事業報告

2002/02/28 更新

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自閉症カンファレンスNIPPON見聞録

自閉症カンファレンスNIPPON ─TEACCHモデルに学ぶ実践研究会─
 2002年9月7、8日に、東京早稲田で、自閉症カンファレンスNIPPONが開催されました。  佐々木正美先生(実行委員長)が「日本でのTEACCHプログラム実践の状況を教えてほし いとよく尋ねられるが、私も知らないとしか答えられなかった。一度、全国から一堂に 会して、日本の各地でTEACCHが、どこで、だれが、どのようにやられているのか、 実践を持ち寄る場をもうけたらどうかというのが会議開始の趣旨だった」と説明された とおり、そうそうたる発表者が一堂に会しました。会議参加者も1200名という大規模。 しかも、申込みは 2800名あったといいますから、関心の大きさに驚くばかりです。  私も参加し、刺激を受けて帰ってきました。ひとり占めにしておくのはもったいない ので、私が聴講した講演、分科会の印象深かったものをダイジェストで報告をします。
********内容: 報告者(名古屋市北区:父親会)カイパパ さん********
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◆基調講演(佐々木正美先生)
 1982年に佐々木先生はじめ10名の仲間で、ノースカロライナへ渡った。それまで、明確 な効果も自信もないまま手探りで自閉症の方と向き合ってきた。それが、TEACCHにふれ て「こういうものが世界には存在したのか!」という感激、言葉に言い尽くせない衝撃を覚 えた。  TEACCHはすべての大陸で普及しつつあるが、自分(佐々木)が感じるのは、世界を見渡し ても、親の活動が先行して、専門家がその後をついていっている。「この子を何とかしたい」 という強い思いからTEACCHが普及してきたと佐々木先生はおっしゃっていました。 ◆シンポジウム「親の会の地域生活支援」
 佐賀県、京都府、神奈川県、横浜やまびこの里、千葉県の親の会の報告がありました。  特に印象に残ったのは、佐賀県でした。親の会結成は、1978年。以来、明石洋子さん(『あ りのままの子育て』の著者)、服巻智子さんといったキーパーソンと関わり、少しずつ強くな り、発展して、「成人支援センター、相談センター、自閉症支援専門家養成センター」の3 つの機能をもつNPO法人を立ち上げるまでに到っている。また、医師会と親の会の行政に 対する働きかけによって、2002年9月に、行政・医師会・親の会・マスコミによる「佐賀県 自閉症対策協議会」が発足したそうです。会の戦略が明確であること、専門家・親の会・行 政といった連携が生まれていることに感銘を受けました。 ◆第1分科会「幼児へのサービス」
 私の息子は3歳なので、1日目の分科会は、ここでじっくりと発表を聞きました。  どの発表も、共通して、必ず子どもの発達段階の「評価」をしていることに気がつきまし た。TEACCHは、まず評価をていねいに行ない、それを踏まえて支援プログラムを組み立 てるという原則が徹底していますから、当然のことなのですが。私はまだ子どもの「評価」(知 能検査は別にして)をしてもらったことがないので、新鮮でした。評価がなければ、どこをど う支援していったらいいのかが明らかにならないはずです。こんなことではいけないと思い ました。  明石市立播陽幼稚園の山根純子さんが発表された幼児のスキルチェックリストは、親の観 察でもチェックができそうなので、参考になりました。  横浜市南部地域療育センターの発表では、「視覚支援」と「構造化」が徹底された教室の様 子がビデオで紹介され、こいつはたのしそうだ! と親が見ていても思いました。こういう ことが実践されている場所があるのだとわかっただけでも収穫でした。お手本があるのです から、追いつくのは早いはずですよね。  愛知でもTEACCHプログラム研究会の支部が設立されました。現場で実践に取り組んで いただくことを親も一緒になってやっていきたいですね。
◆第8分科会「親」
 2日目は「親」分科会をベースにして、途中2コマを「地域生活の支援」分科会に移動し て聴講しました。  愛媛県新居浜市の明智美香さんの発表が刺激的でした。明智さんは小学5年生になる自閉 症男の子のお母さんで、「コミュニケーションハンディキャップ研究会」というNPO法人を 立ち上げて理事長をされています。このNPOは、「自閉症ならびに近縁のコミュニケーショ ン障害児・者に、生涯にわたる安定した環境構築と地域理解を目的とした活動をしている」 とのこと。とても行動力があって仲間づくりに秀でた方でした。ホームページも会報もかわ いらしくていい感じです。ぜひご覧になってみて下さい。私たちの参考になる活動です。 http://www.comiken.jp  北海道の佐藤裕さん(『アメリカ障害児教育の魅力』の著者)は、家庭でのTEACCH実践 をビデオで紹介されました。「こういうものは百円ショップで手に入ります」など、なんだか 楽しんで工夫をされている雰囲気が伝わりました。「彼はこれができて、あれが苦手。だから 現在はこれの練習中です」と、きちんとお子さんを冷静に評価していることに感心しました。 お子さんをよく観察されていることは全員に共通していた気がします。
◆第12分科会「地域生活の支援」
 長野県の北信圏域障害者生活支援センターの湯本さんの発表──「タイムケアサービス」 (いわゆるレスパイトケアサービス)が長野県では、理由を問わずいつでも利用が可能で、 費用が年間100時間まで無料(!)ということを知り、すごくうらやましく思いました。ま た、支援センターが中心となって、何かトラブルや心配事が生じた場合に、役場の福祉係や 養護学校の先生などが集まり「ケア会議」を開くそうです。「地域支援とは、家庭だけががん ばるのではなく、またどこか一つの機関だけががんばるのでもなく、地域にあるいろんな機 関、いろんな人が、ちょっとずつがんばって、それを組み合わせて支えていくことが大切」 という言葉が印象的でした。  横浜やまびこの里の中村さんは、グループホームでの生活を映像で見せてくれました。重 度の自閉症者で行動障害を抱えていても、ひとりひとりに合わせた適切な支援を作り出すこ とによって、施設だけに頼らない地域生活への可能性を広げたとのこと。理想を語るだけで はなく、実現させてしまう意志と力に希望を感じました。
◆エリック・ショプラー講演
 ショプラー博士が、TEACCH以前(黎明期)のお話をしてくださいました。シカゴ大学大学 院生だった頃、なんとショプラー博士は、ベッテルハイム氏の教え子だったそうです。ベッ テルハイム氏の理論(「自閉症の原因は、冷たい親の育児による…」)に疑問を持ち、それを 乗り越えるに到った経緯──そして「両親は共同治療者(co-therapist)である!」という結 論に到る。これがTEACCHの根源的なスタートであったことを知り、感動しました。
◆おわりに
 会議が終わって、やる気・希望と「じゃあ家に帰ってわが子に何が与えられるのか?」と いう疑問が、入り混じった気持ちで帰路につきました。自閉症カンファレンスは定期的にや っていくそうです。次回もぜひ参加したいと思います。
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支援セミナー「横浜やまびこの里のグループホーム」

