ベトコン調味料
-VIETCONG SEASONING-

メリケンサック(掲載No.68)


 今回はホー・コリウチ君というベトナム人の男の子について書いてみようと思います。

 八重歯のかわいい子です。私は彼の向かいの家に住んでいる学生です。趣味が人間観察なので、今日もターゲットのホー君を見ています。

 午後5時、ホー君が学校から帰ってきました。コンビニの袋を持っているので、途中で何かを買ってきたのでしょう。中身を知りたくて、その後もホー君の姿を双眼鏡越しに追ってみます。ホー君が袋から何かを取り出しました。どうやらパンのようです。これから食べるのでしょうか。でも、ホー君はパンを食べずにゲームを始めてしまいました。お腹が空いてないのでしょうか。

 ホー君がゲームを始めて3時間後にお父さんが帰ってきました。いつも通り、帰るなりホー君を鬼のように殴っています。他人にばれないように服に隠れている部分を殴るところが通です。知っているのは私ぐらいでしょう。ま、私に害が及んでいるわけではないので通報する気はありませんが。何より人の不幸というのは見ていてすごく楽しいし。通報してしまっては私の毎日の楽しみが無くなってしまうから面白くないのです。ホー君が父親を刺すか何かして、さらなる事件になってくれればなおいいなぁ。

 一週間後、ホー君の買ってきたパンのことを思い出して、ホー君がパンを置いた場所を見てみました。パンはまだそこにありました。しかし、いつの間にか袋が開いています。ホー君の家は日当たりの悪い所に建っているためか、もう青カビがびっしりと生えていました。あ、ホー君がパンの近くにやってきました。捨てるのかな? いや、違います。青カビを取っています。何をするつもりなのでしょう。しばらくしてカビを全て取り去ると、またどこかに行ってしまいました。そんな様子を見た私は、ホー君のこれからの行動に興味を持ちました。

 数日たつとパンからは茶黒の短いカビが生えてきました。ホー君は今度はそれを取らずに放置しました。茶黒のカビが大量に生えてくるようになると、ホー君はパンをろうとに入れ、それをライトで照らしてあたためました。ろうとの下にコールタールのようなものが出てくるようになると、ホー君はそれをエーテルらしきもので水増しし、ある程度蒸発させたあと、瓶詰めにしました。何が出来たのでしょう。ベトナムの調味料かな?興味は増すばかりです。

 それからホー君はそれを画鋲の針の部分に塗りつけると、服の胸ポケットの中に画鋲を入れ、針が表に出るように細工しました。

 しばらくしてお父さんが帰ってきました。またいつもの光景が見えます。ただ一点、いつもと違うのは、ホー君の胸の辺りを殴った後お父さんがのたうちまわって動けなくなっちゃった事ぐらいかな。

 次の日から会社に出掛けるお父さんは見れなくなりました。ホー君はその日も元気に学校に行きました。帰ってくると庭に穴を掘るのが日課です。大好きなお父さんをそこで寝かせてあげるのでしょう。

 お父さんがいなくなってからホー君は変わりました。それまではゲームばかりしている暗い子供だったのですが、家に友達を連れてくるようになりました。それも毎回違う友達を。

 社交的になったホー君が好きになったのか、その子たちはずっとホー君の家から出てきません。庭には穴を掘ったと思われる跡がたくさん見えるようになりました。

おわり

奇遇ですな

マジでまねしないでください