銀行強盗
部活終了後、さあ帰ろうと一人歩いていたら後ろから騒がしい声が聞えた。
と思ったら誰かが駆け寄ってくる足音が聞えて
誰だろうかと振り返ろうとしたその瞬間にその駆け寄ってきた誰かに飛びつかれた。
思わずよろけたもののしっかりその場に踏みとどまり
そしてこんなことするのはクラスメイトである英二しかいないと思ったのだけど
まあ、やっぱり振り返った先で笑ってたのは予想通りの菊丸だった。
「お前らも丁度部活終わった所?」
後ろの方には他のテニス部面々の姿が見えてこちらに歩いてきている。
「そうにゃ!も終わり?」
「見て解るだろ。帰る所さ」
「なら君さえよければ一緒に帰らない?」
ちょっと寄り道するけどそれでもよければ。と控え目な不二君からのお誘いに俺は一も二もなく誘いに乗った。
俺も丁度帰る所だし一人で帰るのも寂しいし小腹もちょっとすいてるし
ということでわいわいがやがやと皆で学校を出た。
「いやー、悪いね。まぜてもらっちゃって」
「君と帰るのは初めてだね」
「そりゃ俺ん所はテニス部みたく毎日遅くまで練習してるわけじゃないからな」
「じゃあ今日はたまたま?」
「たまたまというか練習は終わってたんだけど先生といろいろ話してたらいつの間にかこんな時間になったんだよ」
「そういえば、前に顧問と話が合うっていってたにゃ」
「そうゆうことさ。で、後ろにいる二人が英二が前に行ってた1年?」
「桃城に海堂だよ。英二からどんな話を聞いたんだ?」
「二人はライバルで寄ると触ると喧嘩してるって」
俺の言葉を聞いて質問した大石もその後ろに居たタカさんもあはははと笑ってた。
んだけどさらにその後ろを歩いていた話題の人物であった二人は
”ライバル”って聞いた瞬間におもいっきしいやそうな顔をした。
この二人面白いな
「俺はって言って英二のクラスメイトで弓道部所属。よろしくな」
俺が自己紹介すると二人とも「桃城です」「海堂です」とそれぞれ名乗ってくれてペコリと頭を下げてくれた。
ここらへん、教育行き届いてるなーと思わず感心
「ところで、それ弓でしょ?にゃんで持って帰ってきてるの?」
「んー、なんか色がくすんできてるから綺麗に磨こうと思ってな」
綺麗に磨いて明日から新品同様ぽい弓で練習。きっと気持ちよいことだろう
「でも持って帰るの大変そうだね。電車に乗ると邪魔そうだよ」
「うん。邪魔」
でも俺が気持ちよく練習できるようにするためだから今日くらいは我慢してもらわくちゃな
そういえば寄り道先に行くにも邪魔だな。。。まあ仕方ないけど
それからもずっと会話しながら歩いて、もうすぐ先にマ○ドの看板が目に入った。
その瞬間、やや前方の銀行から響き渡る声
「強盗だ!!!誰か警察を!!!!」
一瞬その言葉の意味が理解できなくて
「強盗・・・って何?」
なんて言葉にはしないけどもそんなちょっと頭真っ白状態でいたら
銀行から男が一人飛び出してきた。
犯人はキョロキョロとあたりを見回した後に此方を、俺達の居る方を見て走ってきた。
・・・・・・・・・走ってきた?
それも、手にはキラリと眩しく光る包丁を手に持って!!!
このままじゃ俺達やばいんじゃないか?と思った瞬間に俺は体が動いていた。
犯人の進路上にいた俺の横の奴(パニック中にて誰が横にいたか忘れてしまった)
を思い切り突き飛ばして、でもって俺も避けようとした。
けど、間に合わず、胸に何ともいえない痛みが走った。
そしてその痛みに俺は意識がとんだ。
遠くで誰かが
「大変だ!中学生が刺されたぞ!!」
って叫んでる声が聞かれて・・・じゃあ、刺されたのは俺か!!と分かった
なるほど、胸が痛いのはその為だったのかなんて、痛みとか驚愕とか色々混ざってしまって
頭の回転が鈍ってしまってる感じ
「!大丈夫!!!」
胸を抑えて倒れるようにしゃがみこんでしまった俺に皆が心配とかやっぱり驚愕の混ざった声で呼びかけてくる。
呼びかけ・・・というよりは叫びに近いかな
でも耳元でそんな叫ばれても・・・なんて緊張感ないこと考えていて
とりあえず安心させようと思って
「大丈夫」
そう言った。
けど、声がかすれてしまってちゃんと発音にならない
そんな俺の声に皆の心配をさらにあおってしまったらしい
「、無理してしゃべらなくていい!!もうすぐ救急車来るから」
うわぁ。英二達の面倒とか桃城君とか海堂君の喧嘩とかいろいろ大変だろうに
とうとう俺まで大石に迷惑・・・というか心配掛けちゃったよ
なんてことが頭の中をぐるぐるとまわる。
ぐるぐるとまわりながら、なーんかおかしなことに気づいた。
・・・・・・・・・胸の痛み、和らいでないかい?