(社)日本自閉症協会愛知県支部

平成13年度自閉症児・者のための支援セミナー(第4回)

=自閉症の豊かな暮らしを求めて=

 

  日 時  平成14年2月17日(日)13:00〜16:00

  場 所  朝日ホール

  テーマ  『横浜やまびこの里のグループホーム』 

  講 師  社会福祉法人 横浜やまびこの里  中山 清司 先生

************** 講演要旨: 報告者(名東区:父親会)幅 岳史 氏 *****************

 

 

1.横浜やまびこの里紹介

法人設立の背景

「横浜やまびこの里」は横浜の自閉症児・者の親の会が設立の母体・資金提供者となり1998

年に法人化されたもの。東やまた工房(作業所)からスタートし、東やまたレジデンス(入所施設)、地域作業所、グループホーム、高齢者ケア施設、区役所内へのコーヒーショップ出店等へと展開するとともに既存の他施設とも連携している。現在の利用者は全体で140〜150名である。

法人の理念

ひとりひとりのニーズに合わせて個別化された援助を考えていくこと、および「ハコモノ」への入

所が前提ではなく、地域で暮らすことを前提にいかに地域生活を支援するかを考えていくことが理念である。 本日は、6ヶ所あるグループホームの内容を紹介したい。

 

2.グループホームの基礎知識

国の事業

1989年より国の地域生活支援事業(グループホーム)が開始された。 地域の暮らしを実現す

る選択肢の一つとして、居住ではなく地域の暮らしを支援し、本人の意思を尊重した生活の広がりをもたらすことが目的である。

横浜市の経過

 横浜市においては、1985年より運営委員会方式(通称A型)のグループホーム制度が開始された。形としては無認可の作業所のように地域や家族が共同して運営委員会を設置しグループホームを運営、市は横浜市在宅障害者援護協会を通してこれら運営会(非法人)に運営補助金(設置費・運営費)を支払うという方式であった。一方で法人運営(通称B型)のグループホームにも同様に補助金が支払われており、最近ではこれが一般的である。

グループホームを取り巻く今後の流れ

グループホームは現在全国に約2500ヶ所存在しており、自治体、地域差はあるものの、入所

施設からグループホームへというのが大きな流れである。平成15年度から「措置から契約へ」を眼目とした基礎構造改革が実施されるが、詳細についてはまだ議論中である。例えば通所施設利用者の休日のフォロー、バックアップ体制、高齢化・重度化への支援、援助者(施設職員、世話人等)の質・量の確保など未整理の項目が多い。「横浜2010プラン」では2001年に181ヶ所あるグループホームを2006年には281ヶ所へ増やす計画である。(5年間で100ヶ所設置)

 

3.やまびこの里におけるグループホームの展開

○最初のグループホーム

 1990年より通所施設「東やまた工房」を立ち上げ40名を受け入れたが、家庭におけるトラブルや両親の高齢化等により帰宅できなくなる事例が増えるなど、通所施設の限界が見えてきたため、入所施設(東やまたレジデンス、1996〜)計画が浮上した。この立ち上げに先立ち、グループホームを運営しそのノウハウを東やまたレジデンスに活かすことを目的に、グループホーム第1号となる「ハウスBEE」(定員5名)を1994年に設置した。準備段階においては、スムーズな共同生活に向けボラさんや地域で家を貸して下さる方の元で入居予定者の宿泊訓練を実施した。

○運営方針

 グループホーム入居者は自立度合いが高く軽度の人、入所施設は重度の人という棲み分けではなく、重度・軽度に係わらずひとりひとりが暮らしのスタイルを選択すべきとの考えから、重度の人もグループホームで暮らすことを前提に支援を考えた。グループホームは個人の暮らしが5つ集まったものであり集団や家族ではないため、ひとりひとりの好み、年齢等に合わせた個別の普通の暮らしを支援することが前提となる。帰宅してからもグループホームに閉じこもるのではなく、地域サポートシステムを組み合わせた外出等の支援も必要である。

グループホームの構成、援助体制

法人のグループホームは6ヶ所(定員4〜5名)。 うち、4ヶ所は週末利用も可能である。一戸

建てが4ヶ所、3棟続きのテラスハウスの2棟を借りたものが1ヶ所、マンションの3戸を借りたものが1ヶ所(同じ屋根の下であれば部屋が分かれていてもグループホームと認められる)。スタッフ構成は入居者構成により異なるが、通常、住み込みの職員1名、アシスタント(アルバイト等)が2〜3名のメンバーから毎日1名、加えて近所の主婦をパートのハウスキーパーとして、入居者留守時の掃除、洗濯、食事の下ごしらえなどをお願いしている。

