第17話リードがある楽器
あるクラリネットの生徒さんが相談に来ました。胸や肩をはじめ上半身にものすごく力が入って、吹くのがとても苦しいということでした。音を聞いてみるととにかく鳴らそうといきんでものすごい力で押し込んでいます。さっそくタルから上を抜いてもらい、マウスピースにリードの音がしないように息を通過させてもらいました。そのまま楽器を差し込んでもらうとちゃんと音に当たります。このときの感覚を覚えてもらいます。本人はリードが振動していないのに音が出たので大変驚いていました。あとは楽器を付けてその感覚を頼りに吹いてもらったところそれまでより、ずっといい音で楽器が鳴りだしました。本人も鳴らしているのではなく、楽器が勝手になっている感じとニコニコ顔です。高い音も苦手だったそうですがそれまでの自分の最高音より上が、しかも「こんなに楽に出るんですか?」と言っていました。
それからいろいろなクラリネットやサックスの学生さんたちに聞いてみるとリードが振動しなければ、楽器の音は鳴らないと思っている人が多いことが分かりました。金管楽器でも同じことが起こります。マウスピースだけでバズィング音がしないように息だけを素通りさせて、そのまま楽器に差し込んでいくとやはり音が鳴る状態があります。
この現象はマンションやビルの窓がわずかに開いているときに「ヒュー」っと音がすることがありますが、それと同じことです。つまり空気が直接、空気を振動させている状態です。我々管楽器の仲間でも唯一振動体(リード)をもたないフルートの音の出る原理と同じですね。
当然この状態だけではいろんな音楽を演奏できるわけではありませんが、音の響きの成分のためには大変重要な要素になりますし、気流が仕事をするということのヒントになると思います。このクラリネットの生徒さんは音の響きを利用する感覚をつかんだので、今まで入っていた余分な力を取ることが出来、リードではなく気流が仕事をしている状態になりました。簡単に言えば楽に響きのある音で吹けるようになったのです。
「リードを振動させなくちゃ」「唇を振動させなくちゃ」と思い過ぎてうまくいかない方にはちょっとしたヒントになると思うのですがいかがでしょうか?