ペナルティー&乾汁






水飲み場で手を洗っていたら

意味不明な言葉を叫びながら猛スピードで自分のいる場所につっこんでくる奴がいた。

それを何となしに眺めていて、

そいつは俺の横にくると物凄い勢いで蛇口を回して何度も何度もうがいをして

最後にこれでもかと言う程水をたらふく飲んで。。。その場に倒れこんだ。

「・・・・・・・・菊、大丈夫か?」

「じゃにゃい」

「あっ?」

「大丈夫じゃにゃい!!」

だろうな。そんなぐったりとした様子だしさ

、何か持ってない?」

「何か、とは?」

「口直しになりそうなもの」

口直しになりそうというと・・俺は学生服のポケットに手を突っ込むと

あった。貰ってポケットにそのままつっこんでいた飴が

「これで良ければ」

そうやって差し出すとありがとぉぉ!!

さっそく口の中に放り込む。

「あまー!!おいしぃー!!!」

そう言って嬉しそうに笑う菊を見て自分も釣られるように笑った。

、サンキュ」

「どういたしまして」

二人の間に和やかな空気が流れる。

そのその空気を引き裂くような声と足音がして

そちらに顔を向けると、先ほど菊がやってきた方からまたもう一人やってくる姿が見えた。

そしてやっぱり先程の菊と同じ行動をして倒れこむ

「大石、大丈夫?」

英二が心配そうに声を掛けると一応は「大丈夫だ」と返事は返ってくるけども

まったくもってそんな様子ではない。

「大石、これいる?」

そういって彼の目の前に差し出したのはさっき菊にあげたのと一緒の飴

「ごめん、もらうよ」

「どおぞ」

差し出された手に飴を乗せると大石をすぐに口の中に放り込んだ

「助かった」

「・・・・・その反応ってやっぱり乾汁?」

「うんにゃ、ペナル茶」

前にもテニス部内での恐怖の飲み物の話を聞いていて

この二人の反応からそれを飲まされたのだろうなとと思って聞いてみると

違う答えが返ってきた。

「何、それ」

「乾汁の改良型?」

だったっけ?と菊が大石に尋ねて、大石も確かそのはず、と答えた。

へぇ、新作が出たんだ。

「で、やっぱしまずいんだ」

「マズイマズイ!!」

あれはもう人の飲む物じゃないにゃ!!!

と喚く菊を置いといて、改めて大石に聞いてみると

はっきりマズイとは言わないものの。。。その表情と態度から予想はついた。

「テニス部って、大変だな」

そんな恐ろしい飲み物飲まされて

「ホントにゃ!!アレをおいしいって飲む不二が信じられない!!」

そういえば前に乾汁の話を聞いた時に不二は平気で飲むって言ってたっけ?

「やっぱし今回のも不二はおいしいって?」

聞いた俺に菊はものすっごく嫌そうな顔しながら頷いた。

不二の味覚がおかしいというのは常々思っていたことだけど

この二人、というか不二と乾を覗いたテニス部員がここまで嫌がる飲み物を

美味しいと飲んでしまう辺り、自分が考えていた以上にさらに味覚がおかしいのかもしれない

といっても俺はその乾汁とかペナル茶を飲んだことないからどれだけ不味いのかはわからないけど


「なら、「飲んでみる?」」


飴を食べて少し落ち着いたとはいえ、まだ倒れこんでる二人をぼっと見下ろして立っていたら

急に背後から声がした。

そして声だけじゃなく、両肩にポンと手を置かれ、そして首の横からぐいっと腕が突き出された。

それも両側から!!

何が起こったのか把握できず固まってしまって、でも目はその突き出された手を、

その手が持っていたものに視線が行く。

それは片方は緑色の液体が入ったコップを、こう片方は赤色の液体が入ったコップをそれぞれ持っていた。

「ふ、不二に乾、脅かすなよ(汗)」

顔を見て確認したわけではないけれど先ほどの声からこの二人に間違いないことはわかっているので

声を掛ける。が、その声が動揺してしまっているのは仕方のないことだと思う。

「驚かせちゃったかな?ゴメンね」

と、口ではいっているけどもその謝罪の気持ちは全然感じられない。

「で、なんだよ。何持ってるんだ?」

何を持っているのか?

それはなんとなく、実物を見たわけではないけども分かる気がした。

だって、ソレを見る菊や大石の目が恐怖に怯えている辺り、予想はできるだろう

それに俺に乾や不二は『飲んでみる?』と声を掛けてきたのだから

そしてその予想は当たった。

「これが乾汁」

「そしてこれがペナル茶」

「「、飲まない?」」

「謹んでお断りさせていただきます。」

絶対にいりません!!

菊や大石の恐怖の表情を見てまで飲みたいと思いません

色だって緑はまだ分かるとして、赤ってなにさ、真っ赤って!!

それに少し離れてるだけでかなり目に染みて痛いのですが?

そんなものを口にしたくはありません。断固拒否!!

と、断ると、そこでやっと突き出された腕がひっこんで方に置かれた手も外された。

ので、後ろの二人に向きなおると

乾が乾汁、不二がペナル茶を持って立っていた。

「なんでここにいるの?」

「英二や大石がなかなか戻ってこなかったからね」

あぁ、心配して迎えに来た?

にしても何故それを持ってきたのさ?

と聞くと、なんとなく必要な気がしたから。とのこと、何に必要なんだよ

「で、どおするんだ?それ」

それ、と俺が乾汁とペナル茶に目を向ける。

「うーん。英二、おかわり居る?」

「いらにゃい!!」

「大石は?」

「いらない!!!」

悲鳴上げながら拒否する二人を見て、「困ったなぁ」と不二と乾は顔を見合わせる

不二なんかは「おいしいのにねぇ」なんて呟きながら

「美味しいっていうんだったら自分が飲めば良いんじゃないのか?」

何気に言った俺の台詞に

もし不二の両手が開いていたらポンと叩いてたかもしれない。

そんな表情で「そっか!」と頷く。

「乾、僕が飲んでも良いの?」

「いいよ」

「じゃあ、もらうね」

そういうと不二はペナル茶を一気に飲み干した。

そしてその横では乾が乾汁を飲み干していた。

「やっぱり美味しいね」

「そういってくれるのは不二だけだ」

「そお?また作ってね」

「分かった。今日の分、まだ残ってるけど飲むか?」

「もらおうかな?」

飲み干した二人はそんな会話をしながら来た場所に戻っていく。

「あの二人、一体なにしに来たんだ?」

「「さあ?」」

俺の疑問に菊も大石もただただ首を傾げるばかりだった。

 

 

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