グループホームの生活

普段の普通の生活なので集団活動などは実施しない。7時起床、9時に各作業所、施設、企業

等へ出勤、16時に各勤務先を退所しそれぞれの方法で帰宅(徒歩でヘルパーがつく人もいれば、公共交通機関を一人で利用する人もいる。)、19時頃食事、入浴、その後各々就寝という普通の暮らしである。スタッフは生活指導をするのではなく、入居者同士の主体的な生活の交通整理の役目を果たす(洗面所、風呂がかち合わないようにするなど)。学生ボラさん、アルバイト等多数の人がホームに出入りしている。

利用者の負担(月額)

家賃が3〜3.5万円、共益費が5千円、食費が1〜2万、介助が必要度合いにより1〜3万円、

3ランクの有料サービス料が付加される。合計7〜8万円程度。入所施設が月額1〜2万円程度なので、ちょうど子供が親元を離れ下宿を始めたイメージである。

 

4.グループホームの実際

<スライドによるグループホーム紹介>

外観

ハウスBEE・・・二階建て6LDKに5人が生活、個室は2Fにある。専門設計。

ハウスSAE・・・普通の不動産屋で紹介された賃貸物件。もと二世帯住宅。

ハウスDOUX・・一戸建て、専門設計。

ハウスEEL・・・3棟続きのテラスハウスを2棟借りている。あと1棟は一般の方が利用。

ハウスF・・・マンションの3戸を賃貸し一体運営。

ハウスG・・・一戸建て、専門設計。

○取得にあたって 

物件探しは難しい。大家さんが近隣との関係から慎重になる。

横浜の場合は市の計画もあるため、グループホーム専門の不動産屋もある。

ハウスEELに入居している一般の方は幼児のいる若夫婦、入居にあたってはグループホームの様子などを見せ、よく話し合い納得して入って見えた。

グループホーム生活の実際(ハウスBEE)

5つの個室は6畳程度、1階は居間など共用スペース。

常勤の職員とアシスタント(アルバイト)の二人体制。

共同生活では適性に合わせ皿洗い、掃除、洗濯など当番を決める。(公平に割り振るのではなくできるもの、得意なものを)

構造化のアイディアを取り入れ住みやすくする。

  文字、絵、写真、実物など各人の能力にあったスケジュール表(勤務先も同じものを使用)

  洗濯、風呂、電化製品等の使用手順書、料理の手順カード、意思をあらわすコミュニケーシ

  ョンカード等

  ・余暇は各自が居間や個室でゲーム、音楽、絵、トランプ等を楽しむ。

<ビデオによるグループホーム紹介>    

○余暇の過ごし方 

法人の利用者100人程度が、希望に応じて少人数(6〜7人)のグループで構成されている

 レククラブに所属している。(ハイキング、プール、カラオケ、ボーリングなど十数クラブ)

各人の希望によるため施設毎、グループホーム毎の編成ではない。法人では運動会など集団行事は実施せず、各人が無理なく好きなことに参加できるようにして自主的な選択を実現させている。

余暇の過ごし方を主体的に選択させることのメリットの他に、公共施設、レストランその他社会資源を活用し、さらに活用できる資源を開拓し、自閉症の地域理解を図ることも主眼である。

トラブルもあるが、それをおそれずやってみることが大切と考える。何度も行けば店の人とも

顔見知りになり関係ができる。

グループホーム生活の実際(ハウスBEE)

構造化のアイディアを取り入れ住みやすくする。

・余暇は各自が居間や個室で各々すきなことを楽しむ。

ハウスキーパーは近隣の主婦にパート(昼間3時間)で来てもらっている。最初は不安もあったようだが、居間では子供もグループホームに遊びに来るようになった。

加齢が進むと虫歯や肥満等の健康の問題が浮上してくるため、スポーツや散歩など健康維持、増進にも気を使っている。

料理ができる人には、包丁で手を切ったり、皿を割ったりもするが、危険だからといって止めずやらせている。できることを増やし介助が必要なことを減らしていくことが大事。

グループホームの什器や電化製品はチラシで寄附をお願いしたところほとんど集まった。こうした機会は地域との新たな人間関係形成にも役立っている。

女性の常勤職員もいるが(入居者は男性)、心配されるようなトラブルは発生していない。

深夜のテレビ音量など最低限のマナーは、ボリュームの上限レベルを数字で教えるなど具体的に指示。

余談だが入居者5人が決して仲がよいわけではない。

 

5.あたりまえの暮らしを支える支援

理解とトライアル

まず自閉症の文化や価値観を理解し、視覚優位、日課になっていることは理解しやすい、整理

整頓が得意、などの特性を活かし、生活の枠組みを整理することである。また、我々の文化における常識、例えば食事は一斉にとる、家事は公平に当番を決めるなどと決めつけず、決まったものはないと考え豊富なアイディアを出して失敗をおそれずまず試してみることが大事である。

暮らしの視点を大切にする。

グループホームは普通の暮らしであるので、一日、一週間といった流れで暮らしを把握するとと

もに、援助者も仕事ではなく共同生活者という意識を持つことが必要である。こうしたことから我々は住み込みという方式を採っている。この結果、通所施設、作業所スタッフでは分からなかったご家族のご苦労などが肌で理解でき、今ではスタッフのキャリア形成のためローテーションに入れている。

主体的な暮らしを支援する。

 グループホームは訓練や指導の場ではなく、生活の場である。家事、料理、片づけ等の指導の場としたらみなストレスがたまってしまう。本人の意思を尊重して、したいことをうまく実現できるよう生活を組みかえ(たとえば構造化のアイディアを活用し)、本人の意思が反映できるようにすることがスタッフの役目である。このためには家族との情報交換を密にするとともに、今後どうあって欲しいかという家族の思いを引き継ぐことが大事である。

