心臓計測値

    観血的検査正常値
心内圧(mmHg)と血液ガス(酸素飽和度)正常値

測定部位 収縮期圧 拡張期圧 平均圧 酸素飽和度(%)
右心房(RA)   β波
 2〜10
  a波
 2〜10
2〜6   70〜75
右心室(RV)  15〜30  2〜8    〃
肺動脈(PA)  15〜30  4〜12 10〜18    〃
肺動脈楔入部(PAW)   V波
 3〜15
  a波
 3〜15
4〜12    〃
左心房(LA)   V波
 6〜20
  a波
 4〜16
4〜12   95以上
左心室(LV) 150以下  5〜12    〃
大動脈(Ao) 150以下  60〜90 75〜105    〃


心血行動態諸指標正常値

心拍出量(Cardiac output) 4〜8l/min
心係数(cardiac index) 2.5〜4.0l/min/u
1回拍出量(Stroke volume) 60〜130ml
1回拍出係数(Stroke index) 35〜70ml/u
肺血管抵抗
(Pulmonary vascular resisrance)
45〜100dyne・sec・cm−5
全肺血管抵抗
(Total pulmonary resistance)
150〜250dyne・sec・cm−5
全身血管抵抗
(Systemic vascular resistance)
950〜1500dyne・sec・cm−5
左室拡張末期容積
(LV end-diastolic volume)
50〜95ml/u
左室収縮末期容積
(LV end-systolic volume)
20〜35ml/u
駆出率、駆出分画(ejection fraction) 60〜75%
左室壁厚(LV wall thickness) 7〜12mm
左室心筋重量(LV muscle mass) 50〜100g/u


左室造影


 AHAによる冠動脈疾患左室造影の報告書様式
                      American Heart Association(AHA)
anynergyの分類

 normal 正常の壁運動。心室壁の内方向への運動量は十分であり、かつ収縮の時相が一致している
 reduced
 (hypokinesis)
心室壁運動の局所的な低下。健常部と比較して一部の心室壁の内方向への収縮期運動量が減少しているが、収縮の時相は一致している
 none
 (akinesis)
心室壁運動の局所的な欠如。一部の心室壁が全く内方向への運動を示さないが、心室収縮期に外方向へは突出しない
 dyskinetic 局所心室壁の収縮期奇異性拡張。一部の心室壁が心室収縮期に正常とは逆に外方向へ運動し、拡張末期の心室外縁よりも更に外方へ突出する
 aneurysmal 収縮期に心室壁の膨隆を認め、拡張期にも元の心室壁の位置にもどらず変曲点をもって瘤状に突出している部分
 undefined 適切な方向での左室造影が省略された、あるいは得られなかったために局所心室壁運動につき評価できない部分
(Austen WG et.,:Circulation,'75)
心臓血管造影


 AHAによる冠動脈造影の報告書様式
                American Heart Association(AHA)

RCA=右冠動脈 Main LCA=左冠動脈主幹部 25%=25%以下の狭窄
 SN=洞結節動脈     LAD=前下行枝 50%=26〜50%
 CB=円錐動脈     D1=第1対角枝 75%=51〜75%
 AM=鋭角枝     D2=第2対角枝 90%=76〜90%
 AV=房室結節動脈    CIRC=回旋枝 99%=狭窄部が線上に造影されるか(90%を超す狭窄)または前方への血流はあるが狭窄部が途切れてみえない場合
  V=右室枝     OM=鈍角枝 100%=完全閉塞
RPD=右優位の場合の後下行枝     AC=左房回旋枝
    PD=左優位の場合の後下行枝
    PL=後側壁枝
(Austen WG et al.,:Circulation,'75)

    狭心症の診断と治療 (1)
 狭心症の分類   Chronic Ischemic Heart Diseasae
  1.慢性安定狭心症
  2.不安定狭心症
  3.異型狭心症(プリンツメタル狭心症)
  4.胸痛を有するが正常CAG
  5.虚血性心疾患であるが不快症状は主でない(無症候性心筋虚血)
                   (Braunwald:Heart Diseasae 4th edition)
 

 不安定狭心症  Unstable Angina
  1.1週間以内に発生した安静時狭心症
  2.2ヵ月以内に発生したカナダ心血管学会分類
   (CCSC)UまたはW度の新規狭心症
  3.CCSC分類UまたはW度にいたる憎悪狭心症
  4.異型狭心症
  5.非Q波心筋梗塞
  6.梗塞後狭心症(>24時間)
                    cf.CCSC:カナダ心血管学会分類(20参照)

