「・・・・本当に良いんですか?」

そう言った僕にその人は眩しいほどの笑顔を浮かべて頷いた。






文化祭!?






「あの、あの、先輩方、本当にすいません!!」

申し訳ありません!!

と何度も何度も僕は頭を下げた。

頭を下げた先には、部活での先輩方がいる。

が、その格好はというと・・・

口をガムテープで塞がれ、手も足もぐるぐる巻きにされ

そして何処から持ってきたのか、ロープで一まとめにされている

5人の先輩の姿。

先に言っておくけどこれは僕がしたわけではない

ない、けど手を貸してしまったのは事実。

だから今僕ができることは謝罪することだけ・・・

そんな謝り続ける僕の背後から楽しげな声が降ってきた。

君がそんなに謝ることはないよ?それに君達も君を恨んじゃダメだよ?」

君には僕が君達を呼んでるから此処まで来てくれって伝言を頼んだだけだからね

最初は僕に、後は哀れな姿となっている2年の先輩方に向けた言葉。

その言葉に先輩方は口を塞がれたまま必死の形相で何度も頷いている。

「恨むのなら僕だけにしてね」

と、さらににっこりと微笑んだ先輩の不二先輩の言葉に

先程まで首を縦に振っていた先輩方は今度は横に振りだした

・・・・・・あんなに振ってちゃ目が回るよ?気持ち悪くなるよ。だから

「不二先輩、口だけでもはずしてあげた方が・・・」

そうしたら首を振らなくても返事してもらえるしね

「ダメだよ。間違って誰かに助けを呼ばれるようなことになったらどうするの?」

「それは・・・」

「ね?困るでしょ?

此処は最後まで黙っててもらわないと、バレたら間違いなく手塚に走らされるよ」

きっと、100周は軽いんじゃないかな?

君は、走りたいの?

と、聞かれて「走りたい!」なんて答える人はいないと思う。

そうなると手塚先輩にバレないようにしなくては!!最後まで隠し通さねば!!なんて覚悟が出てきた。

なので本当に申し訳ないのですが、先輩方、もう少し、あと2時間程そのまま我慢しててください。

終了したらすぐに来て助けますので!!

君は優しいね(^^)」

「いえ、そんなことはないです」

ただ、このまま放置するのは人間としてどうかと思ったものですから・・・

などと、不二先輩の笑顔を前には言えるはずなくて曖昧に笑って誤魔化した。


「不二ー!!ー!!そろそろ時間にゃ!!」

戻ってこーい!!

今居るのは校舎の裏。

そこを覗き込むようにひょっこりと英二先輩が顔を覗かせた。

「英二、準備はOK?」

「OK!二人が戻ってきたらすぐにでも新装開店だよ!!」

だから早く戻ってこーい♪

その声に引かれる様に僕と不二先輩は英二先輩が居る場所に向う。

が、その前に

「君達も新装開店のテニス部屋台が繁盛することを此処から祈っていてね♪」

「先輩、ごめんなさい!!」

残される先輩方に言い置いて、僕達は裏から表に戻った。


「不二、こんな感じでどお?」

「いい感じだね。」

「・・・そおですか?見るからに激辛な感じがするんですけど」

本当にこれを売って良いんですか?食べさせて良いんですか?

心配する僕に不二先輩も英二先輩も最高の笑みといって良い程の笑顔を見せて

「「大丈夫!!」」

と言い切ってくれた。

そうなると不思議に不安というか心配というか吹き飛んでしまって

僕は元気よく「はい!」と返事をしてしまった。

そして”テニス部のお好み焼き屋台”は”不二と菊丸の激辛お好み屋台”新装開店した。

新装開店したお好み焼き屋台は味はともかく人気を博して成功を収めた。

購入者は主に女子で、やはり不二先輩と英二先輩の”お手製”という所が人気になった理由らしい

二人が作っていた間、僕は何をしていたかというと、注文を受けたり代金を受け取ったり

いろいろと忙しくて時間も忘れるくらいに働いていた。

だから不二先輩にポンと肩を叩かれて「お疲れ様」と労いの言葉を貰った時に文化祭終了時間が来たことを知った。

その後、やはりというか手塚部長に僕達がテニス部の屋台をのっとったことはばれてしまって

50周走らされることになった。

100周じゃなかったのは全て不二先輩のお陰といえる。

・・・のっとったとはいえ、激辛お好み焼きは繁盛してたし売り上げも良かったしね

そのことでおまけしてくれたんじゃないかな?と思う。

で、この50周については2年の先輩方に対する扱いでということだったんじゃないかな?




「ところで、不二先輩。」

「どおしたの?」

「何故、屋台のっとりなんて計画したんですか?」

「あれ、不二、に言ってなかったの?」

「いってなかったっけ?」

「聞いてないですけど・・・」

「なーんだ。オレはてっきり知ってて協力してたのかと思ったにゃ」

「いえ、僕は不二先輩に重要なことを頼みたいって言われて」

あまりに真剣な顔をしてたので、じゃあ、僕に出来ることならということで引き受けてみたら

冒頭となったわけです。

「そーか。不二がのっとった理由。それはね・・・」

話を聞くと、

どうやら不二先輩はお好み焼きを作る担当になりたかったらしい

それを前から手塚先輩に何度もお願いしてたらしいのだけど当日の役割分担表を見てみたら

担当からはずれていた。

その理由は不二先輩が作ると面白がって「食べれない程の激辛にするから」ということだったらしくて

で、どうしてもやりたかった先輩は英二先輩に相談して、

その相談していく中で今回の「のっとり計画」が浮かんだらしい

でもどおしてこの計画に僕も巻き込まれてしまったのだろう?

これについてはいくら聞いても不二先輩も英二先輩も笑って教えてくれないままに流された。

本当、なんでだろう?動かしやすかったから?たまたまそこに居たから?

まあどんな理由だろうと、いろいろあったけど僕も楽しめたから良いんだけどね。

青学に入って初めての文化祭はあまりに衝撃的な体験と共に終了した。

 

 

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