花めぐり 野崎茂太郎
彼岸花

彼岸花は私が古代の植物に興味を持つきっかけになった花で、その今昔を調べるといろいろと不思議なところがあります。呼び名も今は彼岸花か曼珠沙華にまとまってきましたが、この花ぐらい方言の多い花はありません。200種とも、人によっては400種あるとも云いますが、江戸末期の本草書「重修本草綱目啓蒙」には、当時各地で呼んでいた面白い名前が48種載っています。
代表的なものを挙げたのでしょうが、皆さんに故郷ではどう呼んでいたのでしょうか。しかし、見た通りシビトとかキツネ・カラス・ステゴ・ヅゴク・ドク・シビレ・ユウレイ・ヤクビョウなど、芳しくないものばかりです。大昔から人の近くで鮮烈な赤を燃やしてきたわりには、好かれない花だったことが分かります。庶民の目は花の感じを正確にとらえていて、この方言のなかにも昔のなぞをとく鍵があるのですが、それはまた別の機会に書きましょう。 *先日の植物観察会で、彼岸花の方言を教えてほしいというご要望がありましたので、季節をはずれましたがこれを載せることにしました。 (岳友 2001年11月号より) |