 不安定狭心症のハイリスク群(NHLBIによる)
  1.20分以上持続する安静時胸痛が起きている状態
  2.肺浮腫の存在
  3.新たなあるいは憎悪する僧帽弁逆流雑音が聴取される狭心症
  4.心電図上STが1mm以上変化する安静時狭心症がある
  5.U音または肺ラ音が聴取される狭心症がある
  6.血圧低下を伴う狭心症がある
                           (Braunwald E:Circulation,'94)

 無症候性心筋虚血  Silent Myocardial Ischemia
 Silent myocardial ischemiaとは、胸部およびそれに関する症状(左上肢や顎の痛みやしびれなど)を全く供わずに起きる一過性の心筋の血流分布異常、機能障害および電気現象異常(心電図上の一過性ST変化)の状態をいう。

T型 冠動脈病変を有するものの、心筋梗塞や狭心症の既往がなく、また虚血性心疾患を疑わせる既往、自覚症状のない者にみられる場合 冠動脈疾患の危険因子を1つ以上にもつか、若年発症の冠動脈疾患の家族歴をもつ者では運動負荷心電図。もし、試験が陽性なら、核医学的検査もしくは心臓X線透視を施行
U型 無痛性心筋梗塞や心筋梗塞後無症状に患者にみられる場合 運動負荷心電図、Holter心電図?
V型 狭心症をもつ同一患者で、有症候性のみならず無症候性の心筋虚血発作をもつ場合 Holter心電図、運動負荷心電図?
(Cohn PF:AmJ Cardiol, '80改変)

    運動負荷心電図の判定基準
 Masterによる判定基準
 Double Two Step Test
 T ST 0.5mm以上の降下
 U STのJunctional depressionでQX/QT≧50%,QT ratio≧1.07
 V ST降下の型に関係なく2mm以上のST降下
 W ST上昇、一過性のQ波出現、一過性左脚ブロック、U波逆転、重い不整脈(一過性VT、2度または3度AV Block,PAT,Af,多源性  又は心室性期外収縮)
 X T波逆転
   少なくとも1.5mmの凸型T波→1.5mm以上の凹型T波
   凹型T波→少なくとも1.5mm以上の凸型T波

  冠動脈疾患診断のための判定基準および注意事項
  判定基準
  (1) ST変化  1mm以上のH型又はS型のST下降・・・}トレッドミル又は
          Q波のない誘導でのST上昇・・・・・・・・}自転車エルゴメーター
  (2) QRS波  運動負荷中の中隔性Q波の減少又はR波の増高*
  (3) T波    運動時の著しいT波の増高*
  (4) U波    陰性U波の出現(LAD近位部やLMT高度狭窄病変の存在)
  (5) 不整脈  虚血性ST変化に伴うVPC出現は重篤な事故に要注意
                                 *:診断的有用性には疑問あり
  注意事項
  ●心電図判読を困難にする要因・・・左室肥大、左脚ブロック、WPW症候群、低カリウム血症などではST変化が過大となり判定困難
  ●心血管治療薬内服中の患者の場合・・・ジキタリス内服例ではST変化が過大となる。β遮断薬はrate-pressure-productを抑制するため、偽陰性反応ができやすい。Ca拮抗薬や硝酸薬は可能なら中止が望ましい。
  ●下肢運動困難な患者の場合・・・腕エルゴメーターが有用だがsensitivityはトレッドミルより低い
                                     (JCJ, 55 Suppl V, '91)


