-SWEET WIND-

土龍妄人(掲載No.45)


僕が教室に入った時、みんなは昨夜のバラエティ番組の話題で持ち切りだった。
自分はほとんどTVを見ることが無い。良い子は地球の自転より早く寝て、フィリピンパブで破産しない程度に育つべきだと僕は信じている。

結局みんなの輪の中には入れずに、一人窓際で物思いに更けることにした。
孤独な妄想、夢見がちな午後。机に書かれた悪戯書きが目に入る。
若い女の子のポエム。精神の根底から破綻しているような意味の伝わらぬ文章。
何もかもが寒い。夏なのに、僕の周りの温度だけが2度下がったような気がした。
氷の檻に閉じ込められた僕のソウルは、この心にちっぽけな嵐が吹いただけで崩壊してしまいそうな脆さを感じさせる。

「カリツォー」

ポツリ呟く。嗚呼、やはり孤独は辛く悲しいものだ。
寂しいという言葉はここ数年口にしてないつもりだが、心の中では何度となく唱えていたのかもしれない。

やめよう、こんな女々しい空想は。もっとポジティブにネイティブにプリミティブに生きよう。
僕は顔をあげ、バッと窓を開いて外の風を胸一杯に吸い込んだ、これでいいのだ。
今は何も考えないように、ただ自分のやるべきことをシッカリこなしていれば、それでいいのだ。

ピュルルルー

名も知らぬ一羽の白い鳥が視界を横切っていった。まるで新しく生まれ変わった僕の旅立ちを祝うかのように・・・

「隊長、トリがいます」

鳥は、僕の頭に虹色のベジェ曲線を描いて何処かへ去った。
今夜はホームランだ。

悩める若者よ

後ろを振り返る