能です。両方で3時間程度で行うことができます。
  • 最小侵襲手術: MIS=最小の皮切、最小の筋肉切開にて手術を行い、より早期の回復を目指します。
  • クリーンルームの使用: 通常クリーンな空調システムの手術室を使用し、手術の合併症である感染の危険性を大幅に軽減します。
  • 短期間の入院: 当院は早い方は術後2-3週間で退院が可能です。
  • 術後1日目に両足で歩行することができます。
  • 術後3-5日目には器械を使用して90度屈曲できます。
  • 術後3-5日でシャワーなど可能になります。患部は透明テープで濡れてもOKです。
  • 術後2週目以降、杖無しで退院することができます。
  • 現在の人工関節は20年以上もちます。
  • 杖は一般的に不要で、注射、薬、リハビリから解放されます。
  • ゴルフやハイキングなどもできます。
  • 貧血の無い方は術前にあらかじめ自分の血を貯血する自己血採血の方法も必要なく、また輸血も必要なく行うことができます。
 【一般的リハビリプログラム】
   手術日(0日目)人工膝関節手術。膝簡易長下肢装具固定にて帰室。
   1日目: 車椅子移動または歩行許可。筋力訓練開始。膝関節運動開始。
   3-5日目: 調子よい方は膝の曲がりが90度近くにもなります。
   7日目: 歩行はどんどん楽になります。
   12-13日目: 抜糸
   14日目以後: 退院可能です。
人工膝関節手術
変形性関節症が高度になってしまった症例では、外来治療はその場しのぎの治療でしかありません。
60−80歳の方は膝人工関節(TKR)が薦められます。近年は80歳以上の方でも、心臓や重度の糖尿病がなければ問題なくできます。術後は2日目に歩行器を用いて両足で歩行することができ、2-3週間程度の入院で杖なしで退院できることが最大の利点です。

人工膝関節手術は40年ほど前から行われるようになり、20年程度の耐用年数があります。変形性関節症に対する成績は、10年で95-98%(Schroder 2001Khaw 2001)、17年で92%(Gill 2001)と、極めて安定した成績が報告されています。自身の経験症例で緩みのために再手術となった例は幸いありません。初回手術での完全で注意深い手技により、間違いなく良い結果が得られます。術後は杖も不要で、ハイキングはもちろんゴルフやスキーもされる方も多くなっています。

【歴史】
高度の変形性膝関節症に対する治療法として、1950年代に金属製のhinge typeの人工関節が登場しました。しかし、この人工関節は上と下が蝶番でつながっていて安定していますが、そのため逆に負荷が蝶番部に、あるいは蝶番部を介してステム部にかかって長期に持ちこたえられませんでした。1970年代に登場した表面置換型膝人工関節は、関節の自由度があるため、負荷が逃げる構造で、これが人工関節の耐用年数を飛躍的に改善しました。初期には色々な形が提案され、問題もありましたが、その後すこしずつ、材質、形状が進歩してきました。右図のような表面置換型人工関節になって安定した成績が得られるようになり、この形状が世界中で今日もっとも使われています。
現在、日本では約3万症例/年間、アメリカでは約30万症例/年間の人工膝関節置換術が行われています。 日本での手術例も今後飛躍的に延びていくものと思われます。

【構成】
現在の標準的人工関節は、大腿骨コンポーネントはコバルトクロム合金(右図上部分)、脛骨コンポーネントはチタン合金(右図下部分)でできており、間にプラスチックであるポリエチレンのサーフェイス(右図白)を挿入します。サーフェイスは脛骨コンポーネントに固定しますので、大腿骨コンポーネントとサーフェイスの間で関節が動くことになります。サーフェイスの形をより平らにすれば自由度が大きくなり、大腿骨コンポーネントの形状に合わすように凹凸をつければ自由度が少なくなります。このサーフェイスの形状に各社すこしずつ差があって特徴を出しています。サーフェイス自体が脛骨コンポーネントの上で、真ん中の軸で回転するmobile bearing type、サーフェイスの中央部で突起が大きく出ていて、これに大腿骨コンポーネントがひっかかって回転し、後方への移動も制御できるPS typeなどもあります。これらはそれぞれの患者に合わせて選ばれます。

膝蓋骨コンポーネント(右図白)は、かつての人工関節では膝蓋骨の滑走する溝が小さいため、長い間に磨耗する例がみられ問題となっていました。しかし、最近のものではこの溝を深くする改良がなされ、磨耗が減っただけでなく膝蓋骨脱臼の発生も少なくする効果があります。膝蓋骨置換に関しては、常に置換、常に非置換、選択的に置換の3つの考え方があります(Burnett 2004)。Waters (Waters 2003)は、514膝のpress-fit TKRにおける平均5.3年のrandomoized studyを行い、anterior knee painは膝蓋骨非置換で25.1%、膝蓋骨置換で5.3%tの結果で、膝蓋骨置換を薦めています。一方、、膝蓋骨置換、非置換の結果もほとんど有意差がない報告もあります(Ikejiani,2000)。関節リウマチの方ではどうしても骨そのものの脆弱性があり、磨耗例も多いため膝蓋骨の置換例は多くなります。

【骨セメント】
人工関節の骨との接着には、骨セメントを使用するタイプと、人工関節の裏をハイドロキシアパタイト、プラズマコーティングやメッシュファイバーなどにして骨と生物学的につけるセメントレスタイプとがあります。しかし、近年の報告では大腿骨コンポーネントはセメントレスで全く問題ありませんが、脛骨コンポーネントはセメントレス固定で10年で8-10%に緩みが発生すると指摘されています(Berger2001, 右下写真)。従って当院では、脛骨はセメント固定、大腿骨コンポーネントはセメントまたはセメンレス固定です。大腿骨は完全なプレスフィットが得られたときのみセメントレス固定にします。

【人工関節の耐用年数】
変形性関節症に対する成績は、10年で95-98%(Schroder 2001Khaw 2001)、17年で92%(Gill 2001)と、極めて安定した成績が報告されています。初回手術での完全で注意深い手技により、間違いなく良い結果が得られます。多くのパイオニアや先人たちの努力により人工関節は誰でも安全に行える手術に完成されたといえます。

近年、正座ができるほど深屈曲位が可能な人工関節が求められていますClin Orthop 2003)が、まだ長期成績はでていません。しかし、深屈曲が得られる人工関節の開発は望まれるところです。手術はすべて人間の本来の姿に戻すことを理想としていますので、今後ますます研究が進むと思われます。しかしながら、術前の屈曲角度は大きな要因であり、術前に90度しか曲がらない膝で術後130度になるのは難しいといえますので、余り屈曲が悪くならないうちに手術することをお薦めします。

【術後の活動度】
患者さんにとって術後の状態が気になるところと思います。マラソンなどの走ることは無理としてもゴルフなどのスポーツも行っている方は多くいます。また両膝人工関節やられた方ですが、駅のキヨスクで術後定年までの10年仕事を継続できました。多少の重労働も問題なく可能ですので、手術が適応とされる場合は安心して手術をお受け下さい。術後しばらく杖を使われる方もいますが、杖の使用は基本的に不要です。







表面置換型人工関節
   上が大腿骨コンポーネント
    下が脛骨コンポーネント+
   白いのがサーフェイス






さいたま市立病院

  
 
膝関節外科担当:野村・大熊
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ひざ 膝 人工関節 人工膝関節 変形 専門医 手術 変形性関節症 名医 MIS 整形外科 東京 さいたま 埼玉 浦和 大宮 岩槻 川口  
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