    運動耐容量と相当するスポーツ

1.5〜2METs{4〜7ml O2/分/kg} 歩行{1.6km/h}
2〜3METs{7〜11ml O2/分/kg} 平地歩行{3.2km/h},平地サイクリング{8.0km/h},ゴルフ{電動カート乗車}
3〜4METs{11〜14ml O2/分/kg} 平地歩行{4.8km/h},サイクリング{9.7km/h],バレーボール{六人制,非競技},ゴルフ,バトミントン{ダブルス},乗馬{速歩},アーチェリー
4〜5METs{14〜18ml O2/分/kg} 歩行{5.6km/h},サイクリング{12.9km/h},テニス{ダブルス},バトミントン{シングルス},卓球,ダンス,多くの柔軟体操
5〜6METs{18〜21ml O2/分/kg} 歩行{6.4km/h},サイクリング{16.1km/h}
6〜7METs{21〜25ml O2/分/kg} 歩行{8.0km/h},サイクリング{17.7km/h},バトミントン{競技},テニス{シングルス},フォークダンス,スキーツアー{4.0km/h}
7〜8METs{25〜28ml O2/分/kg} ジョギング{8.0km/h},サイクリング{19.3km/h},バスケットボール、登山
8〜9METs{28〜32ml O2/分/kg} 歩行{8.9km/h},サイクリング{20.9km/h},スキーツアー{6.4km/h},バスケットボール{激しい}
10METs{32ml O2/分/kg} 歩行{9.6km/h},スキーツアー{8.0km/h}
                       (JCJ,55 Suppl V, '91)

    虚血性心疾患に診断と治療
 Killipの分類(急性心筋梗塞に伴う左心不全の重症度分類)

Class 臨床所見 症状
Class 1 心不全の徴なし 自覚症状なし
Class 2 軽症〜中等症の心不全
(肺ラ音聴取域<全肺野の50%)
V音
軽〜中等度の呼吸困難を訴えることが多い。
Class 3 肺水腫
(肺ラ音聴取域≧全肺野の50%)
高度の呼吸困難を訴え、大抵の場合喘息を伴う
Class 4 心原性ショック
(チアノーゼ、意識障害)
血圧が90mmHg以下で四肢が冷たく、乏尿


    虚血性心疾患の治療
 硝酸・亜硝酸エステル(硝酸薬)

      薬剤名   剤型・含有量   用法・用量 効果発現時間  持続時間
一般名 商品名
nitroglycerin ニトログリセリン
ニトロペン
舌下錠 0.3mg 舌下頓用0.3〜0.6mg/回(最大量1日2mg)   1〜3分  10〜30分
ニトロダームTTS 経皮吸収治療システム
25mg/10cu
貼付 1回 1〜2枚/日  1時間以内   24時間
ヘルツァーS
ミリステープ
テープ 5mg/18.225cu 貼付 2回/日 12時間ごと    30分   12時間
バソレーターテープ
ミニトロテープ
テープ 27mg/20cu 貼付 1回 1〜2枚/日    30分   24時間
バソレーターRB 口腔粘膜貼付剤 2.5mg 上顎部歯肉貼付 2回/日     5分   12時間
バソレーター軟膏 軟膏 20mg/g(6mg/1cm) 塗布 6〜18mg/回 8時間ごと   15〜20分  4〜8時間
ミオコール スプレー 7.2g
(6.5mg/g) 0.3mg/噴霧
噴霧 1〜2噴霧/回    1〜2分  15〜30分
ミリスロール 注射 5mg/10ml/A 静注 0.2〜1.0mg/回
点滴静注 0.05〜5.0μg/kg/分
   即 効   一過性
isosorbide
mononitrate
アイトロール 錠 10mg,20mg 経口 40〜80mg/日(分2)   30〜60分  8〜12時間
isosorbide
dinitrate
(ISDN)
ニトロール 錠 5mg,10mg 舌下頓用 5〜10mg/回
経口 15〜40mg/日(分3〜4)
   2〜5分
  20〜30分
  1〜2時間
  2〜4時間
フランドル 徐放錠 20mg 経口 40〜80mg/日(分2〜4)   30〜60分  8〜12時間
ニトロールR 徐放カプセル 20mg 経口 40〜80mg/日(分2〜4)   30〜60分  8〜12時間
フランドールテープS テープ 40mg/40cu 貼付 1枚/1〜2日    1時間  24〜48時間
ニトロフィックス 口腔粘膜貼付剤
      5mg,10mg
上顎部歯肉貼付 2回/日    15分   8〜9時間
ニトロールスプレー スプレー10g(16.35mg/g) 1.25mg/噴霧 噴霧 1〜2噴霧/回    1〜2分   20〜30分
ニトロール注 注射 5mg/10ml/A 静注 1〜2mg
点滴静注 2〜10mg/時間
   即 効   一過性


