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4. 半月板損傷 整形外科・手術・半月板損傷・半月板損傷

半月板損傷 半月板縫合術 ディスコイド 円板状半月

半月板損傷(meniscus injury)は膝関節の損傷の中でもっとも多いものの一つです。膝には内側と外側に別々に2つの半月板があります。膝の骨と骨の間の隙間にあり、主に脛骨側で周辺組織としっかり付着しており、形状は三日月型を呈します。 

半月板の機能は、1)関節軟骨の衝撃吸収、2)関節安定性の寄与、」3)関節不適合の補形、4)潤滑の補助、などがあげられます(Fithian 1990)。内側半月板損傷が多いのですが、日本人では外側円板状半月が多いためその損傷も多く見られます。

半月板の損傷形態は縦断裂、斜断裂が多く見られます。高齢者では変性(ばさばさ状)断裂が多くみられます。半月板の血行は周辺の10-25%までしか入っていないので、通常の半月板損傷は治癒しません。


【診断】
階段昇降、膝屈伸動作や正座時の痛みが主体です。きわめて軽い例では日常生活ではまったく痛みがないものの運動時にのみ痛みが生じる例もあります。

膝屈伸回旋テストでクリック音と疼痛の誘発で高率に診断できます。MRI検査は半月板損傷の診断にきわめて有効です。もっとも確実な検査は関節鏡検査です。
   縦断裂     水平断裂      横断裂      変性断裂     辺縁断裂


【治療】 
半月板損傷が疑われたときに、ロッキング症状(膝がひっかかる)や膝伸展制限(まっすぐに伸びない)がある場合、あるいは膝靭帯損傷を合併する場合は早急に検査・手術を行う必要があります。

しかし、症状が比較的軽いときは、保存的治療(薬、サポーター、関節内注射)を1−2ヶ月続けます。無症候性になれば経過観察とし、もし症状が軽減しなければ手術を考慮します。無症候になったとしても半月板の断裂部が治癒したわけではないので、症状が再発することは当然あり得ます。
半月板の手術は関節鏡下部分切除術を中心に行っています。
関節鏡を入れる1cm弱の傷と半月板を切除するパンチを挿入する別の1cm弱の傷の2カ所で大抵で出来ます。この方法では術後2-3日目に退院できます。
大抵3分の1の切除ですみます。関節鏡下部分切除術317例の10年以上の調査でも90%以上が正常かほぼ正常であったと報告され(Chantain 2001)、予後も心配ないといえます。

時々痛みを繰り返している方は損傷の大きさも徐々に大きくなっていくため、損傷が小さいうち早めに手術的に治されるのが薦められます。
全体が切れている場合は全切除術または亜全切除になりますが、全・亜全切除術を行う方はまずいません。かつての全・亜全切除では切除後長期に経過すると変形性関節症変化がみられることが問題点でした。部分切除ではこの変形性変化が亜全切除の1/2程度に少なくなります(Rockborn 1996)。しかし、部分切除術でも全く変形性変化がなくなるわけではありません(Chantain 2003) 。Rockborn(Rockborn 1996)は20-40歳の半月部分切除術の12-15年の調査を行い、軟骨fibrillationの程度は結果に影響を与えず、部分切除で健側の4倍、亜切除で健側の7倍の変形性変化を合併していたと報告しています。McNicholas(McNicholas 2000)の95例の全切除術後の13年と30年目の調査で、関節裂隙狭小化は19%→36%、スポーツ障害は3%→71%と増加し、結果は内側、外側、両側の順であったと述べています。

変性半月板損傷は外傷性半月板損傷に比し、成績は悪くなります (Camanho 2006, Menentrey 2002)。変性半月板損傷は膝の変形性関節症の始まりであるとも指摘されています(Englund 2003)。
手術成績に影響する因子として、35歳以上の年齢、軟骨変性所見、半月後方1/3切除例、半月rim切除例などを指摘する論文もあります(Chantain 2001)。従って、若年者の外傷性半月損傷は放置せずに早めに手術することが良好な結果につながります

半月板の周辺10-25%には血行があるので治癒する可能性があることから、
半月板辺縁断裂に対しては半月板縫合術が行われます。2−4週間のギプス固定が必要になります。縫合術の成功率は75-90%程度で、再断裂の危険もあります(Sommerlath 1991Villiger 1997Spindler 2003)。かつては縫合法が主体でしたが、最近では吸収性の簡易固定材料(右図)ができ、簡単に行えるようになりました。


半月板断裂部に半月
ファスナーを打ち込む前


半月ファスナーを打ち込んだ後


円板状半月
は外側に多く見られます(Kelly 2002)。渡辺の分類が有名で、完全型、不完全型、Wrisberg靱帯型に分けられます。かつては全切除がおこなわれてきましたが、損傷が小さいときは形成的切除も行われます(Davidson 2003Aglietti 1999)。しかしながら、円板状半月損傷は水平断裂で始まり、強い症状に発展したときは複合断裂になっていることが多いので、全切除術となることが多くなります。長期経過例では変形性変化を合併していることが多くなります(Okazaki 2006)。自験例で軽度の痛みのため長期に特別な治療をしなかった例で40〜50歳代になり高度の変形を合併した例も多く経験しました。小児ではこの大きな円板状半月板のストレスにより離断性骨軟骨炎(軟骨剥離)を合併する希な症例もあります(Deie 2006)。これは手術後に発見されることもあります。

円板状外側半月全切除術の20年の長期成績は全14例17膝中、正常7膝、ほぼ正常6膝、異常3膝、高度に異常1膝で、反体側に比しほとんどで変形性変化が見られます(Raber 1998)。
すなわち、放置例でも手術例でも長期になりますと変形性変化を来すことになるわけで、現在完全な方法はありません。したがって治療法の基本は現在の痛みや伸展障害が数ヶ月保存的治療を行っても改善しないときに半月板切除術(もちろん切れているとこのみ最小限に切除ですが、多くは全体が切れていて全切除あるいは亜全切除になります)を行うこととなります。しかし、本来あるべき半月板を切除するわけですので、長期の変形性変化を完全にくいとめることはできません。
(半月板縫合術は適応はありません。半月板は血行がないため縫合しても治癒しません。アメリカでは半月板移植という治療もありますが実験段階のみで臨床の現場では不可能な治療法ですし、実際行ってもギプス1-2ヶ月など極めて高価・困難な治療法です)





左は正常の半月板、右は円板状半月で、円板状半月は形が大きいだけでなく、厚さもきわめて厚い構造をとります
Hypermobile meniscus(異常可動性半月板)というやや複雑な病態もあります(George 2003)。ひっかリ感を主訴とし、関節鏡検査で一見正常な半月板の時には疑う必要があります。後節部を引っ張り出すと前方に異常にでてくる状態で、半月板辺縁断裂の治癒不全などが原因として考えられます。われわれは後節1/3切除で短期間で治療しています。長期的にもほとんど問題ありません。
近年thermal shrinkageという熱で辺縁部を焼いて固くしてしまう方法も報告されています(Ohtoshi 2004)が、評価はまだまだと思われます。また外側円板状半月のWrisberg靱帯型も後角付着の欠損のためhypermobile meniscusを呈します(Kelly 2002)。