天使の卵






「手塚、不二。来て!!早くこっちに来て!!」



休憩中、水道で水をたらふく飲んだ後、まだ時間が残ってるからと

グランド周りを歩いていたオレはあるものを見つけた。

見た瞬間にオレは音を立てないように、でも急ぎ足でコートまで戻って行って

コート入り口で話し込んでいた手塚と不二を見つけて声を掛けた。


「何?英二、どおしたの?」

「もうすぐ休憩時間が終わるのだが」


何処に連れて行こうとしてるのか口を割らず、ただ

「ついてきて!」

とだけを繰り返すオレに不二は苦笑しながら

手塚は不承不承な表情を浮かべながらもついてきてくれる。

その途中・・・

「英二、手塚に不二もどうしたんだ?」

「菊丸、何処に行くんだ?」

「英二、手塚に不二に・・・どうしたの?」

「英二先輩!!何してるんスか?・・って、なんスか!?」

手塚と不二を引き連れて歩くオレに声を掛けてくる皆を次々に引っ張り込んでいった。

海堂はチラッとこちらを見ただけで関わらないようにと逃げようとした所を

問答無用で駆け寄って行って腕をひっぱり引き込んだ。

掴んだ瞬間あのこわーい目でギロリと睨まれたけど

ふふん、オレのが先輩だからそんな睨んでも怖く無いにゃ!

とニッと笑って返してやったら諦めてくれた。

「で、英二、本当になんなの?」

「いーもの見つけたにゃ♪」

「良いもの?」

「そう!!」

それを見ればね。。。。ピッとオレは手塚の額の皺を指差す

「手塚の皺だってあっという間に伸びちゃうくらい良いものだよ♪」

「ふーん、それは見なきゃ損だね」

「損、損♪」

「データの取りがいがありそうだな」

「もっちろん♪」

どうやら不二と乾は興味を持ってくれたみたいで

桃に関しては楽しそうと思ったものに鼻が効くから最初っからノリキだし

大石はオレのやること、止めても無駄ってしってるから苦笑しながらついてきてくれる。

タカさんもそれは一緒?

で、海堂も表情は変わらないんだけど”手塚の皺が伸びるくらいにモノ”

という言葉が効いてるらしくさっきまで巻き込まれたことに不機嫌オーラが出てたんだけど

今はすっかり大人しくついてきてる。

ただ・・・

「菊丸、休憩時間は終了してるのだが」

手塚だけが不機嫌度が上がってる。

オレがさっき指差したものだからそれで余計に機嫌が悪くなってる。

これは早く見せなくては!!

と、わずかに歩く早さを早めて。。。そして着いた。

「ここからは静かに足音立てずに歩くにゃ!」

「どうして?」

不思議そうに首をかしげた不二にオレは

「じゃないと起きちゃうから!」

と答えた。

この答えでオレが見せたいものの心当たりがついたらしいのが数人。

不二だって勿論そのうちの一人

「英二、見せたいのは越前君の寝顔とか?」

「半分当たり!半分ハズレ!!」

「越前、さっきから姿見ないと思ったらこんな所で寝てたんスか?」

「そうみたいにゃ」

おチビはたんまに休憩時間とか空き時間が出来るとジュース持って姿消しちゃうからなー

で、時間になるとどこからともなく戻ってきてる。

たんまに、というか戻ってくる時間遅れてるけど

今日も遅れる方だったらしくて・・・

「なら、起こした方がよいんじゃないか?休憩時間は終わったんだし」

さすがの大石の意見

でも出来ないんだな〜♪

「菊丸、そろそろ手塚が切れそうだから正解を教えてくれないか?」

乾の言葉に手塚を見れば、確かに!!

今にもグランド○○周!!と言い出しそうな表情だ。

「んじゃ、こっちのこの木の裏をそっと覗いてみるにゃ!」

くれぐれも足音立てないように!!あと、声も小さく小さく

で、皆がそーっと木の裏に回りこんで



『あっ!?』



オレ以外の全員の声が揃った。

「そういえば、の姿も消えていたな」

「まさか此処で・・・」

「うわぁ、ほっぺつついても起きませんよ?」

「バカがっ」

「バカとはなんだバカとは!!やるか?マムシ」


ベシッ


いきなり喧嘩しようとした桃と海堂を皆一発ずつ殴って黙らせる。

止めに不二の冷気にあたって、二人はようやく状況を飲み込んだようだ

ったく、ここで喧嘩始めたら起きちゃうだろうが!!



