わたしはだれ?
ここはどこ?
わからない
なにも・・・・
わからない
記憶喪失
わからない。でも”知っている場所”をふらふらと歩いていた。
この道を行けば、この先にはわからなかったことが全てわかるような気がしたから
だから立ち止まることもせずに歩いていく
そして視界が開けた。
そこはテニスコートでコート上にはたくさんの人が集まっていて
「」
集まってる人の中の一人が俺に気づいて声を掛けてきた。
””それは俺の名前?
お前は俺を知ってるのか?お前は・・・・誰?
「、もう大丈夫なのか?」
心配気な声を掛けて俺に近づいてくるそいつの行動にまわりに居た他の奴らも次々に俺に気づいて近寄ってくる。
その表情は心配気なものであったり、嬉しそうなものであったり
そんな表情のそいつらを見てると心の底の方から”嬉しい”という気持ちが沸きあがってきた。
そして「俺はこいつらを知ってる!」そんな声が自分の中から聞えてくる。
「ー!!!心配したにゃぁぁぁ!!!」
「先輩、まだフラフラしてますけど本当に大丈夫なんスか?」
「・・・・・・・・・・・無理すんな」
「先輩、そんな足元ふらついて、あぶねーな。あぶねーよ!!」
「、まだ休んでた方が良いよ?」
「また倒れたら俺達心配するだろ?」
「?本当に大丈夫なの?」
「」
次々に掛けられる言葉・・・・・最後の後の言葉を聞いた瞬間、頭の中に稲妻が走ったような気がした。
そして、俺は全部を思い出した。
「手塚ー(><)」
不覚にも皆の前で大泣きしてしまった。
「馬鹿だね。は」
俺の頭をぽんぽんと軽く叩いて呆れたような声で不二が言った。
「僕達がのことを忘れてる夢を見たからって・・・」
「だからって本当にオレ達がのこと忘れるわけないにゃ!!」
途中まで言った不二の言葉を英二が引き継いで”本当に馬鹿なんだから”といつもみたく抱きついてくる
いつもならそんな英二をすぐに引き剥がすのだけど今日はそのままなつかせておく。
「でも、でもさー」
夢の中であろうとお前らに”誰?”って不審そうな顔で見られた時の俺の気持ちがわかるか?
無茶苦茶、言葉に言い表すことができないくらい悲しかったんだぞ?
「でもそれで俺達が先輩を忘れてたからってそれを現実と混同するのはいけねーよ」
「そうっスよ。それで反対に先輩が俺達のことを忘れるなんて」
俺達のことだけじゃなくて自分のことまで忘れてしまうなんて本当のバカ
桃君にリョーマ、次々にバカだバカだと言われて腹が立たなくもないんだけど
でも冷静に考えても、いや、考えなくても自分でもバカなことをしたと思うから反論することができない
いくら夢の中でお前らに忘れられたからって・・・だからってそこでムキになって
「お前らが俺のこと忘れるんだったら俺がお前らのこと全部忘れてやる!!」
なんてそんなことを真剣に思って。
でもまさかそ一時的とはいえ本当に忘れる、というか自分のことまで忘れて記憶喪失状態になるとは思わなかったよ。
「それだけが俺達のことを大事に思ってくれてるということだろう」
こんな時まで落ち込む俺を大石はニコニコとフォローしてくれる。
その後ろではタカさんまでもが癒しの笑顔を俺に送ってくれている
みんなこんなに心配してくれるなんて!
それなのに俺は一時的とはいえ夢で見たものに振り回されてお前らを忘れてしまってたなんて・・・
「」
うりゅりゅとまた泣き出しそうになった俺の頭に何かふわりとした布のようなものがかぶされて視界が見えなくなった。
なんだろうと慌てて取ってみればそれは真っ白のまだ使われていないタオル
「ヌイ、何?」
「顔、ぐちゃぐちゃになってるぞ」
「・・・・(///)」
意地悪く、でも楽しそうにそう告げた乾に俺は「言うな!!」
とげんこつつくってポカポカと殴る。
「そもそも、今日は暑いから日陰でいろと言ったのに言うこときかない方が悪い」
・・・それを言われちゃどうしようもない。
何度も何度も言われたのに「大丈夫だって」なんてへらへら笑いながら返事して
それで日射病にかかって倒れてしまったなんて、夢見が悪くなるのは当然だ
こんなの恥ずかしすぎて顔を上げれやしない!!
ヌイに渡されたタオルをくしゃくしゃっと丸めてその中央に顔を押し付けた。
「」
そん中、静かな静かな声が俺の名前を呼ぶ。
呼ばれて、答えないわけにもいかなく、仕方なくそろそろと顔を上げて
俺を呼んだ奴の顔を見上げた。
「自業自得だ」
うぎゃぁぁ!!んなの言われなくても分かってるよ!!
バカな奴でごめんよ!!
「後日、体調が戻ってからグランド10周走れ」
「!?何で!!」
何でそんなことになるんだよ
「俺達を心配させた罰だ」
もし文句を言うようなら乾の・・・・そこで言葉を区切って
手塚はヌイを振り返る
そんな手塚の視線を受けてヌイは一旦その場から離れて、でもすぐに戻ってきて
持ってきたものを俺の目の前に翳した
「飲む?」
「飲みません!!!」
「飲むと体調早く戻るよ」
いえ、さらにさらに悪化すると思います!!
「」
このまま乾汁を飲むか大人しく後日に走るか、どちらかを取れと手塚に視線で問われて
「後日、グランド10周走らせて頂きます」
「そうか」
「残念だなぁ。おいしいのに」
ヌイの感想はいりません。信用できないから
「そろそろ練習再開だ!!皆コート内に戻れ!!」
そういって手塚は練習再開を叫んだ。戻っていく皆の後ろから乾が個々に細かい指示を与えていく。
そんな様子を見ながら手塚も練習に戻ろうとして、立ち止まった。
「」
「何?」
「お前はどこか木陰の下にでもいろ。また倒れられたらかなわん」
拒否させない厳しさでいわれて、俺は素直に頷いた。
また倒れるのはごめんだ。それにあんな嫌な夢みて現実と一緒にして俺が皆を忘れてしまうなんてこと
もう絶対にご免こうむる!!
頷いた俺を見て、手塚はコートに戻って言った。
「♪」
「」
呼ばれてそちらの方を見ればフェンス向こうから英二と不二が俺に手を振っていた。
俺もそれに笑顔で答えた。
そして不二が言った。
「僕達がのことを忘れるなんて絶対にないよ!!」
でも、そうだね〜
そういって不二は英二と顔を見合わせてうふふと楽しそうに笑った。
でもその後に告げた言葉は真剣
「ないけど、反対に今回みたいにまたが僕達のことを忘れた時はね」
「「絶対に僕達が思い出させてあげるよ!!」」
忘れたままになんてしておかないから!!
失くしてしまった今まで僕達が共有した時間、全て取り戻させてあげるよ?
だから忘れた時は安心して忘れてください。
笑顔を取り戻してあげるよ。だからね、泣かなくて良いんだよ♪
それだけ、言うだけ言うと二人は手塚に呼ばれて走っていった。
見ればコート内にいた手塚やリョーマや大石や桃君に海堂、タカさんにヌイ
皆が俺を見ていて、さっき二人が言った言葉に力強く頷いた。
それを見て俺はやっとおさまった涙がまた溢れてくるのを感じた。
「うん・・・・うん」
みんな、ありがとう。
その言葉、信じるよ