 

6.援助スタッフの役割

○法人職員

 単なる仕事、職場と考えず、共同生活者、地域生活者の意識を持ち、近所づきあいにも配慮すること。また、家の管理を任された一家の主、主婦の役割も担う。さらに法人職員として、バイトスタッフ、ハウスキーパー等のチームリーダーとしての役割も果たすとともに、利用者の権利擁護も図らなくてはいけない。スタッフが主役ではないのでスタッフが夜声高に話すなどして入居者の生活を侵さないようにしなくてはいけない。加えて、グループホームは閉鎖的な環境にあるため、その内容を地域に理解してもらう必要がある。この意味でハウスキーパーは近所とグループホームの良き橋渡し、窓口の役割を自然と果たしてくれる。

○生活アシスタント(アルバイトスタッフ)

 大切なのは職員のアシスタントではなく入居者のアシスタントであること。風呂、歯磨き、家事などの直接アシストとともにコミュニケーションを図るなど間接アシストも図る。また、施設職員が失いがちな一般市民の感覚(花をいける、庭でバーベキューをする、節句ものをかざる等)をグループホームに入れていく役割も担う。さらに複数の人に出入りしてもらうことにより、グループホームの閉鎖性を緩和し、また、入居者と同年代の(若い)人が入ることにより、入居者が年齢相当の暮らし、生活を知ることもできる。また、アシスタントは専門家の卵として正しい障害の理解、支援方法、コーディネート能力を身につけることができる。

ハウスキーパー(近所の主婦)

1日3時間程度、時給800円程度でお願いしており、昼間ならばいつ入るかは自由。共用スペ

ースの清掃、洗濯、取り込み、食材の下ごしらえなど入居者、スタッフでは行き届かない家事を担う。グループホームに出入りすることで、主婦感覚で男性スタッフでは気が付かないこと(身だしなみ、家を維持するのに必要なこと)を自然に改善するとともに、地域との良き窓口ともなる。

 

7.まとめ「地域での暮らしを支援する」

 まず、地域生活への明確な方向性を持つこと。そして、個々のできること、特性、これからできるようになりたいこと、そのための支援の方針をかため、地域の暮らしを支える援助を作り出すことである。また、ガイドヘルパー、生活保護など制度を活用するとともに、地域資源を利用し、また、利用できる地域資源を失敗をおそれずトライし増やしていくことが大切である。

 こうして、地域生活のコーディネートを積極的に行い、地域の人々が生活の担い手になるよう生活の場を例えば理髪店、レストラン、コンビニと広げていくことが必要である。これが社会資源の有効利用と地域の理解促進に繋がっていくと考える。グループホームを拠点として地域生活を発展的に営んで行くことが肝要である。

 

8.質疑応答

Q1:名古屋市福祉センター職員、スライドにタイマーが映っていたがその活用事例について。ど

   んな人がどんな場面で使っているのか。また、学校、家庭生活の中で将来のグループホーム             

   生活で役立つことがあれば教えていただきたい。

A1:開始、終了の合図、きっかけを示すという目的のツールとしてタイマーが分かる人に使ってい

   るが、タイマーを使うことが目的ではなく、チャイムでも声かけでもその人に応じてその人の分

   かる方法で行うことが大切である。2点目の質問については、親元を離れた外泊経験が効果

   がある一方で、そのときトラブルにあった場合外泊嫌いとなるというリスクもある。理解のある

   外泊先を選ぶことがポイント。また、トイレ、着替え、歯磨きなど身辺自立は直接介助項目を

   減らす意味で大切であり、これはグループホームにとどまらず就労時のポイントでもある。さ

   らに、第三者(援助者)とうまく関われる声かけのルール、特性の把握、整理ができており、援

   助者と行動した経験があるのが良い。ガイドヘルパー用のプロフィールなどをまとめている保

   護者も多い。

 

Q2:年中男児父親、法人設立の経緯からあまり考えられたことはないと思うが、入所施設、通所

   施設、グループホーム等において、自閉症者とたとえばダウン症、知恵遅れなど他の障害の

   ある方とは分離すべきか、それとも一緒がよいか。

A2:援助者の技術があれば全て対応するのが理想だが、私としてはグループホームに自閉症者

   と自分があまり詳しくないその他の障害のある方とが入った場合、スタッフをこなす自信がな

   い。ひとりひとり大切に対応する必要性を考えると難しい。自閉症者が我々と暮らしていくこと

   ですら難しい中で、障害者とひとくくりに集めるのを統合、インクルージョンというとは思えな

   い。横浜やまびこの里は法人設立の経緯から自閉症者が約9割、1割が知的障害等だが、

   自閉症を専門とするスタッフが対応に苦慮しているのは後者である。

 

Q3:名古屋市の更生施設職員、グループホームも2ヶ所運営、家事は現在世話人が全て行って

   いる。できることは入居者がやりたくないといっていてもやらせるべきか。

A3:ひとりひとりにあわせて考えることが前提。やりたくないという個人の意志を尊重するか、この

   ままでは生活が成り立たないためやらせるかはケースバイケース。私としてはその人の今の

   暮らしを大切にするのか、将来を見据えステップアップを図るべきなのかという基準で判断す

   る。例えば学生は勉強するが30台、40台の大人は日々の暮らしにそれが不要ならばしな

   い。個別に考えてみることが大切。

 