そう、オレが見つけたのはおチビとが仲良く昼寝してる場面だった。

ふらふらーっとこの木の側まで来て見ると、おチビの姿が見えて、

からかってやろうと近づいてみるとその横にはの姿!!

「おチビー、ー」

呼びかけても全然反応なしで不思議に思って前に回ってみると・・・

なんと二人は仲良くもたれあって眠っていた。

もう、その姿の可愛いこと!!

オレだけが見るなんて勿体無くて思わず皆を呼びに行って今に至る。



「どお?見なきゃ損する所だったっしょ♪」

どこか得意気な声音になるのは当然

そして帰ってきた反応も

「本当だね」

と、期待通りのもの!

こんな貴重な二人の寝姿、見れるもんじゃないからにゃ〜♪

「越前もこうしてると生意気さが消えて歳相応というか可愛くみえるよね」

「確かに」

「そしては可愛いのがさらに可愛く見えるにゃ」

「あれっスね、まさに天使の寝顔って感じっすか?」

桃の言葉に皆頷いた。

天使、確かにそんな感じにゃ♪

「テニスの天使・・とか?」

「あー、でも”テニスの”をつけれるほどまだまだ一人前じゃないけどね」

「特には初心者だから練習が必要だな」

「初心者ってことはタマゴ?ヒヨコ?」

「タマゴじゃないかな?まだ殻も破ってないし」

「ようやく罅が入り始めた。くらいかな?」

「んじゃ、テニスの天使のタマゴの寝顔?・・・長いにゃ」

思わず舌を噛みそうになってしまった。

「でもぴったりだね。で、こうして二人並んでると越前も天使の寝顔だよね」

「普段からは全然想像できないっすけどね」

「本当だな」

会話しながら皆の顔を見てみるとなんか優しい顔をして見ていた。

あの手塚でさえも、オレが言ったみたいに皺が綺麗に伸びちゃってるよ?

「・・・・ん・・・・うにぃ?」

俺達が二人の寝顔をじーっと見てたからの目がゆっくりと開いて

その視線が俺達に向けられた。

けど、まだ寝ぼけてるみたいで現状が把握できてないらしく、そんな様子もなんだか微笑ましい

が、次の瞬間

「うわっ!?先輩方!。。。。休憩!?越前君!!起きてー!!!!」

俺達が揃って見てることに目を大きく見開いてその後、慌てて隣で寝ていたおチビを起こそうと揺すり始めた。

が、全然起きる様子は見られない

そのことにさらに焦って揺する力が大きくなって

そんな様子を見てオレ達は我慢できなくて笑ってしまった。

見るとはっきりとしないまでも手塚までもが笑いを堪えている表情だった。

我慢せずに声に出して笑えば良いのににゃ

「えーちーぜーんー君てばぁ!!!」

俺達が笑ってる間もは必死でおチビを起こそうとしていて

ようやく越前の目も開いた。

「・・・・・・・・・・先輩達、良い趣味してますね」

人の寝顔を見に来るなんて・・とおチビの第一声にまたまた噴出してしまう。

寝てると天使なのに起きるとやっぱりおチビは生意気なおチビだ

「お前達」

笑い続けるオレ達とこんなオレ達を睨みつけるおチビに穴があったら飛び込みそうな

その背後からいつの間に立ち直ったらしい手塚の姿。

そうなると当然

「いつまで休憩だと思ってるんだ!!皆30周!!」

となるわけで、

でもいつもなら文句の一つ二つは出てはくるんだけど今は、

良いものを見たという癒された気持ちなので誰も文句言うことなく走り始める。

その中には当然の手塚の姿もあって、また笑いがこみあげてくる。

「おチビ、、良いモノ見れたにゃ!ありがとにゃ!!」

そういってオレは前を走っていた二人の頭にポンポンと手を置いて、ニヤリと笑った後、

追い抜いてやった。

 

 

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