• 宛先:名古屋市長 松 原 武 久 様
  • 日付:平成17年2月24日
  • 内容:名古屋市自閉症・発達障害支援センターの設立について
  • 要望内容

    日頃より、私ども(社)日本自閉症協会愛知県支部に格別のご理解、ご支援を賜り、お礼申し上げます。 首記の「名古屋市自閉症・発達障害支援センター(以下:支援センター)」の設立に関しましては、既にご承知の通り、当会より1月17日付けで当事者団体としての公式要望書を名古屋市長宛に提出させて 頂いております。
    一方、2月9日に支援センター設置に関する市の計画案の概要並びに開設準備会の設置についてお考えがある旨、ご連絡をいただきました。このような状況に鑑みて、当事者団体としての要望を以下の通りあらためて述べさせて頂くと共に、ご連絡いただいた内容も含め、充分な検討をお願い致します。発達障害者のライフステージ全般に渡る支援を心より願う当会の要望を真摯に受け止めていただきますようお願い申し上げます。

    1.発達障害者支援法の趣旨に則した自閉症・発達障害支援センターの開設

    平成16年12月に成立しました発達障害者支援法では、知的障害の有無に関係なく全ての発達障害児・者のための支援センターであることを明記し、また、支援センターの役割としては、医療・教育・就労・生活・権利擁護という、発達障害者のライフステージ全般にわたる一貫した支援を担うことを条文で定めています。

    ※【参照重要条文】※
    発達障害者支援法 第2条 (定義)
    この法律において「発達障害」とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものをいう。
    発達障害者支援法 第3章 発達障害者支援センター等[第14条]
    一.発達障害の早期発見、早期の発達支援等に資するよう、発達障害者及びその家族に対し、専門的に、その相談に応じ、又は助言を行うこと。
    二.発達障害者に対し、専門的な発達支援及び就労の支援を行うこと。
    三.医療、保健、福祉、教育等に関する業務(次号において「医療等の業務」という)を行う関係機関及び民間団体並びにこれに従事する者に対し発達障害についての情報提供及び研修を行うこと。
    発達障害者支援法 第3章 発達障害者支援センター等[第14条]
    四.発達障害に対して、医療等の業務を行う関係機関及び民間団体との連絡調整を行うこと。
    五.前各号に揚げる業務に附帯する業務
    ※第14条−五項の「前各号に掲げる業務」と言うのは、医療・教育・就労・生活・権利擁護を示す。

    2.名古屋市自閉症・発達障害支援センターに求める姿

     自閉症・発達障害を抱えるゆえの、「幼児学齢期(特に診断後・教育)の悩み」、「就労・生活支援に関する悩み(地域に住むこと、普通に余暇を楽しむこと)」、「成人の自閉症本人の悩み」、「高機能自閉症の悩み」「権利擁護の悩み(人として当たり前の権利)」、「親亡き後の悩み」、など多様で切実な悩みが、当会には日常的に寄せられています。診断後も、将来の見通しが立たない現状では、悲しい現実が数え切れないほどあるのも事実です。そして親だけの力では限界があり、自閉症・発達障害者の当事者団体である当会としては、その解決を支援者・支援機関の方々と共に日々模索しております。そんな中、名古屋市への支援センター設置は私たち当事者にとって希望の光です。どうか支援センター開設を機に、安心してしあわせに暮らせる名古屋市にしてください。

    私たちが必要としているセンターは以下のようなものです。

    (1)目的
    ・当事者のニーズに応え、発達障害者のライフステージ全般にわたる一貫した支援を実現するため、関係する機関、関係者をつなぐ「中核センター」としての機能を果たし、自閉症・発達障害をもつ本人が、安心してしあわせに暮らせる名古屋市にする。
    (2)業務内容および権限
     自閉症、発達障害に関する支援の入り口であり、支援に関わる機関、関係者をつなぎ、生涯にわたる一貫した支援のコーディネートを行う。また、専門家をサポートとするための専門機関であり名古屋市民への自閉症・発達障害に対する理解を深めるための啓発を行う。 また、関係機関とのスムーズな連携を実現するために、その権限・分担についても明確にしていく。
    (3)設置場所
    ・名古屋市民にとっての利便性を考慮した上で、幼児期から成人期まで発達障害者のライフステージ全般に関わる支援のノウハウの蓄積が豊富であり、中核センターとして最も適切な場所に設置する。 業務機能が限定されるような場所は望ましくない。
    (4)必要な人材、職員態勢
    ・自閉症、発達障害に関する高い専門知識と経験を有し、医療、教育、就労、生活支援、権利擁護、の各分野のスペシャリストをそれぞれ配置する。  これをどのように現実化するかについては、関係者全員で真剣に協議していくべきことと考えます。

    3 生涯にわたる一貫した支援を効果的に築くための検討プロセス

     限られた資源の中で、生涯にわたる一貫した支援を効果的に実施していくためには、地域の資源をつなぎあわせることが不可欠です。自閉症・発達障害への支援は多岐に渡り、十分な理解が必要となるため、関係者の英知を結集する必要があります。  そのためには、検討段階から、何がニーズか、現状はどうか、利用可能な資源はどこに・どれだけあるか、センターと他の機関との役割分担はどうあるべきかなど、当事者と関係機関が一緒に自分たちのこととして考えなくてはなりません。   以下のことを要望します。
    (1)当事者と関係機関が共に考える場の設定
    (2)市役所の中で教育を含む各関係機能が連携した検討会の実施
     
     これらの検討を経て、「名古屋市自閉症・発達障害支援センターの目指すゴール」を文書化し、関係者で共有し、開設後の実効性ある連携につなげていけるものと信じます。
    ※【参照重要条文】※
    発達障害者支援法 第3条4項
    (国及び地方公共団体の責務)
    国及び地方公共団体は、発達障害者の支援等の施策を講じるに当たっては、医療、保健、福祉、教育及び労働に関する業務を担当する部局の相互の緊密な連携を確保するとともに、犯罪等により発達障害者が被害を受けること等を防止するため、これらの部局と消費生活に関する業務を担当する部局その他の関係機関との必要な協力体制の整備を行うものとする。


    以上の点についてご検討賜り、ご多忙中恐縮ではありますが、来るべき開設準備会の日程に鑑みまして、速やかにご回答いただきたくお願い申し上げます。