    Thrombolysisの適応と禁忌
 ACC/AHAによるThrombolysisの適応と禁忌

            適    応             絶対禁忌
  ClassT
1)75歳未満で、隣接する2誘導以上でST上昇(0.1mV以上)があり、12時間以内に治療が受けられるもの
2)脚ブロックがあり、既往歴から急性心筋梗塞が疑われるもの
  ClassUa
75歳以上でST上昇を認めるもの
  ClassUb
1)発症から12時間〜24時間以内でECGでST上昇が遷延しているもの
2)著しい高血圧のための危険性が高い
 high risk AMI
  ClassV
1)ST上昇はあるが、発症から24時間以上経過し、胸痛のないもの
2)ST低下のみ認めるもの
・脳出血の既往
(一年以内の他の脳卒中や脳血管障害)
・頭蓋内腫瘍
・活動性の内出血(生理を除く)
・大動脈解離の疑い
        注意/相対的禁忌
・コントロール不良な重症高血圧
(.>180/110mmHg)の存在
・過去の外傷(2〜4週)、頭部外傷や遷延した(10min以上)、侵襲的心肺蘇生術や大手術後(3週以内)
・抗凝固治療中(≧INR2〜3)、または出血傾向
・圧迫止血不可能な血管穿刺
・最近(2〜4週以内)の内出血
・SK/anistreplaseに対する2年以内のアレルギー既往
・妊娠
・活動性消化性潰瘍
・慢性重症高血圧症の既往
(ACC/AHA Guidelines for the management of patients with AMI, '99)


 

 TIMI分類         (99% stenosisに伴う造影遷延の程度に基準)

Grade 0 完全閉塞、その部分より先への前向きの血流を認めない。
Grade 1 明らかに造影遷延を伴い、末梢が造影されない。
Grade 2 造影遷延を伴うものの末梢まで造影される。
Grade 3 末梢まで正常に造影される。


    PTCAの適応と禁忌

PTCAの適応 内服の有無に関係なく無症状〜軽症状の狭心症(CCST) 内服下で中等症〜重症の狭心症(CCSU〜W)および不安定狭心症
Class T
一般的にPTCAの適応
高度の心筋虚血が認められたりAMI以外で心停止や心室頻拍の既往のあるもの、心臓以外のhigh riskの手術が必要なもの 薬物療法にもかかわらず、コントロール不十分で高度の心筋虚血があるが、副作用のため薬物が使用できないもの
一枝病変 生存心筋の広い領域を灌流する血管に有意狭窄があるもの 生存心筋の中等量以上の領域を灌流する血管に有意狭窄があるもの
多枝病変 生存心筋の広い領域を灌流する血管の一つに有意狭窄があり、他の病変も狭い領域を灌流しているため、ほぼ完全血行再建となるもの 2本以上の大きな血管に有意狭窄があり、それぞれが中等量以上の心筋を養っているもの
Class U
PTCAの施行に関し意見が分かれる
一枝病変 生存心筋の中等量以上の領域を灌流する血管に有意狭窄があるもの(心筋虚血があり、血管拡張の成功率が中等度、急性冠閉塞や死亡の危険が低いもの)
複雑病変(type B or C)があり、危険性は中等度、日常生活上、支障となる症状があるもの
多枝病変 Class Tとほぼ同じ
中等量以上の心筋を養っている2本以上の大きな血管に有意狭窄があるか、完全閉塞により左室機能不全となるような亜完全閉塞のもの 病態悪化で死亡の危険性が中等度で、虚血の証明が必ずしも得られず、高齢や合併症のため手術適応とはならないもの
Class V
一般的にPTCA不適応
Class TやClass Uに該当しない症例
一枝病変 虚血の有無が明らかでなく、生存心筋が少なく、病態悪化や死亡の危険の高いもの
多枝病変 上記のもの、および比較的広い心筋を灌流する血管のCTO病変のもの 症状も生存心筋もなく、血管拡張の成功率は非常に低く、病態悪化や危険性が高いもの

注: 1993年のACC/AHA Task Force ReportではPTCA適応ガイドラインとして一枝・多枝病変それぞれについて分類{ClassT(適応)〜U(不適応)}しており、狭窄症状の重症度(CCST〜W)や不安定狭窄症についても対応したものになっている。
注: PTCAの適応は、手枝の向上や器具の改善、new deviceの出現などにより適応は拡大されてきている。