Q4:自閉症児母、横浜においてグループホーム入所待ちの人はどれくらいか。また、親としてグ

   ループホーム生活にどの程度支援が必要か。

A4:人数については不明。私どもの法人にはグループホームが6つあるが、親の希望で作った訳

   ではなく、職員のスキル、法人の財政等を考えて着手した。親が集まって市の協力の下、A

   型グループホームが毎年に1〜2ヶ所できるが、親が仲良くとも入居者の折り合いがわるい

   といった例もある。入居者の支出は月7〜9万程度、障害者年金、生活保護など制度を上手

   に活用することにより対処。こずかい、衣類等は家族が負担しているようである。週末帰宅型

   の場合、週末の生活費も必要となる。

 

Q5:小5男児母、経験を増やすという意味で友人と外出機会を増やしているが、特に順番待ちな

   どの場面でパニックをおこし、人を突き飛ばすなどの不適応行動を起こすことがある。こうし

   た経験はあるか。またその対処は。

A5:経験は多数。他人の家に入り冷蔵庫を開けるなど。しかし、できないからやらないではなく、リ

   スクをリスクと認識し、最前の準備をして実施するべき。特定の職員や特定の性別の人でなく

   ては対応できない人などさまざまであるが、我々も日々どうしたら係わっていけるかを試行錯

   誤している。100%自立はむりとしてもできるところまでは自立してもらうため、どこまででき

   るのか、何ができないのかを整理して必要な援助を考えること。このためには「評価」が必要

   であり、これは第三者として毎日その人をみている施設、学校職員の役割である。親と職員

   は連携をとり情報を交換することが必要。この際、「めばえスキル」に注目する。あるスキル

   について、できる、できないという○×であらわすのでなく、声をかければできるといった△の

   考えを入れて評価し、△を「めばえスキル」として重点課題としていくのがよい。また、外出の

   際にはどこへ、いつ、何でを分かるように(ことば、写真、地図、絵などで)伝えると見通しがつ

   き安定する。

   

9.最後に

  今後もこうしたセミナー等を通じてお互いに障害の理解し彼らを支えていきたい。 

佐々木正美先生は、「自閉症者と我々は違いを認めて歩み寄ることが大切だが、我々から歩み寄る必要がある。我々が歩み寄ることのがたやすいからである。我々が努力して彼らに近づき信頼関係、無理のない暮らしを実現していくことが必要であり、彼らを我々の世界の都合に合わせ引っ張り込もうとしてはいけない」とおっしゃっている。

 施設や学校のルール、集団生活に自閉症者を当てはめようとするのではなく、トラブルが起きれば個別に対応し、我々が彼らにあわすことが大切である。

 

以上

 

 

(このメモは中山先生の講義内容をレジュメを参考にまとめたものです。項目だて等は協会愛知

 県支部 幅 が設定しました。コピーライトは中山先生にあるかと思いますのでご留意下さい。)

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父親会

「父親の会」に参加して

 報告:カイパパ

 

日時・会場:2002210日 () 10:30~15:00・つぼみの会事務所

アドバイザー:加藤祥二先生(加子母塾)、鈴木光雄先生(名古屋市西養護学校)

事務局:岡田さん、加藤さん

参加者:6名のお父さん(2歳男(2名)、3歳男、4歳男、1年生男、4年生女)

 

★充実した会でした

 初めて「父親の会」に参加しました。みなさん初対面の方ばかりなので、緊張しながら、自己紹介と困っていることを順番に話すところから始まりました。悩みを話し合ううちにだんだんと緊張もほぐれてきて、午後1時の終了予定を大幅に超えて3時まで会は続きました。

 

★今回のテーマについて

 今回のテーマは「父子関係を考える〜接する時間が少ない父親はどうしたらいいのでしょう」でした。

 今回参加されたお父さん方はみなさん仕事が忙しい中、お母さん方と一緒になって「子どものために何かをしよう」という姿勢をお持ちで、そのことがひしひしと感じられました。先生方も「若いお父さんたちの姿勢はずいぶんと変わった。20年前だったら考えられないくらい積極的に関わっている。とても良いことだと思う」とおっしゃられていました。

 事務局の加藤さんが、「ここに来ているお父さん方は問題ないと思うけれど、お父さんたちに期待するのは、お母さん方のサポートです。お母さんは四六時中子どもと一緒にいて、他のお子さんなんかも見て、ストレスがたまることが非常に多い。そのストレスを少しでも解消させてあげるように、相談に乗ったり、グチをうるさがらずに聞いてあげてほしい。お母さんたちは本当に大変。いざとなったら俺が出ていく、といって安心させてあげてほしい」と言われていました。

本当にそのとおりだと思います。私も、仕事で疲れて、家では妻の話をきちんと聞いてあげられないこともしばしばあります。二人が共倒れになってはいけませんが、やはり夫婦が一緒に気持ちと情報を共有して子育てをしていきたいですね。

 

★トイレトレーニング

 私(26ヶ月男児の父)は、身辺自立(特にトイレトレーニング)について質問をしました。

「自閉症児は、自分から尿意を知らせることが難しいので、その子の尿の間隔を親が把握して、時間になったらトイレに連れて行き、うまく出たときにはほめてあげる」──このやり方をアドバイスしていただきました。

「ほめるチャンスを見つける」ことが大事だそうです。だから、たくさん水分をとりおしっこもたくさん出る夏は、うまくいく確率が多いので、トイレトレーニングのチャンスになります。わが子も、3歳になる今年の夏から取り組みたいと思います。

加藤祥二先生が、「身辺自立は、とにかく一つずつ教える。一つにつき最低2週間はかけて。1ヶ月2ヶ月かかる課題もありますが、それでいいんです」と言われたのを聞いて、なぜかホッとしました。

 

この他、印象に残った話題を紹介します。

 

