昔、天国に一人の子供の天使がいました。天国では一番小さな天使だったので、
『おちびちゃん』と呼ばれていました。
この「ちっちゃな天使」が初めて天国に来たのは、4歳と6ヶ月と5日と7時間と
42分でした。天国の門に立ち、今にも泣き出しそうになるのを堪え、一生懸命
立っていたのです。門番のおじいさん天使が名前をノートに書き込もうとした時
ちっちゃな天使は大粒の涙が頬に伝いながら、くしゅんと鼻をすすりました。
たった4歳と6ヶ月と5日7時間42分で天使になったこのちっちゃな天使は、
いつも失敗ばかりしてしまいました。合唱隊の練習もお祈りも、小さすぎて上手くできません。
天使の光の輪も、この子には大きすぎて、いつもずり落ちてしまうのです。
天使の翼も役に立たず、上手く飛ぶ事が出来ません。
だから、いつも悲しそうで、元気が無く、べそばかりかいていました。そこで、天使らしくしつける為に、天国の裁判所はこの天使を呼び出しました。
「君がおちびちゃんだね。何でも話してごらん。」美しい天使が優しい声で言いました。
ちっちゃな天使は、一生懸命話しました。天国では、何もすることがない事、
木登りできる木も、魚を釣る小川も、友達と探検した洞穴も、お日様も、
雨も、ぽかぽか暖かくてやわらかい土も無い事を・・・
美しい天使は、地球にいた頃の子供だった自分を思い出し微笑みました。
「君の欲しいものはなに?それがあれば退屈もしないし、淋しくないものがあるだろう?」
「あのね、僕、うちのベットの下に小さな箱を置いてきてしまったの。」
美しい天使は、早速地球からその箱を取り寄せてくれました。
ある日の事、神様の御子のイエス様がベツレヘムでお生まれになるという知らせが
天国に伝えられました。天使達は大喜びで、それぞれに贈り物を用意する事になりました。
ちっちゃな天使は困ってしまいました。美しい歌も立派なお祈りも贈る事が出来ません。
さんざん考えた末に、大切な箱を贈ることにしました。
けれども、他の天使の贈り物に比べて、みすぼらしくちっぽけな箱です。
ちっちゃな天使がその箱を引っ込めようとしたその時、神様がその箱を手に取り
ふたを開けました。中から出てきた物は、
晴れた夏の日に捕まえた蝶々の羽、裏庭のオリーブの木にあった鳥の巣
友達と遊んだ小川で拾った石、仲良しの犬の首輪の切れ端・・・
つまらない、古ぼけた物ばかりで恥かしくなってしまった天使は、泣きながらこの場から
逃げ出そうとして、転んでしまいました。ちっちゃな天使の泣き声ばかりが聞こえます。
その時、神様の美しく神々しい声が響きました。
「全ての贈り物の中で、この箱はとりわけ素晴らしい。この箱の中には、地球と人間の
暖かい、楽しい思い出が詰まっている。生まれてくる我が子は、やがて地球と人間の
王になる。我が子も、この箱の中に入っているようなものを愛し、大切にするだろう。
この贈り物を、今夜ベツレヘムで生まれる幼子イエスの名において、喜んで受けよう。」
すると、小箱は不思議な光を放って輝き始めました。光は炎となり、やがて大空を走って
イエス様のお生まれになった馬小屋の上で光を注ぐほしになったのです。
そう、ちっちゃな天使の小箱は『ベツレヘムの星』になったのでした。
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