菊丸花丸二重マル〜♪






「大石、俺は前から気になってたことがあるんだが・・・答えてくれないか?」

朝の挨拶もそこそこに真剣な顔で尋ねた俺に大石の顔も何事かと改まった。

、気になってたことってなにかな?」

「菊丸のことなんだけど」

「英二?」

そう、と頷いて大石を見ると、何故ここでいきなり菊丸の話題なんだ?と不思議そうな顔をしていた。

そりゃ確かにテニス部に全く関わりなくさらに一度も疑問の相手と会話したことのない俺がそんなことを聞くなんて

不思議に思わないほうが無理だよな。

でも、奴は二日に一度、ひどい時には毎日大石の所に何かを借りに来る。

でもって俺はそんな大石の席の隣。となれば意識しなくても自然と会話が耳に入ってくるもので、

俺はその会話を初めて聞いたときから今日までずっと気になっていたことがあった。

それは、

「なんであいつは猫語なんだ?そしてあの不思議な言葉郡はなんなんだ?」

「猫語、はわかるけど不思議な言葉郡とは?」

それはな・・・・

「きっくまっる・・・・・ビーム!!!!」

ぎゃ!?

いきなり背後から声が聞えたと思った途端に背中にズシリとした重みがのった。

「・・・・・・例えばこんなのとか」

といった俺に大石は苦笑するばかり

にしてもこんなのというかこれの何処が”ビーム”なんだ?

何がしたいんだ?こいつは?

いきなり上に乗られたせいで身体を90度に曲がってしまったままそんなことを考えていたら

上から騒がしい声がした。

「何々?二人ともなにが”例えば”で”こんなの”にゃの?」

何の話してるの?と俺の背中にのってさらに上に登ってこようとする奴

それはいうまでもなく菊丸だった。

「おい、菊丸」

「英二でいーよー♪」

「き・く・ま・る!!どけ!!」

「にゃぁぁ!!ひどいー!!大石慰めてー(><)」

・・・なんでそこで大石に泣きつくかなー?

つーか泣きつきたいのは俺の方なんですけど?

そろそろ限界が近い気が。。。このままだと菊丸を上に乗せたまま倒れてしまう!

というか潰されてしまう!!と危機感を頂いた時

急に背中の重みが消えた。

不思議に思って軽くなった背後を見ると

そこには微笑を浮かべた不二が片手で菊丸の首根っこを捕まえている姿があった。

どうやら引き剥がしてくれたらしい

「えーと、ありがとう」

助かりました。と、頭を下げてお礼を言うと

「どういたしまして。英二が迷惑かけてごめんね」

いやいや、不二が謝る必要はないだろう。

悪いのは全て菊丸のせいなんだから



何だ?呼ばれて返事すると大石が

「そんなに気になってたんだったら本人に聞いてみたらどうだい?」

本人に?とその本人をチラリと見てみれば今だ不二に首根っこ掴まれたままミーミーと鳴いていた。

その姿はまるで猫

つーか、

「一つ目の謎はとけた」

この姿を見れば猫語は納得。でもって違和感全くなし。

「そうか。それは良かった」

にっこり笑む大石に理由がわかっているのかないのか同じように笑む不二

菊丸は謎はとけたという俺や笑む大石や不二の態度がわからず頭に”?”を

何個も飛ばして俺達の顔を順番に見て行く。

「で、もう一つの疑問の方は?」

「それはわからん。」

ということで、そうだな、本人に聞くのがてっとりばやい

「菊丸、聞きたいことがあるんだが」

「にゃ?」

「お前が猫語使いなのは謎がとけた。が、不思議な言葉郡はどうやって生まれてきて

なんでそれを使ってるんだ?」

「・・・・不思議な言葉郡て?」

「さっき俺に飛び乗る時に言ってた台詞とか」

「あー・・・・・なんで?」

・・・聞いてるのは俺であって俺に聞き返してくるな

「・・・・・不二、なんで?」

今度は不二に尋ねてる。

「僕が知るわけないでしょ。英二が言ってるんだから・・・自分でも分からないの?」

「うん。大石は知ってる?」

最後に振られた大石に皆の視線が集まる。が

「俺も知らないな・・・英二、何がきっかけかとかも分からないのか?」

「きっかけ、ねぇ?気づいてたら言ってたにゃ」

気づいてたら・・・ということはそれまでは無意識に言ってたということか?

「あっ、その時のノリとか!!」

そうそう!そうだよきっと!!と何が嬉しいのか菊丸は手を叩いて笑う

あー、なんかこいつのことに疑問を持った俺がバカみたいっつーか、疲れた。

「大石、サンキュ」

俺は疲れたから自分の席で大人しく倒れてるよ

と、離れようとした俺の背に菊丸が

「菊丸花丸二重マル〜♪、いえぇーい!!」

とか声を掛けてきて、見ればVサインなんかしてたりする

はいはい、いえーいいえーいと俺は力なくVサインを返して自分の席に座ると・・・倒れた。

マジで、奴に疑問を持った俺がバカでした。

てかなんで俺は名前呼ばれてんだ?それも呼捨てで・・・

ちらっと気になったのだけど、何を言っても変わらないだろうなということが簡単に想像できたので

そのまま倒れたままでいた

その後、二人が自分のクラスに戻る時に、菊丸はバシン!と俺の背中を叩いて

、まったねん♪」

と笑いながら駆け去ってしまった

さすがに倒れたままでいれず起きて文句を言おうとしたのだけど

そのときにはもちろん姿は消えていて、

置いてかれてしまった不二が、俺の肩に軽く手を置いて

「頑張れ」

の応援の言葉と笑みを残して帰っていった。

後から大石に聞いた話では俺はどうやら菊丸に気に入られてしまったらしい

それを聞いて、俺はこれから振り回されるのかと考えると・・・疑問を持ってしまった自分を恨めしく思うのだった。


 

戻る