★特殊学級について

小学1年生で特殊学級に通われているお父さんのお話。

学校からは養護学校をすすめられている状況だが、地域で育てるために特殊学級でがんばりたいと思っている。学級担任からは、色々と厳しいことも言われているそうですが、この1年間の発達をみると、特殊学級に通うことがマイナスにはなっていないので、がんばっているとのこと。ただ、毎日付き添いを求められているお母さんの負担とストレスを何とかしたいと思われているそうです。

特殊学級と養護学校とのメリット・デメリットについて、先生からお話がありました。「特殊学級から養護学校へ変わることはできても、養護学校から特殊学級に変わることが難しいから、特殊学級で多少無理をしてでも、と思ってしまう」という指摘もありました。

 

★地域での活動について

 刈谷市からのお父さんのお話。

 自閉症の診断が3歳児検診などでなされず、いくつかの病院を回って、やっと判明した。早期発見・診断があれば、無駄にせずにすんだ時間が悔やまれるとのこと。

このお父さんは、積極的に自分から行動して地域の仲間を見つけようとされており、そのことも印象的でした。

 そこから話題が発展して、自閉症協会の支部のあり方について、事務局の方から問題提起がありました。

県支部の中には、市や地区ごとの支部の連合体になっているところがあるそうです。愛知県支部は、たとえば名古屋支部、刈谷支部などの連合体ではなく、一つの支部です。県下をブロックに分けて地区委員をおいています。このスタイルだと、各市町村の状況に応じた行動が弱くなるおそれがあります。なぜなら、事務所のある名古屋市の住民には、他の市の状況はよくわからないからです。愛知県支部として、適切な行動が遅れるおそれがあるとのことでした。

たしかに、地元のことは地元が一番よく分かります。地元のメンバー同士の連携を強める取り組みの必要性を感じました。

とはいっても、会員名簿の公開などは問題が多いでしょう。たとえば、ホームページやメーリングリストでの意見交換などを利用しやすい形で作っていったらどうか、などアイデアが出されました。

 

★感想

 自閉症といっても、子どもによってずいぶんと違うものだということを実感しました。お話のできる子や親の指示を聞ける子もいれば、そうでない子もいる。それでも共通する悩みはある。また、年齢が上のお子さんのお話は、色々と参考になります。本音で語り合えるこの会はとても有意義でした。

 先生方、事務局の加藤さん、岡田さん、参加されたお父さん方、どうもありがとうございました。ぜひ次回も参加したいと思います。

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平成13年度自閉症児・者のための支援セミナー
第3回の報告

=自閉症の豊かな暮らしを求めて=

 
  日 時: 平成13年10月13日(土)13:00〜16:10

 場 所: 桜華会館(名古屋市中区三の丸1-7-2)

 講 師: 中村 公昭 様
     (社会福祉法人横浜やまびこの里地域課長)

 テーマ: 「知的障害のある中度・重度の人達への支援」

 参加者: 100名(保護者40名、専門職60名)
************** 講演要旨: 報告者(名東区:父親会)幅 岳史 氏 *****************

自己紹介

 通所施設「東やまた工房」職員を十数年経験した後、現在は「横浜やまびこの里」の展開の中で地域作業所 ・分場5施設およびグループホーム6ヶ所を担当する地域課に従事している。なお、「横浜やまびこの里」に はこのほか入所施設1、通所施設1があり、これらは施設課が担当している。

T.「横浜やまびこの里」の紹介

  1. 横浜自閉症児・者親の会が活動
     「横浜やまびこの里」は横浜において、自閉症児・者および家族が幸せな生活をおくっていないという問題 意識から、親の会である「やまびこ会」が中心となって横浜の自閉症児・者に対するサービス拠点としてつく られた。
     この親の会の活動における特徴は、自分たちの子どもが利用するいわゆる「ハコモノ」をつくることを目的 としたものではないということ。(この施設をつくった人の子どもの中には他の施設を利用している人も多い 。 「横浜やまびこの里」を利用している人の親のうち、親の会に所属しているのは約半数。)自分の子ども のためだけではなく、未来の自閉症児・者やその家族のために活動したのであり、立派だと感じている。
     この精神にのっとり、現在、「横浜やまびこの里」では、グループホーム運営や書籍発行などさらに広がり のある活動を展開している。

  2. 自閉症の人たちを対象
     基本的に自閉症の人たちを対象としているが、重度・中度・軽度を問わず状態の悪い人が多い。しかし状態 が悪いことは本人の責任ではない。個々の状態を理解し、施設の生活に本人を適用させていくのではなく、地 域で本人が主体的に暮らしていくことを目的としなければならない。
     支援のベースはまず障害の理解である。自閉症は症候群であり、一人一人異なる。また、自閉症は器質的な 障害であり、例えば足を失った人には車椅子というサポートが必要なように、できないことはできないのであ り、適切な支援が必要である。また、自閉症はコミュニケーションの障害であり、ものの意味・概念を理解す ることが難しいので、意味の理解への工夫が必要である。視覚情報の優位性も自閉症の特徴の一つである。

  3. 地域生活を目指す
     目標は、当たり前の地域生活、年齢にあった生活をすることにある。「障害はいけないことなので訓練して 治す」ではなく、「できないことを認め支援する」ことが大切である。「障害が重い人は治るまで施設の中で 訓練指導する」という考えではなく、「今もっている力を生活に活かしていく」というふうに考えたい。施設の集団生活に適応することが目的ではなく、普通の暮らしができることが目的である。施設における集団生活が普通の生活ではない。

 

