七色の橋
買い物帰りにふと見上げた空に見つけたもの
「虹だ!!」
空に浮かんだ七色の光の橋に僕は驚嘆の声を上げた
そして見上げたままふらふらと家のある方向とは違う方に歩き始める。
小学校の頃に見た本に虹は上から見ると円形になっていると載っていた写真で見たことがある。
だから”虹の麓”なんてあるわけないとは解ってはいる
けど、解っているけどもでも気持ちというのはまた別で
僕は虹の片方の端を、麓を求めて歩いていた。
そしていつの間にか入り込んだ公園。
歩いていた足はいつの間にか軽く走り出していてさらにスピードをあげようとした
その時
ドンッ
前方見ずに走っていれば当然とはいえ当然なんだけども人にぶつかってしまって
僕は尻をついてしまった。
「「いてー」」
思わずついた声に重なる声
そういえば人にぶつかってしまったのだったと気づいて相手の様子を伺おうと見れば
そこに僕と同じように転がっていたのは
「越前君!?」
「?」
僕も驚いたけども越前君も驚いた顔して僕を見てた。
しばし見詰め合った後、
打ったお尻以外は痛くないことを確認して立ち上がろうとした僕の目の前に手を差し出された。
何だろうと見ればそれは越前君の手で、
僕は”ありがとう”とその手を取り引き起こしてもらった。
「ゴメンね。大丈夫だった?」
どこも痛い所とかない?
心配になって掛けた言葉に越前君は「どこも痛くない」と答えて
言葉通り何処も痛そうでない姿に僕は安心した。
「本当にゴメンね。」
「いいけど、何見てたの?」
「えっ」
「何処か見ながら走ってた」
「そう!!虹が出てたんだよ!!虹が・・・ほらっ」
見上げた空にはまだ虹ははっきりと七色の色を保っていた
「へぇー。綺麗」
「でしょ!!」
「で、何で走ってたの」
「・・・・・・・笑わない?」
「内容による」
うー、どうしよう?悩む僕に越前君は「無理にじゃないけど」とボソッと小さく呟いた。
「あの・・・あのね、虹が消える前に虹の麓に辿り着きたいな。と思ってね・・・」
思って歩いてるうちに無意識に走ってました。
恥ずかしくて俯いてしまって、しばらく二人の間に沈黙が流れた。
やっぱり呆れてるかな?そーっと越前君の様子を伺うようにちらっと盗み見てみると
彼は虹をじーっと見つめて、その後に僕に顔を向けて
「いーんじゃない?それも」
てっきり呆れかえってるとばかり思ってたから僕はこの返事に嬉しくなって
「うん」
満面の笑みを浮かべて大きく頷いた。
「じゃ、行こうか」
「えっ、何処に?」
「虹の麓、行くんでしょ」
そう言うと越前君は先を歩き出す。
こんな展開になるとは思わなかった!とややぼーっとして歩く越前君の後姿を見てた僕だけど
我に帰って後を追いかけた。
虹の麓、辿り着くなら一人よりも二人の方が嬉しさを分かち合えるしね
そして僕と越前君は会話するでなく虹を追いかけててくてくと公園の中を歩いてく
そろそろ公園の中心くらいかな?という所に来た時
「ねえ、あそこじゃない?虹の麓」
そう言って越前君が指差した先には長い階段があって虹はその階段の上に架かってた
僕たちは歩調を速めて一気に階段を上った。
そこに広がっていた光景は
「先輩達!?」
そう、そこにはテニス部の先輩達が集まってテニスをしていた。
隣の越前君もその光景に驚いているみたいだった。
「あー!!におチビ!!」
「えっ?あっ、二人ともどうしたの?」
「二人が一緒というのは珍しいな」
「これは面白いデータがとれそうだな」
「乾先輩、何のデータっスか?」
僕の上げた声に先輩達も僕たちに気づいて次々に声を掛けてきた。
「先輩達、何やってんスか」
驚いてた越前君も声を掛けられている間にいつもの調子を取り戻したらしい
「見てわからないのか?テニスをしてるんだが」
えーと、乾先輩。それは見ればわかるんですが
どうして部活も休みな休日なのに皆さん集まってテニスされてるんですか?