    PTCAの禁忌

絶対禁忌
 (1)病変が有意狭窄(>50%)でない場合
 (2)プロテクトされていない左主幹部病変
 (3)施設内に心臓手術プログラムがない場合
相対的禁忌
 (1)凝固線溶系に以上のある場合
 (2)限局性に拡張できないようなびまん性の病変がある静脈グラフト
 (3)びまん性病変を有し、その末梢にバイパス術に適した血管がある場合
 (4)残存心筋を灌流する唯一の冠動脈に狭窄が疑われる場合
 (5)拡張成功率が著しく低いと判断される慢性完全閉塞
 (6)責任病変の狭窄率がボーダーラインの場合
 (7)AMIに対するDirect PTCA時の非責任血管に対するPTCA

注:ステントの出現などにより、これまで禁忌とされてきた症例にもPTCAが行われるようになっている。
                  (PTCA Guidelines ACC/AHA Task Force Report,'72)


    心不全の診断
  心疾患患者の機能的能力および他覚的評価の分類
機能的能力  { }=運動耐容能
クラスT.心疾患があるが身体活動の制限に至らない患者、通常の身体活動ではさほどの疲労、動悸、呼吸困難、または狭心症を惹き起こさない。{7METs以上可能}
クラスU.身体活動の軽度の制限を伴う心疾患の患者、安静時には苦痛がない。通常の身体活動が、疲労、動悸、呼吸困難、または狭心症を惹き起こす。{5〜7METs}
クラスV.進退の著しい制限を来す心疾患の患者。安静時には苦痛がない。通常以下の身体活動が、疲労、動悸、呼吸困難、または狭心痛を惹き起こす。{2〜5METs}
クラスW.苦痛なしにはいかなる身体活動も行うことのできない心疾患の患者。安静時にも心不全あるいは狭心症症状を示す可能性がある。少しでも身体活動を行うと苦痛が増加する。{2METs未満}
他覚的評価
    A.心血管疾患の他覚的所見なし。
    B.軽微な心血管疾患の他覚的所見
    C.中等度の心血管疾患の他覚的所見
    D.重症な心血管疾患の他覚的所見
                      (NYHA '94 改訂:Circulation,'94 一部改変)

 CCSの狭心症重症度分類
 クラスT.日常の身体活動、たとえば通常の歩行や階段上昇では狭心発作を起こさない。仕事にしろ、レクリエーションにしろ、活動が激しいか、急か、または長引いた時には狭心発作を生じる。
 クラスU.日常の身体活動は僅かながら制限される。急ぎ足の歩行または階段上昇、坂道の登り、あるいは食後や寒冷、強風下、精神緊張下または起床後2時間以内の歩行または階段上昇により狭心発作が起こる。または2ブロック(200m)を超える平地歩行あるいは1階分を超える階段上昇によっても狭心発作を生じる。
 クラスV.日常の身体活動は著しく制限される。普通の速さ、状態での1〜2ブロック(100〜200m)の平地歩行や1階分の階段上昇により狭心発作を起こす。
 クラスW.いかなる動作も症状なしにはできない。安静時にも狭心症状をみることがある。
                      (Canadian Cardiovascular Society,Circulation,'76)   

    心不全の治療(1)
急性心不全の分類と治療のガイドライン
T.急性心原生肺水腫
  1.酸素吸入
  2.NTG0.4〜0.6mg舌下またはsBPが95〜100mmHgの維持あれば点滴静注
  3.furosemide静注
  4.塩酸モルヒネ(morphine hydrochoride)静注
  5.心血管作業薬(血管拡張薬、陽性変力作用薬)の点滴静注
  6.AMIの場合は血栓溶解療法または冠動脈血行再建術
  7.治療抵抗性の低酸素血症または呼吸性アシドーシスの場合は機械的人工換気
  8.適応があれば外科的手術(たとえば急性、重症僧房弁閉鎖不全症に対するMVRやMVP)
U.心原性ショック
   1.酸素吸入
   2.明らかに循環血液量が少ない場合は、迅速な輸液
   3.循環血液量が十分な場合や輸液がなされた後では心血管作動薬(陽性変力作用薬)の点滴静注
   4.AMIに対して施行可能であれば緊急冠動脈血行再建術
V.慢性うっ血性心不全の急性憎悪
  循環血漿量の増大、左室充満圧の上昇、心拍出量の減少をきたすため急性心原性肺水腫に準じる治療を行う
(ACC/AHATask force report :Guidelines for the evaluation and management of heart failure.Circulation,'95一部改変)