U.重度の自閉症者の生活支援

  1. 重度の障害を持った人たちの地域生活を阻む要因
     重度の障害を持った人たちの地域生活を阻む要因とその対応には以下があげられる。
    • 知的障害の度合い(本人の持っている能力) →まず、何ができないのかを知り、適切な支援をおこなうことが必要。
    • 問題行動(環境の理解が困難、パニック) →周りの環境を整理し混乱させないサポートが必要。
    • 地域の理解(社会からの見られ方、施設の利用拒否) →使用できる施設をコツコツ増やしていき、施設を使うことがあたりまえとなる社会をつくってい   く。徐々に理解者を増やしていくこと。
    • 経済的負担(支援のための人件費など) →生活保護制度、ホームヘルパー、ガイドヘルパーなど社会資源や制度を充実させ・活用していく。
    • マネジメント機能の不在(ケア・マネージャー等があまり機能していない)   →やまびこの里ではこの機能も担う必要があると思っている。
         こうした事柄については、できることから試行錯誤を繰り返しつつ積み重ねていくことが必要だが、この際 どのような支援を創り出せば地域生活が可能になるかを常に念頭に置く必要がある。

  2. 地域生活へ向けた支援の方向性
     重度でも普通の暮らしを目指すことが必要である。他人の監督や指示がないと暮らせなかったり、他人の都合によって生活が左右されたり、他人に介入されることは大変なストレスである。誰もが 達成感、自尊心、自信、プライドといったものを尊重されたい。
     できることが少なくとも自立は可能である。人に指示されるのではなく、自分が主体的にやりたいと思った ことについて手伝いを要求する、手伝いを受け入れるということは自立である。なにもかもできることが自立 ではない。家でできることが施設ではできないなど、時と場合によってできるときとできないときがあること も認めなくてはいけない。ジグなどの道具や環境の配慮も必要である。
     「できないことは手伝ってもらう」という支援つきの自立を目指すことが大切である。「できないことを手 伝ってもらう」のはわれわれの生活でも同じ。なにもかもひとりでやることはない。手伝ってもらいつつ主体 的な暮らしを行うことが自立である。

  3. 重度の障害を持った人たちへの支援
     まず、自分でできることを増やしていくこと。このためには試行錯誤を繰り返しつつ、その人にあった集中 しやすい環境づくりやジグ等の道具の使用も必要である。また、自分で行う気持ちを支援する、やる気をもた すことが大切。依存心は自立を妨げるため、「時間がかかるから」など周囲の都合でなんでも手伝ってはいけ ない。失敗経験も必要である。
     自分でできることが少ない場合は、できることを多くの場面で活かしていく。また、環境的な配慮を多く行 う。さらに自発的にヘルプのサインを出せるように、周囲もそれをキャッチできるような工夫が必要である。

  4. 援助者の役割
     目標は地域生活であり、施設の中で問題なく暮らすことではない。  まず、できること、苦手なこと、必要なサポート、できないことのかわりに行ったらよいと思うこと等につ いて個別に生活評価し、この評価を実際に地域の暮らしに活かしていくこと。こうしたひとり一人への支援計 画が大切である。また、実際に彼らの生活を担うのは地域の人々など第三者であるので、支援者はいかに生活 環境をコーディネートしていくかが重要である。

V.援助の実際(やまびこの里 地域作業所の例)

<スライドによる紹介>
 地域活動ホーム(憩いの家のようなもの)を10人規模の作業場として利用。部品組立、チラシ折り込み、 チラシ配り、清掃、缶拾いなどを実施。 
  • (環境)
    • 食事スペース、作業スペース、休憩スペースを個人別に明確に区分
    • 環境刺激に弱い人はパーテイションを設置
  • (生活・作業の工夫)
    • 集団行動にはめ込むのではなく個別に対応して自立して一人でできる時間を増やす
    • 作業の動機を探すことも大切(報酬(必ずしもお金である必要はない)など)
      個々にあったスケジュール表やジグを活用
スケジュール表は文字カード、絵カード、写真、実物など個々の理解に合わせて視覚に訴え、見通しを持たせる
  • ワークシステム(仕事を分かりやすく整理)
  • ヘルプカード(休みたい、○○欲しい、帰りたい)
仕事ができないひとの取り組む課題についても、いずれは仕事に活用できることを実施
 (たとえば一対一対応課題は集合ポストのチラシ配布に役立つ)

W.自閉症者の援助計画策定のための留意点

 以下の点に留意し、個別にその人に合ったものを試行錯誤しつつ見つけていく。
  • 概念を形成したり、抽象的な志向を理解することは困難
  • 社会的な関係が貧困
  • 言語の障害だけではなく、コミュニケーション能力や言語の社会的使用の障害
  • 自己指向性やセルフコントロール、自己による動機付けが困難
  • 音声などの聴覚刺激をうまく処理できない
  • 学習した行動を新しい環境に般化できない
  • 行動はルーティンや同一性の要求に基づいていて自発的でない

X.暮らしを支える構造化のアイディア

 構造化とは自閉症者の理解を助ける工夫で朝日新聞厚生文化事業団の「自閉症の人たちへの援助システム」 に詳しい。構造化により不必要な混乱を軽減し周囲の世界を予測可能なものとするので自閉症者は安心して自 信を持って行動できる。適切な情報にスポットをあてて理解を促進し、いろいろな場面で生活がしやすくなる 。各種マークやインフォメーションなどわれわれも生活の中で構造化の恩恵にあずかっている。

  1. 物理的構造化(場所や空間といった概念を分かりやすく)
    部屋の仕切り、家具の配置などにより視覚的に明確な協会を設定する
    同じ場所を多目的に使用しない、活動と場所を一対一対応とする
    パーテイション、窓の位置を工夫し妨害刺激を整理する

  2. スケジュール(時間や日課を分かりやすく)
    ・いつどこでどのようなことをするか視覚的に示す
    文、単語、絵カード、写真、実物/カード、シート、手帳、移動式、固定式/次の活動のみ、数個  の活動/半日/1日/週間/月間
    個々の理解レベル、耐性にあわせて、また年齢に見合ったものを選択。(大人に「寝るとき熊の  ぬいぐるみをわたす」ではどうか。。。)

