餃子
-CHINESE FOOD CONSISTING OF A MIXED PASTE OF MEAT AND VEGETABLES FRIED IN DOUGH-

てとぅやこむろ(掲載No.14)


 先日、雨が降っていたので帰る手段としてバスに乗った。大学の正門から発車の渋谷行きのバスだ。

 僕は疲れた体をドッカとおろした。まもなくして老人が乗ってきた。僕の隣の座席に座ろうとしたその時、突然彼は僕の後ろの座席に変更した。何かな?と疑問の余地を残しつつ隣の座席を見た。すると、そこには信じられないものが一つ横たわっていた。

 餃子だ。しかも焼く直前の形作られたやつ。

 可愛らしかった。

 でもなんでバスに乗っているのだろう。渋谷においしい餃子のお店があるのだろうか?そこで問題なのが、焼かれに行くのか、食いに行くのかだ。

 僕は食いに行くと思う。みすみす焼かれ、その果て食われに行くはずもあるまい。実際のところ彼女は餃子の食べ歩きをしているに他ならない。日本版ビックバンが4/1からビックバンし、リストラされた彼女は自暴自棄になり共を食ったのだ、そして食おうとしているのだ。

 今にも死にたいというような表情を一つも出さずに一人黙々とバスに揺られる彼女を見て、僕は感心した。

 見習わなくちゃと。今まさに就職戦線真っ只中にいる自分を彼女はつっけんどんとした<管理者注:彼なりの動詞>のだ。

 僕は目から鱗が落ちる思いを抑え切れずその餃子(彼女)を握り潰しバスを出た。ちょっぴり臭かった。しかし鼻の粘膜を刺激する臭さじゃない、

 心の臭さだ。

同感

戻るか