幻想と理想
-VISION AND IDEAL-

カンターレ(掲載No.51)


 ある日、夢を見た。

 恋人に頭を撫でられていた。
 僕はうれしい気持ちでいっぱいで、そのうれしそうにしている僕を見つめる恋人は、もっとうれしそうだった。

 僕はうれしかったので、恋人の頭を撫でてあげた。
 恋人はうれしそうだった。
 僕は、恋人をうれしい気持ちにできる自分がうれしかった。恋人も、自分がうれしい気持ちになることで、僕をうれしい気持ちにできることがうれしそうだった。
 そのことに気がついた僕は、もっとうれしくなった。
 僕と恋人の間で、うれしさが反射し、増幅し、どんどん大きくなっていった。

 そして目が覚めた。
 僕は孤独だったけど、幸せな気持ちでいっぱいだった。

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