なんで?俺ってば刺されたんだよな?
それなのに痛みが和らぐなんてことある?
不思議に思って、ずっと掴んでいた手をそっと離す。
で、恐る恐る手を開いてみてみると・・・あれっ?
なんか、物凄く綺麗なんですけど?流れてると思われたはずの血がまったくついてないというのは何故?
あーれー??刺されて、でも血は出てなくて、痛みもかんなり和らいで・・・・あれ??
さっきとは違う衝撃が体中を走り、俺は呆然とした表情で顔を上げ、目の前にいた
こんな顔できるのか!!てかこんな顔をさせた原因は俺だよな?ゴメンよ
と心配掛けてごめんと謝りたくなる様な表情をした英二の顔を見た。
「英二」
「、大丈夫?痛い?苦しい?」
あぁぁぁ、涙目になってる!!!泣くな!!泣くなよ!!!
あわあわと英二が泣きそうになってることに慌てつつ俺は俺の状況を説明した
「あの、俺」
「、どうしたの?」
やっぱり心配した顔で覗き込んできたのは不二
「あの・・・なんか俺、刺されてない・・・みたい?」
「はい?」
「胸は痛いんだけど、というか今は大分痛み和らいでてさ、で、なんかさ・・・」
物凄く言いにくいんだけど・・・・
「血が出てないんだよ」
「・・・・・・・・えっ?」
うわぁ、今の俺の言葉に英二とか不二とか大石とか海堂君とか
あと俺達をとりかこんでいた人達全員が意味がわからないといった顔とつっこみが!!
「えーと、なんでか俺、刺されてないみたい」
でも刺された感覚はあるんだけど俺の方が意味わからないよ
皆してその場で頭に?を浮かべていたら
後ろから小さな声で俺を呼ぶ声が聞えた。
「・・」
小さく遠慮がちな声
その声に振り向くと、心配と困惑とを混ぜた表情をしたタカさんと桃城君が立っていた
「あの。これ」
差し出してきたものを思わず受け取って。。。渡されたものは弓だった。
きっとさっきこいつらのうちの誰かを突き飛ばした時にでも投げ出したのかな?
と、でもなんでそれを今この状況で渡すんだろう?と不思議そうに二人の顔を見てみた
「あの、弓の中央部分見て欲しいんスけど」
桃城君の言葉を受けて言われた部分を見てみると
「なんじゃこりゃぁぁ!!!!!」
そこにはなんと中央部分がボロボロになっていた。
なっ、この短時間になんでこんなことに!!!!誰がやりやがった!!
新たなパニック源の前にして俺は嘆いた
だって、この弓は自前なんだよ!!大事に大事に使ってたやつなんだよ
今日だって持って帰って綺麗に磨こうと思ってたのに!!
くそぉぉぉ・・・・涙で目の前が霞むぜ
「、もしかして刺されたのはこの弓じゃないかな?」
「・・・・はいっ?」
「刺されそうになった時にとっさに弓を胸の前に持っていて、
そこを丁度刺されたんじゃない?」
が胸が痛かったのがその時の刺された衝撃を受けたからで・・・・
そう話すタカさんの言葉を俺は呆然と聞いていた。
それってつまりは弓が俺の身代わりになってくれたということ?
いつも大事に扱っていた弓からの俺に対する恩返しだと?
いや、弓に自我とかあるわけないんだけど、でもそんな感じ?
「多分」
・・・・・・・そうかぁ
タカさんの話に周りから安心したのかため息とか
「良かったな。」
「心配したよ」
とかいった声が聞えた。
でもその遠くからは近づいてくる救急車の音が聞えた。
えーと・・・弓を救急車で運んでもらう?
結局、検査の為ということで俺はその救急車で強制的に病院に運ばれた。
もちろん皆も一緒。人数多かったんだけどね、なんとか乗せて貰いました。
検査はもちろん問題なしで、弓は買いなおしが決定しました。
その後に警察からいろいろ事情を聞かれたりして帰る頃には素敵に良いお時間
このことのせいで今日はとんでもない一日になってしまいましたよ。
そういえばあの銀行強盗は、数日後に捕まったとさ。