カレンダー
「うわぁー」
部室の机にポツンと置きざられていた小さなアルバム
なんとなく気になって開いてみれば、そこには青空が広がっていた。
空以外、何も写ってない写真。
それがとても綺麗で心惹かれた
次を開けばそこにも青空があって、でもさっきのよりもさらに深い青い色をしていた。
次のページは雲がかった空、その次は夕空
そのアルバムに綴じられている写真はいろんな空の表情を映したものだった。
一通り見終わって閉じた瞼の裏には今見た空の写真が焼きついていた。
そして、ふと沸いた疑問。
「誰のだろう」
ここにあるということは部内の人のだよね?誰だろう
先に帰ってしまった人達の忘れ物なのかな?
それとも残っている人が置いてるだけ?
あー、なんだろう。今とてもこのアルバムの持ち主の人に会いたいよ
これは自分で撮った写真なのかな?
そうだよね。こんなアルバムに入ってるって事はそおゆうことだよね
こんな綺麗な空の写真を撮る人に会いたいな。話をしてみたいな
どうしようもないくらいそう思って、無意識に持ってたアルバムをぎゅっと抱きしめる。
・・・・・・・・今、会えないかな
そう不考えてたらガチャって音がして、見ればそこには息を切らした二先輩の姿があった。
「あれ、君。まだ残ってたんだ」
「あっ、はい。不二先輩は忘れ物ですか?」
さっき菊丸先輩と帰ってましたよね?
そお聞いた僕に先輩は「忘れ物をね」と笑って、机に目をやった後・・・僕をじっと見た
「先輩?」
どおしたんだろう。僕何かしたかな?
そう思っていたら先輩がすっと僕を指差して
「それ」
「えっ」
「君が今持ってる物」
何だろうと指差されている胸を見下ろせば・・・・
「わあぁぁぁ!?」
何!?いつの間に僕抱きしめてたんだ?とわたわたとしてしまった。
そして気づいた。
「・・・・先輩の忘れ物ってこれですか?」
「そうだよ。君が持っててくれたんだ」
えーと、持ってたというか・・・・・あっ
「あの、すいません!勝手に中を見てしまいました!」
本当にすいませんと頭を下げてアルバムを先輩に差し出した。
勝手に中を見ちゃって怒られるかな?と心配したけど、降ってきたのはクスクスと楽しそうに笑う声だった。
「先輩?」
「忘れてしまったのは僕のせいだしそれを中を見たからって怒ったりはしないよ」
いつもと同じ笑顔と口調で言われて僕はほっと安心した。
そしてもう一度アルバムを先輩に差し出して
「あの、すごく綺麗でした!!」
と、本当に綺麗だったと、とてもこの写真が好きだとそんな思いを込めて言った言葉に
アルバムを受け取ろうとした先輩はとても嬉しそうな顔をして「ありがとう」と言った。
「君は空は好き?」
「好きです!!どれだけの時間眺めてても飽きないくらい好きです!!」
思っわず力いっぱい返事してしまった僕に不二先輩は楽しそうに笑た。
「僕もね、好きだよ。このアルバムにあるのは僕がとった空の中でも特に気に入った写真を綴じてるんだ」
そういって先輩は大切そうにアルバムを受け取った。
「あの、その写真どおするんですか?」
「これは、気に入った写真を選んでたら丁度12枚あったんだ。
だから、少し気が早いんだけど来年のカレンダーの絵柄にしようかと思って。」
「作るんですか!?」
「そう、今回はね。なんとなく思いついて、善は急げってね」
そう言ってにっこり微笑む先輩が僕はとても羨ましかった。
あんなに綺麗な空の写真が入ったカレンダーで一年を過ごすなんて、なんて羨ましい!
そんない僕の気持ちが分かったのか先輩はニッコリと笑って僕に聞ていた。
「完成したら君もいる?」
「えっ!?良いんですか!!」
言われた言葉に即座に答えた僕に先輩がさらに楽しそうに笑う。
あぁ、遠慮の一つもない返事。図々しくて本当にごめんなさい。
でも欲しいんです!!あの写真をもっと見ていたいんです!!
「良いよ。僕の写真を気に入ってくれたみたいだからね」
「先輩、ありがとうございます!!」
もう嬉しくて嬉しく僕は心からの感謝の言葉を述べた。
「僕も、僕の写真を気に入ってくれてありがとう」
そお言った先輩に僕はまさかそんなことを言われるとは思わなくてどうしたらよいのかわからなくなってしまって
「っあ、あの、あの!!先輩!!僕、その写真を見て写した人に会てみたいな
話してみたいなって思ったんです!!それが、不二先輩で本当に良かったです!!」
「僕もね、これを見たのが君で嬉しいよ」
うわわわ。。。言った後、僕は何言ってるんだと、ここに穴があれば入りたい!と思ってしまった。
だから見不二先輩の言葉を聞いて僕は、一瞬失礼なんだけども目を開いてポカンとしてしまった。
「そろそろ手塚や大石が戻ってきて鍵を閉められちゃうよ
もし良ければ君、一緒に帰らない?」
「あっ、はい!!」
ポカンとした状態から一気に現実に引き戻されて慌てて僕は自分の荷物を片付けて帰る用意を整えた。
「すいません。お待たせしました」
「さあ、いこうか」
先に部室を出た先輩はドアを抑えて僕が出るのを待っててくれた
「ありがとうございます」
「どう致しまして」
にっこりと笑いかける先輩に僕も笑顔を返して・・・
帰り道は今までしなかったようないろんな話をした。
先輩が写真をとるのが趣味で、家には空の写真だけではなく他にもいろんな写真があること
そして僕は今度先輩の家にお邪魔してその写真を見せてもらうことになった。
そんな会話をしながら僕は心の中であの綺麗な空の写真を撮った人が、
不二先輩で本当に良かったと改めて思った。