■■ 【報告】第1回マイ支援センター提案会議 ■■

場所:名古屋大学 大幸キャンパス
日時:平成17年4月10日 13:00〜16:00
参加者総数:36名
  参加団体:アスペ・エルデの会、LD親の会、TEACCHプログラム研究会愛知支部
         日本自閉症協会愛知県支部
  参加者の立場:保護者、養護学校教諭、保育士、看護師、作業療法士、音楽療法士、
社会福祉士、ヘルパー、大学生
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1.概要
名古屋市に設置することになった発達障害支援センターが、実際に効果性を発揮するよう、 当事者が求める支援センターのゴール (=具体的な事業内容、必要な人材など)を明らかにし、市へ提言することを目的としたマイ支援センター提案会議の第1回を開催したので報告する。
2.会議スタイル
・参加者総数36名が5〜6名で構成されるグループに分かれてのワークショップ形式。
・参加者全員が口を開き、幅広く意見を吸い上げることを可能とするため、KJ法を採用。
・毎回、会議の最後に、各グループのワーク内容を発表し、参加者全員がアウトプットを共有する。

3.第1回マイ支援センター提案会議のテーマ
 ⇒発達障害をもつ本人、家族の置かれている現状課題を明らかにする。(=言語化する)

4.会議の結果
  現状の課題として意見の多かった項目、意見は以下の通り。

・医療機関及び関連機関の連携の不在

  → 本人の情報・履歴(カルテ)がまとまっていないため、適切な支援が行なえない。
  → ライフステージの節目(就学、就労など)で、サポートが途切れてしまう。
  → 障害を告知されてからのフォローシステムが整っていてない。(親任せの部分が多すぎる)
  → 専門以外の医者の理解が少なく暮らしにくい。(歯医者、耳鼻科、内科、外科、etc )
  → 関連各機関の壁が大きい。
  → 事業所間の連携も出来ていない 

・人材、専門機関の不足

  → 専門医、及び正しく診断できる医師が絶対的に不足している。(診断するだけで半年待ち)
  → 自閉症とMR(知的障害)を混同している専門職が未だに多い。(施設職員など)
  → 良質なサポート、サービスを受けられるのは、「運(たまたまの出会い)」しかない。
  → 生涯に渡る一貫した支援をコーディネートする人(資格・専門家)の不在。
  → 行政の関連機関より親の方が発達障害に詳しかったりする。(話が通じない、なぜか親には聞かない)
  → 自閉症は治ったと言われた(医者に)。。。。。

・地域の理解・啓蒙啓発

 → いじめ、からかいの対象になり易い。(=不登校、二次障害の要因)
 → しつけが出来ていないと責められる(幼児期・軽度・アスペの場合は特にそれが目立つ)
 → 発達障害を正しく理解してもらわないことには、支援の量、質ともに不足するのは当然の結果

・保育、教育

  →学校の先生と親だけでの個別教育計画では不安が多い。
  → 就学時の話し合いが上手くいかない(ノーマライゼーション自体、知らない人がいる)
  → 統合保育の場で、現場の保育士は指導の仕方が分からず混乱している。
  → 学校は教育支援は行うが、発達支援は行わない。(当事者ニーズとの不整合)
  → 学校では極論を言うと国語と算数しか教えることが出来ないor その比重が大き過ぎる。
  → 発達障害は認知発達の偏りであり、発達支援と教育支援は自立支援への両輪として捉えるべき。
  → 養護学校には、発達障害に関しての有望な人材が埋もれている。
  → 自閉症の特性を加味した「自閉症クラス」がない。(=不適切な障害児教育、発達支援につながる)
  → 療育が就学と共になくなってしまう。

・就労

  → ジョブコーチの数が圧倒的に足りていない。
  → 作業所、特例子会社などの就労の場所も足りていない。
  → 「自閉症は手が掛かる」という理由で、作業所が受け入れてくれない。

・権利擁護

  → 個人情報保護法は、知的障害のある人たちにそのまま当てはまらない。(逆効果の場合も・・・)
  → 悪徳商法のターゲットになり易い。(いつ何時でも契約無効にできる特例制度が必要)
  → 親亡き後の財産管理システムが確立されていない。(=安心して死ぬこともできない)
  → 現状の後見人制度のままでは心から安心できない。 (事実、財産の使い込みの事件も発生)

・地域生活・子育て

  → 就労、(平日)日中活動の場、グループホームの数が足りない。(=居場所がない)
  → 成人後の生活技術訓練の場がない。(行動に問題があっても改善する場がない)
  → 相談窓口が統一されていない。(最初にどこに行けばよいのか分からない)
  → 知的に遅れがないと、発達障害であっても直接的な支援は受けられない。(=手帳がもらえない)
  → 自閉症が社会的に正しく理解されていない。
  → 親が病気や事故にあった時に、相談、助けを求める場所がない。
  → 親が加齢とともに子どもの面倒を見れなくなってきた。
  → 子どもの睡眠障害により母親も体力低下。しかし、援助の手はない・・・

