うた
「おチビ、相変わらずダブルス下手だにゃ」
「桃先輩が足引っ張るんですよ」
「なにをっ!?越前、それはお前だろ!!」
「二人とも止めないか」
テニスコート脇の水道で菊丸に越前に桃城に大石は顔を洗いに来ていた。
先程までダブルスの練習ということで軽い試合形式で打ち合っていたのだが
結果、相変わらずの越前と桃城両者の意思疎通は無茶苦茶で
試合らしい試合といった形にはならず黄金ペアの勝利に終わった。
そのことで機嫌が悪くなってしまっていた越前を菊丸がからかって
そこから今越前と桃城はぎゃあぎゃあといつまでたっても終わらなさそうな言い合いを始めた。
それを原因となった菊丸は楽しそうに眺めていて時々茶々を入れてたりしていて
菊丸の横では大石が片手で胃を抑えながらなんとかこの場を治めようとしているのだが・・・
当然そんなことで終わるわけなかった。
言い合いと言ってもそれは桃城が一方的に文句言っているだけで
越前といえばそれをそ知らぬ顔して聞き流していた。
その態度が気に食わないとさらに桃城が文句をいうから治まらない
と、そんな時急に越前が何かに反応した
「桃先輩、ちょっと黙って!!」
「だから人の話をちゃんと聞けっ・・・て、何だよ?」
「どうしたんだ?越前」
「おチビちゃん?」
桃城を黙らせた後、じっと耳をすます越前に3人はどうしたのかと顔を見合わせる。
が、当然理由なんてわかるわけもなく
菊丸がもう一度問いかけようとしたその前に反対に尋ねられた
「今、何か音が聞えませんでした?」
「音?オレは聞えなかったけど・・・大石聞えた?」
「いや、俺も気づかなかったが」
「俺も気づかなかったな」
「桃先輩には期待してませんから」
「おいっ、越前!!」
「黙って!!」
静かに!とまたしても途中で遮られた桃城だが不満そうにしながらも大人しく黙る。
と、今度は全員が越前が言っていた音が聞えた。
「今のって・・・」
「ピアノじゃにゃい?」
「そうっスよね」
でも何で?
今日は合唱部も軽音部も
今やテニス部レギュラー陣共通の友人となっているが所属する吹奏楽も練習はないはず
それなのに途切れ途切れに聞えるこのピアノの音
「・・・・・見に言ってみない?」
「英二、まだ練習中で休憩になってないぞ」
「でも大石、このまま練習に戻っても気にならない?」
オレはなる!!だから行く!!
「俺も行くっス!!」
「ようし!!桃行くぞ!!おチビも当然行くよにゃ?」
「・・・・行く」
「おいおい・・・」
「大石はどおする?」
結局4人は他のテニス部員達に姿を見られないようにこっそりとピアノの音がする場所に移動していった。
「こっちの方だにゃ」
「なんか・・・ピアノ以外の音も聞えないっすか?」
「本当だ・・・・途切れ途切れにしか聞えないがこれは誰かの歌声みたいだな」
「あっ、おい!おチビ!先行くなって!!」
ピアノ以外に聞える音に3人固まって話しているとその間に越前は先を行く。
それを追いかけてとうとう四人、ピアノと誰かの歌声がする場所。音楽室の前まで来た。
「よしっ、せーので開けるからな!!」
と、ドアに手を掛け菊丸は大きく深呼吸した後、そろそろと「お邪魔しまーす」とドアを開いた。
その後ろでは「英二先輩、今何処に”せーの”が入ったんすか?」
との桃城の質問に大石が苦笑していた。
そしてそこに上がった菊丸の大声に外にいた3人は一斉に中に踏み込んだ。
「!?」
誰もいないからと久々にピアノ弾いて気持ちよく歌っていたらいきなりドアが開いて
入ってきた人物に自分の名前を大声で叫ばれて
何事!?と、その大声で叫んだ人物を見てみてれば・・・
「英二!?なんで此処に・・・・リョーマに大石に桃君まで」
一体何事だ?
「なんで此処にって、それはオレ達が聞きたいにゃ!!」
「そうっすよ。先輩。何でこんな所で一人でピアノ弾いて歌ってるんですか!!」
「先輩、ピアノ弾けたんスね」
「、邪魔をしてすまない」
もうなんていうか・・・皆それぞれって感じの答え
つーか、質問したのは俺が先なんだ!!英二、先に答えんかい!!
と言おうとしたその前に大石が答えてくれた。
「俺達は部活中だったんだが」
「なら、今此処にいるってことはサボリ中?手塚に見つかったら怒られるぞ?」
長々説教とその間ずっと睨まれて、でもって当然走らされるんじゃないか?
何やってるんだよ。大石がいるのに・・・って、この3人じゃ振り回されるのがオチ?
