| カメラのはなし |
ここでは、やや特殊な光あるいは影が存在し、それをうまく整えられた実例をいくつか示した。このような光、あるいは影を最大限に活かすには、露出の設定が肝心になる。自動露出では不十分で、補正が必要な場合が多くなる。どう補正するかは、カメラの露出測光方式や、その癖にもよるため、経験で会得するしかない。
これら の写真は、現在スキャンして PC に取り込んでいるフィルムの中から選んだもので、子供(現在はみな成人し、雰囲気が変わっている)を除けば、被写体が誰であるかを特定できそうなものの公開 ははばかった。
| 写真1 (1973年撮影) 外光でベビーベッドの柵の影が出来ている。しかし、ベビーベッドの白い布団カバーとベッドの横の白の襖が、レフ板の役目を果たしてくれている。そのおかげで、影がそれほど邪魔になっておらず、むしろアクセントライト的な存在になっている。 襖の位置を変えればレフ効果も変化し、襖などが無 ければ、白いシーツを天井から下げるなどをするとよい。 |
| 写真2 (1973年撮影) バックはこげ茶色の家具である。やはり左側にある白い襖で、適当なレフ効果が得られ、顔が逆光になっているものの、表情がつぶれないですんでいる。 レフ効果は写真1と同様であるが、黒バックなので、露出は赤ちゃんの顔だけを測って決め ている。カメラにAEロック機能があれば、赤ちゃんの顔をファインダー一杯にして、AEロックをし、その後構図を決めてシャッターを押せばよい。AEロック機能が無ければ、赤ちゃんの顔をファインダー一杯にして露出をはかり、その条件でマニュアル設定で撮影すればよい。露出の表示が無い場合は、何段か露出補正をかけて撮影してみるしかない。 |
| 写真3 (1973年撮影) 光に包まれ、穏やかな時を送っている母子を表現したいと思ったのだが、窓際で完全に逆光の配置になっている。 逆光の場合、最近ではカメラ内蔵のストロボで補正するのが常道になっている。しかし、ストロボはストロボ。明るく写るがクッキリ、ノッペラボウの像になりやすい。背後の光を除いた人物だけの露出で撮影すれば、ふんわりと光に包まれた雰囲気に することができる。 |
| 写真4 (1973年撮影) 友人の結婚式で、カメラマンを依頼された時のもの。司式者も親しいため事前の打ち合わせで、挙式中ベストなカメラアングルへの移動を許されていた。とはいえ、式の雰囲気を壊さないよう、頻繁な移動ははばかられた。 式の厳粛な雰囲気を残したいため、ストロボ等は使わずに撮影した。もし同じことに挑戦しようという人がいたら、2台のカメラを用意し、1台はストロボを使い、確実に写真を残せるようにすることをお勧めする(私もそうした)。 |
| 写真5 (1973年撮影) 現在ベルリンで活躍中の、 彼の地では名の通った声楽家である友人が、初めてリサイタルを開いたときに、照明係とカメラマン役を仰せつかった。しかし、不慣れな照明装置だった上に、準備時間が足りなくて、無難な平板照明になってしまった。今でも少し悔いが残っている。 しかし、スポットライトにすると、歌手の立ち位置に照明を合わせなければならず、舞台を見張っていなければならない照明係と 、あちこちの位置から写真を撮らなければならないカメラマンの二役は無理だったろう。 リサイタル等では、シャッター音の大きい1眼レフカメラより、レンズシャッター式のカメラを使うべし。またストロボも慎むべし。 |
![]() | 写真6 (1999年撮影) 北海道に異動したときに飼い始めた我が家の愛犬。今年14歳だが、いまだに健在。 背景の大半が白い雪で、天然の白バックになっており、自動露出では要注意の条件。しかも早朝の逆光。しかし、降り積もった雪の反射のおかげで、影の部分にも光が回り込んでいるという、写真を撮るには微妙な状況。 動物の写真でも、動物を主役に、その姿を表現しようとするなら、動物の目線までカメラのアングルを下げるとよい。 |
![]() | 写真7 (1975年撮影) 長時間露光による夜景である。三脚を使用して、数秒のバルブ露光を行った。 夜景らしさを表現するには、被写体の雰囲気と露出の両者が適切であることが必要だ。苦労して長時間露光をしても、空や、建物が明るく写りすぎると、多少の違和感は残るものの、昼の風景にしか見えないということになりかねない。 |
| 写真 8 (1974年撮影) モノクロであるが、夜間の室内でのバウンスストロボ照明の例。 『光と影を整える』でも触れたが、バウンス照明を使うと、いかにも室内照明だけで撮影したかのような雰囲気の写真にできる。ただし、天井が白か明るい色の部屋の場合だけに限られる。 ストロボは、通常通りカメラに固定してもよいし、長めのシンクロコードを用意して、部屋の家具の上などに固定してもよい。しかし、ストロボと反射させる、天井や壁までの距離で、光の拡散の度合いが変化するので、光の回り具合を確認しておく必要がある。 |
![]() | 写真 9 (1974年撮影) 以下は、光と影というより、レンズの焦点距離による効果のサンプル。ズームレンズが普及している現在、ズームで大きく捉えて写せばいい、という安易な考えを捨て、標準、広角、望遠レンズの特性を活かした撮影をすべきである。 これは標準レンズ。 子供が走る姿はかわいい。表情をうまく捕らえる必要があり、標準レンズだと、あっという間にフレームアウトしてしまい、シャッターチャンスが難しい。 |
![]() | 写真10 (1974年撮影) 300mmの望遠レンズ 。 カメラ片手に、海岸の埋立地を散歩していたら、近所の子が走って追っかけてきた。 望遠レンズだとシャッターチャンスには多少の余裕が出る。 また、写真9の標準レンズと異なり、なにやらストップモーションの絵のような雰囲気になる。 |
| 写真11 (1974年撮影) 135mmの望遠レンズ 。 子供の撮影では、年令によってはカメラを意識してしまって、自然な写真を撮りにくくなる時期がある。135mm程度のレンズで少し離れたところから狙うと、自然な描写を得やすくなる。 |
| 写真12 (1974年撮影) 20mmの広角レンズ 。 超広角レンズのデフォルメ(変形)効果のサンプル。手前の靴が顔より大きく写っている。 デフォルメを強調するため、ブランコ が一番手前に来た瞬間を捉えてみた。 |