さわやか惨デー
-REFRESHING SUNDAE-
| 1年365日、オレは足繁くある食堂に足を運んでいる。 そこでレジ打ってるねーちゃん、いつもロボットみたいな動きなんだよね。 声も然り。関節の堅さによって、動きがまたナチュラルボーンブレイクダンサーと呼ぶにふさわしいほどアレなんだ。テレビうけするタイプだ。 「625へんになりま(す)」 いつものように無表情に手をオヤジに差し出していた。 そのオヤジが10円玉を落とした。 当然彼女はマニュアルにない動きを要求されるわけだ。興味津々見ていたら、腰を動かさずに床すれすれまで顔を下げ、10円を探していた。 でも1秒くらいで顔を上げ、またサブルーチンに戻った。 手の平を上に向け、「625(へ)んになりま(す)」と「へ」で声を裏がえらせ、「す」を裏声で鼻から息を抜きながらオヤジに言った。 見事なまでにフェイルフリー。そのサブルーチンの正確さ、(当然表情は変わらない)素早さにオレは、そしてオヤジは金を落としたことを忘れた。 オヤジは黙って「すみません」と言ってまた金を出していた。 とんだふぬけ野郎である。まあそれを見ていて感心していたオレもだが。 しかしオレは見逃さなかった。 ねーちゃんの首からネジが一本とれたのを。 オレはそのネジを拾い、グニャリと曲げてから返した。そして言った。 「ヨーグルト惨デー追加で」 ネジがはずれた彼女はもはや気付くことすらないだろう。 オレが「惨デー」というあて字を吹き出しに書いていたことを。 |