ご苦労様です。
「練習中だったんスけど、あんたのピアノが聞えて気になって来てみたんスよ」
だからリョーマ、”あんた”はやめろっつーに(TT)
てかそれもやっぱりサボリの理由にはならんだろ?
・・・じゃなくて!!問題はそこじゃない!!!
「・・・・・ピアノ、聞えた?」
「はい」
「・・・・・・・窓、閉めてたんだけど」
「でも聞えました」
「・・・・・・・・・・」
「さらに言うとの歌声も聴こえてたよん♪」
「・・・・・・・・ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
なんてことだよ恥ずかしい!!!!
窓も閉めてたから誰も聴こえないだろうと遠慮なく気持ちよく弾いて歌ったというのに!!
はーずーかーしーいー!!!(///)
「いや、そこまで恥ずかしがらなくても・・・」
「そうっスよ!!先輩、無茶苦茶うまかったっす!!」
今度カラオケに一緒に行きましょう!!って誘ってくれるのは嬉しいけども嫌だぁぁぁ
「ピアノ、弾けたんすね」
「・・・言ってなかったっけ?」
「聞いてません」
「そうか。弾けたんだよ」
恥ずかしい!とプチパニック中でありながらしっかりリョーマの質問に答える俺
なんて良い先輩なんだ!!
じゃなくて、そうか・・・聴こえたのか・・・・ショック
「、そんな落ち込まなくても」
「は恥ずかしがってパニクって落ち込んで、忙しいにゃー」
誰のせいだ。誰の!!
「で、なんでここにいるんだ?今日は吹奏楽部は練習休みだったよな?」
最初の方の質問を思い出したのか気になっていたのか再び大石に尋ねられて・・・
俺は、座っていた椅子からパッと立ち上がると爽やか笑顔を浮かべた
「じゃ、俺帰るから」
また明日な!と音楽室から出ようと4人の間をすり抜けようとしたんだけど
出ようとドアに近づいた瞬間、奴らドアの前に立ちふさがりやがった!!
「こーころ。質問に答えるにゃ」
「あはははははは・・・イヤだ」
「じゃあ、帰すわけにはいかねーっす。いかねーよ」
「答えてくれたらどきますよ」
「大石!!!こおゆう時こそ副部長の権限を使うのだ!!」
俺を帰らせろ
「・・・・すまん」
すまんじゃねーよ!!!!
こいつらどうあっても答えるまで帰さないつもりだな!
「お前ら早く練習に戻らないと手塚に怒られるぞ」
「どーせ怒られるなら聞いてから怒られるにゃ」
英二の言葉に3人とも頷きやがって・・・
とうとう諦めた。つーか、どうやっても運動部なこいつらに俺が逃げられるはずがないんじゃないか(TT)
「はいはい、そーですよ!!今日は吹奏楽部は休みです!!
その休みなのにそれを俺は綺麗さっぱり忘れてて、気まぐれで練習に参加しようと!と思って出てきたんですよ
そしたら部室には鍵はかかってる。誰も来ない。
たまたま通りがかった顧問が今日は休みだと教えてくれてやけになってうろついてたら音楽室に辿り着きました。
このまま帰るのは悔しいからなら誰もいないし久しぶりにピアノでも弾いてやろうと思ったんだよ。
でもって、弾いてるうちにだんだん気分が乗ってきて最後には歌まで歌っちまいやがりましたよ!!」
てわけで俺はここにいるんだよ。これでよいか?
笑いたかったら笑え!!!!
かんなりヤケになって俺が此処にいる理由をしゃべったのだが・・・
しゃべり終わった後、何とも言えない沈黙がその場に流れた。
でもって悪いこと聞いてしまった・・・みたいな顔されて
うわぁぁぁん!!こんな時は笑ってくれた方が俺としては嬉しい・・てわけでもないがまだ気が楽なんだよ
お前らの馬鹿ー!!
と、泣きまねしつつ今度は勢いつけて4人の中をつっきろうとしたんだけど
やっぱしというかがしっと腕を掴んでまた音楽室に引き戻された。
「理由話したんだから帰らせろよ!!」
「あのさー」
「何だよ」
「もっかい歌って♪」
「はっ?」
「俺も先輩の歌聞きたいっす!!」
「俺も・・・・がよければだけど」
「俺も、歌とピアノ両方聴きたいっス」
お前らいきなり何を(汗)
「「「ダメ?」」」
「・・・・・・・・一回だけだからな!!」
今回限り!!
で、これでさらに練習に戻るの遅れて手塚に倍怒られて走らされても絶対俺は知らないからな!
いきなり音楽室に押しかけて来た奴らは今、ピアノの周りに集まって
俺が弾きだすのを今か今かと待って入る。
あーもう!こんなことならばさっさと帰っておけば良かった!!
なんていっても後の祭り。聴いた後に後悔してもしらないからな!
覚悟して聴け!!