 急性心不全の治療薬<即効薬>

       薬 剤 名  投与法      投 与 量
  一般名   商品名
利尿薬
 furosemide
ラシックス 静注 20〜40mg
ジギタリス
 deslanoside
 digoxin
ジギラノゲンC
セジラニド
静注 1〜1 1/2Aを20%糖液20mlに溶解し、10分以上かけて静注
ジゴシン 静注
陽性変力作用薬
 dopamine
 dobutamine
イノバン* 緩速静注 3〜10μg/kg/分
ドブトレックス* 緩速静注 3〜10μg/kg/分
PDC酵素阻害薬
 amrinone
アムコラル
カルトニック
緩速静注 5〜15μg/kg/分
 milrinone ミルリーラ 緩速静注 0.25〜0.75μg/kg/分
 olprinone コアテック 緩速静注 0.1〜0.3μg/kg/分
血管拡張薬
 isosorbide
 dinitrate
ニトロール 舌下
スプレー
緩速静注
5〜10mg
1.25mg/噴霧
0.1〜1.0μg/kg/分
 nitroglycerin  ニトロペン 舌下 0.3〜0.6mg
ミオコール スプレー 0.3mg/噴霧
ミリスロール 緩速静注 0.1〜1.0μg/kg/分
 carperitide ハンプ 緩速静注 0.1〜0.2μg/kg/分
 nitroprusside 緩速静注 0.5μg/kg/分
 alprostadil プロスタンディン 緩速静注 0.1〜0.15mg/kg/分

        *3A(=300mg/15ml)を生食85mlに溶解し、5ml/時で5r(体重50kgとして).

    心不全の治療(2)
慢性心不全の治療薬

  左室収縮障害による心不全    左室拡張障害による心不全
ClassT
 1)ACE阻害薬;著しくEFの低下した症例にも対応
 2)Hydralazine & isosorbide dinitrate;ACE阻害薬の使用できない症例
 3)Digoxin;ACE阻害薬と利尿薬で反応不良の症例
 4)Digoxin;心房細動や心室頻拍の症例
 5)利尿薬;循環血漿量過多の症例
 6)抗凝固薬;心房細動に適応
 7)β遮断薬;AMI後のhigh risk症例
ClassU
 1)Digoxin;全ての収縮障害による心不全症例
 2)Hydralazine & isosorbide dinitrate;ACE阻害薬にて反応不良の症例
 3)β遮断薬;DCMの症例
 4)抗凝固薬;洞調律だが著しくEFの低下した例や心腔内血栓のある症例
 5)低容量ドブタミン;外来での難治性心不全患者
ClassV
 1)Ca拮抗薬;狭心症や高血圧症のない症例
 2)無症候性の心室性不整脈に対する治療(抗不整脈薬)
ClassT
 1)利尿薬
 2)硝酸薬
 3)心房細動において心拍数をコントロールする薬剤
 4)抗凝固薬;心房細動や塞栓症の既往のあるもの


ClassU
 1)Ca拮抗薬
 2)β遮断薬
 3)ACE阻害薬
 4)抗凝固薬;心腔内血栓のあるもの


ClassV
 1)陽性変力作用薬;収縮機能障害のないもの
 2)無症候性不整脈に対する治療

(ACC/AHA Guidelines for the evaluation and management of heart failure,'95)

    洞不全症候群
 洞不全症候群(Sick Sinus Syndrome)
  以下の不整脈のいずれかを有し、これにより主として脳、心、腎循環不全による眩暈、失神、倦怠感、胸痛等の症状を呈するもの
 ●明確な原因を認めない慢性かつ高度の洞性徐脈
 ●高度の洞停止  @短期間ー補充調律を伴わない
             A長期間ー心房性あるいは接合部性補充調律を伴う
             B長時間の洞停止が補充調律を伴わず心停止をきたし、しばしば心室性不整脈が起こる
 ●薬物治療と無関係の洞房ブロック
 ●ジギタリスに起因せず、しばしば房室ブロックをきたして徐拍を伴う慢性心房細動
 ●電気的徐細後に洞調律の出現しない慢性心房細動
                                           (Ferrer MI :JAMA,'68 改変)
 {分類}  1.原因不明かつ持続性の洞性徐脈(50拍/分以下)
      2.同様の洞停止または洞房ブロック
      3.1,2の徐脈性不整脈に発作性上室性頻拍症、心房細動、心房粗動のいずれかまたは2種類の頻脈発作を合併するもの(徐脈頻脈症候群)
                                      (Rubenstein JJ : Circulation,'72 改変)