  3. ワークシステム(活動の流れを分かりやすく)
    ・他人の指示や監督なしで課題に取り組めるように
      何を、どれくらいの量、時間するのか、いつ、どうしたらおわるのか、おわったらどうするのかを視  覚的に示す
    右から左、上から下、終了箱の使用、マッチングの応用(色、形、文字、絵など)、材料の位置、  様々な活動場面に活用する

  4. 視覚的構造化
    一人できるために課題を視覚的に指示
    絵や文字による指示書、ジグの使用、完成品の提示
    視覚的明瞭化、視覚的に強調、色、印、ラベル、場所の区切り(窓掃除など)、汚す(部屋掃除の際、部屋の 隅に紙切れをおいて、隅も掃除するようにする)
    視覚的組織化、材料の配置、容器の使用

  5. 構造化の目的
    構造化の目的は自閉症者が環境・暮らしを理解し、自己決定に基づく自分らしい生活をおくる
    手助けとなること。このため構造化は個々の能力、特長に応じて個別柔軟に行うこと。単に絵カードやパーテ ィションが構造化ではない。

  6. 構造化の実践(やまびこの里 地域作業所の例)
    <具体例をスライドで説明>
     チラシ配り、清掃等における構造化アイディアを紹介
    チャペル清掃、聖書並べ・・・仕事探しに1年、有料サービスとするのに3年
    絵による指示書、ボランティアによる見本とサポート
    床にはテープをはり、作業範囲や手順を構造化(うまくできるようになればテープは取る)
    援助者(ボランティア)向けの指示書もあり
    大学生協のトレイ掃除、食堂掃除等

Y.地域生活の支援に向けて

  1. 支援計画
      ひとり一人個別の支援計画をつくること。作成にあたっては、まず目的(理想)とする地域の普通  の暮らしをイメージしてから、本人の評価・周りの環境の評価をおこなうこと。現状がこの水準だ   から、この水準を目指すというアプローチでなく、目標志向型であること。
    今までの生活を尊重すること。(特に成人)今まで続けてきたことを尊重し、必要があればうまく  修正すること。
    暮らしの枠組みをつくり、実施、評価、修正のサイクルの中で、自閉症者と歩み寄り、よりよい生  活をつくりあげること。最初からすべてフリーとすると自閉症者はなにをやって良いか分からなく  なり混乱する。

  2. 施設等での取り組み
    個別の支援計画を全体の中で調整すること。全体の中でのプライオリテイ、自立できるくみたて、必要な関わ りを把握、介助の調整
    • チームで役割を決めて援助する
    • 客観的な本人情報収集のため記録をつける(個人の主観によらない)
    • 本人のできることを積極的に評価する。
    • 安定するために質を高めていく(生活改善、問題行動を徐々に)
    • 他人にも引き継げる計画とする

[.質疑応答

Q:
名古屋市児童施設職員、日々工夫をしているが、子どもが思惑どおり行動せず、お互い心穏やかに過ごせ ないことが多い。工夫して道具立てをしても子どもがそれにのらない場合、なぜのらないのか、のせたいとい った管理志向に陥ってしまうこともあるがどうしたものか。子どもとの関係はどうあるべきか。
A:
私がこうした道具立てを工夫した場合、のらないのが普通と考えている。こうした工夫はわれわれにとっ ての問題行動を押さえることが目的ではないと思う。彼らがつらく困難な状況にいることをみとめ、またわれ われの力の限界もみとめ、こうした工夫はひとつの試みにすぎず、分かってもらえなくて当然と考えて学んで いくしかないと思う。こちらの都合で管理するのではなく、彼らの目からわれわれはどう見られ、何に困って いるのかを考えたい。精神論で恐縮だが、自分たちがどれだけ謙虚になれるかではないだろうか。かくいう私 自身も何故うまくいかないかと思うことはよくある。こうしたときにチームでチェックしあえるような関係づ くりが、職場でも両親の間でも必要ではないだろうか。

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研修会

  日 時: 平成13年10月5日(金) 10:15〜12:15

 場 所: 名古屋市総合福祉会館 東西研修室

 テーマ: 「はじめての感覚統合の話」

 講 師: 小松 則登様(愛知県心身障害者コロニー機能訓練センター作業療法士)


 参加者: 22名
************** 研修内容: 報告者(中川区:地区委員)加藤 香 さん *****************

  • 感覚統合という用語が実際何を意味しているのか。
  • 障害児・者の行動形態の裏にはどんな意味がもたらされているのかを5つの分野の感覚を起点に分析、または   解析していく方法。
    (ビデオで実際の訓練風景を見ながら、ひとつの行動で何を分析していくのかを解説していただきました。) 
  • 実際訓練に・・と希望してもなかなか応じられないのが現実であるが、訓練に行けなくても、日常生活での   動きの中でポイントさえ押さえていれば親である私たちでもやることは出来る。
  • もともと5つの感覚がアンバランスなために意味不明な行動が起こるので、その弱い感覚にまわりから働きかける   ことにより弱かった感覚を引き上げていくといい。
  • 5つの感覚とは  
    1. 前庭覚・・・いわゆるバランス。重力・動きに関係している。    
    2. 固有覚・・・筋肉・関節などによる体の部分の位置関係。
    3. 触 覚・・・皮膚から感じるもの。暑さ・寒さ・風も含まれる。    
    4. 聴 覚・・・耳から入る情報。弱いと、どれに集中させていいのかが出来ない。
    5. 視 覚・・・目からの情報。聴覚同様「どれに」という点が弱いことが多い。  
    1〜3 の感覚については人間形成にとって最も重要視されておりそれをベースに高度な感覚が形成されていく。

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