と、いうことを越前君は聞いたのだと思います。
そしてそれは僕も知りたいなとか思ってたりするんですが
そのことに気づいたのか乾先輩の後ろから大石先輩が出てきて説明してくれた
「俺は英二から電話があってね、天気が良いからテニスをしに行かないかと誘われてそれで此処に来たんだ」
「そーゆこと☆」
大石先輩の説明に英二先輩はうんうんと頷いてる。
「僕も天気が良いから最初は写真を撮りにいこうかと思ったんだけど
テニスがしたくなってね、それで此処に来て見たんだよ」
「俺もだ。まさか大石や菊丸、不二に桃城まで揃っているとは思わなかったから驚いたよ」
へー、乾先輩でも驚くことがあるんだ
と思った僕の心の感想。口に出すのは失礼と思ったからね
でも不二先輩は気づいたのか思った瞬間”クスッ”って笑われた。
「俺も驚いたっスよ!まさか先輩達来るとは思わないっスから」
そう言って笑ったのは桃城先輩
僕も驚きましたよ。まさか先輩達が揃って休日にテニスしてるとは思わなかったですから
「で、二人はなんで?」
見たとこテニスしに来たって感じじゃなさそうだけど
英二先輩と桃城先輩、二人が興味津々といった様子で身を乗り出してる。
その後ろで不二先輩と大石先輩が苦笑してて乾先輩は携帯ノートを取り出して
メモる準備をしてる。。。。これって何かの役に立つデータになるんだろうか?
「あの、僕が・・・・」
「虹を追いかけて此処まで来たんスよ」
今までの経緯を話そうとした僕の言葉を遮って
越前君が完結に説明を終わらせた。
『虹?』
先輩達はパッと一斉に空を見上げて
「うわぁぁ!!虹にゃ!!!」
「気づかなかったな」
「思わずテニスの方に夢中になってしまったからな」
「こんなに綺麗な虹が見れるならカメラを持ってきておけばよかったかな」
「虹なんて久しぶりに見たっすよ」
その場にいた全員空を見上げるという、知らない人が見ればちょっと不思議な光景
「にしてもはともかく越前が”虹を追いかけて”とはね」
そういって乾先輩はノートに何やらさらさらと書き込んでいる。
「あっ、越前君は僕が・・・・」
「たまにはいいでしょ。文句あるんですか」
また越前君は僕の言葉を遮ぎるとジロっと乾先輩を睨みつけた
「文句なんかねーよ。」
桃城先輩はそういって笑って越前君の頭をわしゃわしゃと撫でて・・・払いのけられてた
そんな様子を見てた僕に不二せんぱいが話しかけてきた。
「あんな綺麗な虹なら追いかけたくなる気持ちになるよね。」
ニコリと微笑みかけられて僕も微笑み返す。
そんな少しほんわかした空気に突然菊丸先輩が割り込んできた。
「そーいえば虹にお願い事すれば叶うらしいよ?」
なんか皆でお願いしよ!!
「例えばどんなお願い?」
「そうだにゃー・・・やっぱり全国制覇!!とか?」
「それってお願いすることじゃないんじゃないんすか」
自分の実力と努力次第でしょ。
「じゃあ、自分の実力だけでは補えない部分を補ってもらうということで、
やっぱり願い事は全国制覇!!!」
「英二らしいというか・・・皆はそれ良いのか?」
「良いんじゃない?」
全員一致となったところで皆それぞれに祈った。
パンパン
「拍手うつものなの?」
「お願い事するならそうじゃない」
「でもおかしくないか?」
「んー。じゃあ、心の中だけで」
「そうだね」
じゃあ、もう一度
この願い事、叶うでしょうか?