さわやか惨デー
-REFRESHING SUNDAE-

めだ(掲載No.61)


 1年365日、オレは足繁くある食堂に足を運んでいる。
 そこでレジ打ってるねーちゃん、いつもロボットみたいな動きなんだよね。
 声も然り。関節の堅さによって、動きがまたナチュラルボーンブレイクダンサーと呼ぶにふさわしいほどアレなんだ。テレビうけするタイプだ。

 「625へんになりま(す)」

 いつものように無表情に手をオヤジに差し出していた。
 そのオヤジが10円玉を落とした。
 当然彼女はマニュアルにない動きを要求されるわけだ。興味津々見ていたら、腰を動かさずに床すれすれまで顔を下げ、10円を探していた。
 でも1秒くらいで顔を上げ、またサブルーチンに戻った。
 手の平を上に向け、「625(へ)んになりま(す)」と「へ」で声を裏がえらせ、「す」を裏声で鼻から息を抜きながらオヤジに言った。
 見事なまでにフェイルフリー。そのサブルーチンの正確さ、(当然表情は変わらない)素早さにオレは、そしてオヤジは金を落としたことを忘れた。
 オヤジは黙って「すみません」と言ってまた金を出していた。
 とんだふぬけ野郎である。まあそれを見ていて感心していたオレもだが。
 しかしオレは見逃さなかった。
 ねーちゃんの首からネジが一本とれたのを。
 オレはそのネジを拾い、グニャリと曲げてから返した。そして言った。
 「ヨーグルト惨デー追加で」
 ネジがはずれた彼女はもはや気付くことすらないだろう。
 オレが「惨デー」というあて字を吹き出しに書いていたことを。

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飲許なのでは