ソード
今日もお疲れ様、ありがとうと俺は愛用のラケットを丁寧に拭いていた
「おーい、ー」
そんな俺の背中にずしりと重みがかかって
振り返らなくてもこんなことする奴は一人だと分かっていて
「英二、重いんだけど」
「ひーまー」
いくら暇だからって俺の上に覆い被さってごろごろ和むのは止めてください。
「英二、本気で重いんだけど。。。。」
ホントさ、どこうよ?
このままじゃ本当に潰れる!!と必死でじたばたもがいて
頑張って顔を上げてみると越前と目が合った。
こっちにこいこいと手招きして
越前は巻き込まれるのは嫌だという表情をしながらも
先輩の言うことには逆らえぬと大人しく近づいてきた。
目の前まで来た所でがしっと越前の腰に手を回して抱きつく。
「ちょっ!?先輩何するんスか!!」
驚く越前を無視して俺は英二に言った。
「英二!!どかないと越前を放さないぞ!!」
「にゃ?」
「あおい先輩・・・」
それは何の解決にもなってないですって・・・と呆れた声がして
自分でも言いながらそう思ったりもしたから何も言うことができない
でもとりあえず英二が離れないと越前も離さない
越前、巻き込んでごめんな?
恨むのならば俺と目があってしまった自分を恨んでくれ!
「英二、そろそろ離れよう。な?」
この変な3人の騒ぎを見かねたのか大石が俺にひっついていた英二をひょいと引き離した。
「あっ、大石、サンキュ」
「どういたしまして。も離そうな」
「了解!越前、巻き込んでゴメンな?」
英二が離れたということで俺もパッと手を離して捕まえていた越前を放した。
「・・・イエ」
もう巻き込まないで下さいと言いながら越前はさっさと俺から離れた。
「♪」
「英二、今度はなんだ?」
引き離された後、大石と一言二言言葉を交わした後、また英二は俺の側に寄ってきた。
「そんな警戒しにゃくても・・・」
といわれても、お前の場合警戒を解いた瞬間にまた飛びついてこないとも限らないからな!
と言うと英二は悲しそうな顔をした
「信用にゃいなー」
「当たり前だ」
何度同じ事を繰り返してると思ってんだ。
俺だって学習くらいするんだよ!
そしてようやく中断させられていたラケット拭きを再開した。
「は本当、ラケットのこと大切に扱うよね」
そりゃね
「これは俺の武器ですから!」
「武器?」
「そう」
拭くのを止めて目の前に真っ直ぐに持つ
うーん。完璧!!
俺はラケットをケースに直した。
「ー、武器って何?」
「さーてね。何でしょう?んじゃ、俺帰る!!お疲れー。また明日!」
挨拶もそこそこに俺は部室を出た。
後ろでは英二が「だから武器って何のことだよ」と叫んでたりするけど無視。
説明してたら長いしね。
昔、TVでヒーローものの番組を見てて、俺は当然のことながら格好よく戦う主人公に憧れてたわけですよ!
いーなー、俺もあんな風に戦いたいな!!絶対に負けない無敵な主人公になりたいな!!とね。
でもってある日親が俺にその主人公が持っていた剣のおもちゃを買って渡してくれた。
その日から俺はその剣片手に主人公となって日々戦う毎日!!
敵は嫌いな牛乳や野菜とかとか
俺はそれらを見事やっつけて今に至る。
そして今はその時の剣をラケットに代えて敵、試合対戦者を倒すために日々鍛錬!
だからラケットは大事な武器です!丁寧に扱わないとな!
さあて明日もラケット片手に敵を倒すために頑張らないと!
声に出すのは恥ずかしいから心の中で”えいえいおー!!”と叫んで俺は家路についた。