それでいいのか?
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めだじことムーミン婆(掲載No.54)


 最近になって、宇宙進出ブームからか、やれディープインパクト、やれマーズアタック、やれ釣りバカ日誌だと、お祭り騒ぎのように宇宙ネタのフィルムが人気を博している。そんな中、僕は忘れかけていた幼少の頃の興奮を思い出すに至った。

 その前に、近年の映画について、脚本屋としての意見を述べたい。

 僕は本来映画畑の出身だが、映像を作る際に我々はまずターゲットと目的を明確に決める。つまり、20〜40代に対して、チンケな合成を使ったバトルを提供しても、感動はない。しかし、幼稚園児は嬉々としてゴレンジャーを応援する。逆にラブロマンスなんかは大人にしかうけないよね。
 他の例を紹介すると、ロストワールドなんかはすごく広いターゲットを設けている。そしてリアルな恐怖を与えるのが目的。これは大規模な興業収益を見込んでの戦略だよね。高度なCGつかってさ。
 しかしだ、しかしだよ、脚本屋の僕としてはね、恐竜のリアルさには驚いたが、恐竜自体には驚かないよね。アレは映像屋の技術に驚いてるんであって、恐竜がそこにいることには驚かないでしょ、ああ、やっぱりいるんだ、っていう感じだ。

 ここで幼少の頃の興奮に話を戻したい。

 皆さんバカボンのオープニングのアニメーションを覚えておられるだろうか。
 あの頃僕はまだ映像屋の見習いをしており、脚本には全く興味がなかった。
 僕のボスがアニメーションの絵コンテを見せてくれたのだが、ある1シーンを見た瞬間に体に電流が流れ、いかにも興奮したのを覚えている。
 地球に月がめり込んでいくシーンだ。
 そのころそんな発想をもっていたのは赤塚先生くらいなものだよ。
 ハリウッド野郎共にはとうてい思いも寄らないだろう。
 セルを夢中で書き上げ、いざ映像にしてみると、それまた衝撃的なのだ。
 僕の同級生なんか、バカボン見てチビった、って言ってた。
 それまでにない発想から生まれる映像、それこそが真の感動を与えるシーンなのだ。しかも歌詞が、「こーれーでーいーのだー」。
 恐れ入ったよ。どう思う?地球に月がめり込んで、「これでいいのだ」。

 あれから20年、僕は脚本屋に転向し、ハリウッドでは夢中になってパクリ合戦を繰り広げている。地球を救おうとしてね。いい気味だよね、必死こいちゃってさ。
 僕は言いたい。
 インディペンデンスデイの大統領の演説のシーン、せめてバカボンのメロディで歌って欲しかった。
 「こーれーでーいーのだー、こーれーでーいいのだーー」

よくない

いいのだ