ロングトーンは基本中の基本???
少し時期が遅くなってしまいましたが、季節柄、新年度から新しく楽器を始めた生徒さんや、先輩になって初心者を教えなければならない上級生からの書き込みが多く寄せられていますので、今回は皆さんが基本中の基本だと思っているロングトーンについて書いてみました。すでにこの時期、吹奏楽部などではコンクールの曲を渡されて、高い音が出ませんとか、すぐに音が出なくなります、タンギングがうまく行きませんといった訴えが後を絶ちません。そもそも楽器をはじめて2,3年の生徒が初心者を教えるという事には無理があります。今の日本の現状では顧問の先生がちゃんと勉強すべきだと思いますが・・・。例えばオーストリアではある程度の規模の町や市には必ず音楽学校があり、楽器をはじめる子供はほとんどそこでプロの先生に習います。もちろん公立ですから安い授業料でレッスンが受けられます。また管楽器人口が非常に多いので、プロ、アマチュアを問わず、親が手ほどきをすることもしばしばです。他の欧米諸国も私は良く分かりませんが、ほぼ同じようなシステムがあるはずです。それと比べると、日本の現状はなんと恐ろしいことかと思います。これをなんとか出来ないかといつも思っていますが、政治家にでもならないと欧米のようには行かないでしょうね。(苦笑)
ちょっと話がそれてしまいましたので、話を戻しましょう。初心者、初級者がまず最初にやるべき練習はロングトーンでしょうか?
管楽器というのは音を減衰させずにオルガンで弾いたように、いわゆる「羊羹型」に音を出すことが出来ます。おそらく皆さんが練習しているロングトーンですよね。しかし音を減衰させずにキープするということは、初心者には大変難しいことです。自動車の教習所で言えば第2段階といったところでしょうか。では第1段階は何をするかというと、8分音符や4分音符程度で構わないので、音に当てるということをやるべきだと思います。息の流れがベルの先の少し手前の辺りに当たったときに楽器が「鳴ってくれる」ことを感じてもらえば成功です。この段階で音を「吹いて出すもの」という感覚でなく、音は「当てて響かせるもの」という感覚を持ってもらいたいのです。もちろんなかなかうまく行かないことも多いですが、やってみせたりイメージを持ってもらうようにして、辛抱強く当たるのを待ちます。ある程度音に当たるということが分かってきたら、少しずつ長く響かせてみます。長くと言っても例の羊羹型ではありません。ピアノや鐘の音のように減衰して自然に消えてゆく音です。実はこれはアーバンの教則本の基本そのものですよね。フランスではもちろんウィーンでも基本中の基本として練習させられます。音に当てる感覚がないまま、「はいマウスピースだけで音を出して、次はロングトーン!」と言われれば、とりあえず音の出やすい唇の赤い部分を振動させて、それを押して行きます。もうどうなるかはお分かりですよね。アンブシュアは開くし、喉は上がり、超地声になるだけ、その状態で毎日一生懸命に練習しても成果が上がるはずもありません。粘膜奏法まっしぐらです。それである程度音が出るようになっても次にスタッカートでも出て来たらもうお手上げでしょう。アインザッツやリズムが合わなかったり、ピッチが合わないという問題も、私の経験ではほとんど場合、この点を理解してもらえば解決しています。ロングトーンの前にやっておかなければならないことが基本中の基本ではないでしょうか?