以上の通り、当事者の抱えている現状課題の抽出を行った後、「では、自分たちはどのような状態にしたいのか?」のお題にて、再度グループワークを実施、その上で、当日のワーク内容のまとめ・発表をグループ毎にて行った。 (当日の 発表資料と、各グループ司会からの要約文は本資料の後半に記載 )

5.次回予告 (第2回マイ支援センター提案会議について)


 各グループからの発表を受け、発達障害をもつ本人への必要な支援については、「医療、教育、就労、地域
生活、権利擁護」の項目が挙げられることが確認できた。また、それらの支援を実行性あるものにしていく
ためのキーワードとしては、「関連機関の連携」・「地域への啓蒙啓発」・「人材育成」の三つが最も多く挙げられた。
   以上の内容を鑑み、次回のワークショップにおいて、各グループが全項目の支援に関するワークを行えば、 項目毎の深堀りは難しいと判断し、(一貫性を失い、意見が発散する可能性) 次回の提案会議においては、各グループ毎に課題項目を与えてのワークとすることで合意した。 ※本会議の場で参加者の合意を得た。

●第2回マイ支援センター提案会議のグループ課題
 ・会議全体としてのテーマ
     ⇒ 「支援センターに期待する当事者ニーズを明確に打ち出す!
・次回ワークショップでの留意事項
・What (何を=必要な支援、かなえたいこと) と How (どのような方法で= 願いを形にする方法) を具体的に書き出す。 (各項目において必要な支援を全て書き出す)
※行政の施策(提案)を批判するのは簡単なこと、提案には提案で応えるのがフェアな議論と考える。 ・発達障害の支援は難しい。当然、センターだけで担えるものではないことを認識した上で、 支援センターにしか出来ない事を提案する。
 ・各グループの検討項目 (グループのメンバー構成は再編成する)
  @保育・教育   (乳幼児時期 0歳〜6歳)
  A教育  (学齢期、青年期 6歳〜18歳)
  B就労 (18歳以降)
  C権利擁護
  D地域生活
  E連携・啓蒙啓発・人材育成   (第一回ワークショップで抽出された重要キーワード)
  F連携・啓蒙啓発・人材育成   (第一回ワークショップで抽出された重要キーワード)
 ※E、Fのキーワードは、現状において医療が担っている項目であり、「医療」はEFとして扱う。
  根拠 ⇒・人材育成で欠かせない研修やセミナーの講師は専門医であることが多い。
・本人支援のための連携を行う上では、「カルテ」のような存在が必要不可欠である。
・アニメ・ドラマなどでも、発達障害が取上げられる際のアドバイザーは専門医である場合が多い。

●各グループの発表資料
Aグループ::◎メンバー構成:・保護者=4名、・保育士=1名、・学生(看護学)=1名

◎要約:それぞれ本人なりの自立に繋げるには、幼児期からの途切れない支援が必要不可欠。支援を途切れさせない工夫として、発達障害児者のカルテ制度「=母子手帳の拡大」を望む声がありました。

Bグループ::◎メンバー構成:・保護者=3名、・保育士=1名、・学生(看護学)=1名

◎要約:出生から一生涯,且つ福祉,教育,医療,就労など全領域にわたる支援センターが望まれる。この支援センターには,各領域の現場を知っており,専門家である人材が常勤し支援に当たってほしい。

Cグループ::◎メンバー構成:・ヘルパー(保護者)=1名、・保育士=1名、・音楽療法士=1名、・保護者=1名

◎要約:「本人の笑顔」の為には、各機関との連携が必要不可欠である。また、地域や社会の人たちの理解を得る為に、地道な啓発活動も行なっていく必要性があるとの声などがあがりました。その仕組みづくりの役目を支援センターに望みます。

Dグループ::◎メンバー構成:・養護学校教諭=1名、・作業療法士(保護者)=1名、・保護者=2名

◎要約:それぞれの分野や地域には、よく探してみるといい支援者や施設などのパワーが埋もれている。これらを有機的につなぐことができれば、もっと力が発揮できるはずだという点で見解が一致しました。

Eグループ::◎メンバー構成:・社会福祉士=1名、・養護学校教諭=1名、・保護者=3名

◎要約:「連携」、「人材」の不足。これらが要因となって生じる「すきま」への支援不足が最大の課題と考えた。「すきま」とは、ライフサイクルの分岐点であり、この変化の時期に特に支援が必要であるが、 「連携不足」がネックとなり、本人は苦しんでいる。この問題を解決するための連携(つなぐ)の実現と、人材育成に、センターは全力で取り組んで欲しい。

Fグループ::◎メンバー構成:・保護者=4名

◎要約:「学校などの教育施設」「行政」「在住地域」のサポートが必要であり,これらを相互リンクし機能させるためには,「医療」「教育」「福祉」「就労」を担当する専門家の常駐が不可欠である。また,「地域に潜在する人材の発掘」と「場の提供」も地域サポートには重要。

Gグループ::◎メンバー構成:・養護学校教諭=1名、・療育指導員=1名、・保護者=3名

◎要約:・社会的理解が重要、啓発には特に力を入れて欲しい。 ・支援者の質と量の確保を。
・家族への支援を(現状は精神的、肉体的、経済的にも負荷が高い)・支援者、関係機関の連携を目に見える形で行って欲しい。