LONGINES 1 push Chronograph

Caliber 13 ZN

2 register porcelain dial , 0.925 sterling silver case

circa 1930's

 1940年代〜60年代、高級クロノグラフが作られた時代。バルジュー、ヴィーナス、レマニアといったムーブメントあるいはエボーシュを主に供給するメーカーに対抗してロンジン、モバード、ユニバーサルらは自社製高品質クロノグラフの開発に力を注いでいました。

 自社開発ムーブ13ZNには前期型と後期型があり、40年代前半に登場した後期型にはフライバック機能も搭載されているそうです。 

 このクロノは13ZNでは非常に珍しいワンプッシュ式で、ダイヤルもエナメルヒンジで開閉する裏蓋・中蓋とムーブの番号も一致したオリジナルケース。クロノグラフの歴史から考えると、エナメルダイヤルと2重蓋ケースは巻真と同軸上にあったシングルプッシュボタンの第一世代、プッシュボタンの位置は第2世代と2つの特徴が見られます。

 さらに珍しいところは例えば”ドライビングホイールにも受けを装着するなど、耐久性を重視したクウォリティーの高いムーブメント13ZNを1930年代後半に完成させた。”とよく評されていますが、雑誌で良く見かける13ZNや30CHには確かにあるドライビングホイール上に受けや石が見当たりません(爆)。その他に17Jと良く書かれていますがこれは18Jですし、クロノグラフランナーやテンプの受け石も普通の大きさです。これが前期型なのか、プロトタイプなのか?と調査中です(どなたか教えてくだされ〜)。→e-time様からの情報提供により判明致しました(後述)。

 ちなみにドライビングホイールに石のあるムーブなんて当時はロンジンぐらいで、ヴィーナス175、179、185でさえありませんよね。現行でもダトグラフぐらいですかね?ロジェさんのムーブにもありません。 

18 jewels, Serial number: 5429048

12が赤色なのでイギリス仕様のようです

ブルースチールブレゲ針とエナメル文字盤の赤色12が良い雰囲気です。

ネジ山も綺麗なブルースチールネジ
ピラーの歯は6つ(8つでは無いっス)

緩急系もちと違うでしょっ。
パーツの面取りや研摩も充分に施されたハイグレード gold gilt ムーブメント
受けが独立している、受けに石がある、受けや地盤がブルースチールネジで止められている、緩急系の形が違う、ピラーの歯が8枚ある、石数は同じである

 アンティーククロノグラフで一番心配なのはクロノグラフランナーの状態だと思っています。クロノ作動時の衝撃によるものか、あるいはOVH時のものかは分かりませんが、この歯車には非常に細かい歯が刻まれており、それゆえに消耗も激しく重傷の場合などその歯がいくつも欠損している事があります。某有名オークションの出品物でも結構見られるそうです(マサズさん談)。歯が一つでも欠損していればクロノ機能は飾りと化し計測不能になりますが、嬉しい事にこの13ZNは12時間連続計測でも日差20秒以内と良好です(油が馴染むまでの計測では一瞬ヒヤッとしましたが)。クロノ非作動時なら日差数秒に納まっていて流石〜です。

2002年冬にフルメンテ済み。

〜追記〜

 このムーブメントについてe-timeさんに御相談したところ、LONGINES 30ZN(18 jewels)1937年製と判明致しました。ワンプッシュクロノ、ピラーホイールの歯数6は13.33Zと30ZNに共通した特徴で、30ZNの地盤にはなぜか13ZNと刻印されているという貴重な情報を頂きました。13ZNプロトタイプというか13.33Zから30ZNへの過渡期に存在したムーブメントのようで、一般的にはあまり知られていません。

13.33Z→ 30ZN→ 13ZN→ 30CH

13ZNの前・後期型のムーブはこちら

e-time 様、有り難うございました。