芸術選択
土曜の授業終了後
部活開始時間までに昼食を食べ終えて準備してなど忙しいことは忙しい。が、
3年となると準備は大体が1.2年生がやってくれるということで
俺達は昼食を食べて開始時間までの間をのんびりと過ごしていた。
「は今日の練習出るんだ」
「そろそろ行かんと副部長が何か言ってきそうだからな」
「それまでに行こうと思わないのか?」
「だから今日行くんじゃん」
「手塚、無理だよ。はマイペースな奴だから」
「しかし」
「俺が良いって言ってるからいーの!これで今までやってきてるんだからな」
今更文句言われたって困ります!!と言った俺に手塚は眉を顰める。
が、そんな顔してもダメなものはダメなんです!
なんてやり取りをしていたら屋上のドアが開く音が聞えた。
そちらに顔を向けてみると、そこにいたのは
「桃君!遅かったな!!」
桃君はレギュラーだから2年とはいえ準備を免れる。
当然レギュラーで2年の海堂だって、1年のリョーマだって免れて
今まで俺達と一緒に昼飯食ってた。
が、珍しくその場に桃君の姿は見えず、
あの食事大好き!な桃君の姿が見えないことが不思議でならなあったのだが、
今来たということは休みではなかったということで、
てことはクラスの友達とかと一緒に食べてたのか?にしてもその表情
「何そんな暗い顔してんだよ」
いつも元気で明るく英二と揃ってバカ騒ぎを起こしている表情じゃないぞ?
そのことで他の皆も心配そう桃君の姿を見てる。
「どうしたんだ?」
何か悩みがあるんなら聞くぞ?話してみろ?
と、優しい口調で声を掛けてみると、それまでなにやら手に持ったものを見つめていた桃君が顔を上げて
「先輩!!助けてください!」
と泣きついてきた。
「どうしたんだよ?」
本当に、何があったんだ?言ってくれなきゃ相談解決のしようもない
どうしたもんかと悩む俺に桃君は先程まで見ていたものを俺の前にパッと開いた。
「・・・・・・選択教科?」
「ッス」
「へー」
もうそんな時期ですか。
3年になったら音楽、書道、美術、この3教科の内から一つを選んで授業を受けることになる。
それの事前調査といったところか
「で、これの何を悩んでるんだ?」
「どれにしようか決まんないんスよ」
そりゃまた優柔不断な・・・
まあ、確かに教科によって提出するものの違いとかテスト内容とか変わるからな・・・
「先輩はどうやって決めたんですか?」
「俺?」
俺は吹奏楽部だし前からピアノ習ってたしで即音楽だったな
「英二はどうだった?」
と、横で俺達の会話を聞いていた奴らにも聞いてみる。
「オレは。。。鉛筆の側面に音楽とか美術とか書道とか書いて転がして出た目で決めた」
おいっ!とつっこみたい気持ちはやまやまだがそれもありだ!!
「それで英二が美術だったのか!前から似合わないと思ってたんだけどなんでそれ決めたのか不思議だったんだよな!」
これで謎が一つ解けた!
と気持ちがすっきりしたところで視線をその隣でニコニコと・・・いや、奴は聞かなくても分かる。
俺”で”遊ぶために音楽にやってきやがったんだ。あいつはそーゆー奴だ
「、ひどいな」
ひどい、といいつつ全然傷つきもしてないだろうによ!!
「間違ってるか」
「ううん、アタリ」
くそっ、ちょっとくらい否定するとかしろよ!
「で、ヌイは?」
なにを持って美術?それもそれで似合わないよ。
選択に実験とかあったら間違いなく入ってるだろうけど、その方が似合ってるよ。
でもないから仕方ない。
「まあ、書道の方が楽とのデータはあったんだがな」
あったんだけど、楽すぎても面白くないといった所?
でも一番難しい音楽はやりたくなかったから2番目に難しくて優しい美術を選んだわけだな
そのデータを俺にも流していてくれれば俺だって迷わず書道に行ってたぞ?
「そうなんスか?書道が一番楽って・・・」
今まで黙って話を聞いていた桃君が聞いてきた。
「おうっ、と、俺は聞いてるけど、どうなん?書道組・・・のタカさん」
「うん、楽は楽かな、時間中ずっと書いてるだけだからね」
ほほぉ、それは本当に楽かも。
「で、手塚はそれを知っていて書道に行ったわけか?」
「いや」
そうだろうな、こいつはそんなことで希望を変えたりとかしない
「そいえば大石は美術だったよな。どんな?」
「テーマに沿った物を描いて期限まで提出するんだ」
へー、それはある意味楽そうかも
絵を描くのが苦手という奴には期限一杯かかって大変そうだけど・・・
と、俺は英二を見た。いや、そんな”てへっ♪”って笑わんでいいから
「そおゆう先輩はどおなんスか?」
それまで黙って、というか興味なさげだったリョーマが声を掛けてきた。
「俺?音楽?」
「そう、何してるんスか?」
「音楽は・・・歌うだけだと思ったら痛い目見るぞ?」
その言葉に意味の分かる不二以外が頭に”?”を飛ばしてる。
当然の如く歌のテストとかあるんだけど、それ以外にあるものが問題なんだ。
あれさえなければ楽しいと思うんだけど
「アレって?」
さっさと言え!とばかりにリョーマが聞いてくる。
「あー、作曲」
『作曲!?』
おぉ、見事にハモッたな
「、それは何するにゃ?」
「言葉の通りだって」
16小節分の短い作曲をするんだ。
その為に作曲の為の細かなルールとか勉強させられて
完成したと思って提出しても間違っていればやり直し
本当の完成になるまで何度も何度も提出しなおしというかなり嫌なものだったりする。
と、話してた声にまで俺の嫌さ加減が出たらしく
聞いてたほうも相当嫌なものなんだと分かってくれたらしい
特にリョーマの表情からは絶対に音楽は選ばない!といった色がありありと出てる。
もちろん桃にも出てるな。
歌うだけとかだったら行ってただろうけど・・・この感じじゃ一番楽な書道に行きそうか
と、俺が考えてる間にも桃君は選択教科の紙になにやら書いていて・・
「ありがとうございました!今から提出してきます!」
と、元の明るく元気!が戻った笑顔で屋上から出て行った。
「ちなみに海堂、お前は美術だろ」
「っス。なんでわかったんスか」
「ん、勘(^^)」
といったら呆れた顔でそっぽ向かれた。
いやいや、勘はなかなかバカにはできませんよ?
こんなことで当たってもどうしようもないけどな。
で、時計を見ればそろそろ部活開始時間が迫ってる。
「さてと、そろそろ部室にでも向いましょうか!」
と伸びをして立ち上がると。皆もそれぞれに立ち上がって会話しながら屋上を後にした。